温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2017年11月18日

憧憬と焦燥


 「ジュンちゃんはさ、お父さんを尊敬しているんだよね」
 話を聞いていたママが、カウンターの中から声をかけてきました。
 馴染みの酒場での1コマです。
 僕は常連客らと、両親の介護話をしていました。

 「えっ、……そうかなぁ~……」

 するとママは、言いました。
 「だって、世の中には親を介護する人と、しない人がいるじゃない。自分の親だっていったって、感謝や尊敬の気持ちがなけりゃ、できないわよ」
 含蓄のあるママの言葉に、しばし、うつむいてしまったのであります。


 先週末から今週にかけて、僕は久しぶりに実家に泊まりこんで、両親の介護をしてきました。
 ふだんはオヤジを我が家に連れてきて面倒を看ているのですが、アニキが不在のため余儀なく、“ダブル介護” をすることになったのです。

 実家のオヤジのベッドの壁には、大きな額が飾られています。
 その昔、国からいただいた賞状です。
 環境庁長官賞、長年の自然保護活動に対して、その功績が讃えられました。
 ※(詳しくは、当ブログの2013年8月17日「オヤジ史② キャサリン台風」参照)

 実家に泊まる時は、いつも目にしていたので、そこに、それがあるのは、当たり前の光景でした。
 あらためて、まじまじと見入ることなんてありません。
 でも、今回、見てしまったんです。
 そして、僕は愕然としました。

 授与された日付けです。
 昭和54年と記載されています。
 「しょうわ、ごじゅうよねん!」

 昭和54年といえば、僕は21歳です。
 当時は東京で、ライブハウスやストリートでパフォーマンスをしていた時代です。
 確かに覚えています。
 「お父さんが名誉ある賞をいただいたから、帰っておいで」 とオフクロに呼び戻された記憶が……
 市内のホテルで盛大に行われた祝賀会の様子さえ覚えています。

 「私は子供たちに財産を残してあげることは、できませんでした。でも、孫やひ孫の代まで、赤城山の自然を残してあげることができました」 と語ったオヤジのスピーチ。
 隣で、まるで子供のように嗚咽を上げ、しゃっくり泣きをしているオフクロの姿まで、ありありと思い出します。
 そのとき、マイクを向けられたオフクロの言葉さえも。

 「お父さんは、とっても才能のある人です。でも、私なんかと結婚しちゃったから、生きることで精一杯で、なかなか世の中に認めてはもらえませんでした。やっとこれで、お父さんの人生が報われました」
 と言って、泣きくずれた姿は、忘れることができません。


 でも、それは遠い遠い記憶です。
 自分の年齢は覚えていても、親の歳までは記憶にありません。

 昭和54年……

 オヤジは大正13年生まれですから、55歳だったんですね。
 今の僕より、4歳も若いんです。


 寝息を立てているオヤジを見ていて、無性に悔しさが込み上げてきました。
 どうして、もっと早く、オヤジに話を聞かなかったんだろう!
 もっともっと、教えてほしいことがあったのに!

 今では認知症状が進んでしまって、僕が誰かもわかりません。

 オヤジ、目を開けて、話してくれよ!
 男の生き方っていうやつをさ!
 もっともっともっと、俺に教えてくれよ!
   


Posted by 小暮 淳 at 23:25Comments(2)つれづれ

2017年11月16日

マロの独白(33) くっつき虫に御用心!


 こんばんワン! マロっす!!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才でやんす。

 読者のみなさん、お元気でしたか?
 ついこの間まで首に保冷剤を巻いて、ハアハア言っていたと思ったのに、もう、すっかり晩秋の気配です。
 朝夕は、めっきり寒くなりました。

 「秋の日はつるべ落とし」 とは、よく言ったもんですね。
 夕方も5時を過ぎたら、真っ暗ですもの。
 オイラの散歩の時間も、日に日に早くなっています。

 今日も行ってきましたよ。
 でも寒かった~!
 ご主人様なんて、今年初めて毛糸の帽子をかぶってました。
 オイラですか? オイラは一年中、同じ格好です。
 真っ赤なタンクトップでやんす!
 大主人様の言うところの 「赤ちゃんこ」 っていうやつです。

 「おお、なんだい、この犬は? 赤いちゃんこを着ているぞ! 犬が服を着ているぞ、ハハハ」
 て、会うたびに笑うんですよ。
 大主人様にとって、犬とは、屋外で飼う番犬と野良犬以外は考えられないらしいんですね。
 だから、オイラみたいに家の中で飼われている座敷犬という存在も理解できません。
 「うわっ、うわ~! 家の中になんか動物が入ってきた~!」
 って、いつも野良猫か野良犬あつかいなんです。


 さてさて、散歩が楽しい季節となりましたが、全国の愛犬のみなさんは、きっとオイラ同様、散歩のたびにご主人様に怒られているんでしょうね。
 何かって、「くっつき虫」 ですよ。くっつき虫!

 知らない人のためにご説明すると、くっつき虫とは、植物の種や実のことです。
 トゲトゲやイガイガが付いていて、動物や人間の服にくっついて運ばれる、頭のいい植物(雑草) です。
 一般的には長さ1~2センチほどのイガ(果苞) を付ける 「オナモミ」 という北アメリカ原産の一年草のことを呼ぶらしいんですけどね。
 でも、オイラの散歩コースには、くっつく虫の仲間がウジャウジャいるんですよ。


 「ほれ、マロ! そっちへ行くな!」
 と、ご主人様に大声で叫ばれては、リードを思いっきり引っ張られています。
 でも、道路の端を歩いているだけなんて、つまりませんものね。
 時々、オイラは草むらの中に突進して、遊んじゃうんでやんす。

 すると、ご主人様はオイラを草むらから引きずり出して、「バカマロ!」 と頭をコツンと叩いた後、「あああ、あああ、これ、取るの大変だぞ~!」 と、全身トゲトゲだらけのオイラを見て、ガックリと肩を落とすのでやんす。
 「ご主人様、ごめんなさい。もうしませんから、許してください」
 と、その時だけは反省をするんですけどね。
 これが、面白くって、やめられないんだワン!

 ちなみに、このトゲトゲの正体は、「センダングサ」 といいます。
 センダングサは、線状の種が放射線状に集まっていて、種の先端にはカギ状のトゲがあり、これがかたまりとなってドバッと毛にくっ付くんです。
 オイラ、チワワでも毛の長いロングコートっていう種類なんすよ。
 だから、くっ付く、くっ付く!

