温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2024年04月15日

時が止まった町


 僕が暮らす町には、「堀払い」 という恒例行事があります。

 「堀払い」 とは?
 読んで字のごとく、堀を払う作業です。
 いわゆる側溝に溜まった泥やゴミを除去する清掃活動です。

 昨日は、そんな年に1回の 「堀払い」 の日でした。


 午前8時、長靴をはいて、スコップを手にした老若男女が、町内の1カ所に集まりました。
 その後、班ごとに分かれ、役割分担された側溝に入り、清掃作業が始まりました。

 作業開始、直前のこと。
 「小暮さん、聴いたよ」
 と、隣の班の男性から声をかけられました。

 “聴いた” と言われれば、先週放送されたエフエム群馬のニュース番組に出演した時のことかと思い、「ありがとうございます」 と返しました。
 が、その次に出た言葉に、ビックリ!
 「安住さんが、師匠って呼んでましたね」


 えっ、ええええーーー!!
 いつの話ですか?
 アナウンサーの安住紳一郎さんが、ラジオ番組 『安住紳一郎の日曜天国』 の中で、僕の話をしたのって2年以上も前の話ですよ!

 ていうか、この男性、確か2年前の 「堀払い」 の時も僕に声をかけて来て、同じ話をしました。
 (2022年4月11日 「安住効果の余韻」 参照)

 もしかして、この人、2年前から時間が止まってしまっているのかしらん?


 先日、こんなこともありました。
 自治会費を納めに、班長の家へ行った時のことです。
 奥さんが出て来て、
 「小暮さん、すごいわね。えーと、えーと、なんていう番組でしたっけ?」

 当然、番組といわれれば、僕は昨年出演したフジテレビの 『ホンマでっか!TV』 だと思ったわけです。
 「明石家さんまさんの番組ですか? 観てくださったんですか?」
 と言うと、
 「いえいえ、ほら、アナウンサーの……。そう、安住さんの番組! 小暮さんのことを話していたわよ~!」

 って、やっぱり、それなの?
 その放送って、2022年12月ですよ!
 いまだに町内では、話題になっているんですかね?

 恐るべし、安住紳一郎効果!


 ていうか、この町には安住ファンが多いのか?
 それともTBSラジオしか聴けないのか?

 この町は、完全に時が止まっているようです。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:39Comments(0)つれづれ

2024年04月13日

A I よ、やっちまったな!


 「小暮さんは、まっ先に否定すると思いました」

 何のことかといえば、生成AI (人工知能) のことです。
 1年前、文章を作成する対話型AI 「チャットGPT」 を業務に導入したという出版関係の人との雑談の席でした。


 僕も長年、雑誌の編集業界にいましたからね。
 その業務の大変さは、知っています。
 特に、イベントや街ネタなどの細かい情報の処理は、時間と手間がかかる作業です。
 そのために人を雇えば、人件費がかさみます。

 その点、チャットGPTを利用すれば、同じような文章を数秒で仕上げてくれるのですから、利用しない手はありません。
 しかも、人間のように文句や愚痴は言いません。

 世の中は、ここまで来てしまったのです。
 スーパーの無人レジと同じです。
 人手不足の時代、“便利” には勝てないのです。


 そんな折、AIをめぐる前代未聞の珍事が起こりました。
 AIで作った脚本を声優が朗読するというイベントが、急きょ、中止となりました。

 理由は、簡単です。

 AIは、膨大なデータを学習して、文章を仕上げています。
 ということは、過去の脚本などの著作物を無断で学習している可能性があります。

 「盗作脚本ではないか!」
 という声が上がっても、仕方ありません。

 さらに矛先は、演じる声優たちにも向きました。
 「出演する声優は応援しない」
 「中止すべきだ」
 といった批判的な意見が寄せられ、イベントは中止となりました。


 やっちまったな、AI!

 いずれこんなことが起こるのではないかと、思っていたんですよ。
 だって、すべてにおいて進歩が優先で、何の法整備もせずに世の中が構築され続けているのですから。

 いずれ、声優も要らなくなってしまうのでは?
 そんな心配もしてしまいます。
 だって、声優の声をAIに学習させれば、いいわけですから。


 恐ろしい時代になりました。

 人間にできるとこ、人間だからだきること、人間にしかできないこと……
 進歩の前に、一度、立ち止まって考えた方が、いいんじゃないですかね。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:30Comments(3)つれづれ

2024年04月10日

天才は忘れた頃にやって来る?


 大谷翔平、藤井聡太、小暮淳

 さて、この3人に共通するものは、何でしょうか?


 チ、チ、チ、チ……(ストップウォッチ音)
 人間とか、男性とか、イケメンではありません。
 チ、チ、チ、チ、……


 正解は、「睡眠時間」 です。


 大谷選手は、飛行機の移動や遠征先でも、睡眠時間の確保を優先することで知られています。
 藤井名人は、テレビ番組で、「毎日午後11時くらいに寝て、朝の9時くらいに起きることもある」 と言っています。

 ともに約10時間の睡眠時間を取っています。
 天才は、よく眠るのです。


 僕もよく眠ります。
 平均約9時間は、寝ています。

 仕事の都合で、7~8時間の時もありますが、この日は、あまり体調が優れません。
 昼食後に眠くなり、午後に仮眠をとりたくなります。
 やはり、ベストは約9時間です。
 たまに10時超えもありますが、寝過ぎも体がだるくなるので、要注意です。


 みなさんの睡眠時間は、何時間ですか?
 「年齢に応じた適切な睡眠時間」 というのがあるので、紹介します。
 一般的な睡眠時間の平均値は、以下のとおりです。

 ~10歳    約8~9時間
 15~24歳  約7~8時間
 25~49歳  約6~7時間
 65歳~    約6時間
  (厚生労働省 「健康実態調査」 より)

 これを見ると、65歳以上は、たった6時間の睡眠で十分なんですね。
 今の僕には考えられません。
 6時間では、体力も知力も持ちませんって!

