温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2024年03月15日

じっさんずラブ? ふたたび


 モテます!
 モテまくっています!
 人生最大のモテ期が到来したようであります。

 でも、やっぱり、異性ではありません。
 全員、“じっさん” です。


 昨日、高崎市内で講演を行ってきました。
 テーマは、温泉。

 会場に着くなり、職員が、
 「先生と写真を撮りたいという人がいるんですが、よろしいですか?」
 断る理由もないので、職員に導かれてホールの中へ。
 まだ開演30分前だというのに、7~8人の受講者が席に付いていました。

 「こちらの方です」
 と紹介されたのは、年の頃、どうみても70歳以上の男性です。
 「ありがとうございます。どうしてもと知り合いに頼まれたものですから」
 と男性は、職員にスマホとデジカメを渡しました。

 「?」
 僕が不思議そうな顔をしていると、
 「カメラは知人のもので、スマホが私のです」

 「ハイ、チーズ!」


 すると今度は、手に新聞を持った男性が近寄ってきました。
 やはり、シニア男性です。
 「先生、この記事、読みました。今日、お会いできるのを楽しみにしていました」
 男性が持っていたのは、先月から連載が始まった読売新聞の記事でした。

 するとすると、間髪を入れず、もう一人の男性が、
 「トリビア、観ています。今回は鹿沢温泉でしたね」
 と、これまた高齢者です。
 トリビアとは、ときどき僕がリポーターをしている群馬テレビ 『ぐんま!トリビア図鑑』 のことです。


 とにかく、会場に着くなり、その熱烈歓迎ぶりに、少々面食らってしまいました。
 が、この手のファン(?)なら珍しくありません。
 でも、ここまでは、まだ序奏に過ぎなかったのです。
 このあと、極め付きの 「じっさんずラブ」 が登場します。
 (じっさんずラブについては、2024年2月19日の 「じっさんずラブ?」 をご覧ください)


 開演時刻になり、僕は壇上に立ちました。
 小さなホールは、満席状態です。
 定員30名のところ、50人近い応募があったといいます。
 主催者は、イスを増やして対応したようです。

 うれしい限りであります。
 講師冥利に尽きます。

 見渡せば、女性は全体の3分の1~4分の1です。
 大半が男性。
 しかも、ほとんどが60代以上のシニア層です。


 と……
 ギェッ、ギェギェギェーーー!!!

 最前列、左側の席。
 今日もいます!
 前回もいました。
 前々回も、そのまた前も……

 昨年秋頃から高崎市内で講演やセミナーがあると、必ず会場にいるシニア男性です。
 前回、お会いした時に少しだけ話をしました。

 「いつもありがとうございます」
 「はい」
 「確か、前回も来られていましたよね?」
 「はい」
 「今日の話も内容は、前回と同じですよ」
 「はい」
 「いいんですか?」
 「はい」

 かなりシャイな方です。
 うれしいんですけどね、僕には不思議でなりません。
 だって、毎回毎回、同じ話を聞きに来るんですよ。
 しかも会場が毎回違うのに、どうして、講演場所が分かるんでしょうか?

 「今日ここで講演することが、よく分かりましたね?」
 「はい、……調べました」
 たぶん、ネットの検索を駆使したんでしょうね。

 これまた講師冥利に尽きます。
 ただただ頭が下がります。


 講演中、僕は、その男性が気になって仕方がありません。
 もしかして、じっさんずラブ?
 いえいえ、そんなんじゃありませんって!(汗)

 男性は、今回も黙々とメモを取っていました。
 とっても熱心な方です。
 それだけ、温泉が好きなんでしょうね。


 今年の講演活動は、まだ始まったばかりです。
 どんな出会いが待っているのでしょうか?
 次回の講演が楽しみです。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:56Comments(0)講演・セミナー

2024年02月08日

新聞記者が語る群馬の温泉事情


 「ついては一度、レクチャーをお願いします」
 なんて言われれば、
 「じゃあ、いつもの店で吞んでるから、そこへおいでよ」
 と、安請け合いしてしまうのが、僕の常です。

 きっかけなんて、何でもいいんです。
 酒さえ吞めれば、この世はHAPPY!


 先週、知り合いの新聞記者から電話がありました。
 彼は、大の温泉好き。
 2年前に群馬に赴任した時から、県内の温泉記事を書いています。

 そして出合ったのが、僕の著書でした。
 「小暮さんの温泉本は、すべて持ってます」
 それが初対面のあいさつでした。


 そんな彼が、今度、読者を対象に講話をすることになったといいます。

 「面白いね。いいね。記者が見た群馬の温泉。どう映ったのか、興味があるな」
 「えっ、小暮さん、来るんですか?」
 「いや、スケジュールを見てみないと分からないけど……」
 「恥ずかしいなぁ~。もし来たら、小暮さんに話を全部ふっちゃいますよ(笑)」


 ということで下記の日時に、朝日新聞の前田基行記者による講話が行われます。
 興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。



      朝日新聞前橋総局 第6回総局記者サロン
     「能登半島地震取材報告&県内の温泉事情」

 <第1部>
 吉村駿記者(26) 「能登半島地震取材報告」
 <第2部>
 前田基行記者(54) 「県内の温泉事情、ゆる~くお話し」

 ●日時/2024年2月17日(土) 13:30~
 ●会場/朝日新聞前橋総局4階 (〒371-8521 前橋市大手町2-4-9)
 ●参加/無料 (要応募)
 ●定員/20人

 【応募方法】
 住所、名前、年齢、電話番号を明記のうえ、「記者サロン」 係へ。
 メール (maebashi@asahi.com) かハガキで受け付け。
 ●問合/前橋総局 TEL.027-221-1101 (平日9時~17時)
  


Posted by 小暮 淳 at 11:11Comments(4)講演・セミナー

2024年01月06日

新春講演会 ~町中華の主人になりたい~


 ありがたいことです。
 松の内も明けぬうちに仕事ができる喜び。
 昨日は高崎市内の公民会で、今年最初の講演を行ってきました。


 もうかれこれ15年も講演活動を続けています。
 ライターなのに、なぜ?
 不思議に思う人もいるかもしれませんね。

 ふつう講演会というと講師は、大学教授や起業家、タレントや芸能人の方々が多いと思います。
 作家などの文筆業の方も稀にいますが、文学賞などの受賞経歴のある著名な人たちです。

 では、なぜ地方のライターごときが講演活動を続けているのでしょうか?