 「マロ、今度、草むらに入ったら、坊主にするからな!」
 ですって。
 ご主人様、それだけは勘弁してください。
 たまにしか入りませんから(テヘへへ)


 愛犬のみなさん、くっつき虫には、くれぐれも用心ですぞ!
  


Posted by 小暮 淳 at 18:49Comments(2)つれづれ

2017年11月15日

温泉が足りないんじゃないの?


 「芸術は爆発だ!」
 と言ったのは、岡本太郎氏ですが、なんだか最近は、“感情が爆発” する事件や事故が多いですね。

 高速道路でカッとなって、追い回して、進路妨害して、難癖つけるとか。
 仕事にストレスを感じていたからと、母親を乗せたまま車で商店街を暴走したりとか。
 と思えば、タクシーの中では、酒に酔った弁護士が暴れて、金を払わずに逃走しました。

 いったい、何が、そんなに、気に食わないのですか?
 何が、そんなに、プライドを気づけたのでしょうか?
 きっと、大した事ではないんでしょうね。

 たぶん、我慢の沸点が低いのだと思います。 
 いわゆる、“キレやすい” のです。


 タクシーの件でいえば、この状態を 「仮想的優越感」 というのだそうです。

 “俺は客だ” “今、俺は金を払って、お前を雇っているのだ”
 という 「一時的雇用関係」 が 「支配欲」 を招き、それに従わなかったことにより、“感情が爆発” して暴力に走るようです。
 でも、この弁護士は、結局、金を払ってないのだから “雇用関係” は成立していないんですけどね。


 これは温泉ライター的、極端なこじつけ論ですが、現代人がキレやすくなったのは、“本物の温泉” に入らなくなったからじゃないですかね。
 あくまでも “本物の温泉” ですよ。

 戦前から商いを続けている老舗旅館に取材に行くと、ご主人や女将さんから決まって同じ言葉が返ってきます。
 「お客が変わった」 と。
 昔の客は 「泊めていただく」、今の客は 「泊まってやる」 なのだそうです。
 温泉に対しても、同じだといいます。
 “湯が神様” だったころは、湯は 「いただくもの」 だったといいます。
 ところが今は、「湯が熱い」 だの 「ぬるい」 だの、「露天風呂がない」 だの 「貸切風呂がない」 だの、不平不満ばかりです。
 いつしか“客が神様” になってしまったんですね。

さる秘湯の宿のご主人は言いました。
 「今の時代、温泉なんて珍しいもんじゃないからね。大都会の真ん中でも入れるんだもの、あって当たり前。温泉の良し悪しなんて、誰も気にしない。だもの感謝なんて気持ちは、生まれないんだよ」


 やっぱ、“感謝の気持ち” なんですよ!
 “あることが当たり前” になると、人は我慢の沸点が低くなってしまうのかもしれません。
 便利になればなるほど、人の感情は、爆発しなやすくなるようです。

 現代人のみなさん、本物の温泉に入って、我慢の沸点を上げましょうね。
  


Posted by 小暮 淳 at 13:14Comments(2)温泉雑話

2017年11月13日

特殊任務遂行指令 「HHS」


 11月11日は、「介護の日」 だったんですってね。
 そんな日があるとは、知りませんでした。
 ま、僕にとっては毎週末が 「介護の日」 でありますから、取り立てて、その日に特別な親孝行をしようなんて思いませんでしたけれど。

 それよりも問題は、「11.12 HHS」 の日だったんであります。
 今年最大の介護任務遂行日です。


 オヤジは満93歳、身体は元気ですが重度の認知症で、要介護認定は2。
 オフクロは満90歳、脳梗塞と脳出血を患い車イス生活で、要介護認定は3。
 2人とも平日の4日間は、デイサービスとショートステイを組み合わせて、施設で看てもらっていますが、残りの3日間は在宅介護となります。

 僕は男だけの2人兄弟です。
 土~月曜日の3日間は、基本、アニキがオフクロを実家で看て、僕がオヤジを我が家に連れて来て看ています。
 が、今回は、アニキが東京の自宅へ帰ったため、僕が実家に泊まり込んでの “ダブル介護” となりました。

 それも、ただのダブり介護ではありません。
 日曜日に、なんと! 父方の本家にて、伯父の7回忌と伯母の1周忌を兼ねた小暮家の一大イベントが開催されることになったのです。
 その法要に、「どうしても出たいと」 とオフクロが言うのです。
 だからといって、オヤジを1人で実家に残すわけにはいきません。

 と、いうことで、特殊任務遂行指令 HHS (本家法要参席) が発令されたのであります。


 午前7時、起床
 1階リビングで寝ているオフクロと、2階和室で寝ているオヤジを叩き起こす。
 この日は、折りしも地元町内の廃品回収日。
 各部屋に暖房を入れた後、古紙を集め、玄関先に出す。

 午前7時30分、朝食
 朝は、2人ともパンとミルクと決まっています。
 オフクロは、どんなパンでも食べてくれるが、オヤジはやわらかいカステラ系か蒸しパン系でないと食べてくれない。
 オヤジは10分で完食。オフクロは1時間以上かかる。

 午前8時30分
 オヤジに血圧の薬1錠、オフクロは、あれやこれや9種類の錠剤を飲ませる。
 オフクロが、まだ完食しないので、オヤジの着替えを先行することに。
 「ほら、手上げて。次は足。ボタンは自分で止められるだろう。ネクタイは締められるの?」
 とかなんとか言いながら、15分で礼服を着せられた。

 午前9時
 立つこともままならないオフクロに服を着させるのは、至難の技。
 寝たきり生活のため、身体が硬直していて、思うようには動かない。
 「イタイ、痛いよう。イタタタターーーー!!」
 車イスに乗ったまま、なんとかオフクロにも上下礼服を “装着”。

 午前9時30分
 「オヤジもオフクロも、そこでジッとしててくれよな! オレはまだやることがあるんだからさ!」
 2人を各部屋に残して、僕は台所で洗い物を済ませ、2階のオヤジ専用トイレの掃除と、オフクロの簡易トイレの汚物処理に奔走すること20分。
 時計を見ると、もう、10時じゃないか!
 法要は11時からです。
 あわてて、自分も礼服に着替える。

 午前10時
 「トイレは? オシッコは出ないの?」
 オヤジを先に車に乗せようと、手を引いて駐車場へ。
 「出ない。さっきしたから」
 「じゃあ、オフクロを連れて来るから、ここで待っててくれよ。絶対、車から降りるなよな!」
 そう言って、オヤジを後部座席に乗せ、オフクロを助手席に乗せて、車イスをたたんでトランクに納めた時です。
 「オシッコ出る」 とオヤジ。
 「えっ、さっき出ないって言ったじゃない」
 「だって、出たくなっちゃったんだもの」
 「もーう、ったく!」

 ということで、出発したのは、だいぶ10時を過ぎてからでした。
 でも、小暮家の菩提寺は前橋市内なので、なんとかギリギリ、セーフ!

