温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2020年02月05日

『上州湯めぐり ものがたり』 開催中


 「文書館」 と聞くと、敷居が高いと思ってしまいませんか?
 かく言う僕も、そうでして、図書館の利用頻度に比べると、過去に数えるほどしか行ってません。
 でも、テーマ展示があるときは、覗くようにしています。
 しかもテーマが温泉となれば、必見です。

 昨年夏に開催された 『群馬の温泉』 に続き、今年も群馬県立文書館では、新年から温泉をテーマにした展示をしています。
 題して、『上州湯めぐり ものがたり』。
 前回が明治~昭和初期の資料が中心でしたが、今回は江戸時代の温泉に関する古文書や絵図が展示されています。
 また、草津・伊香保・四万などの主要温泉地だけではなく、温泉と文化の関わりや温泉地に向かう街道や交通、温泉に関係する産業、さらには温泉地で起きた事件なども紹介しています。


 正面玄関に入って、最初に目に付くのは、文化14年(1817) に発行された 「諸国温泉功能鑑」 です。
 いわゆる江戸後期の温泉番付表です。
 最上位の東の大関には、ご存じ草津温泉が書かれています。
 次いで前頭には、伊香保、川原湯、四万、老神といった群馬県民には馴染みの温泉地が並んでいます。

 特筆すべきは、勧進元(興行の世話人) として沢渡温泉が名を連ねていることでしょうか。
 温泉地の規模でいえば、大健闘だと思います。
 さすが、昔から 「草津のなおし湯」 といわれるだけあります。

 興味深いのは、当時の沢渡温泉の効能書です。
 「瘡毒(さくどく)」(梅毒)、「皮癬(ひぜん)」(疥癬) といった皮膚病の類いが列記されていることです。
 現在でも 「美肌の湯」 「美人の湯」 といわれるゆえんなんですね。


 個人的には、当時の旅人が役所や関所へ湯治のために提出した文書の展示に、大変興味をひかれました。
 もちろん、古文書は読めませんが、解説が書かれていますので、当時の様子は分かります。
 それほどまでして温泉地へ向かった江戸時代の人たちにとって、湯治は、ただ単に病気を治す療養目的だけではなく、世の塵を洗うバカンスだったのでしょうね。
 そう考えると、1泊2日で帰って来てしまう現代人より、昔の人のほうが贅沢なレジャーを楽しんでいたということです。

 楽しみ方はいろいろです。
 昔の温泉事情に興味がある人は、文書館に足を運んでみてください。



      『上州湯めぐり ものがたり』

 ●期間  令和2年1月8日(水)~3月22日(日)
        午前9時~午後5時 (観覧無料)
 ●休館  月曜日、祝日、月末
 ●会場  群馬県立文書館 (前橋市文京町3-27-26)
        TEL.027-221-2346
   


Posted by 小暮 淳 at 19:17Comments(0)温泉雑話

2019年12月24日

思わぬクリスマスプレゼント


 < 『dマークレビュー』 の受賞、おめでとうございます。>
 突然、賞状が贈られてきました。


 みなさんは、覚えていますか?
 2年前、2017年11月に出版された観光ガイドブック 『d design travel 群馬』(発行/D&DEPARTMENT PROJECT) で、僕が 「群馬のキーパーソン」 に選ばれ、記事として掲載されたことを。
 「温泉は群馬の宝もの」 というタイトルで、僕の活動が見開きで大きく紹介されました。

 記事には、こんなことが書かれていました。

 1.群馬県内5ヵ所の “名湯観光大使”。
 タウン誌の編集長を経て、現在温泉ライター。
 知見と思わず出かけたくなる紹介文とで、温泉にまつわる著作を9冊刊行。

 2.元ミュージシャン。
 ライブや講演も行う “温泉アーティスト”。
 その名も 『GO!GO!温泉パラダイス』。
 歌詞には、もちろん法師温泉や四万温泉など。

 3.NPO法人 「湯治乃邑(くに)」 を立ち上げ、群馬県の温泉を守っている。
  源泉一軒宿の再興など、リハビリや介護施設と連携し、温泉本来の湯治機能を現代に伝える。

 
 あらためて読み返してみると、なかなか照れくさい内容ですが、しっかり取材されています。
 インタビュー当日は、真夏の猛暑日でした。
 わざわざ東京から前橋くんだりまで、編集者とライター、そして編集長までが訪ねて来てくださったのを覚えています。
 ※(当ブログの2017年9月3日 「される側の心理②」 を参照)

 そして本では、僕のことを 「群馬のキーパン」 の1人として紹介してくださいました。


 <群馬県らしい人部門 小暮淳>
 47都道府県を舞台に、“その土地らしさ” を選び出すトラベルガイドブック 「d design travel」 が認定。

 賞状には、そう書かれていました。


 思わぬクリスマスプレゼントが届きました。
 ありがとうございます。

 湯の国ぐんまの “群馬県らしい人” として、これからも大いに群馬の魅力を発信していきたいと思います。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:08Comments(2)温泉雑話

2019年12月02日

チコちゃんに褒められる?


 NHKテレビの人気番組 『チコちゃんに叱られる』 で、「なぜ赤ちゃんは肩が凝らないのか?」 という問題がありました。
 正解は、「ムダな動きが多いから」 でした。
 肩凝りのもとは、同じ姿勢を続けることにあり、赤ちゃんはジッとしていないで常に動き回っているからのようです。

 ということは、僕は赤ちゃんですか?
 確かに世間一般の60代に比べると、ムダな動きが多いようにも思われますが……
 というのも僕は、“肩凝り”がありません!


 正確に言えば、昔は肩が凝ったことがありましたが、今はありません。
 もっと正確に言えば、30代までは極度の肩凝り症でした。
 肩がパンパンになり、吐き気をもよおすこともあり、医者に通ったこともありました。
 それが40歳を過ぎたあたりからパタリと肩が凝らなくなり、今日まで至ります。

 はて、なぜだろう?
 と人生を振り返ってみると、1つだけ思い当たるふしがあります。
 それは、温泉です!

 温泉をテーマに取材を始めたのが、その頃で、年を追うごとに人一倍、いや人十倍は温泉に入るようになりました。
 そして気が付いたら、肩凝りも消えていました。
 温浴により血流が良くなったからなのでしょうか?