 ま、睡眠には個人差がありますからね。
 自分にとって、ベストな睡眠時間を維持することが、健康の基になるんじゃないでしょうか!?


 寝る子は育つといいます。
 確かに、2人の天才は睡眠により、立派に才能を開花しました。

 えっ?
 3人目は比較にもならない凡人だって?
 いえいえ、僕だって幼少の頃は “神童” と呼ばれていたんです。
 大人になってからは、なかなか華が開かず、“大器晩成” と言われ続けてきました。

 前期高齢者となった今、いつでも 「晩成」 を迎える準備はできています。
 ただ問題は、「大器」 かどうか? なんですけど……

 “天才は忘れた頃にやって来る” といいます。
 首を長~くして、待つことにします。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(0)つれづれ

2024年04月05日

大和魂が震える日


 昔、オヤジは巨人が負けると喜んで、長嶋がホームランを打つと喜んでいました。

 矛盾しているように思われますが、当時は珍しくなかったようで、そんな野球ファンがたくさんいました。
 いわゆる、“アンチ巨人の長嶋びいき“” という人たちです。


 でも今になって、その気持ちが分かるような気がします。
 僕は、野球オンチです。
 生まれてこの方、野球の観戦はおろか、テレビ中継さえ、ちゃんと見たことはありません。

 そう、大谷翔平の存在を知るまでは……


 昨日、その大谷翔平が米大リーグ・ドジャースの移籍後初の第1号ホームランを打ちました。
 その映像を観て、感極まり、目頭を熱くしている自分がいました。

 これって、何ですか?

 たぶん、日本中で野球オンチのにわかファンが、同じ気持ちになったんじゃありませんかね。
 「野球は、よくわからないけど、大谷は好き」
 という、なんとも不思議な連帯感が生まれています。

 いうなれば、そのスポーツのことは何も知らないけれど、オリンピックの日本代表選手を応援しているときの心情です。
 こんなとき、僕は自分が日本人であること確信します。

 大和魂なんですね。


 大谷という日本を代表する選手が、野球の本場アメリカで、一流の選手たち相手に、バッタバッタとホールランを打つ。
 昭和のプロレスやキックボクシングの観戦を思い出します。

 行け、力道山!
 行け、沢村!

 そして今は、打て、大谷!


 野球には興味がないけれど、これからも大谷翔平を応援します。
 だって、大谷が活躍した日は、魂が震えるんですもの。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:19Comments(2)つれづれ

2024年04月03日

死に急ぐ子どもたち➁ コロナの弊害


 <これまで以上に自殺リスクが高い状態が続く可能性が高い>

 2021年のコロナ禍に、さる大学教授が発表した言葉です。
 自粛→コミュニケーション不足→孤立化→孤独化
 その結果、18歳以下の自殺者数が過去最高になった年の新聞記事で見つけた言葉です。

 あれから3年。
 悲しいかな、教授の言葉は的中してしまいました。


 先日、厚生労働省と警察庁は、2023年の自殺者数の確定値を発表しました。
 それによれば、小中高生は計513人で、1980年の統計開始以降最多だった2022年の514人に次いで多かったといいます。
 “次いで” といっても、たった1人違いですからね。
 最多が続いている、危機的な状態には変わりありません。

 「行動制限が長く続いたコロナ禍で対人関係を学べず、学校や家庭での悩みが深刻化している可能性がある」
 (厚労省の担当者)

 自殺の原因・動機別では、「心身の健康問題」 「学業不振」 「交際問題」 「家庭問題」 が多かったといいますが、不思議なのは男子が減少しているのに対して、女子が増加傾向にあるということ。
 なぜ、なんでしょう?


 一方、自殺者の総数は前年から44人減って、2万1837人。
 一時の3万人超えからみれば、減少傾向にあります。
 ところが、全体では男性が増加、女性が減少しています。
 
 これは、むべなるかな。
 18歳以下とは、自殺の原因・動機が明らかに異なります。
 「経済・生活問題」 がダントツ。
 物価高を背景に、経済的に困窮する人が増えているからです。


 僕は、大人たちの自殺に、とやかく言うつもりはありません。
 でも、子どもの自殺は見過ごせません。
 学校と家庭という、小さな世界しか見ていないのです。
 その外に出れば、未知の自由が広がっていることを教えてあげたい。

 だから、子どもたちよ!
 今が嫌だったら、逃げろ!
 逃げて、逃げて、逃げまくれ!

 逃げ切った先には、キミを理解してくれる大人たちがいるから!
 それまで、歯を食いしばって、逃げ続けるんだ!
 死に急ぐ必要はないぞ!

 キミの心と命は、この世でたった一つの尊いものなんだよ。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(2)つれづれ

2024年03月31日

うらやましき副業


 「小暮さんは、増刷ありますか?」
 「うん、3冊かな」
 「いいなぁ~、僕はまだ1冊もないんですよ」

 過日、ある会合で、東京在住の作家と同席しました。
 彼は、まだ50代前半。
 でも作家歴は長く、すでに20冊を超える著書を世に出しています。

 ただ話を聞くと、かなりマニアックなオタク系の本ばかりです。
 失礼ながら、僕も彼の名前は知りませんでした。


 酒の力も借りて、僕らは互いの活動について、さらに深く語り合い出しました。
 いわゆる執筆活動についてです。
 彼は近々、また新刊が出るといいます。

 「でもね、なかなか食えないんですよ」
 「そんな~、そんだけ本を出していて?」
 「増刷のない、初版消えの物書きですからね」

 少し間が空いて、彼がポツリと言いました。
 「だから副業をしているんです」
 「副業?」
 「ええ、週3日だけ」


 週3日の副業って、何だろう?
 僕の脳裏には、手軽にできるコンビニや宅配便のバイトが浮かびました。
 「作家を続けるって、大変なんだな~」
 と思っていると、彼の口から驚くべき事実が告げられました。

 「ええ、医者やってるんです」
 「い、い、いしゃ~!?」
 「はい」


 後日、僕は彼の名前をネットで検索しました。
 すると大量の著作品が表示されました。
 また確かに、プロフィール欄には 「医者」 の記述もありました。

 今度は、医者としての彼を検索してみました。
 すると……
 ギェ、ギェギェギェーーーーーッ!!!!