 僕の車が境内に着くと、いとこたちが駆け寄ってきてくれました。
 「ジュンちゃん、ご苦労さま」
 「私が叔母さんを看ます」
 「じゃあ、俺が叔父さんを看るよ」
 そう言って、みんなで両親を本堂まで連れて行ってくれました。


 ふーーーうううううう!!!

 車を降りた僕は、青空を見上げて、大きなため息をひとつ。
 特殊任務は、始まったばかりなのである。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:37Comments(0)つれづれ

2017年11月10日

温泉で美しくなれ!


 ちょうど去年の今頃でした。
 某テレビ局からコメントの取材を受けました。

 「群馬県には、いい温泉がたくさんあるのに、どうして美肌ランキングで最下位なんでしょうか?」

 “美肌ランキング” とは、毎年この時期に某化粧品会社が行っている 『ニッポン美肌県グランプリ』 のことです。
 全国の店舗で20~100歳の顧客から集めた肌データを分析しているようです。
 「毛穴が目立たない」 「キメが整っている」 「シワができにくい」 などの項目から偏差値を出して、都道府県別のランキングを発表しています。

 先日、今年のランキングが発表されました。
 1位は富山県、2位は石川県、3位は秋田県です。
 日本海側の北陸、東北エリアが上位を占めています。

 で、最下位は……、今年も群馬県でした!(残念)

 同社の分析によれば、最下位の理由は、
 「水蒸気密度と気温が低く、日照時間が長い。秋冬には乾燥する風が強く吹き、肌にとって大変厳しい環境」
 とのことです。
 いわゆる、空っ風に吹かれて、紫外線にさらされやすい“過酷な環境” ということです。


 でも、群馬には温泉があるじゃないか!

 そうです、だからテレビ局の人は、不思議がっているのです。
 「群馬の人は、温泉に入らないのですか?」 って。
 だから僕は、こう答えました。
 「灯台もと暗し、宝の持ちぐされ、なんでしょうね。身近に温泉があり過ぎて、ありがたみを感じていないのかもしれませんね」 と。

 ああ、もったいない、もったいない。
 群馬には、“美肌の湯” “美人の湯” といわれる温泉が、たくさんあるのにね。


 ちなみに 「三大美人泉質」 と呼ばれる温泉がありますが、県内にはすべてあります。

 炭酸水素塩泉は、石けんのように肌の汚れを落とし、肌表面の古い角質を取り除く作用があります。
 ※鹿沢温泉(嬬恋村)、赤城温泉(前橋市)、滝沢温泉(前橋市) など

 硫酸塩泉は、保湿力に優れ、化粧水のような仕上がり効果があります。
 ※伊香保温泉(渋川市)、四万温泉(中之条町)、沢渡温泉(中之条町)、上牧温泉(みなかみ町)、川中温泉(東吾妻町) など

 硫黄泉は、紫外線を防ぎ、シミの原因であるメラニンの排出を助ける効果があります。
 ※草津温泉(草津町)、万座温泉(嬬恋村)、老神温泉(沼田市)、尾瀬戸倉温泉(片品村)、高原千葉村温泉(みなかみ町) など

 ほかにもアルカリ性や弱アルカリ性の単純温泉なども、美肌の湯といわれます。


 さあ、群馬の女性のみなさん!
 このままでは “湯の国ぐんま” の名が泣きますぞ!
 来年こそは、汚名を返上いたしましょう!

 温泉で、美しくなれ!
 目指せ、湯上がり美人!!

   


Posted by 小暮 淳 at 12:51Comments(2)温泉雑話

2017年11月09日

それぞれの出発(たびだち)


 ♪ サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ! ♪

 といわれたのは、高度経済成長に浮かれていた50年も昔のことです。
 もし、今でも、そうだったら、僕はサラリーマンを続けていたことでしょうね。
 でも現実は、そうじゃなかった。
 努力、忍耐、根性……なかでも、忍耐には我慢が効かず、早々にフリーランスの道を選んでしまいました。


 酒処 「H」 のカウンター。
 「一番乗りかな?」
 「だね」
 カウンターの中から、ひょこっと顔を上げたママは、いつものように手に数字パズルとペンを持っています。

 時計を見れば、まだ午後5時を少し回ったところ。
 昨日は突然、仕事がキャンセルとなり、午後から時間を持て余していました。
 そんなとき、僕は迷わず 「H」 に向かいます。

 まずは生ビールで喉を潤し、焼き魚と湯豆腐をつつきながら、日本酒の一升瓶に手を伸ばした頃でした。
 Mちゃん、Kさんと、常連が顔を出し始めました。

 「Mちゃん、転勤だって?」
 「ええ、静岡です」
 「大変だね」
 「いえ、転勤は慣れっこですから」
 「さみしくなるね」
 「たまには、H のみんなに会いに来ますよ」

 Mちゃんは、40代半ば、独身。
 金融関係に勤めています。
 2年に1度の転勤をくり返し、日本中を転々としています。

 いくら独身だからといっても、その労力は多大なものだと思います。
 僕だったら、最初の転勤命令で、辞表を出しているかもしれません。


 「小暮さん、お久しぶりです」
 隣の席に座ったKさんは、県内有名企業に勤めるエリートサラリーマンです。
 歳は50代後半で、僕とは同世代。
 あと数年勤めれば、悠々自適の人生が待っています(うらやまし~い!)。

 「お久しぶりです。元気でしたか?」
 そう僕は、ふつうに言葉を返しました。
 通常ならば、社交辞令として次に、「ええ、変わりなく」 とか 「元気ですよ」 と言葉が返って来るはずですが、彼の口から出た言葉は違いました。

 「私、会社を辞めました」

 ええ、えええええええええーーーーっ!!!!