 実は、温泉の効能ではないかと思われることが、もう1つあります。
 風邪を引かなくなりました。
 かれこれ20年近く、風邪を引いた記憶がありません。
 これまた温浴により免疫力がアップしたということなのでしょうか?

 もし、そうだとすれば、これらの効能は、まさに先人たちが行っていた湯治による “未病” と呼ばれる予防であります。
 「温泉と肩凝り」、「温泉と風邪」 の医学的な因果関係は分かりませんが、少なくとも僕は、温泉ライターを名乗ってから健康になりました。


 とりあえず、この件については、チコちゃんに叱られませんね!
   


Posted by 小暮 淳 at 17:58Comments(2)温泉雑話

2019年10月02日

神隠しの森


 山梨県のオートキャンプ場に、家族と遊びに来ていた7歳の少女が行方不明になっています。
 事故なのか、事件なのか?
 目撃者もなく、こつ然と姿を消しました。

 昔の人たちは、このように子どもが突然、消えてしまうことを 「神隠し」 といいました。
 人間ではなく、天狗や山の神のしわざだと……


 全国の温泉地には、神隠しにまつわる伝説が数多く残っています。
 群馬県内にも、こんな話があります。

 昔、霧積温泉(安中市) の湯が、ピタリと止まってしまったことがありました。
 湯宿の主人や浴客らが心配していると、突然そこへ天狗が現れて、こう言いました。
 「湯が止まったのは、山の神のたたりじゃ」
 そして、湯を元どおりにする条件として、こんなことを告げます。

 「人身御供を差し出せ。その人身御供は11歳の子でなくてはならない」

 そういわれて、宿の者も客たちも湯治場内を探しました。
 すると浴客の中に、美しい女の子が母親といました。
 歳を訊くと、ちょうど11歳でした。

 「その子を渡せ!」
 天狗の声がしたかと思うと、母親の手から女の子は引き抜かれ、消えてしまいました。
 途端、今まで止まっていた湯が、ふたたび勢いよく湧き出しました。
 母親は狂ったように娘の名を叫びながら、山深い森の中へ入って行きました。

 「ジュウイチ、ジュウイチ」
 と鳴く鳥がいます。
 母親が鳥になって、11歳の女の子を捜している声だといわれています。


 法師温泉(みなかみ町) にも、同じような話があります。
 こちらは11歳の男の子です。
 突然姿を消した男の子の母親は、山に入って、「ジュウイチ、ジュウイチ」 と子どもの歳を叫ぶ鳥になったといいます。
 以後、「11歳の男の子は山に入るな」 と言われています。



 7歳の女の子を隠したのは、誰ですか?
 山の神では、ありませんね。
 天狗でも、ありませんね。

 一日も早い発見を願っています。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:51Comments(0)温泉雑話

2019年09月27日

太宰治と温泉宿


 話題の映画 『人間失格 太宰治と3人の女たち』 を観てきました。

 主人公を演じる小栗旬さん、最初は全然、太宰に似ていないんですけどね。
 後半になるにつれ、横顔がグングン太宰っぽくなって、最後はまったく違和感がありませんでした。
 さすが、役者さんです。

 監督が蜷川実花さんということで、前作の 『へルタースケルター』 で見せた沢尻エリカさんの体を張った演技を期待していたのですが、今回は、さほどでもありませんでしたね。
 そのかわり二階堂ふみさんが、かなり思い切った大胆な演技で魅了してくださいました。

 作品としての評価については、ここでは差し控えさせていただきます。
 太宰フォンも、そうでない人も、そこそこ楽しめると思います。


 さてさて、太宰治といえば、群馬県内の温泉宿にも、いくつか滞在しています。

 昭和11年(1936)8月、太宰治は川端康成に勧められて、薬物中毒と肺病治療のために谷川温泉(みなかみ町) の「川久保屋」 に約1ヶ月間、滞在しています。
 のちに発表した小説 『姥捨(うばすて)』 では、谷川温泉が舞台となり、川久保屋の老夫婦が描かれています。
 また太宰は滞在中に、芥川賞の落選を知らされます。
 そのことを宿で執筆した 『創生記』 に書いています。
 そして、この 『創生記』 を書いたことが、名作 『人間失格』 を書くきっかけになったともいわれています。

 川久保屋は、のちに現経営者の先代が買い取り、「谷川本館」(現在の「旅館たにがわ」) として営業していましたが、老朽化を理由に取り壊されました。
 跡地である駐車場の脇には、『姥捨』 の舞台となった宿があったことを伝える記念碑が立っています。
 また、太宰治の命日(6月19日) 「桜桃忌」 には、石碑に献花がされ、供養講演などのイベントが行われています。


 太宰治は、昭和15年(1940) にも群馬の温泉に訪れています。
 井伏鱒二や伊馬春部らと四万温泉(中之条町) に来遊し、「四萬館」 に投宿しました。
 太宰らが宿泊した部屋は、現在でも道をはさんだ高台に移築され、保存されています。
 また太宰は、ここでの体験を基に四万温泉を舞台にした(とされる) 短編小説 『風の便り』 を世に残しています。


 秋の夜長、名作に酔いしれるのも良いですが、たまには文豪が書いた温泉地が舞台のちょっとマニアックな小説を探し当てて、読みふけるのも一興かと思います。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:36Comments(0)温泉雑話

2019年08月02日

48℃の壁


 「医者としては、認められませんね」

 何のことかといえば、巷で騒がれている草津温泉の伝統入浴法 「時間湯」 にまつわる “湯長制度廃止問題” についてです。
 48℃の高温入浴は、是か非か?