 なんと、そこには 「○○クリニック 院長」 の文字が!
 ○○は、彼の名字です。


 これが、副業ですか?
 生まれて初めて僕は、医者が副業の人と会いました。

 でもね、彼にとって、もっとも情熱を注ぎ続けられる仕事が、本業だということなんですね。


 「新刊が出たら送りますね」
 一夜明けた翌朝、見送る彼に僕も手を振りました。
 「楽しみにしているよ」

 なんとも気持ちのいい、さわやかな男でした。 
   


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(0)つれづれ

2024年03月29日

遭わなかった小学生


 テレビのニュースやワイドショーで、大谷翔平を見ない日はありません。
 大谷選手本人の活躍もさることながら、このところもっぱらの話題は、元通訳のスポーツ賭博をめぐる問題です。

 “ギャンブル依存症”

 言葉は知っていても、麻薬依存症同様、身近にはいません。
 でも、ギャンブル依存症は、日常生活や社会生活に支障が生じ、治療を必要とする病気なんですね。


 依然、僕がスマホを持っていないからでしょうか?
 僕から見れば、スマホをいじっている人は、すべて依存症に見えてしまいます。

 実際に依存症にかかってしまった人も多いらしく、“スマホ断ち” を行っている人が増えているそうです。
 先日、テレビでやっていたのは、山奥の電気がなくランプで過ごす一軒宿にやって来る若者たちの実態。
 その目的とは?

 「電気と電波のない環境に身を置かないと、スマホ断ちができないから」
 とのことでした。


 そんなスマホ依存症は、スマホの普及とともに低年齢化を招いています。
 数日前の新聞に、ショッキングな記事を見つけました。

 ≪SNS原因 児童被害139人≫
 ≪23年最多 大半が性犯罪≫


 警視庁は、2023年にネット交流サービス(SNS)のやり取りをきっかけに犯罪の被害に遭った小学生が139人(前年比25人増)だったと発表しました。
 統計のある2008年以降で最多となり、2013年(28人)の約5倍に増えたと報じています。
 警視庁によれば、小学生のスマホの利用率が高くなっていることが背景にあるとのことです。

 内閣府の調査によると、小学生のスマホの利用率は2018年度の45.9%から、2022年度には59.5%に上昇。
 現在の利用率は、それ以上になっています。


 アナログ派の僕には、まったくもって訳が分かりません。
 スマホを持っている皆さんには、なぜ小学生が性犯罪の被害者になってしまうかが、分かるんでしょうね。

 新聞によれば、“出遭い” は、こうでした。
 <被害に遭った小学生のうち、94人は自身の投稿をきっかけに加害者と知り合っていた。>
 <知り合ったSNSなどはティックトックやインスタグラムが多いが、オンラインゲームの割合も中高生らを含めた全体(5.3%)より高い18.0%だった。>

 年齢別の被害では11~12歳が最も多く、犯罪の種類別では「児童ポルノ」 「不同意性交等」 「不同意わいせつ」 の順に多く、この3つで約8割を占めています。
 スマホがなかったら、犯罪に遭わなかった小学生たちです。


 いやはや、令和という時代は訳が分かりません。
 昭和人間には、世の中がハイテク過ぎて、ついていけないのです。

 でも、犯罪は犯罪です!
 どんなに便利になろうが、子どもたちの安全は、大人たちが守ってやるしかないのです。


 あなたはスマホ依存症、大丈夫ですか? 
   


Posted by 小暮 淳 at 10:46Comments(0)つれづれ

2024年03月26日

徳積貯金


 彼岸に墓参りをしたからでしょうか?

 なんだか、このところ毎日が、トントン拍子に進んでいます。 
 会いたいと思っていた人と偶然に会ったり、疎遠で連絡を取りたいと思っていた人から突然電話が来たり、なかなか予約が取れない歯医者の予約が希望日に取れたり……。
 キャンセルになった日に、すぐさま別の仕事の依頼が入ったこともありました。
 偶然に偶然が重なって、3日かかる取材が1日で済んだこともあります。


 ここまで運気が上昇すると、怖いくらいです。

 でも、死んだオフクロなら、こんな時、こう言うんでしょうね。
 「今まで徳を積んできたからだよ」 と。


 晩年、オフクロは寝たきりの生活をしていました。
 ときどき僕は、実家に泊まり込み、食事や下の世話をしていました。
 そして、オフクロが起きている時はベッドの隣のイスに腰かけて、話し相手になりました。

 話し相手といっても、寝たきり老人ですからね。
 オフクロの話題は、読んだ本とラジオで聴いた話くらいなものです。
 もっぱら僕が、仕事で行った温泉の話や取材先での出来事などを話していました。

 ついつい、愚痴をこぼしてしまう時もありました。
 友人や家族にも言えないことも、なぜかオフクロには言えるんですね。


 やることなすことが、うまくいかない時は、必ず、こう言われました。
 「徳が足りないからだよ。もっと徳を積みなさい」
 そして、本の出版が決まったり、テレビやラジオに出演をした時など、いいことがあると、こう言うのです。
 「徳を積んできたからだよ。神様は、ちゃんと見ているんだからね」

 爾来(じらい)、僕は、どんな嫌なことが起きても、「今は徳を積んでいるんだ」 と思えるようになりました。


 でも、これだけ毎日がトントン拍子に進むと、この先が不安になります。
 いったい、あと、どれくらい積んだ徳は残っているのでしょうか?
 そろそろ、使い果たしてしまうのではないでしょうか?

 やがて、残高不足の知らせが来るようで、心配になります。


 かーちゃん、徳の積立貯金の残高って、どうすれば調べられるんだよ?
 そこんところ、教えてくなかったじゃねーか!