 ママもMちゃんも、そして僕も一斉に驚きの声を上げました。
 絶句とは、こういうことなんですね。
 二の句を継げません。

 「ど、ど、どうして?」
 「会社の方針に我慢ができなくて」
 さらに絶句であります。

 あと2年、たった2年の我慢じゃないの?
 でも、その2年の我慢ができなかったといいます。
 「奥さんは、なんて言ってた?」
 「あなたは、そうすると思ったって」
 それは、良かった。

 聞けば、先のことは、まだ何も考えていないといいます。
 「とりあえず、細々と切り詰めて生きて行こうと思います」
 「だね、オレと同じだ」
 「唯一のぜいたくが、H に来ることかな」
 「それも、オレと同じだ」


 晩秋の酒処 「H」 は、悲喜こもごもの事情を抱えたオジサンたちが、今宵も酔いしれています。
 サラリーマンにもフリーランスにも、世間の風が冷たい年の瀬であります。

 「では、それぞれの出発(たびだち) に、カンパーイ!」
    


Posted by 小暮 淳 at 12:09Comments(2)酔眼日記

2017年11月08日

群馬定食&オリジナルスタンプ


 ロングライフデザインの大切さを伝える活動を続けるD&DEPARTMENT(東京都世田谷区) が、47都道府県にそれぞれ1冊ずつ発刊を目指すトラベルガイド 『d design travel』。
 その最新刊 『群馬号』(1,900円+税) の全国発売を記念した関連イベントが、東京と群馬で開催中です。


 渋谷ヒカリエ8階にある 「d47 MUSEUM」 にて、群馬県の新しい魅力をプレゼンテーションしています。
 会期中、館内では、『群馬号』 の取材で出会った “群馬らしいデザイン” や、お土産が買える期間限定のストアもオープンしています。

 d47食堂では、食堂の料理人が開発した 「群馬定食」 が登場!
 甘辛いしょう油ベースのカツ丼+家庭の味おっきりこみ+生芋こんにゃくの味噌田楽+焼きまんじゅうのセットです。
 定食以外にも、群馬の地酒やビールなども用意されています。

 そして、展示ブースには、取材中に出会った 「観光」 「食事」 「買物」 「喫茶」 「宿泊」 「人物」 の6つのカテゴリーにゆかりの品々が集められました。
 もちろん、“小暮淳コーナー” もありますぞ!
 はたして、何が展示されているのかは、見てのお楽しみ!


   d desig travel GUNMA EXHIBITION

 ●会期  ~11月26日(日) 11:00~20:00
        会期中無休 入場無料
 ●会場  d47 MUSEUM (渋谷ヒカリエ8階)
 ●問合  TEL.03-6427-2301 (d47 MUSEUM)


 また、群馬県内では、取材中に出会った場所や店、宿など、ゆかりのスポットをめぐるオリジナルスタンプラリーを開催中です。
 もちろん、“小暮淳オリジナルスタンプ” もありますぞ!
 えっ、小暮淳ゆかりのスポットって、どこかって?
 ハイ、それは 「日本で最初の温泉大使」 となった、みなかみ町です。
 「みなかみ町観光センター」(TEL.0278-62-0401) に設置されてますので、ぜひ、ゲットしに行ってくださいね!


 ※『d design travel 群馬』 の出版を記念した関連イベントの詳細はWEBをご覧ください。
    www.d-depertment.com/jp/d-design-travel/gunma
       


Posted by 小暮 淳 at 11:38Comments(0)ライブ・イベント

2017年11月06日

「いまに見ていろ!」 の今


 歳を重ねるということは、涙もろくなるということのようです。
 それも、くやし涙が止まりません。

 この秋にスタートしたTBS系列のテレビドラマ、日曜劇場 『陸王』。
 原作は、『半沢直樹』 や 『下町ロケット』 シリーズで人気の作家・池井戸潤さんです。
 主人公は、老舗足袋業者の4代目社長。
 演じるのは、群馬県民には映画 『眠る男』 で主演を演じた馴染みの俳優、役所広司さん。
 足袋の需要が減少の一途をたどる中、会社の存続を賭けてランニングシューズの開発に挑みます。

 役所さんの演技に、やられっぱなしです。
 目を潤ませて語る、一語一句。
 「今やらずして、いつやるんだ!」
 「俺は、社員を信じている」
 語るたびに、涙がこぼれます。


 オレって、こんなに涙もろかったっけな?

 テレビを見ていて、何度も自問しました。
 悲しいからじゃありません。
 くやしいから、その、くやしい思いが主人公から伝わってくるんですね。

 たぶん、自営業やフリーランスで生きてきた人ならば、分かると思います。
 多かれ少なかれ、くやしい思いを飲み込んで生きていますからね。
 幾度となく、「いまに見ていろ!」 という捨てゼリフを吐いたことでしょう。

 でもね、僕が一番感情移入をするのは、主人公ではないんです。
 主人公に思いを寄せて、開発に力を貸す飯山という人物。
 名優、寺尾聰さんが演じます。

 彼は過去に、繭で作られた特殊素材の開発のために私産を投じて、会社を潰したことがある町工場の元社長。
 くやしさは、人一倍持っている人です。
 でも年齢を考えると、自力での再起は不可能でした。
 そんな時、主人公と出会い、心を動かされます。
 「いまに見ていろ!」 の再燃です。

 この飯山という男、原作では前橋生まれなんですね。
 そして、作中でポイントとなる新素材の開発は、群馬の産業である養蚕と製糸に深く関わっています。
 また先日は、群馬県庁前でエキストラ7,000人を集めたドラマのロケも行われました。
 よりドラマが身近に感じられ、熱い思いが伝わってきます。


 実は僕、若い頃から 「いまに見ていろ!」 が口ぐせなのです。
 若い時は先が長いので、いくらでも口にできたんですけどね。
 還暦間近になると、だんだん臆病になって、言葉にするのをためらってしまいます。

 「いまに見てろ、いまに見てろって、いったい今って、いつなのよ! そのうち死んじゃいますよ」
 何度、家人に言われたことか……

 でも、このドラマは教えてくれました。
 それは、「今でしょ!」 ってね。

 さあ、自営業およびフリーランスの中高年のみなさん!
 ネバー・ギブアップですぞ!
 いま一度、情熱の炎を燃やしましょう!
   