 僕は毎月1回、健康管理のため、かかりつけの医院に行き、問診を受け、血圧等のチェックをしてもらっています。
 ぜひ、医者としての意見が聞きたくて、主治医に例の一件を投げかけました。
 案の定、即答されてしまったということです。


 「時間湯」 とは、草津温泉に江戸時代から伝わる特殊な入浴法です。
 湯長 (ゆちょう) と呼ばれる指導者の号令を合図に、湯治者が一斉に約48℃の高温の湯に浸かります。
 一日に何回も浸かり、これを何日も行う荒療治で、昔は皮膚病や性病などを治したといいます。

 突然、この100年以上もの歴史と伝統を持つ入浴法に、マッタ!がかかりました。
 「湯長制度を廃止する」
 との草津町町長の表明は、全国の温泉ファンに衝撃が走りました。

 町長が示した廃止理由は、次のような理由からでした。
 <「病気が完治する」といった表記が薬事法に触れかねない点や、入浴の際に湯長が利用者の症状を確認することが医療行為に当たる可能性がある。>
 また、
 <時間湯の原点はあくまでも38度以上の湯で行われていた集団入浴であり、高温の湯に湯長の指示で入ることが時間湯ではない。>
 と主張しています。

 今後は、湯の温度を42℃前後とし、町内の共同浴場とほぼ同水準に引き下げることで、入湯者が安全に利用できるようにするとのこと。
 また、これまで有料だった入湯料は、無料化にする方向とのことです。
 町長は、新聞の取材に対して、こうも説明しています。
 <時間湯そのものの文化を廃止するつもりはない。法令に触れる恐れのある現在の湯長制度を廃止し、医学的に危険な48度の高温浴を見直すことで、時代に合った形で時間湯を残していきたい。>


 僕の感想を率直に述べさせていただければ、“42℃” は独特な入浴法ではなく、ただの一般的な入浴法であり、草津温泉が守り継いできた 「時間湯」 ではありませんね。
 さらに、危険というだけで廃止するのではれば、全国には死者が出るほどの祭りや行事が、伝統と文化の名のもとに伝承されています。
 真冬の寒中水泳や滝行なんかは、ドクターストップがかかりそうなものです。

 どうも問題の焦点は 「時間湯」 ではなく、「湯長制度」 の有無のようであります。
 町長が言うように、医療行為に抵触するのであれば、医師免許を持つ湯長を抜擢させればいいのであり、または医師の立ち合いのもとに行えばいいだけです。
 なのに突然、廃止 (解雇) です。

 これって、論争の陰に隠れて、何か別の理由がありそうですぞ!?
 温泉ファンとしては、今後の事のゆくえから目が離せませんな。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:35Comments(2)温泉雑話

2019年06月13日

ここは上州、極上の湯


 梅雨の晴れ間。
 なんて、いい天気なのだろうか!
 こんな日に、家の中に居ては、もったいない!
 だからといって、クルマで出かけたのでは、お天道様に申し訳ない。

 と、自転車にまたがって、家を出ました。
 さて、どこへ行こう?
 そうだ、確か、図書館で企画展をやっていたはずだ。

 我が家から群馬県立図書館までは、直線距離にして6~7キロ。
 ちょうど、いい距離です。
 暑からず、寒からず、絶好のチャリンコ日和。
 風を感じながら、時々、鼻歌まじりで、ゆっくりとペダルを漕ぎ出しました。


 群馬デスティネーションキャンペーン
 群馬県立文書館連携展 「ここは上州、極上の湯」
 
 1階ロビー、正面にデカデカと書かれています。
 でも、仰々しいタイトルのわりには、コーナーの展示物は少なめで、ちょっとガッカリ!
 「企画展て、これだけですか?」
 いじわるにも僕は、職員に訊いてしまいました。
 すると職員の言うことには、
 「新聞などで紹介されたものですから、だいぶ借りられてしまいました」
 とのこと。

 展示物は、そのまま貸し出しているようであります。


 気を取り直して、閲覧することに。
 壁面は、草津や伊香保、四万温泉などの古い絵図です。
 先日、文書館でも見たので、これは軽くスルーしました。

 テーブルと棚には、県内外の温泉関連本が並びます。
 お、おおおおーーーっ!!!
 こ、こ、これは~!
 田山花袋などの文豪に混ざって、なんと、僕の本が置かれていました。
 『尾瀬の里湯』 と 『西上州の薬湯』 であります。

 気を良くしたので本腰を入れ、椅子に座り、端から資料をむさぼり始めました。
 すると、ある1冊の本に釘付けになりました。
 昭和39年発行の 『上州の温泉』 みやま文庫(群馬県立図書館) であります。

 この本に、55年前の 「県下温泉一覧」 が掲載されていました。
 名前が記載されている温泉地は、66ヶ所。
 現在は約100ヶ所ですから、だいぶ増えたことになります。
 ※(掘削技術が進歩したためと思われます)

 で、僕が釘付けになったのは、今は無き “消えた温泉” です。
 数えると、21ヶ所もありました。

 そして、消えた温泉には、共通の特徴がありました。
 圧倒的に「鉱泉」 が多いのです。
 そして、エリアでいえば、県の東部と西部に集中しています。

 何よりも驚いたのは、桐生や太田、伊勢崎にも半世紀前は、冷鉱泉ながら温泉宿が存在していたということです。
 ぜひ、これらの跡地を探し出して、何らかの形として著したい思いました。


 さっそく一覧のコピーをとり、ルンルン気分でチャリンコを漕いで帰ってきました。
   


Posted by 小暮 淳 at 21:04Comments(3)温泉雑話

2019年06月03日

群馬DCプレ展示 『群馬の温泉』 開催中


 群馬県立文書館 (前橋市文京町) で、群馬デスティネーション (DC) のプレ企画として連携展示 『群馬の温泉』 が開催中とのことなので、行ってきました。

 “開催中” といっても、そこはお堅い県の文書館(もんじょかん) ですから、賑やかに、華々しく開催しているわけではありません。
 ほとんど無人状態の館内で、ひっそりと 「興味のある方はどうぞ」 と言わんばかりに展示されていました。
 たぶん、企画のタイトルに惹かれて行くと、一般の人は楽しめないかもしれませんね。
 “温泉” といっても、かなりマニアックな資料ばかりでした。


 展示がされているのは、1階ロビーと展示室、2階の閲覧室のみです。
 1階には、県内温泉地の昭和初期以前の絵図や、かつての温泉街の隆盛をとどめたセピア色の写真が展示されていました。
 サーっと見てしまうと、「へー、昔はこんなだったんだ」 くらいで通り過ぎてしまいそうですが、よーく目を凝らしながら、現存する旅館の屋号を捜したり、すでに廃業してしまった旅館の名前を見つけると、ワクワクしてきます。
 草津温泉や伊香保温泉などの有名温泉地は、昔も今も、さほど違いはないのですが、鹿沢温泉(嬬恋村) や老神温泉(沼田市) などは戦前の写真を見ると、その盛衰は隔世の感であります。


