温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2017年12月13日

今年の漢字


 今年も1年間の世相を反映する漢字一文字が発表されました。
 「北」 だそうです。

 昨年が 「金」 でしたからね。
 なんとも落差を感じます。
 北朝鮮の脅威におびえた年だったということでしょうか。


 さてさて、僕も恒例の個人的今年の漢字を発表したいと思います。
 一昨年が 「労」、昨年が 「奔」 でしたからね。
 疲れて、走り回ったあげくに、手にしたものとは?
 では、発表です!

 今年の漢字一文字は、「活」 です!


 理由は……
 その前に、ざっと1年間を振り返ってみたいと思います。

 なんといっても今年は、3つの “温泉大使” に任命されたことでしょうね。
 老神温泉大使(群馬県沼田市)、伊香保温泉大使(群馬県渋川市)、四万温泉大使(群馬県吾妻郡中之条町) です。
 昨年、みなかみ温泉大使(群馬県利根郡みなかみ町) と中之条町観光大使に任命されていますから、これで5つの大使を兼務することになりました。

 また今年は、シリーズ9冊目となる著書 『金銀名湯 伊香保温泉』(上毛新聞社) を出版しました。
 それに付随して、テレビやラジオの出演、講演会やセミナーの講師依頼が増えました。

 群馬テレビやエフエム群馬の生放送、NHKBSプレミアムの旅番組にも出演させていただきました。
 また講演会も多く開いていただきました。
 各温泉地のほか、群馬銀行様をはじめ、県内企業からも講師として呼ばれ、温泉の話をさせていただきました。
 ライフワークとして行っている市町村公民館での講座も、年々増えています。

 そうそう、今年は生まれてはじめて、サイン会を行いました。
 新刊 『金銀名湯 伊香保温泉』 の発売を記念して、紀伊国屋書店様が開催してくださいました。
 なんとも照れくさい、初体験でありました。

 変りダネでは、グループサウンズのザ・キャプテンズのレコーディングにも参加しました。
 メンバーとラジオ番組で知り合い、意気投合したのがきっかけです。
 『吾妻線~中之条バージョン』
 ぜひ、聴いてくださいね。
 僕は、コーラスを担当しています。

 テレビやラジオのほか、日経新聞と観光ガイドブック『d design travel 群馬』(ディアンドデパートメント) から取材を受けました。
 群馬の温泉の魅力を全国に知ってもらうことができたと、大変喜んでいます。


 と、いうことで今年の漢字は、活発に活動したということで、「活」 に決めました。

 みなさんの今年は、どんな漢字になりましたか?
   


Posted by 小暮 淳 at 12:01Comments(0)つれづれ

2017年12月05日

ようこそ、先輩!


 前橋市の南部郊外、田園風景に囲まれた、のどかな住宅地。
 ここに僕ら一家は、23年前に越してきました。

 小学生だった長女も、保育園児だった長男も、すでに成人して家を出て、家庭を持ちました。
 唯一、ここで生まれた次女だけが、まだ同居していますが、来年は高校を卒業します。
 県内での進学を希望しているようですが、いずれ、ここを出て行くのでしょうね。

 PTA役員、子供会長として、子育てをしながら地域の活動にも参加してきました。
 運動会、夏祭り、バス旅行、バーベキュー大会……
 子どもたちは大きくなって巣立って行きましたが、なぜか僕は、いまだに “子供会” の活動をしています。
 正式名は、「前橋市K地区子ども会育成連合会」 といいます。

 気が付いたら、役員をさせられていました。
 もう、自分の子どもは在籍していないのにね。
 先日の日曜日も 「ウォークラリー大会」 が行われ、スタッフとして借り出されました。


 公民館に、ゼッケンを付けた区域内の中学生が大勢集まりました。
 指導に当たる校長先生の姿もあります。

 「もしかしたらN先輩ではありませんか?」
 僕は勇気をふるって、H中学校の校長先生に声をかけました。
 「そうですけど……(少し間を置いて)。えっ、小暮君かい!?」
 「はい! 先輩、お久しぶりです」

 今秋、K地区で開催された市民運動会で、H中学校の校長先生としてあいさつをされたNさんを見かけました。
 その時から、今度お会いしたら、絶対に声をかけようと決めていたのです。
 Nさんは、僕の中学校時代の卓球部の先輩です。
 なんと、45年ぶりの再会であります。


 「小暮君、活躍しているじゃない。本も書いているよね」
 「えっ、僕のこと知っていたんですか?」
 「時々、新聞や雑誌にプロフィールが載っているよね。生まれ年を見て、あっ、小暮君だって思ったよ」

 それから気が付いたら2人は、30分以上も立ち話をしていました。
 まるで日記帳をめくるように、中学を卒業から今日までの互いの人生の道のりを告げていました。

 「で、今はH中学にいるわけ。もうすぐ定年退職だけどね」

 先輩の話によれば、昔は校内暴力で荒れた時代もあったけど、今の子は、おとなしいとか。
 その代わり、登校拒否が多くなったといいます。
 モンスターペアレントによるクレームも、年々過激になっているそうです。

 「定年まで、何事もないといいですね」
 「でもね、教育は守りに入ったらダメなんだよ。常に新しいことを考えていないと」
 「攻撃が、最大の防御っていうことですね?」
 「そのとおりだ」

 その言葉、僕らフリーランスの人間にも当てはまります。
 守るものなどないのだから、ひたすら攻め続けるしかありません。


 ありがとうございます。先輩!
 そして、ようこそ、先輩!
 我が地区へ。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:22Comments(0)つれづれ

2017年11月18日

憧憬と焦燥


 「ジュンちゃんはさ、お父さんを尊敬しているんだよね」
 話を聞いていたママが、カウンターの中から声をかけてきました。
 馴染みの酒場での1コマです。
 僕は常連客らと、両親の介護話をしていました。

 「えっ、……そうかなぁ~……」

 するとママは、言いました。
 「だって、世の中には親を介護する人と、しない人がいるじゃない。自分の親だっていったって、感謝や尊敬の気持ちがなけりゃ、できないわよ」
 含蓄のあるママの言葉に、しばし、うつむいてしまったのであります。


 先週末から今週にかけて、僕は久しぶりに実家に泊まりこんで、両親の介護をしてきました。
 ふだんはオヤジを我が家に連れてきて面倒を看ているのですが、アニキが不在のため余儀なく、“ダブル介護” をすることになったのです。