 なに?
 「そんな心配をする前に、コツコツと徳を積みなさい」
 ってか!?


 コツコツ、コツコツだね。
 わかったよ、かーちゃん!
 次は、5月の命日に報告に行くからね。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:54Comments(2)つれづれ

2024年03月22日

光の鎖が見えますか?


 ある日突然、そのギザギザの光は現れました。

 視界の中に、変な形をした模様が光っています。
 キラキラと光る鎖(くさり)のような輝きです。

 ヘビのようにクネクネと曲がり、歯車のように角ばっています。


 その輝きは、眼球を動かして、視線を移しても追ってきます。
 試しに、目をつむってみましたが、やはり暗闇の中で、キラキラと光り輝いています。

 ん?
 なんだこれ?
 こりゃ、目の仕業じゃないな?
 もしかして、幻覚?


 ギザギザの光は、時間の経過とともに次第に大きくなっていきます。
 10分ほど経った頃でしょうか……
 やがて、視界の中から消えてなくなりました。

 はたして、この正体は? 


 「閃輝性暗点 (せんきせいあんてん)」 といいます。

 発生のメカニズムは、まだ解明されていない、謎の症状だといいます。
 視覚をつかさどる後頭葉 (脳の後ろ側) の血管が収縮や拡張するときに起こる現象のようです。

 頭痛の予兆だともいわれていますが、僕の場合、体調の変化はありません。


 2~3年前から年に1、2回現れるようになりました。
 気になって、周りの人に訊いてみると、かなりの人が同じ光の鎖を見ていることが分かりました。

 見たことのない人には、どんなモノなのか想像もつかないでしょうが、見たことがある人には、「あるある現象」 のようですね。


 あなたは、光の鎖を見たことがありますか?
   


Posted by 小暮 淳 at 10:09Comments(2)つれづれ

2024年03月19日

What's your name?


 トン、トン

 夜遅く、ドアを叩く音がしました。
 こんな時間に、僕の部屋にやって来る人は、一人しかいません。
 次女です。

 「お入り。帰ってきてたのか?」
 「おとう、元気だった!?」
 と、いつものように元気いっぱいの娘が登場。
 手には、何か箱を持っています。

 「沖縄、行ってきた。はい、これ、お土産」


 次女は2年前から家を出て、県外で一人暮らしをしています。
 休みが取れたので、友だちと遊びに行ってきたようです。
 そして、また休みが取れたので、ぷらりと実家に帰ってきたようです。

 いつもなら、これだけで部屋を出て行くのですが、今回は、おかしなことを訊いてきました。
 「あのさ、私の名前は、なんでSって付けたんだっけ?」
 「なんで、また?」
 「うん、ちゃんと知りたくなって」

 娘の名前は、漢字1字で 「S」。
 仮名では、2文字。


 「患者さんに、『昭和っぽい名前ね』 って言われた」
 娘は、看護師です。

 確かに、言われてみれば、平成~令和のキラキラネームではありません。
 どちらかと言えば、古風な名前です。
 頭に 「お」 を付けると、時代劇に出て来そうな名前でもあります。

 でも、本人は気に入っているようです。
 「同じ名前の人に会ったことあるか?」
 「ない」
 「だろう! とっておきの名前を付けてやったんだ」

 ということで、漢和辞典を引っ張り出してきて、漢字の意味を詳しく伝えてやりました。

 「へえ、そうだったんだ」
 と、納得した様子で、部屋を出て行きました。


 その昔、僕もオヤジに、名前の由来を訊いたことがありました。
 でも、返ってきた言葉にガッカリした記憶があります。

 「なんとなく、響きがいいから」


 だから、ついでに自分の名前も漢和辞典で引いてみました。
 【淳】 ジュン
 水をめぐらしそそぐ意。借りて 「あつい」、すなおの意。

 人情に厚く、真心がある。
 ありのままで、飾り気がない。
 そんな意味もありました。

 「名は体を表す」 ともいいます。
 名に恥じぬよう、これからも生きて行こうと思います。

 
 What's your name? 
  


Posted by 小暮 淳 at 11:24Comments(0)つれづれ

2024年03月17日

とんとんとんからり


 「あれって 『なか卯』 ですよね!?」
 「さっそく 『なか卯』 へ行ってきました」

 あの時、ブログを読んだ人たちから声をかけられました。
 何のことかって?
 ええ、うどん派の僕が、足しげく通った 「鴨そば」 の話です。
 (2024年1月14日 「鴨が葱を背負って来た!」 参照) 


 別に 「なか卯」 の回し者でも、熱烈なファンというわけではないんですけどね。
 たまたま、あの味が僕の口と合ったということです。
 それと、我が家から一番近い外食チェーンだというだけです。

 なので今でも、ときどき小腹がすくと、仕事の手を休めて、サクサクッと食べに行きます。
 その手軽さが気に入っています。


 「鴨そば」 は、期間限定メニューなので、すでに販売は終了しています。
 が、新メニューが登場しました!
 まず、その意表を突くネーミングに惹かれました。

 「豚から丼」
 (とんからどん) と読むそうです。
 リズミカルで、いいですね。


 「鶏から丼」 もありますが、こちらは想像が付きます。
 でも、「豚から丼」 ですよ!?
 豚肉の唐揚げの丼物なんて……
 奇をてらってるだけじゃないの?
 と、怖いもの見たさの好奇心から注文してみました。

 まずは、見た目で 「おっ!」 とビックリ。
 完全に、親子丼であります。
 でも豚肉ですからね、親子ではありません。
 完全に、他人です。

 で、ふわふわ卵の中から、箸で豚肉をつまみ上げました。
 「おおっ!」 っと、二度ビックリ。
 鶏のから揚げのような肉のかたまりが出てくると思いきや、意表をついて、ペラッとしています。

 カリッと揚げた豚バラ肉のスライスです。

 これにブラックペッパーの風味が加わり、とじた卵の甘みと相まって、ごはんが進みます。

 「う~ん、いけずぅ~」
 と年甲斐もなく、まる子語を発してしまいましたとさ。


 そんな話をしていたら、小腹がすいてきましたよ。
 時計を見れば、もう昼じゃありませんか!?