 もちろん依頼があるからなのですが、受ける僕にも理由があります。
 それは、町中華の主人にあこがれているから。

 なんのこっちゃって?
 ごめんなさい、分かりづらかったですね。
 要は、料理を作る人と食べる人が、互いに顔を合わせる関係ということです。


 「ありがとうございました」
 「ごちそうさまでした」
 何度か訪れれば、
 「毎度、どうも」
 「おいしかったです」
 さらに常連になれば、
 「最近、どう? 忙しそうじゃない?」
 「ええ、仕事がきつくてきつくて。でもオヤジさんの料理食べて元気がでました!」
 なんてね。

 これって、僕の理想形なんです。
 作る人と受け取る人の “顔” が見える関係にあこがれ続けてきました。

 だからライターにとって講演会は、それを叶えてくれる唯一の場所なんです。


 「テレビ、見ました」
 「連載、読んでます」
 「本にサインしていただけますか?」
 これらの受講者の声は、町中華の客の 「ごちそうさま」 「おいしかった」 に値します。


 昨日も一人、常連客(?)が来ました。
 年配の男性です。
 昨年から連続3回も僕の講演を聴講しています。
 僕が次どこで講演をのするのか?
 その情報をつかんでいることにも感心します。

 「いつもありがとうございます」
 「いえ」
 「今日も同じ話ですよ」
 「いいんです」
 まさに、この会話って、毎回、チャーハンと餃子を注文する常連客と店主の関係です。

 “いつもの味” を食べに来ています。


 でも、それが僕の活力になっています。
 「私の話を聴くのは、今日が初めてではないという人?」
 壇上から訪ねると、昨日も数人が手を挙げてくださいました。

 まだ常連客(?)ではないけど、再度来店(?)してくださった人たちです。
 うれしいですね。
 だって一度食べて、おいしくなかったら二度とその店には行きませんものね。
 「毎度ありがとうございます」


 今年もすでに講演会の日程が、いくつも入っています。
 「またのご来店をお待ちしております」
  


Posted by 小暮 淳 at 11:46Comments(0)講演・セミナー

2023年12月05日

講演は人の為ならず


 かれこれ15年以上も講演活動を行っています。

 コロナ前は多い年で30回以上も行っていました。
 コロナ禍は極端に減少しましたが、ここに来て依頼は増えています。
 依頼主は自治体や企業、団体とさまざまです。

 主に温泉、民話、地酒がテーマですが、時には介護やテレビ出演についてなど体験談の依頼を受けることもあります。


 では、なぜ僕は講演を続けているのでしょうか?

 自分でも分かりません。
 “頼まれるから受けている” というのが本音ですが、嫌いだったら受けませんから、たぶん、好きなんでしょうね。

 講演のどこが好きなのか?

 話していて、楽しいんですね。
 取材して文章を書くというライターの仕事に比べると、ライブ感が半端ない!
 “今” を共有しているドキドキ感が、たまりません。
 (長年、音楽活動をやってきたからかもしれません)


 僕は、講演をすることも好きですが、聴くことも大好きです。
 昔から講演会とあらば、どこへでも聴きに行っています。
 後学のためというのあるのかもしれませんが、「話が上手な人は、どこがどう違うのか?」 というのが知りたくて、足しげく通っています。

 で、僕なりに分かったことがあります。
 講演には、大きく分けて2通りあることが!

 1つは、マイク一本で話術だけで、観客を楽しませる人。
 この人たちは、作家やタレントなどテレビでも顔が売れている人が多いですね。
 聴いていて、話に起承転結があり、笑いあり、涙あり、これはまさにエンターテインメントな職人芸の世界です。


 もう1つは、プロジェクターや資料を使って、自分の成果を解説するタイプです。
 大学教授や企業経営者に多く見られます。
 写真やグラフなど、モニターに映し出された画像を中心に話を進めます。
 ためにはなりますが話的には、あまり面白くありません。

 これって講演なの?
 講義じゃないの?
 って思ってしまうのは、やはり話者が学校や企業のトップの人たちだからなんでしょうね。
 学生や社員に向けて話す、しゃべり方と同じなんです。
 (上から目線ということ)
 これでは、一般の客には話が入って来ません。

 先日、こんな大学教授の講演がありました。
 「お手元に配った資料の○ページ目を黙読してください」
 これには驚きました!
 完全に授業なんです(笑)。


 じゃ、そういう、お前の講演は、どうなんだって?
 はい、基本、マイク一本で資料なしで行っています。
 ただし、ホワイトボードもしくは黒板を使います。

 これは、話を分かりやすくするためです。
 地形図を書いたり、固有名詞の難しい漢字などを伝えるときに使用します。

 あとは、出たとこ勝負のフリートークです。
 ですから、ついつい予定時間よりオーバーすることが多いのです。


 それでも毎回、反省はあります。
 「ああ、あのこと話すの忘れた」 とか、「完全に話が脱線したな」 などなど……
 でも、それがライブなんですね。

 そして、ライブだから楽しいんです。
 これからもライブ活動を続けていきますので、みなさん、ぜひ、お越しくださいませ!
    


Posted by 小暮 淳 at 12:21Comments(0)講演・セミナー

2023年11月24日

定員御礼! 温泉ゼミナール


 さんまさんパワー、かな?
 なんだかテレビ出演後に、僕のまわりでは異変が起きています。


 昨日、倉渕川浦温泉 (高崎市) 「はまゆう山荘」 にて、群馬と高崎の温泉をテーマにした “温泉ゼミナール” が開催されました。
 僕が講師を務めさせていただきました。

 このゼミナールは、会場となる 「はまゆう山荘」 が主催し、高崎駅からバスを出して送迎するという画期的な企画でした。
 先日の四万温泉のように、僕がバスに同乗して現地をまわりながら話をする出前講座と異なり、現地で僕が出迎え、講演をするというスタイルです。

 高崎市の広報誌や地元のフリーペーパーなどでも開催の記事が掲載されたようで、おかげさまで受付早々、募集定員に達したといいます。


 午前10時20分。
 予定の開催時間より10分早めに、僕はマイクを握りました。

 なんだか予感がしたのです。
 「今日は受講者の雰囲気がいい。話がノッテ、長くなりそうだ」 と……
 案の定、当初90分の予定だった講演時間は大幅にオーバーしてしまいました。

 途中、主催者側から、
 「先生、時間は気にしないでください。昼食の時間を30分ずらしますから」
 との助言もあり、受講者に 「いいですか?」 と確認すると、拍手が起こりました。

 ということで、“まくら” から始まり、温泉の基礎知識、群馬の温泉の特徴、高崎市の温泉の現況etc……
 さらに終了後には、カラオケに合わせて持ち歌の 『GO!GO!温泉パラダイス』 まで歌ってしまいました。

 終わってみたら2時間にわたる講演でした。


 異変は、その後に起こりました。
 会場では著書の販売がされたのですが、もちろん、要望があった購入者にはサインをしました。
 今までなら、そこまでです。

 ところが、今回は違いました。
 「写真、いいですか?」
 と、ツーショットの撮影を頼まれた人が何人もいました。

 いえいえ、正確には今回だけではありません。
 先日の講演会でもありました。
 急に、写真撮影が増えたのです。

 なんで?