 実家のオヤジのベッドの壁には、大きな額が飾られています。
 その昔、国からいただいた賞状です。
 環境庁長官賞、長年の自然保護活動に対して、その功績が讃えられました。
 ※(詳しくは、当ブログの2013年8月17日「オヤジ史② キャサリン台風」参照)

 実家に泊まる時は、いつも目にしていたので、そこに、それがあるのは、当たり前の光景でした。
 あらためて、まじまじと見入ることなんてありません。
 でも、今回、見てしまったんです。
 そして、僕は愕然としました。

 授与された日付けです。
 昭和54年と記載されています。
 「しょうわ、ごじゅうよねん!」

 昭和54年といえば、僕は21歳です。
 当時は東京で、ライブハウスやストリートでパフォーマンスをしていた時代です。
 確かに覚えています。
 「お父さんが名誉ある賞をいただいたから、帰っておいで」 とオフクロに呼び戻された記憶が……
 市内のホテルで盛大に行われた祝賀会の様子さえ覚えています。

 「私は子供たちに財産を残してあげることは、できませんでした。でも、孫やひ孫の代まで、赤城山の自然を残してあげることができました」 と語ったオヤジのスピーチ。
 隣で、まるで子供のように嗚咽を上げ、しゃっくり泣きをしているオフクロの姿まで、ありありと思い出します。
 そのとき、マイクを向けられたオフクロの言葉さえも。

 「お父さんは、とっても才能のある人です。でも、私なんかと結婚しちゃったから、生きることで精一杯で、なかなか世の中に認めてはもらえませんでした。やっとこれで、お父さんの人生が報われました」
 と言って、泣きくずれた姿は、忘れることができません。


 でも、それは遠い遠い記憶です。
 自分の年齢は覚えていても、親の歳までは記憶にありません。

 昭和54年……

 オヤジは大正13年生まれですから、55歳だったんですね。
 今の僕より、4歳も若いんです。


 寝息を立てているオヤジを見ていて、無性に悔しさが込み上げてきました。
 どうして、もっと早く、オヤジに話を聞かなかったんだろう!
 もっともっと、教えてほしいことがあったのに!

 今では認知症状が進んでしまって、僕が誰かもわかりません。

 オヤジ、目を開けて、話してくれよ!
 男の生き方っていうやつをさ!
 もっともっともっと、俺に教えてくれよ!
   


Posted by 小暮 淳 at 23:25Comments(2)つれづれ

2017年11月16日

マロの独白(33) くっつき虫に御用心!


 こんばんワン! マロっす!!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才でやんす。

 読者のみなさん、お元気でしたか?
 ついこの間まで首に保冷剤を巻いて、ハアハア言っていたと思ったのに、もう、すっかり晩秋の気配です。
 朝夕は、めっきり寒くなりました。

 「秋の日はつるべ落とし」 とは、よく言ったもんですね。
 夕方も5時を過ぎたら、真っ暗ですもの。
 オイラの散歩の時間も、日に日に早くなっています。

 今日も行ってきましたよ。
 でも寒かった~!
 ご主人様なんて、今年初めて毛糸の帽子をかぶってました。
 オイラですか? オイラは一年中、同じ格好です。
 真っ赤なタンクトップでやんす!
 大主人様の言うところの 「赤ちゃんこ」 っていうやつです。

 「おお、なんだい、この犬は? 赤いちゃんこを着ているぞ! 犬が服を着ているぞ、ハハハ」
 て、会うたびに笑うんですよ。
 大主人様にとって、犬とは、屋外で飼う番犬と野良犬以外は考えられないらしいんですね。
 だから、オイラみたいに家の中で飼われている座敷犬という存在も理解できません。
 「うわっ、うわ~! 家の中になんか動物が入ってきた~!」
 って、いつも野良猫か野良犬あつかいなんです。


 さてさて、散歩が楽しい季節となりましたが、全国の愛犬のみなさんは、きっとオイラ同様、散歩のたびにご主人様に怒られているんでしょうね。
 何かって、「くっつき虫」 ですよ。くっつき虫!

 知らない人のためにご説明すると、くっつき虫とは、植物の種や実のことです。
 トゲトゲやイガイガが付いていて、動物や人間の服にくっついて運ばれる、頭のいい植物(雑草) です。
 一般的には長さ1~2センチほどのイガ(果苞) を付ける 「オナモミ」 という北アメリカ原産の一年草のことを呼ぶらしいんですけどね。
 でも、オイラの散歩コースには、くっつく虫の仲間がウジャウジャいるんですよ。


 「ほれ、マロ! そっちへ行くな!」
 と、ご主人様に大声で叫ばれては、リードを思いっきり引っ張られています。
 でも、道路の端を歩いているだけなんて、つまりませんものね。
 時々、オイラは草むらの中に突進して、遊んじゃうんでやんす。

 すると、ご主人様はオイラを草むらから引きずり出して、「バカマロ!」 と頭をコツンと叩いた後、「あああ、あああ、これ、取るの大変だぞ~!」 と、全身トゲトゲだらけのオイラを見て、ガックリと肩を落とすのでやんす。
 「ご主人様、ごめんなさい。もうしませんから、許してください」
 と、その時だけは反省をするんですけどね。
 これが、面白くって、やめられないんだワン!

 ちなみに、このトゲトゲの正体は、「センダングサ」 といいます。
 センダングサは、線状の種が放射線状に集まっていて、種の先端にはカギ状のトゲがあり、これがかたまりとなってドバッと毛にくっ付くんです。
 オイラ、チワワでも毛の長いロングコートっていう種類なんすよ。
 だから、くっ付く、くっ付く!

 「マロ、今度、草むらに入ったら、坊主にするからな!」
 ですって。
 ご主人様、それだけは勘弁してください。
 たまにしか入りませんから(テヘへへ)


 愛犬のみなさん、くっつき虫には、くれぐれも用心ですぞ!
  