Posted by 小暮 淳 at 12:13Comments(0)つれづれ

2017年11月04日

編集の考え方。


 凄惨かつ猟奇な連続殺人事件が起きてしまいました。
 そして、またしても “ネット社会の闇” が露呈されました。

 「自殺募集」 だなんて……

 現代社会では、“死” すらも 「いいね」 の承認を欲しがるのでしょうか?
 僕には、理解ができません。


 そもそも僕は、自他共に認めるネット音痴ですからね。

 パソコンはあるけど、原稿とブログを書くのと、メールのやり取りにしか使いません。
 スマホを持たないので、「検索」もしません。
 調べごとは、すべて辞書か図書館です。
 車には、ナビが付いていませんので、今でも道路地図が必需品です。

 それでも別段、不自由はありません。
 いえいえ、逆に、知識は身に付くし、場所は覚えるし、いいことのほうが多いと思います。
 自分で答えを導くことは、とても楽しいことなんです。
 ただ、時間と手間がかかります。

 現代社会では、それを “不便” というのかもしれませんね。


 先日、紹介した 『d design travel 群馬』(D&DEPARTMENT PROJECT)。
 デザインの視点で全国47都道府県の魅力を発信している観光ガイドブックです。
 実際に編集部が現地に暮らすように滞在して、取材して、原稿を書くという、業界の常識では考えられない手間をかけた編集をしています。

 この本の表紙を開くと、最初に書かれているのが 『編集の考え方。』 です。
 ・必ず自費でまず利用すること。実際に泊まり、食事し、買って、確かめること。
 ・感動しないものは取り上げないこと。本音で、自分の言葉で書くこと。
 <中略>
 ・写真撮影は特殊レンズを使って誇張しない。ありのままを撮ること。
 ・取り上げた場所や人とは、発刊後も継続的に交流をもつこと。

 同感です。
 まさに僕の取材方針と同じです。
 “共感” や “感動” は、実際に見て、聞いて、体験し、表現したモノに対してのみ与えられる称賛であります。

 安易に 「いいね」 を欲しがるものではありません。
  


Posted by 小暮 淳 at 16:16Comments(0)取材百景

2017年11月02日

好評につき 第2弾発売!


 2016年4月に発売された 『ぐんまの源泉パスポート』(上毛新聞社)。
 おかげさまで発売後、すぐに増刷となり、すでに1万部を販売しています。

 ところが、利用できる入浴割引クーポン券の期限が、2017年12月末と迫っています。
 そこで好評につき、急きょ第2弾が明日、緊急発売されることになりました。

 『ぐんまの源泉パスポート 2018-19年版』(定価 800円+税) です。


 今回もクーポン券が20枚ついています。
 大人のみ1回、1枚100円引きで利用できます。
 ということは、8回利用すれば、本代はタダになるということです。

 しかも! 利用する入浴施設の指定がありませんから、お気に入りの温泉で、何回でも利用ができます。
 なかには “2枚利用” “3枚利用” が可能な施設もあるんですよ。
 これは、お得です!


 前回は真っ赤な表紙のパスポートでしたが、今回はホワイトです。
 書店、コンビニ、入浴施設(一部旅館でも利用できます) で見かけたら、ぜひ一度、手に取ってみてください。
 いえいえ、見ているだけでは得になりませんので、お買い上げくださいね。

 ※本書には群馬県内の96温泉157施設が掲載されています。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:11Comments(0)温泉雑話

2017年10月31日

遺伝子のバトン


 「あれ、お父さん、いたんだ!?」
 「そりゃ、オレのうちだもの、いるさ」
 「珍しいと思ってさ」

 先週の昼間、僕が一人で家にいると、ひょっこりと長男が顔を出しました。
 彼は昨年春に結婚をして、市内別所に新居を構えています。
 お嫁さんは現在、懐妊中です。

 「どうだい、Mさん(お嫁さんの名前) の体調は? 順調かい?」
 「そのことで来たんだよ。予定日より早くなりそう。もう、オシルシがあったって」
 「そうか……。本人は元気なのか?」
 「うん、それでさ、これにサインしてくれないかな」
 と手渡されたのは、出産の際に病院に提出する書類でした。
 僕は保証人の欄に、名前と電話番号、続柄に「義父」 と書きました。


 土曜日の午後、息子からメールが届きました。
 <10月28日13時7分 2,786グラム 男児誕生>

 添付された写真には、ベッドに横になるMさんに抱かれた赤子と一緒に、白衣を着た息子が写っています。
 分娩に立ち会ったようです。
 3人とも、実に幸せに満ちあふれた、いい顔をしています。

 「おめでとう!」
 メールを見ながら、そう、声に出して呼びかけました。


 不思議なものですね、人生って。
 30数年前に、バイト先で僕と家内が出会っただけなのに……

 数年後には子供が生まれて、数十年後には、その子供たちが親になり、新たな家族が加わります。
 これから先、20年後、30年後……
 僕が、この世から消えても、50年後、100年後……
 今まで先祖から脈々と続けられてきた “遺伝子のバトン” が、延々と渡され続けるのですね。


 25年前、僕はタウン誌の編集者をしていました。
 息子が生まれた翌月の編集後記に、こんなことを書いていました。
 <TO R(長男の名前) 君との長い人生が始まりました。いつの日か、酒を酌み交わす日を楽しみに待ってます。 FROM 父>

 今度は、「TO K(長女の長男)」 と 「TO S(長男の長男)」 の未来に向けてメッセージ送りたいと思います。

 <一緒に酒を飲もうぜ!!  FROM ジイジ>
   


Posted by 小暮 淳 at 11:36Comments(6)つれづれ

2017年10月29日

『d design travel 群馬』 11月2日全国発売!


 読者のみなさんは、覚えているでしょうか?
 以前、僕が東京の出版社から取材を受けた話を。
 わざわざ前橋くんだりまで編集者とライターと、編集長までが直々に取材に来てくださった話です。
 ※(2017年9月3日「される側の心理②」参照)

 その本が、『d design travel 群馬』(発行/D&DEPARTMENT PROJECT) です。
 とにかく、コンセプトが凄い!