 理由は1つしか考えられません。
 『ホンマでっか!?TV』 に出演以降の現象だからです。


 恐るべし、さんまさんパワー!
   


Posted by 小暮 淳 at 10:00Comments(0)講演・セミナー

2023年11月15日

座敷わらしに、よろしく!


 講演では最後に、質疑応答の時間があります。
 「先生に何か訊きたいことことはありますか?」
 と司会者が呼びかけますが、手を挙げる人はいつも一人か二人です。

 訊きたいことはあっても、大勢の人前では恥ずかしいというのが本音のようです。

 でも、そんな人たちは決まって終了後に、個人的に僕のところにやって来て、
 「○○温泉に行ってきたのですが……」 とか 「ぬる湯が好きなのですが……」
 などと声をかけてくださいます。
 なかには、
 「テレビ、観ました」 「ブログ、読んでます」
  という読者からの声かけもあり、うれしい気持ちになります。


 でも先日は、ちょっと変わった声かけがありました。
 質問ではなく、相談をされてしまいました。

 民話をテーマにした講演会の終了後のこと。
 後片付けをしている僕に、一人の初老の男性が近寄って来て言いました。

 「先生、一つ、教えていただけますか?」
 「はい、どうぞ」
 「座敷わらしがですね……」
 「えっ、座敷わらし?」
 「はい、座敷わらしが、息子の家に出るらしいんですよ」

 前代未聞の相談を受けてしました。
 でもね、僕は霊媒師でも祈祷師でもありません。
 ただの民話好きのライターです。

 除霊なんてできませんって!


 「困っていらっしゃるんですか?」
 「なんでも、夜な夜ないたずらをするらしくて」
 「はあ……」
 僕は二の句を継げずにいました。

 「大丈夫でしょうか?」
 男性は、息子一家に何か禍(わざわい)が起こるのではないかと心配しているようです。


 昔から座敷わらしを見た人は、立身出世するといわれています。
 また、その家には富や福をもたらすとされる妖怪です。
 だから僕は、男性に向かって、こう言ってあげました。

 「きっと息子さんは出世しますよ。もしくは一家に幸福が訪れる吉兆です」


 すると男性は、
 「ありがとうございます。安心しました」
 と、深々と頭を下げました。
 そして、ひと言、


 「先生の本を一冊ください」

 お買い上げ、ありがとうございま~す!
  


Posted by 小暮 淳 at 10:59Comments(3)講演・セミナー

2023年11月09日

なぜ明石家さんまさんに会えたのか?


 “人生はピタゴラスイッチである”
 僕は常々、そう感じています。

 「ピタゴラスイッチ」 とは、NHK教育テレビ (Eテレ) の幼児向け番組名です。
 この番組のコーナーの1つに、「ピタゴラ装置」 が登場します。
 いわゆる 「からくり装置」 です。


 装置の構成は身の回りの物 (文房具や日用品) でできています。
 そこにビー玉や小さな車を転がすと、連鎖的にさまざまな仕掛けが作動して、次々と新しい運動が引き継がれていくという遊具です。

 「えっ、そんなことが起きるんだ!」
 と、大人でもワクワクしながら見入ってしまいます。

 まさに、人生のようであります。


 昨日は某団体の交流会の席に呼ばれ、1時間の講演をしてきました。
 依頼されたテーマは、「テレビ出演こぼれ話」。
 先日、僕が出演した明石家さんまさんがMCをつとめるフジテレビ 『ホンマでっか!?TV』 の裏話を話してきました。

 とはいっても、スタジオでの出来事だけを話したのでは、講演としては面白みがありません。
 ただの体験談に終わってしまいます。
 ということで、“なぜ明石家さんまさんに会えたのか?” という 「生き方論」 を話しました。


 雑誌社を辞めて、フリーランスのライターになり、温泉に出合い、本を出版すると講演やテレビ出演などの依頼が来るようになりました。
 温泉地には必ず、発祥伝説や民話が語り継がれています。
 これらを集めて本を出版すると、今度は民話をテーマにした講演依頼が来るようになりました。
 さらに、民話は紙芝居になり、仲間と街頭で公演活動を続けると、新たな出会いが生まれました。

 気が付いたら一介のライターだった僕には、温泉ライター、謎学ライター、ミステリーハンターなどの異名が付いていました。
 さらには、観光大使や温泉大使、地酒大使などの肩書までいただきました。

 これは、まさにピタゴラスイッチなのであります。


 自分の意志だけでなく、転がりたいように転がっていたら様々な出会いがあり、新しい発見につながっていったのです。
 その結果、今回、明石家さんまさんに会うことができました。


 いや~、人生って不思議ですね。
 不思議だから楽しいんですね。

 今日も僕の 「ピタゴラ装置」 は、コロコロと転がり続けています。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:16Comments(0)講演・セミナー

2023年11月03日

パワーワード


 東京・お台場のスタジオで番組の収録を終えて、最寄りの駅へ着いた時のこと。
 僕は友人に、メールを打ちました。

 <収録、終わった! いきなり、さんまさんに突っ込まれた!>


 すると彼から折り返し、すぐにメールが届きました。

 <さんまに突っ込まれる! こんなパワーワードなかなかなきですよ!>


 パワーワード?
 直訳すれば、power(力)+Word(言葉) ですから 「強い言葉」 です。
 なんでもSNS上で使われる若者言葉のようで、「人にインパクトを与える強い言葉」 のことをいうようです。

 でも僕は、その時点では、まだこの “パワーワード” の意味を理解していませんでした。
 その力の恐ろしさを知るのは、1カ月半後のオンエア後のことであります。


 先週の水曜日、僕が出演したフジテレビ 『ホンマでっか!?TV』 が放送されました。
 当日は、行きつけの呑み屋を貸し切り、パブリックビューイングを開催。
 気の置けない常連客らと大いに盛り上がりました。