Posted by 小暮 淳 at 18:49Comments(2)つれづれ

2017年11月13日

特殊任務遂行指令 「HHS」


 11月11日は、「介護の日」 だったんですってね。
 そんな日があるとは、知りませんでした。
 ま、僕にとっては毎週末が 「介護の日」 でありますから、取り立てて、その日に特別な親孝行をしようなんて思いませんでしたけれど。

 それよりも問題は、「11.12 HHS」 の日だったんであります。
 今年最大の介護任務遂行日です。


 オヤジは満93歳、身体は元気ですが重度の認知症で、要介護認定は2。
 オフクロは満90歳、脳梗塞と脳出血を患い車イス生活で、要介護認定は3。
 2人とも平日の4日間は、デイサービスとショートステイを組み合わせて、施設で看てもらっていますが、残りの3日間は在宅介護となります。

 僕は男だけの2人兄弟です。
 土~月曜日の3日間は、基本、アニキがオフクロを実家で看て、僕がオヤジを我が家に連れて来て看ています。
 が、今回は、アニキが東京の自宅へ帰ったため、僕が実家に泊まり込んでの “ダブル介護” となりました。

 それも、ただのダブり介護ではありません。
 日曜日に、なんと! 父方の本家にて、伯父の7回忌と伯母の1周忌を兼ねた小暮家の一大イベントが開催されることになったのです。
 その法要に、「どうしても出たいと」 とオフクロが言うのです。
 だからといって、オヤジを1人で実家に残すわけにはいきません。

 と、いうことで、特殊任務遂行指令 HHS (本家法要参席) が発令されたのであります。


 午前7時、起床
 1階リビングで寝ているオフクロと、2階和室で寝ているオヤジを叩き起こす。
 この日は、折りしも地元町内の廃品回収日。
 各部屋に暖房を入れた後、古紙を集め、玄関先に出す。

 午前7時30分、朝食
 朝は、2人ともパンとミルクと決まっています。
 オフクロは、どんなパンでも食べてくれるが、オヤジはやわらかいカステラ系か蒸しパン系でないと食べてくれない。
 オヤジは10分で完食。オフクロは1時間以上かかる。

 午前8時30分
 オヤジに血圧の薬1錠、オフクロは、あれやこれや9種類の錠剤を飲ませる。
 オフクロが、まだ完食しないので、オヤジの着替えを先行することに。
 「ほら、手上げて。次は足。ボタンは自分で止められるだろう。ネクタイは締められるの?」
 とかなんとか言いながら、15分で礼服を着せられた。

 午前9時
 立つこともままならないオフクロに服を着させるのは、至難の技。
 寝たきり生活のため、身体が硬直していて、思うようには動かない。
 「イタイ、痛いよう。イタタタターーーー!!」
 車イスに乗ったまま、なんとかオフクロにも上下礼服を “装着”。

 午前9時30分
 「オヤジもオフクロも、そこでジッとしててくれよな! オレはまだやることがあるんだからさ!」
 2人を各部屋に残して、僕は台所で洗い物を済ませ、2階のオヤジ専用トイレの掃除と、オフクロの簡易トイレの汚物処理に奔走すること20分。
 時計を見ると、もう、10時じゃないか!
 法要は11時からです。
 あわてて、自分も礼服に着替える。

 午前10時
 「トイレは? オシッコは出ないの?」
 オヤジを先に車に乗せようと、手を引いて駐車場へ。
 「出ない。さっきしたから」
 「じゃあ、オフクロを連れて来るから、ここで待っててくれよ。絶対、車から降りるなよな!」
 そう言って、オヤジを後部座席に乗せ、オフクロを助手席に乗せて、車イスをたたんでトランクに納めた時です。
 「オシッコ出る」 とオヤジ。
 「えっ、さっき出ないって言ったじゃない」
 「だって、出たくなっちゃったんだもの」
 「もーう、ったく!」

 ということで、出発したのは、だいぶ10時を過ぎてからでした。
 でも、小暮家の菩提寺は前橋市内なので、なんとかギリギリ、セーフ!

 僕の車が境内に着くと、いとこたちが駆け寄ってきてくれました。
 「ジュンちゃん、ご苦労さま」
 「私が叔母さんを看ます」
 「じゃあ、俺が叔父さんを看るよ」
 そう言って、みんなで両親を本堂まで連れて行ってくれました。


 ふーーーうううううう!!!

 車を降りた僕は、青空を見上げて、大きなため息をひとつ。
 特殊任務は、始まったばかりなのである。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:37Comments(0)つれづれ

2017年11月06日

「いまに見ていろ!」 の今


 歳を重ねるということは、涙もろくなるということのようです。
 それも、くやし涙が止まりません。

 この秋にスタートしたTBS系列のテレビドラマ、日曜劇場 『陸王』。
 原作は、『半沢直樹』 や 『下町ロケット』 シリーズで人気の作家・池井戸潤さんです。
 主人公は、老舗足袋業者の4代目社長。
 演じるのは、群馬県民には映画 『眠る男』 で主演を演じた馴染みの俳優、役所広司さん。
 足袋の需要が減少の一途をたどる中、会社の存続を賭けてランニングシューズの開発に挑みます。

 役所さんの演技に、やられっぱなしです。
 目を潤ませて語る、一語一句。
 「今やらずして、いつやるんだ!」
 「俺は、社員を信じている」
 語るたびに、涙がこぼれます。


 オレって、こんなに涙もろかったっけな?

 テレビを見ていて、何度も自問しました。
 悲しいからじゃありません。
 くやしいから、その、くやしい思いが主人公から伝わってくるんですね。

 たぶん、自営業やフリーランスで生きてきた人ならば、分かると思います。
 多かれ少なかれ、くやしい思いを飲み込んで生きていますからね。
 幾度となく、「いまに見ていろ!」 という捨てゼリフを吐いたことでしょう。

 でもね、僕が一番感情移入をするのは、主人公ではないんです。
 主人公に思いを寄せて、開発に力を貸す飯山という人物。
 名優、寺尾聰さんが演じます。

 彼は過去に、繭で作られた特殊素材の開発のために私産を投じて、会社を潰したことがある町工場の元社長。
 くやしさは、人一倍持っている人です。
 でも年齢を考えると、自力での再起は不可能でした。
 そんな時、主人公と出会い、心を動かされます。
 「いまに見ていろ!」 の再燃です。

 この飯山という男、原作では前橋生まれなんですね。
 そして、作中でポイントとなる新素材の開発は、群馬の産業である養蚕と製糸に深く関わっています。
 また先日は、群馬県庁前でエキストラ7,000人を集めたドラマのロケも行われました。
 よりドラマが身近に感じられ、熱い思いが伝わってきます。


 実は僕、若い頃から 「いまに見ていろ!」 が口ぐせなのです。
 若い時は先が長いので、いくらでも口にできたんですけどね。
 還暦間近になると、だんだん臆病になって、言葉にするのをためらってしまいます。

 「いまに見てろ、いまに見てろって、いったい今って、いつなのよ! そのうち死んじゃいますよ」
 何度、家人に言われたことか……

 でも、このドラマは教えてくれました。
 それは、「今でしょ!」 ってね。

 さあ、自営業およびフリーランスの中高年のみなさん!
 ネバー・ギブアップですぞ!
 いま一度、情熱の炎を燃やしましょう!
   