 特筆すべきは、2階の閲覧室でしょうか。
 県立図書館と連携し、図書館が所蔵する温泉地と取り上げた近現代の郷土図書が展示されています。
 ここでは、“今は無き” 消えた温泉の写真に釘付けになりました。

 昭和33年(1958) に赤谷湖 (みなかみ町) に沈んだ 「湯島」 と 「笹の湯」 の2つの温泉地。
 同じく、昭和40年代に奥利根湖 (みなかみ町) に沈んだ 「湯の花」 温泉。
 また、戦後になって火災で焼失した西長岡温泉 (太田市) の一軒宿など、貴重な写真や資料に触れることができました。


 かなりマニアックな企画なので、展示の仕方には賛否がありそうですが、歴史の視点から温泉が好きな人には楽しめると思います。



  群馬プレデスティネーションキャンペーン連携展示
          『群馬の温泉』

 ●会期/2019年5月18日(土)~6月29日(土)
      9時~17時 月曜・月末休館
 ●場所/群馬県立文書館
      前橋市文京町3-27-26 TEK.027-221-2346
   


Posted by 小暮 淳 at 11:44Comments(0)温泉雑話

2019年03月25日

バカの論理


 昔、といっても僕が高校生の頃ですから、40年以上も前のことです。
 受験生は、みんなラジオの深夜放送を聴いていました。

 僕のお気に入りは、文化放送の 「セイ・ヤング」。
 なかでもアリスの谷村新司さんがパーソナリティー日の 「天才・秀才・バカシリーズ」 というコーナーが大好きで、毎週欠かさずに聴いていました。

 リスナーから寄せられたハガキを読むのですが、これが三段落ちの小話のようになっています。
 まず秀才が、一般的な常識論を言います。
 次に天才が、その事について知識をひけらかし、専門的な意見を言います。
 最後にバカが出てきて、突拍子もない奇想天外な事を言って、笑いを取ります。
 結局、主役は “バカ” なのです。


 この頃から僕は、世の中の構図を勝手な論理で組み立てていました。
 ●秀才は、努力した凡人である。
 ●それゆえ、逆立ちをしても天才にはかなわない。
 ●しかしバカは、次元を超越しているため、天才に勝つ!
 天才はトランプのエースだが、バカはジョーカーなのだと……

 以来40年間、僕は “バカ” にあこがれ、“バカ” になることだけを考えて生きてきました。


 先日、県内で10数軒の飲食店を経営する、さる社長さんと会食する機会がありました。
 彼は僕より、ひと回り以上若い、やり手の起業家です。
 そして、僕の読者でもあります。
 開口一番、彼は、こんなことを言いました。
 「小暮さんは、年間、どれくらい温泉に入るのですか?」

 正直な話、10年前に比べると、加齢と共に年々、その数は減っています。
 「今は60~70ヶ所だけど、多いときは毎年100以上はめぐっていたよね」
 と答えると、彼の驚き方は尋常ではありませんでした。
 お笑い芸人のようなリアクションで、
 「ど、ど、どうして、そんなに回ろうと思ったんですか?」
 と興味津々となり、目はランランと輝きながら、僕のグラスに酒をドボドボと注ぎ出したのでした。


 だから僕は、「バカの論理」 の話をしました。

 普通の人は、1年に温泉へ行く回数は1、2回です。
 人一倍努力して、10回行っても、所詮、天才にはかないません。

 「天才にかなわないとは、どういうことですか?」
 「僕は凡人なんだよ。人10倍努力したところで、何も変わらない。それに比べ天才は、一を聞いて十を知ってしまう。だから天才に勝つには、“ケタ違い” のことをしないと意味がないんだよ」
 酒の力も借りて、勝手な論理を吐いてしまいました。

 すると、彼は、
 「分かりました。人10倍では、まだ凡人なんですね。バカになって “ケタ違い” に挑戦します!」


 彼の店が100店舗を超えるのも、近い将来かもしれませんね。
    


Posted by 小暮 淳 at 14:51Comments(0)温泉雑話

2019年03月11日

8回目の黙とう


 今日の午後2時46分、
 僕は仕事部屋のイスに座り、
 テレビの前で1人、
 黙とうを捧げました。

 この8年間で、初めてのことでした。


 8年前のこの日、僕は大胡温泉(前橋市) にいました。
 その数日前、「旅館 三山センター」 の女将さんから電話がありました。
 「小暮さんのファンというお客さんが来て、小暮さん宛ての手紙を置いて行ったから、ついでの時に取りに来て」
 そんな内容だったと記憶しています。
 そして、その “ついでの時” が、2011年3月11日の午後2時過ぎでした。

 「せっかくだから、お風呂に入って、ゆっくりして行ったら?」
 と引き止める女将さんに、
 「いえ、今日は仕事の途中なんで、今度、また寄らせてもらいます」
 そう言って、読者からの手紙を受け取り、玄関で靴をはこうとした時でした。

 <グラリと、とてつもない大きな揺れが東日本を襲った。「長年生きてきたけど、こんな揺れは初めてだよ」 と叫ぶ女将の中上ハツヱさんをはじめ、息子で2代目主人の富男さんらとともに、屋外へ駆け出した記憶が昨日のようにありありと目に浮かぶ。>
 (『新ぐんまの源泉一軒宿』 より)


 翌年から3月11日は毎年、僕は大胡温泉を訪ね、地震発生時刻には女将さんと従業員とともに、黙とうを捧げてきました。
 そう、昨年までは……

 実は、様々な事情があり、「旅館 三山センター」 は現在、宿泊のみで、日帰り入浴の営業を中止しています。
 「小暮さんが来るなら、その日だけ開けるけど」
 とも言ってくださいましたが、“様々な事情” を考えると、そんな我がままも言えません。