 そりゃ、そうでしょう!
 いつもはカンター席の隅っこで呑んだくれているヤツが、テレビの中で明石家さんまさんらタレントやお笑い芸人らとバラエティートークをしているのですから、大騒ぎです。

 でも、それって仲間内だから……
 その時までは、まだ、そう思っていました。


 一夜明けて、世の中が変わりました。
 会う人、会う人から 「テレビ、観ました!」 コールの嵐です。
 でも、まだ僕は “パワーワード” の意味を理解していません。

 だって、声をかけて来る人は、みんな知り合いだもの。
 テレビに映っている人が、僕だって分かる人たちばかりです。


 ところが、2日目に異変が起きました。
 近所の歯科医院に予約を入れて、治療に行った時です。
 イスに座るやいなや、歯科衛生士の女性が僕の耳元で、「テレビ、観ました」 とささやいたのです。

 「びっくりした! よく分かりましたね?」
 と言うと、
 「私もビックリしました。うちの患者さんが、さんまさんと映っているんですから! すぐにラインを回しました」


 この時、初めて僕は “パワーワード” の意味を知りました。
 パワーワードとは、ズバリ! 明石家さんまさんなのですね。

 たぶん現在、日本一有名なタレントといっても過言ではない人気を誇る明石家さんまさんと同じ番組に出た。
 しかも、出演しただけでなくトークで絡んだ。
 素人なのに、なんで、さんまさんに突っ込まれているの?
 いったい、この人って何者?

 ということのようです。
 改めて、「明石家さんま」 というパワーワードの偉大さを知らされました。

 そして、ついに、そのパワーワードは、さらに想像を超えた力を発揮します


 先日、一本の電話が鳴りました。
 以前、講演会を主催してくださった、さる団体の代表者からでした。

 「また、講演をお願いできますか?」

 もちろん、喜んでお受けしました。
 前回は確か、温泉がテーマでした。
 今回は、民話かな? 地酒かな?

 「で、何の話をしましょうか?」
 僕の問いに、返ってきた言葉は……
 「ええ、先日出演したテレビ番組の裏話をしていただけませんか?」

 えええええーーーーーっ!!!
 オッタマゲーーーーーっ!!!

 テレビ出演が、講演のテーマ?
 前代未聞の珍現象であります。
 かれこれ15年以上も講演活動をしていますが、そんなテーマで話をしたことなんてありませんもの。

 まさに、パワーワードのなせる業であります。
 恐るべし、明石家さんま!


 でも、なんだか今から講演会が楽しみになってきました。
 不思議とワクワクしている自分がいます。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:16Comments(2)講演・セミナー

2023年10月31日

死者に会える場所


 「先生のお父様の知り合いだという人が見えてます」

 昨日、高崎市の講演会場の控え室で、出番の準備をしていると、主催者が僕を呼びに来ました。

 「オヤジの知り合い?」
 「ええ、Aさんという方で、なんでも生前に大変お世話になったとかで、先生にごあいさつしたいと」


 講演開始までには、まだ10分以上あります。
 そーっと会場をのぞくと、すでに用意されたイスは満席でした。

 本来、開演前に会場へ入ることはないのですが、オヤジの知り合いとなれば、ごあいさつをしないわけにはいきません。
 「どの方でしょうか?」
 「えーと、ですね。ああ、あの右通路の後ろから3番目の女性です」


 僕は他の受講者たちに講師だと気づかれないように、そーっと、女性に近づきました。
 「Aさんですか?」
 肩越しに、声をかけました。
 一瞬、その高齢の女性は驚いたようですが、すぐに笑顔になり、
 「目元が、お父さんに、そっくりですね。お会いしたくて来ました」

 聞けば、この女性も日本野鳥の会の会員だといいます。
 オヤジは生前、この会の群馬県支部前橋分会長をしていました。
 僕も子どもの頃からオヤジに連れられて、よく探鳥会に参加していましたから、なんとなくですが、Aさんの名前は覚えていました。

 「確か、いつもご主人と一緒でしたよね?」
 「ええ、本当は主人が来たがっていたんですけど、用事があって来られませんもので、私が代わりに来ました。とっても先生に会いたがっていました」
 といっても、僕が小学生の頃ですから半世紀以上も昔の話です。


 それから僕は2時間の講演を終え、また控え室に戻りました。
 主催者たちと雑談をしていると、Aさんが、またあいさつに現れました。

 「お話が大変お上手で、話し方が、お父さんそっくりでした」

 オヤジも晩年は、県内の公民館や小学校をまわり、「野鳥のおじさん」 として講演活動をしていたのです。

 「なんだか小暮さんにお会いしているようで、うれしくなりました。ありがとうございます」
 と、丁寧にお辞儀をすると、部屋を出て行きました。


 講演は、オヤジに会える場所……

 実は、これが初めてではありません。
 以前も、講演終了後に高齢の男性が現れ、
 「生前、お父様に世話になったものです。ぜひ、お墓参りをしたいので、場所を教えてください」
 と、声をかけられたことがあります。

 この男性は、息子である僕の講演会に行けば、オヤジの墓地を聞き出せると思ったようです。


 オヤジが亡くなって4年半が経ちます。
 それでも、こうやってオヤジのことを忘れずに、会いに来てくれる人たちがいます。

 オヤジ、オヤジって、人望が厚いじゃん!
 金も名も残さなかったけど、徳は残したよな!


 ありがとう、オヤジ。
 こうやって、オヤジの面影に会いに、わざわざ息子の講演を聴きに来てくれる人たちがいるんだよ。

 うれしいね。
   


Posted by 小暮 淳 at 10:54Comments(0)講演・セミナー

2023年10月02日

受付開始! 『民話と伝説の裏舞台』


 昨日、玉村八幡宮 (群馬県佐波郡玉村町) にて、第4回 「玉村かみしばい」 が開催されました。
 ポスター、チラシ等では “雨天中止” とのことでしたが、神社側のご厚意により急きょ、屋内開催となりました。
 おかげで、たくさんの来場者があり4回口演は、ほぼ満席という状態でした。

 玉村八幡宮様、来場された皆様に厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。


 4回口演の上演作品は 『五料のカッパと妙義のカッパ』 (文/小暮淳、画/栗原俊文)。
 地元玉村町に伝わる民話をもとに作ったオリジナル紙芝居です。

 突然ですが、なぜカッパは人間の前に現れるのでしょうか?
 そして、いたずらをするのでしょうか?
 時には、馬や牛などの家畜を川の中に引きずり込んだりもします。


 その謎を解くには、民話の舞台を訪ね、「なぜ、そのような話が作られたのか?」 を地元の人たちに取材するしかありません。
 ある県北部の村では、今でも 「7年に一度カッパが現れる」 と信じられています。

 はたして、この “7年” という数字は何を意味するのでしょうか?