Posted by 小暮 淳 at 12:13Comments(0)つれづれ

2017年10月31日

遺伝子のバトン


 「あれ、お父さん、いたんだ!?」
 「そりゃ、オレのうちだもの、いるさ」
 「珍しいと思ってさ」

 先週の昼間、僕が一人で家にいると、ひょっこりと長男が顔を出しました。
 彼は昨年春に結婚をして、市内別所に新居を構えています。
 お嫁さんは現在、懐妊中です。

 「どうだい、Mさん(お嫁さんの名前) の体調は? 順調かい?」
 「そのことで来たんだよ。予定日より早くなりそう。もう、オシルシがあったって」
 「そうか……。本人は元気なのか?」
 「うん、それでさ、これにサインしてくれないかな」
 と手渡されたのは、出産の際に病院に提出する書類でした。
 僕は保証人の欄に、名前と電話番号、続柄に「義父」 と書きました。


 土曜日の午後、息子からメールが届きました。
 <10月28日13時7分 2,786グラム 男児誕生>

 添付された写真には、ベッドに横になるMさんに抱かれた赤子と一緒に、白衣を着た息子が写っています。
 分娩に立ち会ったようです。
 3人とも、実に幸せに満ちあふれた、いい顔をしています。

 「おめでとう!」
 メールを見ながら、そう、声に出して呼びかけました。


 不思議なものですね、人生って。
 30数年前に、バイト先で僕と家内が出会っただけなのに……

 数年後には子供が生まれて、数十年後には、その子供たちが親になり、新たな家族が加わります。
 これから先、20年後、30年後……
 僕が、この世から消えても、50年後、100年後……
 今まで先祖から脈々と続けられてきた “遺伝子のバトン” が、延々と渡され続けるのですね。


 25年前、僕はタウン誌の編集者をしていました。
 息子が生まれた翌月の編集後記に、こんなことを書いていました。
 <TO R(長男の名前) 君との長い人生が始まりました。いつの日か、酒を酌み交わす日を楽しみに待ってます。 FROM 父>

 今度は、「TO K(長女の長男)」 と 「TO S(長男の長男)」 の未来に向けてメッセージ送りたいと思います。

 <一緒に酒を飲もうぜ!!  FROM ジイジ>
   


Posted by 小暮 淳 at 11:36Comments(6)つれづれ

2017年10月23日

マロの独白(32) 寝る爺は育つ


 こんにちワン! マロっす!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。

 台風一過の青空が広がって、気持ちがいいでやんすね。
 ここんところ、ご主人様は不在が多いし、雨ばかり続いたせいで、とんと散歩がご無沙汰です。
 今日は、ご主人様も在宅だし、天気もいいし、久しぶりに散歩が行けて、うれしいワン!


 ところで、オイラたち犬属って、毎日何時間ぐらい寝ているか知ってますか?
 17時間も寝てるんですって。
 ま、1日2回の食事と散歩以外は、起きててもやることがないんですけどね。
 お子様たちが小さかった頃は、なんだかんだとオイラをおもちゃにして遊んでくれましたけど、今では誰もオイラをかまってくれませんもの。
 やっぱ、何もすることがないと、寝るしかありませんね。

 と、と、ところが!
 オイラより寝ている人が、いるんですよ!
 ご存知、大主人様(ご主人様の父上) です。

 毎週末、土~日~月と、我が家においでになるのですが、まー、起きていたためしがありません。
 トイレと食事と散歩以外は、ほとんど寝ています。
 たぶん20時間以上は寝ています。

 えっ、オイラと変わりないじゃないかって?
 いえいえ、オイラは眠くない時は目を開けてますけど、大主人様は、いつ見ても、座椅子に座ったまま目を閉じていますもの。

 でも仕方ないんですよね。
 目がよく見えないから、テレビも観れませんし、新聞も読めません。
 耳が聞こえないから、ラジオを聴くこともできません。
 結局、寝ているしかないのが現状です。

 さらに夜は、午後5時に夕飯を食べて、午後6時には就寝。
 起床は、翌日の午前8時です。
 布団の中だけで、14時間睡眠です!

 でもね、夜中は起きます。
 トイレに10回以上と、「体が、かゆい!」 と言っては飛び起きます。
 そのたびに、添い寝をしているご主人様が、背中をかいてあげたり、薬を塗ってあげています。
 (オイラは薄目を開けて、見ているだけだけど…)


 人間って、歳をとると、また赤ちゃんに戻ってしまうんですね。
 寝ているか、ミルクを飲むか、排泄をするか……
 でも、それが元気に育つ証拠です。

 “寝る子は育つ”

 我が家では、寝る爺が、すくすくと育っています。
 御歳、93歳!
 まだまだ育ちそうです。
  


Posted by 小暮 淳 at 15:06Comments(2)つれづれ

2017年10月13日

思い通りになることが多過ぎて


 ニュースを見るたび、聞くたび、読むたびに、怒りが込み上げてきます。
 今年6月に東名高速道路で起きた事故(?) のことです。
 目の前で両親を亡くした姉妹が、不憫でなりません。
 この子たちの未来に、幸多かれと願うばかりです。

 今日の新聞によれば、容疑者の男は、この事故の1ヶ月前にも、一般道で同様の妨害行為を3件も起こしているっていうじゃありませんか!(許せん)
 そもそも、自動車自体が走る凶器なのに、それを操作する人間が殺人鬼では、防ぎようがありませんって。
 刃物を振り回して歩いている、通り魔と同じです。

 刃物も自動車も、使いよう。
 正しく使えば、こんな便利なものはありません。
 でも……

 自動車の運転って、本来は特殊技能なんですよね。
 それが今では、誰も彼もが乗り回している。
 不適正な人間までもが、“技術” のみだけで免許を取得して、路上を走っています。
 精神面の適性検査はされずに。


 世の中が便利になればなるほど、そのモノを使いこなせない人間も増えます。
 この容疑者のような人間は、稀な存在なのかもしれません。
 でも、危険な運転をしている人って、けっこういますよね。

 便利になると、人間は我がままになるのかもしれません。
 なんでもかんでも思い通りになると、ちょっとやそっとのことが許せなくなってしまう。
 不便なことは我慢ができても、便利なことには我慢が効かなくなってしまうのかもしれません。

 ケータイもスマホもカーナビも、しかりです。
 ケータイがない頃は、待ち合わせに遅れても、会えなくても、みんな我慢してました。
 スマホがない頃は、一生懸命にパソコンを覚えて、ネット検索していました。
 カーナビがない頃は、前日から道路地図とにらめっこをして、行程を予習したものです。