 ということで、今年からは各自で黙とうを捧げることになりました。


 あれから8年が経ちました。
 “もう8年” とも思いますが、記憶の鮮明さでは “まだ8年” とも感じます。

 もう8年なのに、まだ……
 まだ8年なのに、もう……

 さまざまな思いが去来する8年であります。
  


Posted by 小暮 淳 at 19:47Comments(0)温泉雑話

2018年12月23日

コンビニ温泉の減少


 数日前、新聞記者からコメント取りの電話取材を受けました。
 でも、まさか1面の記事だとは知りませんでした。


 <独自性 ホットに競う>
 <日帰り温泉施設>
 <人口当たり全国11位>

 今日(12月23日) の上毛新聞1面、しかもトップ記事で掲載されました。
 それによれば群馬県の人口10万人当たりの日帰り温泉施設は13.86ヶ所で、全国11位だそうです。
 トップは長野、2位鹿児島、3位大分、そして秋田、青森と東北勢が続きます。

 温泉地(宿泊施設のある温泉) の1位は北海道ですが、それを除けば、ほぼ上位は温泉地数の順位と変わりません。
 僕のコメントは、<火山抱える県が上位> と題した囲み記事で、そのあたりのことを話しています。


 ところで、このデータ、とっても解釈が難しいのです。
 環境省が発表しているデータが基になっているのですが、「日帰り温泉施設」 の定義には日帰り可能な旅館も数に入っています。
 もしかしたら温泉地にある外湯(無料の共同湯) も入っているかもしれません。
 でないと数字が大き過ぎます

 群馬県の場合、温泉地が約100ヶ所に対して、日帰り温泉施設は約270ヶ所。
 全国にいたっては、温泉地数が約3,000ヶ所に対して、日帰り温泉施設は約7,000ヶ所となっていますもの。
 平成以降に平野部にできた都市型の日帰り温泉施設は、その半分といったところでしょうか。

 ちなみに僕は、平成以降にできた街中の日帰り温泉施設のことを 「コンビニ温泉」 と呼んでいます。
 “便利な簡易温泉” という意味です。
 記事によると、このコンビニ温泉ブームのピークは過ぎ、減少が始まっているようです。


 ご存じのとおり、平野部には火山がありませんから自噴しないため、掘削により温泉をくみ上げています。
 当然、それを維持していくには莫大な設備投資費や光熱費、人件費がかかります。
 平成も30年が過ぎようとしていますから、施設や設備の老朽化もあります。
 もしかしたら、源泉自体が涸渇年齢を迎えているかもしれません。

 ということで、どこも生き残りをかけた経営に、しのぎを削っているのが現状です。
 まさに平成と共に雨後の竹の子のように増え続け、今、淘汰されつつあるコンビニエンス・ストアの盛衰と、よく似ていると思うのです。


 年が明ければ、数ヵ月後には“平成” という時代が終わり、新しい時代がやって来ます。
 はたして日本の温泉は、どう変わって行くのでしょうか?
   


Posted by 小暮 淳 at 12:58Comments(2)温泉雑話

2018年12月02日

金は出すが口は出さぬ


 “いい湯は料金に反比例する”

 そんなことを以前、ブログに書いた記憶があります。
 講演会などで、「料金の高い宿は、お湯もいいんですか?」 という質問を受けることが多々あるからです。
 ズバリ、宿泊料金と温泉の良し悪しは、無関係です!
 いえいえ、逆かもしれませんね。
 だって、外湯(共同湯) なんて無料なのに、あんなにも新鮮な湯が随時、かけ流されているのですから。


 では、宿へのクレームは、どうでしょう?
 料金の安い宿と高い宿、どちらが多いと思いますか?
 これまた “反比例” なんです。

 以前、同系列の2つの旅館の支配人に、それぞれ話を聞いたことがありました。
 料金の安い大衆旅館では、クレームの嵐だといいます。
 「部屋が汚れている」 「料理の量が少ない」 「サービスがなっていない」 など、挙げたらキリがないほど細かいクレームが日常茶飯とのことでした。

 これに対して、1泊10万円以上する高級旅館では、「ほとんどクレームがない」 とのことでした。
 それだけ料理もサービスも徹底しているからなのかもしれませんが、どうも理由は、それだけではないようです。
 支配人いわく、
 「金持ちは、滅多に文句を言いません」

 思わず、納得してしまいました。
 貧乏人の僕には、到底たどり着けない境地であります。
 懐があたたかいと、心まで広くなるんですね。

 ま、僕の場合、取材で行って、タダで泊めてもらっていますから文句なんて言える立場ではないんですけど。
 それでも時には、「この料理、冷めているけど、どうよ?」 「なんだ! この従業員の態度」 なーんて腹の中では憤慨することがありますもの。
 だもの “安かろう、悪かろう” は承知していても、クレームを言う客の気持ちも分かります。

 でも金持ちは、“金は出すけど、口は出さない” のであります。
 ただ、本音は分かりませんよ。
 口には出さないけれど、態度に出るかもしれません。
 “二度と来ない” という態度に。

 比べ、貧乏人は、散々文句を言っても、しっかり元を取って帰ります。
 そして、またやって来て、常連ぶったりするものです。
 それが、貧乏人の処世術なのであります。


 でもね、一度でいいから仕事ではなくて、自分のお金で高級旅館に泊まってみたいものです。
 きっと家族に、尊敬されるだろうなァ~~~~!!!
  