 講演会では、民話や伝説にとどまらず、昔からの言い伝えや迷信の謎も解き明かします。
 興味のある方は、ぜひ、遊びに来てください。



      ぐんま謎学の旅 『民話と伝説の裏舞台』

 ●日時  2023年10月30日(月) 13:30~15:30
 ●会場  高崎市城山公民館 2階ホール (高崎市城山町2-16-2)
 ●定員  30人
 ●費用  無料
 ●講師  小暮 淳 (フリーライター)
 ●申込  城山公民館窓口または電話にて。 TEL.027-325-0605
  


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2023年09月20日

高崎市民限定! 『民話と伝説の裏舞台』


 えぇ~~そうだったの 群馬県!?

 海なし県群馬の竜宮伝説……なぜ?
 舌切り雀発祥の地……なぜ?
 ウナギやキュウリ、ゴマを食べない人がいる……ほんと?
  (「八幡公民館だより」 より)


 群馬県は不思議に満ちています。
 なぜ、こんなにも群馬県は魅力に満ちているのでしょうか?

 民話や伝説のみならず、迷信や言い伝えなどに隠された真実を解き明かします。
 99%は先人たちが作り上げたウソ!
 でも必ず話のどこかに1%のマコトが隠されています。

 その1%の謎を一緒に探しませんか?


 今回は定員20名、しかも高崎市民限定の小さな講演会です。
 気軽にお申し込みください。

 会場で、お会いしましょう!



       ぐんま謎学の旅 『民話と伝説の裏舞台』

 ●日時  2023年10月3日(火) 10:00~12:00
 ●会場  高崎市八幡公民館 集会室 (高崎市八幡町422-11)
 ●対象  高崎市内在住者
 ●定員  20人
 ●費用  無料
 ●講師  小暮 淳 (フリーライター)
 ●申込  八幡公民館窓口または電話にて。 TEL.027-343-2900
        9:00~17:00 (土日祝日を除く)
  


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2023年09月13日

エンターテインメントな一人芸


 【講演】 
 聴衆に対してある題目について話をし説ききかせること。また、その話。
   (「広辞苑」 より)


 もう、かれこれ15年以上も講演活動を続けています。
 最初は、群馬県温泉協会から依頼された 「温泉アドパイザー研修会」 の講師でした。

 当時、僕は、まだ温泉に関連した本を一冊も出版していませんでした。
 なのに、なぜ、依頼が来たのでしょうか?
 いまだに謎なのですが、新聞や雑誌に連載していたコラムやエッセイを、関係者が読んでくれていたのかもしれません。

 その数カ月後、長野県温泉協会から講演依頼がきました。
 たぶん、群馬県からの紹介だと思います。
 でも、まだ、この時点でも僕は温泉本を書いていません。


 その翌年、初の温泉本 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) が出版されました。
 この年を境に、一気に講演依頼が増えました。
 多い年では、年間30回以上の講演やセミナーの講師依頼が入るようになりました。

 2017年5月、9冊目の温泉本 『金銀名湯 伊香保温泉』(上毛新聞社) が出版されると、今度は県外からの講演依頼が入るようになりました。
 やはり、メジャーな温泉地の本を書いたことが注目を浴びたようです。


 翌2018年8月、僕は温泉以外をテーマにした本を出版しました。
 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) です。
 “温泉ライターの小暮” が、まったく違うジャンルの本を書いたことが珍しかったのか、地元紙に限らず全国紙までもが記事や書評で取り上げてくれました。
 おかげで話題になり、本は増刷されました。

 すると今度は、民話をテーマにした講演依頼が入るようになりました。


 翌2019年4月、群馬県酒造組合より 「ぐんまの地酒大使」 に任命されました。
 えっ、なんで僕が?
 僕の酒好きって、そんなに有名なの?
 と戸惑いましたが、「タダで酒が呑めるなら」 と下心満載で、お受けしました。
 案の定、イベントがあるごとに、浴びるほど酒が呑めるようになりました。

 すると今度は、地酒をテーマにした講演依頼が入るようになりました。


 人生とは不思議なもので、好きなことをしていると、その好きなことが別の好きなことを連れて来てくれ、気が付くと、それが新しい仕事になっていたりするのです。
 これはもう、ミラクルワールドです。


 昨日、高崎市で講演を行ってきました。
 今回は、今までの合わせ技であります。
 演題は 『“みなかみ紀行から見る” 牧水が愛した群馬の地酒と温泉”』。

 温泉好きが高じて、旅と温泉が好きな歌人の若山牧水のことが好きになりました。
 酒好きが高じて、酒好きの牧水を、ますます好きになりました。

 だったら牧水が訪ねた群馬の温泉と、その晩に呑んだであろう地酒の話をしよう!
 さらに、温泉地には民話や伝説が付きものだ!
 だったら、すべてまとめて、ごった煮にすれば、それはそれで1つのエンターテインメントになるのではないか?


 ということで、脚本・演出・主演=小暮淳という本邦初の一人芸を、たっぷり2時間も演じてきました。

 演じ終えて思ったのは、「楽しかった」 ということ。
 文句なしに、とにかく楽しい!
 これって、天職じゃないの!?
 と思うほどに、楽しかったのです。

 65歳にして天職に出合うなんて、ちょっと遅いんじゃないの?
 と思われる人もいるかもしれませんが、遅くても出合わないより出合ったほうが、いいじゃないですか!


 これからも新しい合わせ技を開発して、エンターテインメントに挑戦していきます。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:11Comments(7)講演・セミナー

2023年08月30日

この温泉地名、読めますか?