 かつて僕は自分の著書の中で、便利な世の中のことを、こんなふうに書いたことがあります。

 <“便利” は、とてもいいことだ。便利な町は一見住みよさそうだ。(中略) 不便は、とても面倒臭いものだ。不便は人が手を一生懸命かけてあげないと、なかなか伝わらないものだ。だからコミュニケーションが必要になる。その逆で、便利に慣れてしまうと、人は手を抜くことをいつも考えるようになるだろう。> 『上毛カルテ』(上毛新聞社) 「いつか見ていた風景」 より

 思い通りにならないことが多いほうが、人は人にやさしくなれると思うのです。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:48Comments(0)つれづれ

2017年10月11日

2つの甲斐


 似ている言葉に、「やりがい」 と 「生きがい」 があります。

 ちなみに辞書(広辞苑) を引いてみると、「甲斐」 とは <行動の結果としてのききめ。効果。また、してみるだけの値打ち。> とあります。
 ゆえに、「やりがい」 は <するだけの値打ち。> であり、「生きがい」 とは <生きるはりあい。生きていて良かったと思えるようなこと。> となります。

 じっくりと読みくだくと、2つの言葉は似て非なることが分かります。
 「やりがい」 は、自分から求めていく能動的な思い。
 「生きがい」 は、結果を受け入れる受動的な思い。
 でしょうか?


 先日、新聞を読んでいたら、タレントで歌手の堺正章さんの言葉が目にとまりました。
 彼いわく、
 <やりがいと生きがいの両方を持つ大切さ。やりがいは仕事などお金が付いてくるもので、生きがいはお金を出してでも夢中になれるもの。>

 彼は、生きるコツについて話しているのですが、確かに、どちらか1つよりも人生は楽しく、より輝きそうです。
 でも、やはり 「やりがい」 は能動的であり、「生きがい」 は受動的なのであります。

 「やりがいのある仕事」 といえば、攻めています。
 これに対して 「子どもが生きがい」 といえば、受け身になります。
 だからでしょうか、僕には、まだ 「生きがい」 が見つからないのです。

 <お金を出してでも夢中になれるもの>
 ……思いつきません。


 で、いま僕は思っています。
 身体が動くうちは、「やりがい」 だけでいいかなって。
 将来、もし、思うように身体が動かなくなって、しかもお金があったなら、その時、「生きがい」 を見つけようと思います。


 あなたにとっての、「やりがい」 と 「生きがい」 は、なんですか?
  


Posted by 小暮 淳 at 11:04Comments(0)つれづれ

2017年10月04日

さらば、お上がり!


 もし僕に、人より秀でている特技があるとすれば、それは 「パンク直し」 です。
 15分もあれば、修理してしまいます。

 では、なぜ、そんな特技が身に付いたのか……


 クルマ嫌いの僕は、若い頃から移動手段は自転車か徒歩を心がけています。
 自宅から約5km以内なら徒歩、または自転車。
 5~10kmまでなら自転車。
 それ以上になると、仕方なくクルマを利用します。

 ということで、圧倒的に自転車を利用する頻度が高いわけです。
 当然、パンクはしますから、自分で修理をします。
 だって自転車屋に頼んだら1,000円以上しますからね。
 でも修理キットは、100円ショップでも売っていますから、自分で直したほうがダンゼン安いんです。


 ま、パンクなんて滅多にするもんじゃないんですけど、今年になって頻繁にパンクするようになりました。
 と思ったら、今月に入ったら、ほぼ毎日パンクです。
 直しても、直しても、一日経つとタイヤの空気が抜けています。
 仕方ありません。古い自転車ですから、寿命なんです。

 だって、僕の愛車は “お上がり” なんですから。
 “お下がり” じゃありませんよ、その逆です。
 次女が高校生になったときに通学用の新しい自転車を買ったので、前の自転車を僕が譲り受けたのであります。
 それ以前は、長男が高校を卒業した年に譲り受けた、やはり “お上がり” を乗っていました。

 だからボロなんです。
 タイヤのチューブだって、もう継ぎはぎだらけです。
 それでも 「もったいない、もったいない」 と言いながら、直し直し、だましだまし、乗っていたんです。


 でも、ついに断末魔は、やって来ました。

 タイヤからチューブを抜き出し、空気を入れて、水を張った洗面器に沈めると……
 ふだんなら、プクプクプクと1ヶ所から泡の粒が浮き上がるのですが、今回は違いました。

 ブク、ブクブクブク、ボワ~ン!

 見れば、5ヵ所くらいから一斉に泡があがり、その中の1ヵ所は完全にチューブが裂けていました。

 チーーーン!
 ご臨終です。


 さらば、お上がり!

 ごめんね。別れの時が来たよ。


 昨日、僕は新車を買いました。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:35Comments(2)つれづれ

2017年09月25日

マロの独白(31) 祝!大主人様


 こんばんワン! 散歩指導犬のマロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才でやんす。

 えー、読者のみなさんは、よくご存知だと思いますが、週末になると我が家には大主人様(ご主人様の父上) がやってまいります。
 かなりのご高齢でして、耳は遠いし、目もほとんど見えません。
 なにより認知症が、進んでおります。
 (オイラのことはネコだと思っているし、ご主人様のことは介護施設の職員だと思っています)

 でもね、若い頃から登山を趣味にしていただけあって、足腰はしっかりしているんですよ。
 だから週末は、オイラが先導しながら一緒に散歩を楽しんでおります。

 で、その大主人様が、93回目の誕生日をお迎えになられました!
 めでたいな、うれしいな、たのしいな、ルンルンルンって、ご主人様と3人(正確には2人と1匹ですが) で、いつものように散歩に出かけました。


 「じいさん、おめでとう」
 「なにがさ?」
 「誕生日だよ」
 「オレのか?」
 「そうだよ、今週、誕生日だったろう?」
 「……」

 散歩の途中で、ご主人様が大主人様の耳元で、大声で話しかけました。

 「じいさんの誕生日はいつだい?」
 「……、9月の……、20日だったかなぁ……」
 「そうだよ! いくつになったんだい?」
 「……、分からない」
 「いくつぐらいだと思う」

 すると大主人様ったら、ウケを狙ったとしか思えない大ボケをかましたのであります。

 「20歳や30歳っていうことは、ないやな」
 「そりゃ~、ないでしょう!(大笑)」
 「真面目に、考えてみなよ。生まれた年はいつだい?」
 「う~ん……、大正…13年だ」
 「ボケてないじゃない! じゃあ、いくつよ?」
 「……、80歳は過ぎてるかね? いったいオレはいくつになったんだい?」