 <編集部が現地で2ヶ月、暮らすように滞在して、実際の体験から選んだ場所やものごと、そして人々。その土地のロングライフデザインを掘り下げるガイドブックです。>

 こんなガイドブック、見たことありませんって!
 47都道府県の “その土地らしさ” を探すために、編集者自らが滞在して、取材して、原稿を書いてるなんて!
 僕も、元編集者のはしくれですからね。
 この本の存在を知ったときは、オドロキ、モモノキ、サンショノキ状態でした。

 いや、驚いた。
 そして、嫉妬しました。


 本書では、群馬県を大きく6つのカテゴリーに分けています。
 「観光」 「食事」 「買物」 「喫茶」 「宿泊」 「人物」 です。
 で、その 「人物」 として、僕が登場します。

 昨晩は、出版記念パーティーが富岡市の 「富岡倉庫(おかって市場)」 で開催され、大勢の関係者が集まりました。
 僕も取材された側としてゲスト出演し、ステージで取材秘話のトークに加わってきました。


 いよいよ今週、全国発売されます。
 ぜひ一度、手にとってご覧ください。
 群馬の素晴らしさに、気づかされるはずです。

 『d design travel 群馬』 本体 1,900円+税
   


Posted by 小暮 淳 at 10:09Comments(0)温泉雑話

2017年10月27日

「紅白の湯」 をめぐりませんか?


 「大人の休日倶楽部」(びゅうトラベルサービス) の会員のみなさんへ
 伊香保温泉大使からのお知らせです。

 来年の話をすると鬼が笑うなんていいますが、新年の旅行の予定は、お決まりですか?
 2018年は、めでたく 「紅白の湯」 に入り、笑いながら新しい年をスタートしませんか?

 “紅白” とは、伊香保温泉の 「黄金(こがね)の湯」 と、万座温泉の 「乳白色の湯」 です。
 温泉ライターであり、伊香保温泉大使でもある僕が、2日間、みなさんとご一緒に湯をめぐります。

 題して!
 温泉ライター・伊香保温泉大使 小暮淳と楽しむ 「紅白の湯」
 赤褐色に輝く “こがねの湯” 伊香保温泉と乳白色の雪見露天 万座温泉2日間

 当日は、東京駅と高崎駅の集合・解散が選べます。
 詳しくは、「大人の休日倶楽部 旅マガジン」 11月号をご覧ください。



 ●出発  2018年1月24日(水)
 ●行程  【1日目】東京駅~高崎駅~水澤寺(見学・昼食)~万座温泉(泊) 
        【2日目】万座温泉~伊香保温泉(入浴・昼食・見学)~高崎駅~東京駅
 ●申込  電話03-3841-0121 (予約センター) インターネット「大人の休日会員サイト」検索
  


Posted by 小暮 淳 at 14:27Comments(0)大使通信

2017年10月25日

片品温泉 「湯元 千代田館」②


 昨日は、3年ぶりに片品温泉(群馬県利根郡片品村) の 「湯元 千代田」 を訪ねてきました。
 といっても、取材ではありません。
 温泉講座です。

 僕は9年前からNHK文化センター前橋教室、野外温泉講座の講師をしています。
 本年度も今月から後期の講座が始まりました。
 受講生の入れ替えがあり、新入生が2名加わりました。


 高崎駅と前橋駅を出発したバスは、秋の上州路を北へ走ります。
 関越道、沼田ICを下りて、川場村から片品村へ。
 紅葉も始まっていて、車窓は天然アートの世界です。

 やがて目的地の片品温泉に。
 現在片品温泉には、民宿やペンションも含めると約30軒ほどの宿があります。
 でも、そのほとんどは戦後になり、尾瀬登山やスキーブームにのって、開業された宿がほとんどです。
 源泉も、それに合わせて掘削されました。

 そのなかで唯一、開湯100年の歴史を持つのが、「新井の湯」源泉です。

 片品温泉と呼ばれるにようになったのは戦後になってからのことで、それ以前は 「新井の湯」 と呼ばれ地元の人たちに親しまれていました。
 昭和初年、千代田館の初代が自噴する源泉を譲り受け、共同浴場を建て、後に旅館を開業しました。
 だから “湯元” なのです。


 旅館の入口には、薬師堂が建っています。
 湯治客は、ここで病気が治るように祈願してから湯に入ったといいます。
 我々一行も、古式ゆかしき儀礼に従い、手を合わせました。


 「お久しぶりです。その節は、お世話になりました」
 3代目主人の田邊晃男さんと、どちらからともなく再会のあいさつを交わしました。
 最後にお会いしたのは、一昨年に出版した『尾瀬の里湯』(上毛新聞社) の取材でした。
 その時、川底に湧く源泉を管理する苦労話などを聞きました。

 泉質は、pH 9.0 のアルカリ性単純温泉。
 まるでローションか乳液に浸かっているようなトロンとした肌触りです。
 “美肌の湯”の名に恥じない、正真正銘のツルスベの湯であります。


 「あれ、みなさん見違えるほど綺麗になっちゃって、誰だかわかりませんでしたよ(笑)」
 大広間では、山里の素朴な料理に舌鼓を打ちながら、和気あいあいの談笑が続きます。

 いい湯、いい宿、いい仲間

 受講生のみなさん、後期もよろしくお願いしますね!
  


Posted by 小暮 淳 at 10:54Comments(0)温泉地・旅館

2017年10月23日

マロの独白(32) 寝る爺は育つ


 こんにちワン! マロっす!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。

 台風一過の青空が広がって、気持ちがいいでやんすね。
 ここんところ、ご主人様は不在が多いし、雨ばかり続いたせいで、とんと散歩がご無沙汰です。
 今日は、ご主人様も在宅だし、天気もいいし、久しぶりに散歩が行けて、うれしいワン!


 ところで、オイラたち犬属って、毎日何時間ぐらい寝ているか知ってますか?
 17時間も寝てるんですって。
 ま、1日2回の食事と散歩以外は、起きててもやることがないんですけどね。
 お子様たちが小さかった頃は、なんだかんだとオイラをおもちゃにして遊んでくれましたけど、今では誰もオイラをかまってくれませんもの。
 やっぱ、何もすることがないと、寝るしかありませんね。

 と、と、ところが!
 オイラより寝ている人が、いるんですよ!
 ご存知、大主人様(ご主人様の父上) です。

 毎週末、土~日~月と、我が家においでになるのですが、まー、起きていたためしがありません。
 トイレと食事と散歩以外は、ほとんど寝ています。
 たぶん20時間以上は寝ています。

 えっ、オイラと変わりないじゃないかって?
 いえいえ、オイラは眠くない時は目を開けてますけど、大主人様は、いつ見ても、座椅子に座ったまま目を閉じていますもの。

 でも仕方ないんですよね。
 目がよく見えないから、テレビも観れませんし、新聞も読めません。
 耳が聞こえないから、ラジオを聴くこともできません。
 結局、寝ているしかないのが現状です。

 さらに夜は、午後5時に夕飯を食べて、午後6時には就寝。
 起床は、翌日の午前8時です。
 布団の中だけで、14時間睡眠です!