 昨日は前橋市内で、「シニアスクール」 と銘打った高齢者向けの講演を行ってきました。

 僕も今年から前期高齢者の仲間入りをしましたが、受講者は、ほぼほぼ後期高齢者たちです。
 人生の先輩たちを相手に偉そうな話をするのは、おこがましいのですが、温泉をテーマに90分間の講話をさせていただきました。


 会場は市街地東部に位置する桂萱公民館。
 「桂萱」 って、読めますか?
 「かいがや」 と読みます。
 なかなかの難読地名であります。

 ということで、講演の “まくら” は、この難読ネタから入らせていただきました。


 群馬県内には、読めそうで読めない難読温泉地名があります。
 まず 、四万温泉。
 群馬県民は 『上毛かるた』 の札にあるので馴染み深い温泉地名ですが、他県の人には難読だと思います。

 23年前、2000年に四万温泉で開催された 「探四万展(さがしまてん)」 というイベントのパネルディスカッションに、僕も参加しました。
 この時、温泉協会青年部の若手経営者たちが 「他県の人にも四万温泉を知ってもらおう」 と、東京の雑踏に立ち、「四万」 と書かれたプレートを掲げてPRをした映像が流れました。

 ところが、道行く人は、誰一人 「しま」 と読めなかったというエピソードがあります。
 「よんまん」 「しまん」 と読まれてしまったといいます。


 さて、講演会場にいる受講者たちは、ほぼほぼ半世紀以上、群馬県に在住する長老たちです。
 そこで、いくつか温泉地の読み方クイズを出しました。

 鹿沢 (嬬恋村)、沢渡 (中之条町)、湯宿 (みなかみ町)、真沢 (みなかみ町)、奈女沢 (みなかみ町)、温川 (東吾妻町)

 いかがですか?
 正しく読めましたか?

 さすが長老たちであります。
 僕がホワイトボードに書き出すと、次々と読んでいきます。
 ほぼほぼ正解でしたが、1つだけ声が聞こえなかった温泉地がありました。

 「温川」 です。
 「ぬるがわ」 と読みます。
 (一軒宿がありましたが、現在は廃業しています)

 他の温泉地は左から順に、「かざわ」 「さわたり」 「ゆじゅく」 「さなざわ」 「なめざわ」 と読みます。


 これで、つかみはOK!
 受講者と言葉のキャッチボールをしながら、講演を楽しんできました。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:34Comments(2)講演・セミナー

2023年08月25日

1体の木彫り人形


 古い読者は、覚えているかもしれませんね。
 以前、こんな話を書きました。
 (2016年1月12日 「分身之術」 参照)


 30年以上も昔のこと。
 僕は、まだ駆け出しのタウン誌記者でした。
 取材で、さる彫刻家のアトリエを訪ねたときのことです。

 アトリエ内には木っ端が散乱し、所狭しと作品が置かれていました。
 木彫りの人形たちです。

 話を聞くと、実に自由奔放な作家でした。
 昼間は趣味に遊び、夜は友人たちと酒を呑む。
 「いったい、いつ、作品を作っているのだろう?」
 と心配になるほどの私生活でした。 


 インタビューが終わり、帰る間際に怒られるのを覚悟でズバリ、訊きました。
 「お話を聞く限り、大変お忙しいようですが、作品はいつ作られているのですか?」
 すると作家は、摩訶不思議な話をし出したのです。

 「1体だけ、ちゃんとしたモノを作ればいいんだよ。あとは俺が寝てても遊んでいても、こいつがもう1体作ってくれる。そして、そいつがもう1体。知らないうちに、こんなにも作品が増えているんだ」

 当時の僕には、いったい何のことを言ってるのか、さっぱり分かりませんでした。
 この言葉の意味を理解することができたのは、それから20年も後のことです。
 僕が温泉ライターとして、数冊の本を世に出してからでした。


 先日、県北部の小さな村に暮らす女性から電話がありました。
 何の用事かと思ったら、講演依頼でした。
 「会場は?」
 「K村です」
 「K村?」
 「はい、今度、立派なホールが完成するんです。そこで、ぜひ先生に講演をお願いしたくて……」

 なぜ、K村なのでしょうか?
 前橋や高崎の都市部での講演は、毎月のように行っていますが、ハッキリ言って山間部の町村からの依頼は大変稀なことです。
 話を聞けば、きっかけは、こういう事でした。


 この女性の高崎市在住の知り合いが、ある日、僕の講演を受講したそうです。
 知り合い、いわく、
 「とっても面白い話をされる先生だから、ぜひ、K村にも呼んだほうがいい」

 不思議なものです。
 都市部の公民館などでは、講師の情報を共有することがあり、バトンリレーのように立て続けに市内の公民館で講演をすることはありますが、いきなりK村とは、かなり遠くまで飛び火したものです。


 もちろん快く、お受けしましたが、その時やはり、あの彫刻家の言葉を思い出したのです。
 「1体だけ、ちゃんとしたモノを作ればいいんだよ。あとは俺が寝てても遊んでいても、こいつがもう1体作ってくれる」

 ちゃんとしたものを作れば、どこかで誰かが見ている、ということなんですね。


 改めて、彫刻家の言葉を嚙みしめて、一つ一つの仕事を丁寧にこなそうと思いました。
 N先生、素敵な言葉をありがとうございました。
  


Posted by 小暮 淳 at 13:46Comments(2)講演・セミナー

2023年08月20日

牧水が愛した群馬の地酒と温泉


 『“みなかみ紀行から見る” 牧水が愛した群馬の地酒と温泉』

 そんな演題で、講演を行います。
 長年、講演活動をしていますが、たぶん一番長いタイトルだと思います。
 ひと言でいえば、まあ、地酒大使と温泉ライターの合わせ技であります。
 そして、たとえるならば、一皿で二度美味しい 「カツカレー」 のようなものです。


 歌人の若山牧水は、群馬県に8回訪問しています。
 延べ約60日間滞在し、13編の紀行文と400ほどの歌を残しました。

 なかでも大正11(1922)年10月14日~28日、草津温泉(草津町) から白根温泉(片品村) までの9つの温泉をめぐりながら群馬を横断した紀行文 『みなかみ紀行』 は、文学ファンのみならず温泉ファンにも根強い人気があります。

 加え、牧水は無類の酒好きであります。
 どんだけ酒が好きなのかといえば、1日一人で1升を呑み、相手がいれば一人で2升呑んだと言われます。

 そんな酒好きで、温泉好きの牧水は、群馬のどんな温泉を訪れ、どんな酒を呑んだのか?
 温泉ライターとして、地酒大使として、その全行程を追いながら独断と偏見の仮説をお話ししたいと思います。