 「きゅうじゅう、さん!」

 すると大主人様は、ご主人様の大きな声に負けじと、
 「きゅうじゅうさん!? そりゃ、本当かい? 驚いたな~」
 と大声を上げたあと、「ハハハハーー!!」 と入れ歯がはずれんばかりの大笑いをしたのであります。

 そして、ひと言
 「よし、100歳まで生きよう!」
 ですって。
 これには、さすがにご主人様も、
 「かんべんしてくれよ。こっちが先にくたばっちまうよ」
 とポツリ。
 ま、大主人様には聞こえないくらいの声でしたけどね。


 それにしても人間って、長生きなんですね。
 オイラたち犬属は、せいぜい15年くらいですからね。

 あと、4年かぁ~……
 オイラ、大主人様を看取ることができるんでしょうか?

 こうなったら、大主人様と長生き比べでやんす!
 (少なくとも歩くスピードは、オイラのほうが速いでやんす) 
  


Posted by 小暮 淳 at 19:37Comments(4)つれづれ

2017年09月23日

殺人トング?


 我が家から実家へ行く途中に、話題の惣菜店 「D」 があります。
 この店で食品を購入した人たちが腸管出血性大腸菌O-157に感染し、ついに死者まで出てしまいました。

 すでに閉店しているため、店内はブルーシートに覆われていて、駐車場は閑散としています。
 なのに昨日、1台のタクシーが停まっていました。
 信号待ちで見ていると、タクシーの中からテレビ局の腕章を付けた男性が出てきて、小型のカメラをまわしていました。

 事件は、まだ未解決です。


 “殺人トング”

 ドキッとする見出しが、目に飛び込んできました。
 昨日発売された週刊誌の記事です。

 最初、感染経路はポテトサラダだとされていました。
 ところが亡くなった女児は、ポテトサラダは食べていません。
 食べたのは、「D」 で買った炒め物の惣菜です。
 加熱食品です。

 これにより感染経路の特定は、製造場所から販売場所へと移行しました。
 そして浮上したのが、惣菜を客が取り分ける “トング” です。

 新たな容疑者の出現で、話は二転三転しています。
 「ファミレスのサラダバーは大丈夫なのか?」
 「ホテルのバイキングやビュッフェ形式の宴会・パーティーは?」

 いつしか、トングが悪者扱いです。
 まだ犯人だとは、決まったわけじゃないのにね。
 でも、テレビや雑誌などマスコミは、こぞってトング使用の危険性を報じています。

 疑わしきは、悪ですか?
 疑わしいのだから、なぜ原因が解明されるまで、報道を待てないのでしょうか?
 もし感染源や感染経路が、まったく別のところあったら、どうするのですか?
 責任はとれるのでしょうか?


 20日、群馬県と埼玉県と栃木県にある 「D」 の全17店舗が閉店してしまいました。
 僕のまわりでは、「おいしかったのに」 「便利だったのに」 と残念がる声が多く聞こえてきます。

 真実は、どこだ!

 一日も早い原因の究明が待たれます。
    


Posted by 小暮 淳 at 12:19Comments(0)つれづれ

2017年09月11日

マロの独白(30) ネコじゃないもん!


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。

 えー、チワワと申しましても、みなさんが良く知っている、あの目がクリクリっとしたアイドル犬ではありません。
 オイラ、ロングコートっていう種類で、目は小さいです。
 だから、よく散歩の途中で、
 「あら、変わったイヌね~」
 なんて、近所の人から訊かれることがあるのですが、ご主人様が
 「これでもチワワなんですよ」
 と答えています。

 “これでも” とは、失礼しちゃいます。
 れっきとした血統書付きのチワワですよ!


 でもね、こんなオイラを 「カッコイイ!」 と言ってくれる人もいたんですよ。
 長男のR様です。
 「マロってさ、たてがみが長くて、ライオンみたいでカッコイイよね」
 って。
 あの頃はR様も、まだ中学生でした。
 現在は所帯を持たれ、この家を出て行かれましたから、もう、オイラのことを、そんなふう褒めてくれる人は、いませんけど……

 最近は歳のせいもあり、食が細くなって、夏バテもしてて、かなりヤセ気味なんです。
 おまけに、夏は毛が抜けて、リビングが汚れるとかで、奥様に追い回されて、バッサリと自慢のロン毛を切られてしまいました。

 「ギャハハハ~、なんだマロ、その姿は? ちっちゃくなっちゃったな! ネコがいるんかと思ったよ」
 「ご主人様まで、ひどいじゃないですか。大主人様はご高齢で、目も良く見えないから仕方ないですけど、ご主人様までが……」
 「ごめん、ごめん。すねるなよ。ネコみたいに可愛いっていうことだよ」
 ですって。

 もう、放っといてください。
 チビで、ガリガリで、貧相だってことでしょ!


 昨日だって、散歩の途中で、知らない人に声をかけられました。
 「あらら、ちいっちゃくて可愛いですね。ネコみたい」
 そしたら、ご主人様は、なんて言ったと思いますか?

 「でもね、こいつ、こう見えて、おじいちゃんなんですよ。ハハハ」

 ご主人様!
 オイラ、ネコじゃないし、そんなに年寄りでもありませんからね。
 もう、傷つくんだから!

 早く、冬が来ないかな~。
 フッサフサになって、みんなに 「カッコイイ!」 って、言わせてやるワン!!!
  


Posted by 小暮 淳 at 17:40Comments(3)つれづれ

2017年09月01日

起承転結の 「結」


 僕は電車に乗るとき、必ず駅の売店で新聞を買います。
 雑誌でも、なんでもいいんですけど、活字を目で追っていないと落ち着かないのです。
 長距離の移動になると、新聞では活字の量が足りませんから、文庫本を持って行きます。

 が、「あれ、忘れた!」 と先日は、家を出てから文庫本を持たなかったことに気づきました。
 東京までの往復約4時間。
 間が持てるわけがありません。
 すぐに、書店に駆け込みました。

 でも、電車の発車時刻まで、あまり時間がありません。
 所要時間は、わずか5分!
 もう、衝動買いしかありません。
 なんでもいいから面白そうな本を……と、店頭の平積みを眺めていると……、真っ先に目に飛び込んできたタイトルが、

 『弘兼流 60歳からの手ぶら人生』(海竜社)

 著者は、漫画家の弘兼憲史さんです。
 『課長島耕作』 や 『黄昏流星群』 などで知られる有名な漫画家ですが、僕のお気に入りは、なんといっても 『人間交差点』 です。
 その昔、全シリーズをコンプリートとし、今でも時々、書庫から引っ張り出して来ては読んでいる “人生のバイブル” であります。

 迷うことなく本を手に取り、レジへ向かい、駅へと急ぎました。


 マイッタ~!