 ♪ とんとんとんからりと豚から丼 ♪
 (古い!)

 なんて口ずさみなから、切りのいいところで出かけましょうかね。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:01Comments(2)つれづれ

2024年03月13日

「膕」 の相棒


 たびたび、このブログでも紹介してきた 「膕」。
 読者のみなさんは、もう読めますよね。

 「月」 に 「國」 と書いて、「ひかがみ」 と読みます。

 膝(ひざ)の裏のくぼんだ箇所の呼称です。
 僕は、この部位が好きで、“ひかがみフェチ” であることを告白し続けています。
 
 興味がある方は、下記のブログを検索してみてください。
  ●「膕」 の誘惑  2023年11月10日
  ●「膕」 の逆襲  2023年11月20日
  ●「膕」 の呪縛  2024年1月9日


 昨年11月の掲載以降、読者から大変反響がありました。
 「知らなかった」 「そんな呼び名があったんだ」 「漢字が難しい」 という声にまざって、こんな意見が寄せられました。

 「では、肘(ひじ)の裏側は、なんて言うんですか?」


 ですね!
 僕も、うっかりしていました。
 興味がないものだから、考えたこともありませんでした。

 だって、肘の裏側なんて見ても、なんも感じないもの(笑)。


 さて、なんと呼ぶのでしょうか?
 さっそく、調べてみました。

 「肘窩(ちゅうか)」 です!

 えっ、なんだよそれ!って思いませんか?
 肘窩の窩は、「あな、くぼみ」 という意味です。
 そのままではないですか!
 ちょっと納得がいきません。

 だったら 「膕」 だって、別名 「膝窩(しっか)」 という呼び名がありますもの。
 ちなみに、脇の下は 「腋窩(えきか)」 といいます。


 それに比べて 「膕」 は、いいですね。
 文学的で美しい!

 肘の裏側は、 「膕」 の相棒です。
 「肘窩」 なんていう医学的専門用語ではなく、「膕」 のように漢字一字で表現してもらいたいものです。


 もし 「肘窩」 の文学的呼称を知っている人がいたら、教えてください。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:20Comments(0)つれづれ

2024年03月07日

カメの恩返し


 友人から、こんなメールが届きました。
 <伊豆へ行ってきました。無事にカメちゃんたちを届けました。若干感傷的になったけど、狭い水槽から広い世界へ彼らが行けて良かった。>

 ブログを読んでいる読者なら、何のことか分かりますよね。
 先日アップした、大きくなってしまったミドリガメの話の続報です。
 (2024年3月5日 「カメとの別れ」 参照)

 このメールが届いたとき、僕の妄想が始まりました。


 昔々、令和の世のこと。
 あるところに、心優しい一家が暮らしていました。

 主人は町はずれで、小さいな工場を営んでいました。
 ある夜のこと、工場の戸を叩く音がしました。

 コツン、コツン、コツン

 「こんな夜遅くに、誰だろう?」
 主人が戸を開けると、外には誰も居ません。
 「なんだ、気のせいだったのか……」
 と、戸を閉めようとした時です。

 「私です。ご主人さま」
 蚊の鳴くような小さな声がしました。
 足元を見て、ビックリしました。
 そこには緑色をした大きなカメがいたのです。

 「ご主人さま、お懐かしゅうございます」
 「あ、お前は!?」
 「はい、長年、飼っていただいたミドリガメでございます」

 カメは涙を流しています。
 つられて主人も涙を流し、カメに抱き着きました。

 「おお、元気だったのか! 今日は、どうして、ここに?」
 「はい、お迎えに上がりました」
 「この私をかい?」
 「はい、お連れしたいところがあります。さあ、私の背中にお乗りください」
 と言うと、カメはクルリと向きを換えました。


 ノッソ、ノッソ、ノッソ……
 カメは歩き出しました。

 「えっ、このスピードなの? 空を飛んだりしないの?」
 「はい、私はカメですから、歩みは遅いのです」

 ノッソ、ノッソ、ノッソ……
 しばらく行くと、前方に横たわる白い生き物がいます。
 よく見ると、ウサギです。

 「ウサギさん、お先に失礼しますよ」
 カメは、そう言うと、寝ているウサギを横目に、ゆっくりと追い越しました。


 やがてカメは、こんもりとした竹林の中へ入って行きました。
 「ご主人さま、着きましたよ」
 「着いたよって、ここは竹林の中じゃないか? てっきり私は、海の中の竜宮城へ連れて行ってくれるのかと思ったよ」
 「いえいえ、私はウミガメじゃありませんので、泳げません」
 「で、ここは、どこなんだね?」

 暗闇の中でカメから降りると主人は、あたりを見渡しました。
 遠くの方に、ぼんやりと明かりが見えます。

 「あそこです。ご案内いたします」
 「ん? いったい、ここは、どこなんだい?」
 「はい、スズメのお宿です」
 「スズメのお宿? 私はスズメなんて、助けてはいないよ」
 するとカメは、言いました。
 「難しいことは考えないでください。これは、おとぎ話です」

 そう言って、宿の中へ入って行きました。


 「ようこそ、ご主人さま~!」
 色とりどりに化粧をしたスズメたちに出迎えられました。
 「どうぞ、日頃のうっぷんを晴らして行ってくださいませ」
 そう言うとスズメたちは、料理を運び、踊りを披露しました。

 「これは、たまげたね。こんなところに、こんな店があるなんて!」
 「ご主人さま、ここは、お店ではありませんよ。私が今日のために、ご主人さまだけに用意をしたパラダイスででございます。どうぞ、ゆっくり楽しんでいってくださいませ」