 でもね、夜中は起きます。
 トイレに10回以上と、「体が、かゆい!」 と言っては飛び起きます。
 そのたびに、添い寝をしているご主人様が、背中をかいてあげたり、薬を塗ってあげています。
 (オイラは薄目を開けて、見ているだけだけど…)


 人間って、歳をとると、また赤ちゃんに戻ってしまうんですね。
 寝ているか、ミルクを飲むか、排泄をするか……
 でも、それが元気に育つ証拠です。

 “寝る子は育つ”

 我が家では、寝る爺が、すくすくと育っています。
 御歳、93歳!
 まだまだ育ちそうです。
  


Posted by 小暮 淳 at 15:06Comments(2)つれづれ

2017年10月21日

下仁田温泉 「清流荘」⑨


 昨日、下仁田温泉(群馬県甘楽郡下仁田町) の一軒宿、「清流荘」 に行ってきました。
 取材です。
 でも、クルマで行ったのではありません。
 5時間歩いて、たどり着きました。


 僕は、2006年から高崎市のフリーペーパー 『ちいきしんぶん』(発行/ライフケア群栄) に、「里山をゆく」 という紀行エッセイを連載しています。
 その一部は、すでに 『ぐんまの里山てくてく歩き』(上毛新聞社) というタイトルで本になり出版されているので、他の地域にお住まいの方でも知っているかもしれませんね。

 で、この本には、サブタイトルが付いています。
 “電車とバスで行く”
 そうなんです。
 温泉と酒が好きな僕は、山歩きをした後は、温泉に入りたいし、酒も飲みたい!
 ということは、クルマは利用できません。
 ならば、公共交通機関だけを使って移動すればいい!
 ということになり、スタートした連載企画なんです。

 世の中には、山と温泉と酒が好きな人が多いんですね。
 連載を開始すると、人気シリーズとなり、本まで出版されました。

 で、このシリーズが、11年経った現在でも、まだ続いているのです。


 上信電鉄の高崎駅を午前9時に出発した電車は、1時間後に下仁田駅に到着しました。
 そこから「清流荘」 までは、直線で歩けば、わずか20分ほどの距離です。
 でも、たどり着いたのは、午後3時でした。

 はてさて、僕は、どこをどう歩いたのでしょうか?

 泥だらけになり、両脚のふくらはぎと太ももは、筋肉痛でパンパンであります。
 温泉に浸かった時は、まさに 「極楽!」 のひと言。
 全国でも希少な炭酸泉の湯が、全身を揉みほぐしてくれました。

 湯上がりのビールが、うまかったことは、言うまでもありません。


 それにしても僕は、“持って” ます!
 昨日は、1度も雨具のお世話になりませんでしたもの。
 一時は、雲の切れ間から日が差したくらいです。

 やっぱり、究極の “晴れ男” のようですよ。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:47Comments(0)温泉地・旅館

2017年10月19日

法師温泉 「長寿館」⑧


 古くは旧国鉄のフルムーンポスター、最近では映画 「テルマエ・ロマエ」 の舞台にもなった群馬の秘湯を代表する名旅館です。
 法師温泉 「長寿館」(群馬県利根郡みなかみ町)。
 群馬の温泉を語る上で、一度は行って欲しい温泉宿です。

 僕も何度も行ってます。
 う~ん、いったい何回、訪ねているのでしょうか?
 数えたことがないので、正確な数字は分かりませんが、年に1~3回として、この30年間で何十回と訪ねているはずです。


 久しぶりに昨日は、連載中の雑誌の取材で行ってきました。
 あえて水曜日を選んだのは、日帰り入浴の定休日だから。
 入浴シーンの撮影があるため、宿泊客がチェックアウトする10時を待って訪ねました。

 「いつもいつも、ありがとうございます」
 玄関で出迎えてくれたのは6代目主人の岡村興太郎さんと、弟で常務の国男さんでした。
 「これはこれは、お2人揃ってのお出迎えだなんて、恐縮です」

 まずは、お茶をいただきながら雑談を……
 先月、開催したNPOのパネルディスカッションの話や、先日のみなかみ町長選挙の話など……

 今さら、お2人に聞くことは、何もないんですけどね。
 でも、取材は “現場百遍” です!
 1回より2回、10回より100回。
 見て、聞いて、書いた文章は、信憑性があります。
 より読者の心を引き付けるに違いありません。


 もちろん、今回も収穫がありました。
 それは、源泉のはなし!

 一般に情報公開されている法師温泉の源泉の数は、3本です。
 足元湧出泉で知られる 「旭の湯」 と 「寿の湯」。
 この2つは、約42度の硫酸塩温泉です。
 それと、「官行の湯」 という温度の低い単純温泉の源泉があります。

 これらの源泉は、浴槽別に使い分けられていています。
 混浴で有名な 「法師乃湯」 の湯床から湧いているのは、「旭の湯」 です。

 がーっ、今回はじめて知ったことですが、実は宿の周りには、この主源泉のほかにも無数に源泉が湧いてるのだということです。
 ま、自然湧出泉ですからね、言われてみれば納得です。
 1つの浴槽に対して、いくつもの名前もない源泉が、チョロチョロとしみ出してきて、湯舟を満たしているとのことでした。

 う~ん、やっぱ温泉って、奥が深いですなぁ~!

 そのことを知って湯に入るのと、知らないのでは、感じ方もありがたみも異なります。
 温泉って、スゴイ!
 ただただ、感動しながら湯に身を浸してまいりました。
  


Posted by 小暮 淳 at 14:22Comments(0)温泉地・旅館

2017年10月18日

四万を語る


 なんだか今週は、中之条づいてます。
 先日のエフエム群馬の公開生放送に続いて、昨日は四万温泉(群馬県吾妻郡中之条町) へ行って来ました。
 と、言っても取材ではありません。
 今回も大使公務であります。
 しかも、中之条町の観光大使と四万温泉の温泉大使としてのダブル公務であります。


 やっぱり、僕は “持っている” かもしれませんね。
 朝から晴れました!