 興味と時間のある高崎在住の方は、僕の妄想話にお付き合いください。



    『“みなかみ紀行から見る” 牧水が愛した群馬の地酒と温泉』

 ●日時  2023年9月12日(火) 10:00~12:00
 ●会場  倉賀野公民館 3階ホール (高崎市倉賀野町1681-1)
 ●対象  高崎市内在住の成人
 ●定員  30人
 ●費用  無料
 ●講師  小暮 淳 (フリーライター)
 ●申込  倉賀野公民館窓口または電話にて。 TEL.027-346-2214
   


Posted by 小暮 淳 at 10:55Comments(2)講演・セミナー

2023年08月11日

自由研究と少女


 昨日の続きです。
 講演会場で、もう一つのサプライズがありました。


 講演終了後、著書を求める人が僕のまわりに集まりました。
 販売したのは、『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)。
 講演は、この本に書かれている話を中心に行いました。

 「やっと買えました」
 という人や、
 「書店で見て知っていたのですが、今日直接、先生から買おうと我慢していました」
 などという人もいて、サインするわずかな時間ですが、受講者との会話を楽しみました。


 そんな中、小学生高学年くらいの女の子を連れた婦人がいました。
 「2冊、いいですか?」

 複数冊購入する人には、それなりの理由があります。
 たとえば 「親しい友人にプレゼントするため」 とか、「1冊は読書用、もう1冊はコレクション用に」 なんていう人もいます。


 「2冊も、ありがとうございます」
 「ええ、1冊は私、もう1冊は、この子のです」
 母親は、さらに言葉を続けました。

 「先生のお話を聞いて、民話に興味を持ったみたいで、本を読みたいって言うんです」
 「えっ、そうなの?」
 僕は、女の子に話しかけました。
 すると、その子は、こう言いました。

 「はい、夏休みの自由研究にします」


 長年、本を書いて、講演活動を続けていますが、小学生が僕の本を夏休みの自由研究に使おうという話は、初めてです。
 驚くやら、照れるやら……
 あまりのうれしさに、孫のような少女を抱きしめたくなってしまいました。

 「本当? ありがとう! 群馬には面白い民話がたくさんあるからね。まず最初に、あなたが今住んでる所に伝わる民話から探してごらん。図書館で調べれば分かるから」
 そう言って、僕は本を手渡しました。
 「はい!」
 と元気よく、少女は明るい笑顔で本を受け取ってくれました。


 小さな出会いでしたが、僕にとっては新鮮で、今後の活動に大きな勇気と希望をもらいました。
 またいつか、どこかで少女と再会する日が来ることを願っています。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:58Comments(0)講演・セミナー

2023年08月10日

女子大生と花束


 一昨日、高崎市内の公民館で、約2時間にわたる講演を行ってきました。
 演題は 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の裏舞台』。

 それ、著書のタイトルじゃないかって?
 いえいえ、よーく見てください。
 “舞台” の前に、“裏” が付いているんです。

 ただの舞台じゃない!
 裏の舞台なんです(笑)。

 と言うことは、民話や伝説に隠されているトリックや仕掛けを暴いてしまうという講演なんですね。
 かれこれ5年ほど前から僕は、そんな謎解きをする講演活動を続けています。


 でも今回は、いつもと、ちょっと違いました。
 大概の場合、公民館での開催は平日であります。
 しかも、午前中が多いんですね。

 となると、受講できる人の年齢層は限られています。
 そう、比較的、時間が自由になるシニア層です。

 が今回は、違いました!
 確かにシニア層が多いのですが、会場には若い人もいます。
 聞けば、群馬大学や高崎経済大学の学生さんが、社会教育実習を兼ねて受講してくださっているとのことでした。
 また夏休みということもあり、母親に連れられて受講した小学生もいました。


 講演自体は、滞りなく、いつものように終了しました。
 サプライズが起きたのは、終了後のことです。
 司会が、マイクを取りました。

 「先生に、もう一度、温かい拍手をお願いします」
 ここまでは、よくある光景です。
 司会は、さらに言葉を続けました。

 「実は、今日は先生の誕生日なんです。おめでとうございます!」
 そして会場からは、もう一度、拍手が鳴り響きました。


 えっ!?
 戸惑う僕……

 65年間生きて来て、15年間の講演活動でも、こんなことは初めてです。

 すると!

 会場からは、さらに大きな拍手が沸き起こりました。
 な、な、なんと!
 一人の女子大生が花束を抱えて、壇上へ向かって歩いて来るではありませんか!

 ダメダメダメ~!!
 そんなことしたらダメです。
 オジサンは涙もろいんだから~!


 公民館側の粋な計らいだったのですね。
 事前打ち合わせの時に、つい僕が、「あっ、その日は誕生日なんです」 と漏らした言葉を覚えていてくれたようです。

 ありがとうございます。
 こんなにもたくさんの人たちに祝ってもらって、最高の誕生日になりました。

 僕の人生、まだまだ行けそうです。
 がんばりま~す!
   


Posted by 小暮 淳 at 11:21Comments(2)講演・セミナー

2023年07月07日

なぜ今、民話なのか?


 先日の会合でのこと。
 初めてお会いする男性から声をかけられました。
 「小暮さんって、あの民話の小暮さんですか?」

 この会合では、僕は “温泉ライター” の肩書で出席しています。
 なのに、この男性は、あえて “民話の” と訊ねてきたのです。
 聞けば、僕の読者でした。
 しかも、温泉ではなく、民話の。

 昨年、紀伊國屋書店 (前橋市) で開催された僕の 「著書フェア」 にも来てくださったようで、その時、初めて “温泉の本” も書いていることを知ったそうです。


 昨日は、こんな電話がありました。
 「○○公民館の××さんから紹介を受けました、△△公民館の□□と申します。ぜひ、うちでも講演をしていただきたいのですが?」
 県内の公民館同士で連絡網があるらしく、講演を行った公民館から紹介された新たな公民館から依頼が来ることは、珍しくありません。
 よくあることなので、もちろん快諾しました。

 ところが、いつもと違ったのは、この先でした。
 「お受けいたします。で、講演のテーマは、温泉でよろしいでしょうか?」
 「ええ、ああ……。できましたら民話でお願いしたいのでが……」
 「民話?」
 「はい、□□さんから先生の民話の話が、大変面白いと聞いたものですから」


 最近は、温泉よりも民話をテーマにした講演が増えているのは事実です。
 でも、それは一度、温泉の話をしたことのある会場からの依頼です。
 3回目の依頼を受ける場合は、地酒の話をしています。

 ということで、初めての会場からの依頼は、十中八九が “温泉” であります。
 なのに今回の△△公民館は、初回でありながら “民話” を希望してきたのです。
 もちろん、お受けしましたが、なんだか不思議な気持ちになりました。


 民話の話が、面白い?