 おいしい料理とお酒を呑んだ主人は、上機嫌です。
 「なあ、カメよ。なんで、お前は私に、ここまでしてくれるのかい?」
 カメは言いました。
 「ほんの恩返しでございます」
 「恩返し?」
 「はい、私は、ご主人さま一家のおかげで、広い世界へ行くことができました。ありがとうございます。その恩返しでございます」


 するとスズメたちが、主人の前に大きな箱と小さな箱を2つ持ってきました。
 「これは、なんだい?」
 「はい、私からのプレゼントです」
 「でも2つあるね?」
 「はい、大きなツヅラと小さなツヅラ、どちらにいたしますか?」
 カメが言うと、主人は即答しました。

 「こんな大きなのは持てないよ。私は小さいツヅラで十分だ」
 「そう言うと思いましたよ、ご主人さまは。欲がないお方ですからね。真面目で正直者で、一生懸命に家族のために働いて、人が良くて、だまされてばかり。それでも困っている人がいると、自分のことは後にして、面倒を見てしまう、お人よし。でも、そこが、ご主人さまのいいところなんでよね。私は、そんなご主人さまに育ててもらって、大変幸せ者でした。どうぞ、小さいツヅラをお持ちください。あらかじめ小さい方に大金を詰めておきましたから」
 

 その後、主人の工場は建て替えられて、あれよあれよのうちに大会社の社長になったとさ。
 おしまい。

 Mさん、そうなるといいですね。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:47Comments(0)つれづれ

2024年03月05日

カメとの別れ


 昔、といっても小学生の頃ですから50年以上も昔のこと。
 昭和40年代の話です。

 放課後、小学校の正門を出ると、ときどき物売りのおじさんがいました。
 教材や文房具を売る人は、きちんとした身なりをしていましたが、なかには怪しいおじさんもいました。
 おもちゃや手品もあれば、ヒヨコやウサギなどの小動物を売っている人もいました。

 子どもたち、特に男の子に人気だったのがカメです。
 小さなゼニガメ (クサガメやイシガメの幼体) 。
 いくらだったかは忘れましたが、僕も飼っていた記憶があります。


 でも、一番欲しかったカメは、ミドリガメでした。

 たぶん高かったんでしょうね。
 クラスでも飼っている子は、いませんでしたから。
 誰もが、一度は飼ってみたい夢のカメだったのです。


 ところが!
 雑誌の懸賞に応募をしたら、なんと!
 見事に当選しました!

 どうやってミドリガメが届いたと思いますか?

 郵送でした。
 それも封筒に入ってました。
 しかもスポンジの間に、はさまっていました。

 でも、生きていたんですね。

 うれしくてうれしくて、一日中、眺めていた思い出があります。
 ただ、そのカメが、その後どうなったかは記憶にありません。
 たぶん死んでしまったんでしょうね。


 あの可愛いミドリガメが、実はアメリカ原産のミシシッピアカミミガメだと知ったのは、大人になってからでした。
 ミドリガメは、その子どもだったんですね。
 大きくなると体長25cm以上にもなるといいます。
 カメは長生きですから、飼えなくなって放たれてしまったミシシッピアカミミガメが、いま全国の池や沼で繁殖して問題になっています。

 現在は特定外来生物に指定されているので、むやみに捨てることは禁止されています。


 「今度、家族で伊豆へ行くことになった」
 友人との雑談中でした。
 「旅行?」
 「うん、旅行を兼ねてだけど、カメを届けに行くんだ」
 「カメ?」
 「ああ、ミドリガメ2匹。20年も飼っていたんだけど、大きくなり過ぎちゃって」

 なんでも友人は、ネットでカメを引き取ってくれる動物園を探し出したらしい。
 どうせなら家族全員で、お見送りをしようということになったようです。


 「息子がさ、今になって別れたくないなんて言い出すんだよ」
 息子さんは、すでに社会人です。
 「そしたらね、女房が言うわけよ。あんたは、一度もカメの世話をしてないじゃない!って(笑)」

 なんとも、ほのぼのとした家族であります。
 でも息子さんの気持ち、分かります。
 世話はしていなくても、カメだって家族の一員だったんですものね。


 春は別れの季節です。
 いろいろな別れがありそうですね。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:25Comments(0)つれづれ

2024年03月03日

馬から落馬して骨を骨折したことを後で後悔する


 某新聞社が主催した読者交流会でのこと。

 若い記者が壇上に立つと、スクリーンには今年1月1日に発生した地震被災地の写真が映し出されました。
 そして第一声、こう話し出しました。
 「元旦に発生した能登半島地震では……」


 ん?
 一瞬、聴き間違えかと思いました。
 だって、地震が発生したのは、確か元日の午後4時過ぎです。
 だったら “元旦” は間違えです。

 「元日」 は1月1日のことですが、「元旦」 の 「旦」 は朝、夜明けの意味ですから、元日の朝または午前中を指す言葉です。


 新聞記者が間違えるわけがありません。
 きっと、言い間違えたんだろうと思っていたら、
 「元旦の夜には、取材に向かいました」
 と、くり返しました。

 彼は完全に、元日と元旦を同義語として使っているようです。
 きっと聴いている人の中には、僕以外にも違和感を覚えた人がいたと思います。
 “元旦の夜” は、存在しないのですから……。


 つくづく、日本語は難しいと思います。
 たとえば重複語。
 重ね言葉、二重表現などともいいます。

 前例になぞれば、「元旦の朝」 が重複語です。
 同じ意味の言葉を重ねる表現です。


 有名な表現では、「馬から落馬する」 「骨を骨折する」 「後で後悔する」 などがありますが、さすがに重複していることには気づきます。
 では、この表現は、どうですか?