 電車に乗って、ページを開くなり、カウンターパンチを食らってしまいました。
 第1章の第1項から、いきなり <60歳というのは起承転結の「結」に突入する年齢です> と始まるのです。

 <現在の日本人の平均年齢は、男女ともに80歳を超えています。(中略) 物語的に言えば完全に終盤。いよいよ仕上の時の始まりです。> と。

 さすが漫画家らしく、<漫画も人生もエンディングが大事> だと “結末” の大切さを分かりやすく述べています。


 人生を4分割すると、
 生まれてから20歳までが、「起」。
 20歳から40歳までが、「承」。
 40歳から60歳まで、「転」。
 そして、残りの人生が 「結」 ということになります。

 いよいよ僕も来年は、還暦です。
 人生の結末を考える時がきました。

 振り返ってみると、それなりに生きてきたような気がします。

 表現することに目覚めた10代。
 表現することを始めた30代。
 表現を伝えることを知った50代。

 なんとか、起承転結の転までは生きてきました。
 さて、問題は最難関の 「結」 であります。

 終わり良ければ、すべて良し!

 自分は、どうやって、この人生を締めくくるのだろうか?
 と、あれやこれやと考えていたら、電車は東京に着いてしまいました。

 ま、80歳までは、あと20年もありますので、ゆっくり考えることにします。
  


Posted by 小暮 淳 at 14:14Comments(0)つれづれ

2017年08月27日

長者番付に載らなくても


 AKB48グループのプロデューサーであり、作詞家の秋元康氏の自叙伝的小説 『さらば、メルセデス』 に、こんな一節があります。

 <今朝の新聞の長者番付に、僕の名前が載っていた。(中略) 僕のような仕事をする者にとって、収入とは、実力のバロメーターだ。どんなに口で 「いいね」 と褒められるより、ギャラの額で評価された方がいい。>

 読んでいて、はたと、このページで手が止まってしまいました。

 若い頃なら、「所詮、秋元も拝金主義かよ!」 なんて思ったのかもしれません。
 または、「長者番付に載る人は、レベルが違う」 と敗北感を味わっていたかもしれません。
 でも僕が、ページをめくる手を止めたのは、そこではありません。

 “実力のバロメーター” という言葉です。

 「実力? 才能じゃないんだ!?」
 という、躊躇でした。
 久しぶりに、“実力” という言葉を目にした気がします。


 とかく、表現の世界で暮らしていると、“才能” という言葉に振り回されがちであります。
 ま、才能のアル、ナシで片付けてしまうと、物事は簡単ですし、人は結果に納得しやすいからです。
 でも、“実力” は違います。
 はるかに重い響きがあります。

 例えるならば、才能は 「瞬発力」 のようなもの。
 比べ、実力は 「持久力」 ではないでしょうか。
 才能があっても、実力がなければ、成功には導けません。
 逆に、才能はなくても、実力のみで地位を手にした人は、たくさんいます。

 その昔、プロ野球の張本選手が、スーパースターの長嶋茂雄のことを「天才」 と書いた新聞記者に、かみついたことがありました。
 「あんなに努力している人を、たった二文字で片付けるな!」と……。
 たぶん、僕は本を読んでいて、そのエピソードを思い出したんだと思います。


 <長者番付の他の人が、みんな、ひとつのことをやり遂げているのに、僕は、たまたま運よく時代の追い風に乗っただけだ。(中略) もっと、実態のあるものをやり遂げてからここに登場していたら、また、違っていたかもしれない。32歳の若さで、長者番付に載るほど、ギャラを稼ぐことに夢中になっていた自分が恥ずかしかった。>

 そして秋元氏は、富の象徴である愛車のメルセデス・ベンツを手放し、ニューヨークへと旅立って行きます。

 ま、凡人の僕が、とやかく言うことではありませんが、才能も実力も、上には上がいるということです。
 若い頃ならば、「今に見ていろ、俺だって!」 と拳を振り上げるのでしょうが、今となっては、ただただ人間としてのスケールの違いを感じるだけであります。
  


Posted by 小暮 淳 at 21:49Comments(2)つれづれ

2017年08月25日

居場所さがし


 「しいて言うなら、居場所だろうな」
 「居場所?」
 「そう、仕事でもないし、趣味でもない。我々の居場所なんだよ」

 先日の野外ライブを終えた晩のことです。
 旅館の一室にバンドのメンバーが集まり、打ち上げと称して酒盛りをしているときでした。
 「何で我々は、バンド活動を続けているのか?」
 という話題になりました。

 思えば20年近くも、こんなことを続けているのです。
 よくもまあ、飽きもせずにです。

 基本、僕らのバンドは報酬をいただきません。
 その代わり出演には、条件があります。
 ①宿泊施設を用意すること。
 ②酒は飲み放題とすること。
 以上です。

 要は、メンバー全員がのん兵衛なので、“金より酒” に釣られてしまうのであります。
 (主催者側にしてみれば、逆に高く付くバンドかもね)


 好きなことでも収入を得れば、それは仕事です。
 逆に、趣味にすると身銭を切って、投資をしてしまいます。
 まさに、僕らにとってバンドは、どちらでもない心地よい “居場所” ということになります。

 「たとえば、鍋奉行よ」
 ベース担当のS君が、さらに話を続けます。
 「鍋奉行は、他人に頼まれてやる仕事じゃない。本人が好んで自ら率先してやる役職だよ」
 「いわゆる、居場所だね」
 「そう、他人にも迷惑はかけないし、かえって喜ばれることのほうが多い」
 「この、誰にも迷惑をかけないというのは、“居場所” の第一条件になりそうだね」
 「ジュンちゃんは、ほかに居場所があるかい?」

 そう言われて、ハタと考えてしまいました。
 好きなこと、興味のあることはたくさんあるのですが、なんだかみんな仕事になってしまっているのです。
 温泉も登山も、昔は趣味だったんですけどね。

 趣味を仕事にしてしまうと、とどのつまり居場所がなくなってしまうのかもしれませんね。
 残りの人生は、バンド以外の “居場所さがし” ということになりそうです。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:10Comments(3)つれづれ

2017年08月14日

マロの独白(29) 散歩指導犬


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。
 お久しぶりでやんした!