Posted by 小暮 淳 at 13:37Comments(0)温泉雑話

2018年11月21日

美肌と温泉と空っ風


 今年も最下位でした!
 毎年、化粧品会社が発表している 「ニッポン美肌県グランプリ」 です。
 これで群馬県は、3年連続の最下位です。

 昨年までは、テレビや新聞から取材を受けたんですけどね。
 「全国屈指の温泉県なのに、どうしてなんでしょう?」 的な。
 さすが3年目となると、温泉とのこじつけ取材は来ませんでした。

 だから、あえて大きな声で言います。
 「美肌ランキングと温泉は関係ありません!」


 このグランプリ、上位の県をみれば、理由は一目瞭然です。
 1位は島根県、2位は秋田県、3位は石川県……
 そのあとも日本海側が続きます。
 いわゆる、日照時間が短く、湿気の多い土地です。

 一方、群馬県は日照時間が長く、紫外線を浴びやすく、湿気が少なく、冬には乾燥した “空っ風” が吹き荒れます。
 肌にとっては、劣悪な環境なのです。
 「温泉があるのにね」 と言われても、それ以上の過酷な土地ということです。

 でも、恩恵もあります。
 日照時間が長いということは、農作物の生育には好条件です。
 だから群馬の野菜はうまいんです!
 年間の生産量だって、全国5位以内の品目が20種もあるといいますから、まさに太陽の恵みを十分に活用している県なのです。


 もし、これに温泉の効能が加わったら……

 群馬県は肌には劣悪な土地なのに、美肌県グランプリのランキングは常に上位!
 なーんてことになったら、群馬の “湯力(ゆぢから)” を証明できるんですけどね。

 県民のみなさん、いかがですか?
 もっともっと温泉に入って、美肌ランキングを上げましょう!
  


Posted by 小暮 淳 at 14:10Comments(2)温泉雑話

2018年10月17日

冬はニオイに御用心!


 初めて万座温泉(群馬県嬬恋村) に行ったときのこと。
 さる旅館の内風呂に入って、大変驚いた記憶があります。
 浴室の換気扇が、足下で回っていたのです。
 また、排気窓も天井近くではなく、浴槽脇の床の高さで開いていました。 

 のちに知ったのですが、万座温泉は “硫黄の含有量が日本一” の温泉地だったのです。
 硫黄の含有量が多いということは、それだけ有毒ガスである硫化水素を多量に含んでいるということです。

 ちなみに、よく 「硫黄臭がする」という表現を使いますが、正しくは 「硫化水素臭」 です。
硫黄自体は、無臭です。
 でも、硫化水素臭という言葉は、あまり馴染みがないので、僕もつい分かりやすく表現するために 「硫黄の臭い」 と言ってしまうことがあります。
 そんなとき、テレビなどでは画面の下に、“硫化水素臭” と正しくキャプションを入れてくださいます。
 ま、一般的には 「硫黄臭」 と言ったほうが、温泉のイメージが伝わりやすいですけどね。


 今日の新聞に、こんな記事が載っていました。

 <北海道足寄町の温泉施設の浴室で2013~14年、2人が死亡、1人が意識不明となった事故で、道警は硫化水素中毒が原因とみて50代の施設経営者の男を業務上過失致死傷容疑で近く書類送検する方針を固めた。>
 温泉施設の浴室内で発生した硫化水素による中毒事故で、刑事責任が追及されるのは初めてのことだそうです。

 5年も前の事故ですが、僕は良く覚えています。
 その時も、初めて万座温泉に言ったときのことを思い出しました。

 なんで、あんなところに換気扇が付いていたのか?
 今となれば、当然のこととして理解しています。
 硫化水素は、空気より重いからです。
 よって、浴槽の周りに溜まりやすいのです。
 だから換気扇や換気窓が足下に付いていたです。

 この施設経営者は、そんな基本中の基本をおこたっていたということです。


 また記事には、こんな事実が添えられていました。

 <国は、温泉に含まれる硫化水素を空気に触れさせて濃度を抑えるため、注水口を湯面より上に設置するよう安全対策を定めているが、同施設の注水口は浴槽の底にあり、対策を怠っていた。>

 まさに本末転倒、お粗末な管理です。
 確かに、浴槽の底から温泉を引き入れる給湯法は、湯の鮮度を保つ上では理想的ですが、それは一般の温泉の場合です。
 硫化水素を含む硫黄泉で、空気に触れない給湯法を利用していたとは、やはり管理者としては、お粗末と言わざるをえません。


 これからの季節、浴室は密閉されがちになります。
 温泉の“ニオイ ” には敏感になって、少しでもおかしいと思ったら、施設に告げてくださいね。

 もちろん換気が充分な露天風呂だって、油断は禁物です。
 温度差によるヒートショックが、待ち受けています。

 いずれにせよ、冬は温泉に御用心ですぞ!
   


Posted by 小暮 淳 at 13:02Comments(0)温泉雑話

2018年06月01日

熱き心に湯の花が咲く


 「小暮さん、企画が通りました! 全編、群馬の温泉でいきます。それもゴールデンの放送ですよ!!」
 某テレビ局のディレクターが、興奮気味に電話をかけてきました。

 読者のみなさんは、覚えてらっしゃいますよね。
 先日、わざわざ東京から僕を訪ねてきたテレビのディレクターがいたことを。
 ※(当ブログの2018年5月29日 「どこかで誰かが⑨」 を参照)

 「ついては、また会っていただけませんか? いつでもいいです。小暮さんの都合に合わせます」
 と今週、また彼は東京から、わざわざ前橋まで僕に会いにやって来ました。

 喫茶店のテーブルには、僕の著書が2冊置かれています。
 確か前回会った時は 『新ぐんまの源泉一軒宿』 だけだったのですが、『西上州の薬湯』 が増えています。
 僕が、そのことに気づくと、
 「ええ、昨日、買いました。小暮さんの話を聞いて、冷鉱泉にも興味を持ったものですから」

 そして、前回より、さらにコアでマニアックな質問をしてきました。
 一軒宿のこと、自然湧出のこと、ぬる湯とあつ湯、その効能の違い……
 先週まで、草津温泉と伊香保温泉しか知らなかった “にわか温泉ファン” とは思えないほどの熱量です。
 ひしひしと、彼の番組に対する意気込みが伝わってきます。

 「この後、みなかみ町へ取材に行ってきます。しばらくは群馬県内にいますので、また会ってもらえますか?」
 「もちろん、いつでもどうぞ。全面協力するって言ったでしょう」
 「ありがとうございます。じゃあ、行ってきます。また連絡します」


 昨晩、彼からメールが来ました。
 <先日はありがとうございました。何から何まで頼りっぱなしで恐縮です。今日はO温泉に日帰りで入り、明日はK温泉に宿泊することにしました。>

 ぬる湯の一軒宿を回り出したようです。
 その行動力に、心を打たれました。


 熱い男の心に、湯の花が咲き出したようです。
 どんな番組がになるのか、ますます楽しみになりました。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:40Comments(2)温泉雑話