 「一番最初」 「ダントツ1位」 「まず第一」 「一番ベスト」 ……

 ついつい使ってしまいますが、よくよく考えてみれば、同じ意味の言葉が重複しています。
 僕も知らず知らずのうちに話し言葉では使ってしまっていますが、文章を書く場合は注意するようにしています。


 では、まだまだ寒い日が続きますので、お体をご自愛ください。
 (これも重複語で誤りです)
  


Posted by 小暮 淳 at 12:07Comments(0)つれづれ

2024年02月25日

数字じゃないのよ人生は


 また今年も、じっと手を見てしまいました。


 フリーランスおよび個人事業主のみなさん、確定申告は済みましたか?
 僕は昨日、無事に終えました。
 だから、こうして、じっと手を見ているのです。

 啄木の心境であります。


 確定申告は、年に一度手渡される 「大人の通知表」 です。
 しかも、その評価は、自分で行います。

 「去年は、頑張ったよな」
 と毎年思うのですが、電卓を叩いているうちに段々と気が滅入ってしまいました。
 「えっ、もっと収入なかったっけ?」

 帳簿を見ても、通帳を見ても、無い袖からは1円も出てきません。
 結局、例年同様の収入しかありませんでした。


 “働けど働けどなお、我が生活(くらし)楽にならざり。ぢっと手を見る。”


 でもね、とっても楽しい一年でしたよ。
 だから通知表の成績はオール3でも、備考欄には、こう記しまた。

 <同級生は定年退職して悠々自適な生活をしているけど、いじけることなく夢をあきらめずに、よく頑張りましたね>
 って。
 自分へのメッセージを添えて。


 生きてるだけで、丸儲け!
 まだまだ、走り続けるぞ!

 ♪ 数字じゃないのよ人生は ホッホー ♪
  


Posted by 小暮 淳 at 11:16Comments(2)つれづれ

2024年02月20日

090 が怖い


 たとえば、昨年の10月。
 僕が出演したフジテレビ 『ホンマでっか!TV』 のオンエア終了直後のこと。
 すぐにケータイ電話が鳴りました。

 テレビを観てくれた親しい友人が、さっそく電話をくれたのだと思いました。
 ところが、表示を見ると……

 090-××××-××××

 登録のない電話番号です。


 恐る恐る電話に出ると……
 「Kです」
 と、男性の声で名字だけを名乗りました。

 “K” という名字は、ありふれた名字で、パッと思いつく知り合いだけでも2~3人はいます。

 でも、その誰とも声が違います。

 「どちらのKさんでしょうか?」
 訊ねると、声の主は、こう言いました。
 「同級生のKです」
 といって、中学校の名を告げました。


 K君、K君……、えーと、K君……
 「あっ、K君ね」
 おほろげながら、やっと思い出しました。
 クラスでも目立たない、おとなしい男子でした。
 ただ運動神経が良くて、スポーツができた子だということだけは覚えています。

 「小暮君、今、テレビ観たよ。すごいね!」

 電話の内容は、それだけだったのですが、なんで僕の電話番号が、とっさに調べられたのでしょうか?
 「ああ、ありがとう。で、なんで、この番号を知ってるの?」
 思わず、訊いてしまいました。
 すると……

 10数年前のクラス会の時に、名刺交換をしたというのです。
 でも、こっちは、そんなことは記憶にありませんから、ただただ驚くばかりでした。



 先日、またしても登録なしの電話がかかってきました。

 090-××××-××××

 電話に出ると、やはり声の主は男性でした。
 「Hです」
 今回は、まったく知り合いの中にはいない名字でした。
 「どちらのHさんでしょうか?」
 「○○中学で一緒だったHです」

 と言われても、記憶の中のクラスメートには、H君という人はいません。
 「H君?」
 「ええ、△組のHです」

 なんだって!
 同じクラスじゃねーのかよ!
 それじゃー、分からんて!
 (僕らの中学校は当時、1学年10クラスもあったのですから)


 それでも僕は、記憶をたどりながらH君という人物を頭の中で追い求めていました。
 「小暮君、読んだよ! 昨日の新聞」

 彼は、読売新聞に連載が始まった僕のコラムを読んでくれたようであります。
 「前から小暮君のことは知ってたけどさ、顔写真付きで、すごいよね!」


 あっ、思い出しました!
 H君のこと。
 中学時代はクラスも違うため、一度も口をきいたことはありませんでしたが、20年ほど前に、さる会合で同席した人です。
 そのとき、たまたま同じ中学校の出で、しかも同学年だということで、名刺交換をした人でした。

 でも、ごめんなさい。
 忘れていました。


 本当は、うれしいんですよ。
 そうやって、昔の同級生や同窓生たちが、僕のことを思い出して電話してくれること。
 でもね、突然、090 で始まる未登録の電話番号が表示されて、知らない人の声が聞こえてくると、ドキッとしてしまうんです。

 できたら最初は、メールか手紙で連絡してくれませんか?
 それから親しくなったら、電話でお話ししましょう。 
   


Posted by 小暮 淳 at 10:30Comments(2)つれづれ

2024年02月19日

じっさんずラブ?


 なんだか最近、人生の “モテ期” に入ったようです。
 ラブコールが止まりません。

 といっても異性からではありません。
 すべて男性からのラブコールです。


 「いつもブログ、読んでます」
 「小暮さんの本は全部持ってます」
 「サインください」
 「一緒に写真を撮ってもらえますか?」

 講演やイベントに来てくださる読者のほとんどは、中年以上の男性です。
 我が人生で、ここまで同性からモテた時期はありませんでした。

 しかも、その年齢は年々、上がっています。
 まあ、僕自身が歳をとるわけですから、読者層も上がっていくのは自然なことなんですけどね。
 それにしても高齢化が進んでいます。


 「小暮さんとは、もっと早く若い頃に知り合いたかったな」
 なんて言う殺し文句を、60代後半の男性から言われたこともあります。

 そして、ついに、ラブレターをもらいました!
 名も知らない70代の男性からです。


 以前、イベント会場に現れ、しつこく僕の誕生日を聞き出した老人です。
 何のために、誕生日なんて聞くんだろう?
 と、その時は思ったのですが、すでに忘れていました。

 1カ月後の昨日、イベント会場へ行くとスタッフから1枚のクリアファイルを手渡されました。
 「ほら、先月来た、あのじいさんからだよ。 『小暮さんに渡してほしい』 って、置いて行ったよ」
 中には、便せんとプリントが入っていました。


 便せんには、手書きで、こう書かれています。
 <8月8日>
 僕の誕生日です。
 <誕生日の花 アオイ科 トロロアオイ>
 <花言葉 知られぬ恋>

 なななななな、なんですとーーーー!!!
 し、し、し、“知られぬ恋” だ~!
 これじゃ、“じっさんずラブ” じゃねえかよ~!