 えー、なんとも、おかしな夏ですね。
 猛暑かと思えば梅雨のような空模様が続いたり、陽気の変化に体がついていけませんって。
 読者のみなさんは、体調を崩していませんか?
 オイラはね、ちょっと夏ヤセしたみたいです。
 そう、ご主人様がオイラを抱いて、言ってました。


 「マロ、誕生日が来たら、急に老け込んだな!」
 「えっ……、ですか?」
 「ああ、なんか肌にハリがなくなっというか……」
 「ご主人様ったら、オイラは、けむくじゃらですよ。肌は露出してませんって」
 「だよな。でもなんだか顔が小さくなったようだし、ほら、あばら骨が見えるぞ」
 「夏バテっていうやつですかね?」
 「だったら、ほれ、栄養つけろ!」
 そう言って、ジャーキーを袋から取り出して、オイラにくれました。

 すでに読者のみなさんもご存知のように、週末になると我が家には大主人様(ご主人様の父上) がやって参ります。
 土曜日の午後に来て、月曜日の午後に帰って行くのですが、大主人様が来ると、なぜか、ご主人様は必ずオイラにジャーキーやらビスケットなどのおやつをくださるのです。

 「ねえねえ、ご主人様。大主人様が来られると、どうしていつもオイラにおやつをくださるのですか?」
 「これは、ご褒美なんだって」
 「“なんだって”って、誰からですか?」
 「おばあちゃんからだよ」
 「えっ、大奥様からですか~!!」

 なんでも、ご主人様が実家に大主人様を迎えに行くと、必ず大奥様が、
 「これで何か、おいしいものをマロに買ってやっておくれ」
 と言って、お小遣いをくださるそうです。
 「いつもマロには、お父さんが世話になっているからさ」
 ですって。
 大奥様は、オイラが散歩の時に、大主人様の道案内をしていることを知っているのでございます。

 「と、いうことだ。マロ指導員、いや、散歩指導犬だな。今日もよろしく頼んだぞ」
 「おまかせください、ご主人様! さあ、参りましょう! ワンワンワン」


 オイラが先頭になって歩き、左手にリードを持ったご主人様が続き、その後ろから杖を突いた大主人様がついてきます。
 もちろん、ご主人様の右手に引かれてですけど……。
 ほほえましい光景でございましょ!

 ただね、相変わらず大主人様は、オイラのことが分かってないんでやんすよ。

 「おい、なんか、いるぞ! あれはネコか、イヌか、なんだ!?」
 ってね。
 でも、いいんですよ。
 オイラは、こうして、ご主人様のお役に立てているだけで幸せなんだワン!

   


Posted by 小暮 淳 at 16:12Comments(2)つれづれ

2017年08月10日

見えるって、いいね。


 <良かったですね!これで淳ちゃんの活躍する新聞も雑誌も読めて、楽しい余生が送れますね。>
 “介友” からメールが届きました。

 介友とは、親の介護をしている友人のことです。
 いつしか同じ境遇の友人らと、不定期に近況を報告するメールのやり取りが始まっていました。


 先週、オフクロ(90歳) が白内障の手術を終え、退院しました。
 アニキと相談の末、残りの人生を楽しんでもらおうと、思い切って両眼を施術しました。

 「おっ、ちょいワルばあさん! お帰り」
 アニキに車イスを押されて帰って来たオフクロは、黒いサングラスをかけています。

 「痛くなかったかい?」
 「全然、あっという間に終わっていた」
 「良かったね、これで何でも見れるようになるよ」
 「楽しみだね」


 数日後、実家を訪ねると、イスに座ったオフクロが新聞を見ていました。

 「おお~、新聞が読めるようになったか!」
 「大きい字ならね」
 「小さい字は?」
 「ルーペを使えば見えるよ」

 良かった、良かった。本当に良かった。
 介友が言うように、今までは僕が新聞に載ると、記事を読んで聴かせていたのです。
 これで好きな時に、自分で読むことができます。

 なんだか最後の最後に親孝行ができたようで、アニキと一緒に喜びました。


 「あれ、お前! 急に、どうしたんだい?」
 「なにがさ?」
 「頭が、真っ白だよ」

 良かった、良かった。
 やっぱり、今までは見えていなかったんですね。

 「そうだよ。オレも来年、還暦だからね」
 「そうだね。仕方ないね」

 オフクロは、うれしそうに、また新聞を読み出しました。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:58Comments(2)つれづれ

2017年08月08日

青春が終わらないもどかしさ


 「あと、10年かな……」
 先日のライブの帰り道、バンマスが独り言のように言いました。

 我がオヤジバンドの平均年齢は、57.7歳。
 バンマスは最年長の60代半ばです。
 あと何年 “生きられるか?”
 “寿命” について話していました。

 10年とは、生涯寿命のことなのか?
 それとも、健康寿命のことなのか?

 「10年っていうことは、ないでしょう!?」
 「いや、がんばって10年ですよ」


 僕らバンドのメンバーは、全員が組織に属さないフリーランスの人間です。
 アートディレクター、カメラマン、デザイナー、そしてライター。
 仕事に定年は、ありません。
 生きている限り、働き続けなければならない人間なのです。

 「健康寿命」 = 「現役寿命」 ということになります。


 今日(8月8日) 僕は、59回目の誕生日を迎えました。
 還暦に、リーチがかかりました。
 まっとうな生き方をしていれば、現役をリタイヤして、悠々自適な余生を送る準備に入る年齢です。

 “あと10年”

 健康でいられれば、80歳でも90歳でも現役でいられるかもしれません。
 でも、やっぱり、全力疾走できるのは、あと10年くらいかもしれません。
 いえいえ、体力と気力の無茶が利くのは、5年かもしれません。
 残りの5年は、知力と人脈で乗り越えるしかありません。


 毎年、誕生日を迎えると、僕は 「アイツ」 のことを思い出します。
 アイツとは、20歳の頃の自分です。
 生意気なヤツだけど、今でも僕にとっては “人生の師” なのであります。

 やりたかったこと、
 やれなかったこと、
 やらなかったこと、
 まだ、やれること……

 走馬灯のように、頭の中をめぐります。


 「よっ、元気? 39年後のオレって、どんなよ?」
 アイツの言葉に、今日は一日、素直に答えようと思います。

 青春が終わらない、もどかしさを感じながら……
  


Posted by 小暮 淳 at 11:14Comments(4)つれづれ