2018年04月20日

K温泉殺人事件


 「K温泉に行ったことがあるんですけど……」

 知り合いの青年(20代) が、話しかけてきました。
 温泉の話をするにしては、なんだか浮かない顔をしています。

 「いい湯だったろ?」
 「それが、途中で帰ってきちゃったんですよ」
 「なんで?」
 「ええ、なんだか怖くなっちゃって」


 数年前のこと。
 彼は彼女と、ドライブに出かけたといいます。
 一度は聞いたことがある秘湯のK温泉を訪ねてみることにしました。
 ところが、国道から山道に入った途端……

 「なんだかヘンな気分になったんです。誰かに見られているような、ずーっと後をつけられているような」
 「それで?」
 「あの道、行き止まりになるでしょ?」
 「だね、そこからは歩くんだよ」
 「ええ、それは知っていたんだけど、その行き止まりに廃墟があって……」
 「君が行ったのは、何年か前のことだね? 今は、もう更地になっているよ」
 「そうなんですか……」
 「で、帰ってきちゃったの?」
 「ええ、廃墟を見た途端、急に頭痛と吐き気までしてきて。こりゃ、ヤバイと思って、引き返しました」

 彼との会話は、これで終わりではありませんでした。

 「小暮さんは、知ってましたか?」
 「何を?」
 「あそこで殺人事件があったこと」
 「もちろん、知っているよ。有名な話だからね。でも、君が生まれる、はるか昔のことだよ」

 彼との会話は、ここで終わりです。
 彼は帰宅後、「あそこは絶対、何かある」 と思い、ネットで検索をして事件を知ったといいます。


 昭和47(1972)年8月に、事件は起こりました。
 K温泉に泊まった20代の女性が、下山途中に、何者かに殺害されました。
 遺体は作業小屋で発見されましたが、刃物でメッタ刺しにされた猟奇殺人だったといいます。

 当時、僕は中学生でしたが、おぼろげに事件のことは覚えています。
 長じて、ライターとして温泉取材で訪れた時に、資料により詳細を知りました。
 そして、この殺人事件は、46年経った現在でも未解決のままです。


 この事件、とても謎が多いため、今でも時々話題に上ることがあります。
 その謎とは……

 ●なぜ、被害者は1人で温泉へ行ったのか?
  最初は、家族や知人と行く予定だったといいます。

 ●なぜ、歩いて山を下りたのか?
  宿の送迎車があるのに、断っています。最寄りの駅までは徒歩2~3時間かかります。

 ●残された写真は誰が撮ったのか?
  所持品のカメラには、下山途中に写された本人の写真が残っていました。
  事件後、警察や報道機関の呼びかけで、「私が撮った」 と名乗り出た男がいたそうですが、のちに実在しない人物であることが判明しました。

 ●なぜ、遺体は移動されたのか?
  殺害現場である作業小屋の中で、犯人が死体を引きずった痕跡があったといいます。

 ●なぜ、メッタ刺しなのか?
  これが最大の謎です。
  通り魔なのか、怨恨なのか?
  凶器は、見つかっていません。


 先日、十数年ぶりに未解決の殺人事件の犯人が、DNA鑑定により逮捕されました。
 一日も早い事件の解決と、犯人逮捕を願っています。

 でないと、彼のように霊感の強い人が、成仏できない霊魂に脅かされて、温泉にたどり着けなくなってしまいますから。
  


Posted by 小暮 淳 at 16:27Comments(2)温泉雑話

2018年03月29日

やっぱ横綱でしょう!


 別に僕の手柄ではありませんが、そして草津温泉の知名度による結果だということも重々承知の上ではありますが、やっぱり、うれしいのであります。

 先日、インターネット接続大手のビッグローブ(東京都) が、同社運営の温泉検索サイトなどで投票を募った 『第10回みんなで選ぶ温泉大賞』 の温泉番付(都道府県ランキング) を発表しました。
 この番付で、群馬県が東日本エリアの最高位となる 「東の横綱」 に選ばれました。
 6年連続です。

 投票は2017年12月から18年2月まで実施され、「これまで訪れた中で良かった温泉地や温泉宿」 「その満足度」 について、検索サイトやアプリの利用者が投票し、2万7750票が集まりました。
 群馬県が 「東の横綱」 に選ばれた要因として、同社は 「人気の温泉地が多く、安定した得票だった」 とコメントしています。
 また、2位の「東の大関」に選ばれた北海道に、約1.6倍の得票差をつけての圧勝だったとのことです。

 ちなみに、東日本ランキングは以下のとおりです。
 横綱=群馬県、大関=北海道、関脇=神奈川県、小結=静岡県
 前頭=長野県、栃木県、宮城県、山形県、秋田県、福島県


 で、当然、「西の横綱」 は大分県と思いきや、これが兵庫県だったのであります。
 大関が大分県、関脇に岐阜県、小結は熊本県でした。
 さっするに、やはり有名温泉地を有している県が、圧倒的に有利だということですね。

 ま、いずれにせよ、群馬県が日本を代表する “おんせん県” であることには違いありません。

 「群馬といえば温泉」 から 「温泉といえば群馬」 へ

 微力ながら僕も、“湯の国ぐんま” を全国へPRしていきたいと思います。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(0)温泉雑話

2018年02月09日

どこかで 誰かが⑧ 湯中にて


 温泉に入るのが、僕の仕事です。
 ですから、家では風呂に入りません。
 シャワーで体を洗うくらいです。

 でもね、さすがに冬は……
 でも、なかなか家族と入浴時間が合わないのです。
 そのたびに、湯を溜めたり、沸かし直したりするのも不経済です。
 そんなとき僕は、ぷらりと近くの日帰り入浴施設へ出かけます。


 行くなら、平日の一番風呂です。
 湯はキレイだし、なにより、すいていますから。
 で、その日も、かけ湯をしてから内風呂に入り、いったん上がって、体と頭を洗い、締めの露天風呂に浸かっているときでした。

 客は、僕と離れた所に、もう一人。
 そこへ、高齢の男性がやって来ました。
 ウロウロ、ウロウロ……
 なかなか湯舟に入ろうとせず、僕の前を行ったり来たりしています。
 やがて、中央から入ったと思うと、そのままスーッと、こちらに向かってやって来て、僕の隣に沈みました。

 あれ、あれれれれ????
 ヘンだよ、このジイサン。
 こんなに、すいているのに、なんで、わざわざ俺の隣に来るんだよ!?
 も、も、もしかして、あっち系の趣味の人かしらん!
 と、身構えていると、

 「失礼ですが、小暮さんではありませんか?」

 えっ、誰?
 知らないよ、こんなジイサン。
 それとも、俺がド忘れしているだけだろうか?