 恐る恐る、便せんをめくり、プリントに目を通しました。

 <8月8日>
 <楽天的で前向き、人に親切な幸せ上手>
 とあります。

 今度は、誕生日占いです。


 <自分に嘘がつけない、堂々と大手を振って歩く存在。>
 <偉大なる意志を貫けば、闇さえも照らす楽園が待っている。>

 かなり、ほめちぎっています。
 さらに、ヨイショは続きます。

 <あなたの人生は、徹底的なポジティブ・シンキングが強み。>
 <ある程度の年齢になると、ますますポジティブ思考に磨きがかかり、物事のよい面を捉えるのが非常に得意となる。>
 <常にぬくもりややさしさを感じ、生活を感動で満たしていくのが、あなたの一生です。>

 ひぇ~、いいこと尽くめじゃないですか!?
 でも、当たっている部分も多くあります。
 「ある程度の年齢になる……」 というのは、ズバリ50代以降の人生を示唆しています。


 まあ、脅迫文をもらったわけではないので、ありがたく頂戴することにしました。
 どこの誰かは知りませんが、熱烈なお気持ちをありがとうございます。

 この先、“じっさんずラブ” に発展しないことを願います。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:12Comments(6)つれづれ

2024年02月16日

トイレの怪


 あれは2週間ほど前の寒い夜のこと。
 仕事帰りに、晩酌のつまみを買おうと、家の近くのスーパーマーケットに寄りました。

 店内に入った途端、不覚にも便意をもよおしてしまい、トイレに駆け込みました。


 異変を感じたのは、個室に入った時でした。
 
 シャーシャーシャー………

 “音姫” って言うんでしたっけ?
 便座に座ると、自動的に水が流れるような擬音が聞こえてきました。

 シャーシャーシャー………


 ジッと便座に腰かけ、排泄の準備をしていると、流水音に違和感を覚え出しました。

 シャーシャーシャー………
 ✕✕✕✕✕✕………
 シャーシャーシャー………
 ✕✕✕✕✕✕………

 流水音の合間に、くぐもった男性の声のようなものが聞こえます。

 イ✕ナ✕コ✕………


 耳を凝らして聞いていると、あっ!と驚きました。
 はっきりと聞こえます。
 その男性の声は、こう言っているのです。

 イワナイコト


 「言わないこと」
 いったい何のことでしょうか?
 僕が、何を見たというのでしょうか?

 もし、何かを忠告しているのであるとすれば、この店で起きたことだろうと思います。
 でも僕は、駐車場に車を停め、入口でカゴを手に取り、店内を半周ほど歩いたところで、便意をもよおしています。
 まだカゴに商品は入っていなかったので、いったんカゴは元の場所にもどし、トイレへと向かいました。

 その間に僕は、何か見てはいけないものを見てしまったのですか?


 シャーシャーシャー………
 イワナイコト………
 シャーシャーシャー………
 イワナイコト………

 排泄を完了し、便座から腰を上げると、やがて流水音とともに男性の声も止みました。


 「言わないこと」 とは、いったい何のことだったんでしょう?
 
 あっ、しまった!
 もしかして、この出来事自体ですか?
 言うなと言われていたのに、うっかり、このブログで言ってしまいました!

 もしも明日以降、このブログが更新されなかったら、僕に何かが起こったと思ってください。
  


Posted by 小暮 淳 at 09:52Comments(3)つれづれ

2024年02月07日

100キロの壁


 「人生には3つの “坂” があります」
 とは、結婚披露宴での定番スピーチです。

 “上り坂” と “下り坂”
 それと “まさか” という坂があるということです。


 確かに、人生には稀に “まさか” という坂が現れます。
 先月、能登半島を襲った大地震なども “まさか” の出来事でした。
 “まさか” とは、一般には事故や災害などの予測不可能な出来事のことをいいます。

 なのに……


 最近、体重が100キロを超えた友人がいます。
 彼いわく、
 「まさか、100キロを超えるとは思わなかった」

 えっ、それって、“まさか” の使い方を間違ってない?
 予測不可能な出来事じゃないじゃん?

 以前から肥満体系の彼に、「予測できなかったの?」 と訊ねると、
 「だって、人間って、100キロを超えないと思っていたから」
 との返事。

 なんだ、それ?
 何の根拠から、そんな自分勝手な論理を組み立てたのでしょうか?


 彼の言い分は、こうです。
 お相撲さんなどの特殊な職業の人は別として、日々、普通に暮らしている人は、人間の肉体構造学上、100キロは超えないと思っていたらしいのです。
 たとえ、怠惰な生活を続けたとしても……

 ところが、このたび、めでたくも、ついに人生初の100キロの大台に乗ってしまいました。


 “まさか” の使い方は、人によって程度の差があるようです。
 予期せぬことは、誰の人生にでも起こり得ることです。

 ちなみに、最近僕に起こった “まさか” は、やっぱり昨年のフジテレビ 『ホンマでっか!TV』 の出演ですかね。
 突然、番組のディレクターから電話で依頼が来たときは、“まさか” と思いました。
 ま、いい事なので、こんな “まさか” なら、いつでも歓迎であります。


 さて、100キロを超えた友人ですが、現在、猛ダイエット中であります。
 すでに、100キロは割ったとの連絡がありました。
 めでたし、めでたし。

 でも、油断は大敵ですぞ!
 いつなんどき、“まさか” が襲って来るかもしれません。

 ご自愛、くだされ。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:02Comments(2)つれづれ