 午前10時、撮影スタート!
 「ゆずりは足湯」~「積善館前」~「落合通り」 と、3人のおじさんとおばさんがモデルになって歩きます。
 3人とは、中之条町歴史と民俗の博物館 「ミュゼ」館長の山口通喜さん、四万温泉 「なかざわ旅館」 の女将で四万温泉協会副会長の中沢まち子さん、と僕です。

 なんのために3人が集まったのかって?
 それは来年発行される中之条町の町勢要覧に掲載する 「温泉特集」 のためです。
 この後、3人は温泉協会事務局に移動して、対談をしたのですが、まあ、話がハズムハズム!
 偶然にも3人は、同世代。
 しかも3人が3人とも、すでに交流がある間柄ですから、話が止まりません。
 70年代のアイドルから青春ドラマまで、撮影中もずーっとおしゃべりをしていました。

 「いいですね~! 仲良し三人組。中高年アイドルグループみたいです」
 とカメラマンが言えば、
 「だったら、うちがタレント事務所しま~す」
 と協会職員までが、おだててくれたおかげで、和気あいあいのまま撮影は終了しました。

 対談のテーマは、“つながり”
 温泉と地域住民や町民とのつながり。
 温泉と観光客や町外者とのつながり。
 温泉と子どもや若者、高齢者など世代間のつながり。
 そして、温泉を未来である次世代へ、どう伝え渡していくか?

 それはそれは、アツイアツイ!2時間におよぶ対談でした。


 あ~、楽しかった!
 ライターとして、大使として、こんなにも楽しく “温泉” について語れる日が来るとは……
 温泉の神様に、感謝であります。
  


Posted by 小暮 淳 at 17:58Comments(2)大使通信

2017年10月16日

中之条から愛を込めて


 毎日毎日、よく降り続く雨です。
 さすがに “晴れ男” の僕でも、太陽を呼びもどすことはできません。
 でもね、短時間なら雨を止ませることはできるのです。


 ということで昨日、中之条町(群馬県吾妻郡) で開催されたエフエム群馬の公開生放送は、オンエア中だけピタリと雨が止みました。
 やっぱり、僕は “持っている” と思います。

 会場は、花の駅「美野原(みのはら)」。
 かつての 「薬王園」 です。
 放送時間は午後からなのに、すでに午前中から駐車場は満車!
 国道沿いの臨時駐車場から、シャトルバスが出ていました。

 ま、僕はゲストですからね。
 「満車で、この先は行けません」 と係員に言われても、名前を言えば、「あ、ご苦労さまです。どうぞ、どうぞ」 と難なくゲートを突破して、会場近くの駐車場まで。
 こういうのって、なかなかの優越感ですぞ!


 それにしても、スゴイ人の数です。
 花の駅では、「りんご祭り」 も同時開催中なのですが、施設長さんいわく
 「昨年は天気が良くても、こんなには人が集まりませんでした。さすがエフエム群馬さんの力です」

 さらに番組は、人気パーソナリティー、竹村淳矢さんと櫻井三千代さんの 「G☆FORCE」 です。
 そしてゲストは、人気ミュージシャンのザ・キャプテンズから傷彦さんとテッドさん!
 と、僕です(笑)。
 でもね、わずか数人でしたけど、僕のファンもいましたよ。


 僕の出番は、「おしえて、ジュンジュン!!」 のコーナー。
 温泉ライターとして、また中之条町観光大使として、またまた四万温泉大使として、櫻井さんと竹村さんの温泉相談にお答えしました。
 そしてエンディングは、出演者が全員ステージに上がり、そのまま放送終了後もステージに残り、観客のみなさんだけのためにトークライブが行われました。

 その間、不思議と雨は止んでいたんです。
 “晴れ男” にはなれなかったけど、“雨止め男” になれたこと、うれしく思います。


 中之条町のみなさ~ん、来年もお会いしましょう!
 それまで、お元気で!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:52Comments(0)大使通信

2017年10月13日

思い通りになることが多過ぎて


 ニュースを見るたび、聞くたび、読むたびに、怒りが込み上げてきます。
 今年6月に東名高速道路で起きた事故(?) のことです。
 目の前で両親を亡くした姉妹が、不憫でなりません。
 この子たちの未来に、幸多かれと願うばかりです。

 今日の新聞によれば、容疑者の男は、この事故の1ヶ月前にも、一般道で同様の妨害行為を3件も起こしているっていうじゃありませんか!(許せん)
 そもそも、自動車自体が走る凶器なのに、それを操作する人間が殺人鬼では、防ぎようがありませんって。
 刃物を振り回して歩いている、通り魔と同じです。

 刃物も自動車も、使いよう。
 正しく使えば、こんな便利なものはありません。
 でも……

 自動車の運転って、本来は特殊技能なんですよね。
 それが今では、誰も彼もが乗り回している。
 不適正な人間までもが、“技術” のみだけで免許を取得して、路上を走っています。
 精神面の適性検査はされずに。


 世の中が便利になればなるほど、そのモノを使いこなせない人間も増えます。
 この容疑者のような人間は、稀な存在なのかもしれません。
 でも、危険な運転をしている人って、けっこういますよね。

 便利になると、人間は我がままになるのかもしれません。
 なんでもかんでも思い通りになると、ちょっとやそっとのことが許せなくなってしまう。
 不便なことは我慢ができても、便利なことには我慢が効かなくなってしまうのかもしれません。

 ケータイもスマホもカーナビも、しかりです。
 ケータイがない頃は、待ち合わせに遅れても、会えなくても、みんな我慢してました。
 スマホがない頃は、一生懸命にパソコンを覚えて、ネット検索していました。
 カーナビがない頃は、前日から道路地図とにらめっこをして、行程を予習したものです。


 かつて僕は自分の著書の中で、便利な世の中のことを、こんなふうに書いたことがあります。

 <“便利” は、とてもいいことだ。便利な町は一見住みよさそうだ。(中略) 不便は、とても面倒臭いものだ。不便は人が手を一生懸命かけてあげないと、なかなか伝わらないものだ。だからコミュニケーションが必要になる。その逆で、便利に慣れてしまうと、人は手を抜くことをいつも考えるようになるだろう。> 『上毛カルテ』(上毛新聞社) 「いつか見ていた風景」 より

 思い通りにならないことが多いほうが、人は人にやさしくなれると思うのです。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:48Comments(0)つれづれ