 確かに温泉に比べると、創作の部分が多くなるのが民話や伝説の話です。
 カッパや天狗や座敷わらしなど、妖怪や幽霊の話も飛び出します。
 また、物語がありますから、村人などになりきって、演じることもできます。
 きっと、そんな奇想天外な創り話が “面白い” と思われているのかもしれませんね。


 <99%のウソと1%のマコト>
 <舞台があるかぎり謎は解ける>
 これは、演題に付いているサブコピーです。

 講演では、僕がまず、民話や伝説、言い伝え、迷信などの例を話します。
 果たして、この話は、何を伝えようとしているのでしょうか?
 今度は、会場のみなさんが考える番です。
 さあ、一緒に謎を解いてみましょう!
 となります。

 やっぱり、なんだか面白そうですね。


 まあ、民話でも温泉でも地酒でも、なんでも結構。
 必要とあらば、どこへでも馳せ参じまする。

 お電話、お待ちしていま~す!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:35Comments(0)講演・セミナー

2023年06月09日

吉井三山と羊太夫


 高崎市吉井町には、「吉井三山」 と呼ばれる山があります。
 牛伏山(うしぶせやま)、八束山(やつかやま)、朝日岳(あさひだけ)。
 すべて標高は500メートルにも満たない低山です。

 牛が伏せたような山容から、その名が付いた牛伏山には、こんな伝説があります。
 昔、山頂の松の木に天狗が住んでいました。
 天狗は町の娘に恋をしました。
 天狗は若者に姿を変え、牛に乗って毎日、娘に会いに行きました。
 しかし娘の心は動かず、あきらめきれない天狗は、娘の姿を山に変えてしまいました。

 その山が 「多胡美人」 と呼ばれる朝日岳だといいます。


 多胡とは、上野国多胡郡(こうづけのくにたごのこおり) のこと。
 吉井町の旧地名です。

 多胡といえば、『昔を語る 多胡の古碑』。
 群馬県民なら誰でも知っている 「上毛かるた」 の 「む」 の札です。
 日本三古碑の一つですが、この碑に 「羊」 という文字が書かれていることから 「羊太夫(ひつじだゆう)」 の伝説が生まれました。


 昔、奈良に都があった頃のこと。 
 八束山には城があり、藤原羊太夫宗勝という城主がいました。
 彼は文武両道にすぐれた若者で、領民からも慕われていました。

 ある日、その徳をうわさに聞いた長者から一頭の馬を献上されました。
 この馬が 「権田の栗毛」 といわれる上野国一の名馬でした。
 ところが、この馬、ただの名馬ではありません。

 一日で奈良の都を往復してしまうという駿馬だったのであります。
 (この続きは、各自でお調べください)



 ということで今週、僕は高崎市吉井町の吉井公民館にて、約2時間にわたる講演を行ってきました。
 演題は、「ぐんま謎学の旅 ~民話と伝説の舞台~」。

 さらに、副題が続きます。
 “民話や伝説は何を伝えようとしているのか?”
 “99%の嘘と1%の真”
 “舞台がある限り、謎は解ける!”


 僕は数年前から群馬県内の公民館をまわり、その土地にまつわる民話や伝説の話をしています。
 ただ物語の話をするだけなら本の朗読と変わりませんので、「なぜ?」 「どうして?」 「何を伝えようとしているのか?」 といった謎にせまり、その謎を会場のみなさんと一緒に解く講演を続けています。

 来月は、高崎市の北部の町へ行きます。
 どんな民話や伝説が眠っているのでしょうか?

 みなさんと一緒に解き明かしたいと思います。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:49Comments(0)講演・セミナー

2023年05月27日

5類の恩恵


 「○○公民館でお世話になったNです。この春から××公民館の勤務になりました。また、こちらでも講演をお願いできますか?」
 「△△公民館の I と申します。□□公民館から先生のことを紹介されました。ぜひ、うちでも、講演をお願いしたいのですが?」


 新型コロナウイルス感染症の位置づけが、5類に引き下げられました。
 これにより日本列島に、コロナ禍前の活気が戻りつつあります。
 今年のゴールデンウィークは、どこの観光地も、数年ぶりににぎわったようです。

 5類の恩恵は、僕にも兆しがあります。
 コロナ禍で中止になっていた、講演やセミナーの依頼が入るようになりました。

 また、各地の読者に会いに行けるんですね!
 著者として、ライターとして、こんなにうれしいことはありません。


 県外からの依頼は別として、県内で初めての会場の場合は、極力、打ち合わせを兼ねて、事前下見に出かけるようにしています。
 昨日は、高崎市南部のY公民館に行ってきました。

 「先生の噂は、かねがね聞いていまして、ぜひ、コロナが明けたら、うちでもお願いしたいと思っていました」
 と担当者。
 「で、講演のテーマは、温泉でよろしいですか?」

 最近は、2回、3回と呼ばれる公民館も多く、テーマは温泉に限らず、民話だったり、地酒だったりしますが、Y公民館では、初めての講演になります。
 よって、当然、県内数カ所の温泉大使を務める温泉ライターとしての依頼だと思い、そう訊ねました。

 ところが……

 「温泉の話もいいんですけど、できれば民話で、お願いできますでしょうか?」
 聞けば、自身が拙著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) の読者とのことでした。
 「あの本の中にも、Y町の伝説がありますよね。ぜひ、地元の人も知らない民話や伝説の話をしていただけたらと思います」

 Y町は、西上州の中でも民話の宝庫であります。
 著書に取り上げていない話が、まだまだあります。

 「Y町には面白い話が、たくさんあるんですよ。分かりました、民話と伝説でお受けいたします」


 ということで、打ち合わせ終了。
 その後、会場となる講堂に案内してもらい、演台やホワイトボードの位置、当日に必要な物などの確認をさせていただきました。

 来月、ここで2時間の講話をさせていただけるのですね。
 想像するだけで、ワクワクしてきました。

 何を話そうか?
 あれも、これも、話したいことばかりです。
 2時間で収まるだろうか?

 そんなことを考えているときが、一番楽しいのであります。


 これもすべて、5類に引き下げられたおかげです。
 感謝、感謝!

 少しずつでが、僕の日常もコロナ前に戻りつつあります。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:10Comments(0)講演・セミナー