 「はい、そうですけど……。どちらさまでしょうか?」
 「私は、○×銀行のYと申します」

 ますます分かりません。
 ○×銀行には、そんな名前の知り合いはいないし、年齢的に現役の銀行員とは思えません。
 さらに警戒をしていると……

 「あ、あ、申し訳ありません。初めて、お会いします。えーと、いつも新聞や本で、文章を読ませていただいています」

 なーんだ!
 読者だったんですね。
 あ~、驚いた。


 それから、その人は、僕の文章について、実に詳しく分析した感想を話し出しました。
 やがて、根掘り葉掘りと僕のプライベートにまで質問をするようになりました。
 「今日も取材なのか?」「住まいは、どこなのか?」「年齢は?」

 もうダメです。
 限界です。
 何がって?
 湯あたり御免!
 完全に、のぼせてしまいました。

 「温泉ライターのくせして、長湯が苦手なもので。すみませんが、先に上がらせていただきます」
 「あ、あ……、お引止めして、もーしわけありませんでした」


 ありがたいことではありますが、長湯の湯中話はいけません。
 もう少しで、<温泉ライター 入浴施設で湯あたり> の見出しが新聞に載るところでした。

 それにしても、どこで、誰が見ているか、分からないものですね。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:12Comments(0)温泉雑話

2017年12月21日

「もう一度」 と 「一度は」


 今年も、旅行会社などの “旅のプロ” という人たちが選ぶ全国の温泉地ランキング 『にっぽんの温泉100選』 が発表されました。
 1位は今年も草津温泉(群馬県) でした。
 これで15年連続の1位です。

 群馬に草津温泉あり! 絶対王者の風格であります。

 ちなみに2位は下呂温泉(岐阜県)、3位は別府八湯(大分県)、4位は指宿温泉(鹿児島県)、5位は有馬温泉(兵庫県)。
 以下10位までは、道後温泉(愛媛県)、由布院(大分県)、登別温泉(北海道)、黒川温泉(熊本県)、城崎温泉(兵庫県) と続きます。
 他の群馬県勢はというと、15位に伊香保温泉、25位に万座温泉、30位にみなかみ18湯、40位に四万温泉が入っています。
 やはり県内外とも、名の知れた温泉地ばかりですね。
 “旅のプロ” といえども、マスコミへの露出が多い有名温泉地ばかりを選んでしまうのでしょうか?


 もう1つ、最近発表された気になるランキングがあります。
 観光に関する調査研究機関 「じゃらんリサーチセンター」 による 『じゃらん人気温泉地ランキング2018』 です。
 この中の 「もう一度行ってみたい温泉地」 でも3年連続、草津温泉が2位になったということです。

 1位は12年連続で箱根温泉(神奈川県)、3位は別府温泉郷と由布院温泉(共に大分県) です。
 やはり、誰もが知っている温泉地が揃いました。

 誰もが知っているということは、テレビや雑誌などマスコミが取り上げる頻度が高いということです。
 有名=行ったことがある
 だから、もう一度行ってみたい
 となるわけでして、行ったことも、聞いたこともない温泉地はランキングに入ることも、ノミネートされることもないわけです。

 でもね、せめて 「一度は行ってみたい温泉地」 というランキングがあったならば、法師温泉や宝川温泉、霧積温泉といった群馬を代表する秘湯の温泉地も上位に名前を出すのではないでしょうかね。


 群馬県内だけでも約100の温泉地があり、全国では3,000ヶ所もあるのですから、そのほとんどは知られていない温泉地ばかりということになります。
 1つでも多くの温泉地を知ってもらい、行ってみて、「もう一度行ってみたい」 と思ってもらえるよう、これからも地道な普及活動を続けていきたいと思います。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:03Comments(3)温泉雑話

2017年12月18日

温泉県なのに


 「なんで最下位なんでしょうか?」
 先日の講演会後、質疑応答の場で出た質問です。

 「小暮さんの力で、なんとかしてくださいよ」
 直々に、県内の温泉関係者から電話がありました。

 なんのことかと言えば、先月発表された 『ニッポン美肌県グランプリ』 のことです。
 相変わらず群馬県が、最下位なのです。
 ※(詳しくは、当ブログの2017年11月10日「温泉で美しくなれ!」を参照)


 考えられる理由としては、日照時間が長く、湿気と気温が低く、空気が乾燥している風土であること。
 さらに冬になると 「空っ風」 と呼ばれる強い北風が吹き荒れます。
 肌にとっては、劣悪な環境ということになります。

 ここまでは納得なのですが、1つだけ疑問が残ります。
 47都道府県中、47位は群馬県ですが、なんと! 46位が大分県なのであります。
 そう、どちらも全国屈指の “温泉県” です。

 なぜだ?

 大分県も、群馬同様、劣悪な風土なのでしょうか?
 でも九州ですからね。
 温暖で、雨も多くて湿気があり、肌の環境には大変よろしいように思われるのですけどね。
 しかも、温泉があります!


 で、僕は前述の質問に、なんと答えたかというと、
 「灯台もと暗しで、群馬県民は温泉が身近にあり過ぎて、ありがたみを感じていないのではないか」 と……。

 でも、うがった見方をすると、「温泉に入り過ぎているから」 という答えもありそうです。
 入り過ぎて、肌の脂分と水分を持っていかれてしまったのではないか?(笑)
 強アルカリ性泉の場合、無きにしもあらず、です。

 それにしても、日本を代表する温泉県2つが下位というのも、不思議な話であります。

 なんとかしたいところですが、なんとも理由が分かりません。
 知っている方がいらしたら、ぜひ、お教えください。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:02Comments(3)温泉雑話