温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2019年01月30日

君と歩いた海岸通り


 地球上では、戦争と暴力犯罪の犠牲者の総計よりも、自殺により亡くなる人のほうが多いんだそうです。
 しかも、この傾向が特に顕著なのが、日本です。

 年間の自殺者は、約2万人。
 殺人による死者は約300人、交通事故死は約4000人。
 ※(2016年のデータより)

 日本の自殺率は世界で6番目に高く、主要7ヶ国で10位以内に入っているのは日本だけです。


 自殺の原因は、人それぞれです。
 病気だったり、借金だったり、失恋だったりもします。
 これは、何かで読んだ受け売りなのですが、自殺の原因は何であれ、自殺する人には、ある共通項があるといいます。

 それは、“友人”の存在です。

 自殺を思いとどまった人の大半は、「友人に救われた」 と言っているのです。
 残念ながら “家族” では、ないんですね。
 ましては、“仕事関係” ではありません。
 いうなれば、“価値観を共有する他人” が、いるか、いないか。
 なんです。

 この話を聞いたとき、変に納得している自分がいました。


 昨日は、2ヶ月に一度、奇数月に開いている 「弟子の会」 の定期交流会でした。
 講演や講座などで知り合い、僕のことを勝手に “先生” とか “師匠” とか呼んでいる人たちが集まり、大好きな温泉談義をしながら、酒を飲み交わすという会です。

 早くも結成してから、3年目を迎えました。
 いつもは飲み屋をハシゴして、飲んだくれているだけですが、今年は結成3周年を記念して、「温泉に泊まってやろう!」 という話で、大いに盛り上がりました。


 一次会は、メンバーが予約を入れておいた焼き鳥屋で軽く酔いをつけ、全員で河岸を替えることに。
 これが、いつものパターン。そして、お約束です。
 二次会は、そう、みなさん、よくご存じの酒処 『H』 であります。

 とにかく、いつ行ってもHは混んでいます。
 入った時には、すでに常連客らがカラオケ大会の真っ最中!
 そのノリのまま、我々 「弟子の会」 も、マイクを回され、大熱唱大会となりました。

 「弟子の会」 のメンバーは、みんな同世代です。
 70年代に青春を過ごした仲間です。
 なぜか昨晩は、「かぐや姫」 や 「風」 時代の伊勢正三作品に集中しました。

 『22才の別れ』 にはじまり、『君と歩いた青春』 『海岸通り』 『あの唄はもう歌わないのですか』 etc ……

 自分の思い出と重ね合わせたのでしょうか?
 歌いながら、涙ぐむ場面もあったりして、なんとも心がポッコリと温かくなったひと時でした。


 で、思ったのです。
 僕は、絶対に自殺をしないなって!
 また、“弟子” たちも絶対にしないって!

 価値観の同じ他人だからこそ、分かり合えることがあるのです。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:07Comments(0)酔眼日記

2019年01月24日

出張講演 <番外編> 赤兎馬と跳ねる


 名古屋→東京→高崎
 新幹線を乗り継いで、約3時間。
 日本が狭くなったのではなく、便利が加速しているのだとつくづく感じました。

 JR高崎駅に降り立った時は、まだ夜の8時前です。
 本来ならば、在来線のりかえ口を通って、両毛線に乗るはずなのですが……
 あっ、と気が付いたら、改札口を出ていました。


 この高揚感は、なんだろう?
 あれ、同じ場所で、同じ感覚を味わった記憶があるぞ!
 えーと、えーと、そうだ! 東京ビッグサイトだよ!!

 2年前、やはり僕は東京で講演会を終えて、夜、高崎駅に降り立ったのでした。
 あの時も、「このままでは終われない」 という高揚感に包まれていました。
 あの時は、東京ビッグサイトというメジャー会場だったこと。
 今回は、本人最長時間である3時間の講演を成し遂げたことへの高揚感だったようです。

 そして今回も、あの時と同じ3つの漢字が、脳裏をグルグルと回りだしていました。
 「赤」 「兎」 「馬」
 そう、幻の芋焼酎 「赤兎馬(せきとば)」 であります。


 高崎には、僕に赤兎馬の魔力 (味) を教えた、悪い (?) マスターのいる居酒屋 『T』 があるのです。
 そういえば、年賀状が届いていたな……。ご丁寧に新年のあいさつメールももらったっけ……。
 なんて考えていたら、店の前まで歩いていました。

 『T』 は、駅前の大通りに面しているものの、イチゲンさんには、かなり入りにくい難関があります。
 雑居ビルの2階、しかも狭く急な階段。
 手すりに、しがみ付くようにして昇った者しか、たどり着けないパラダイスなのです。


 「あれ、小暮さんじゃないですか!」
 変わらぬ個性的な風貌のマスターが、カウンターの奥から顔を出しました。
 「ご無沙汰して、申し訳ありません」
 「もしかして、また講演会の帰りですか?」
 「よく分かりましたね(笑)」

 カウンターに座り、まずは生ビールで喉をうるおして、いよいよ、本腰を入れることに。
 「マスター、赤兎馬!」
 「あいよ、ロックだいね」
 「それと、塩もつ煮」


 これで今宵の主役が揃いました。
 赤兎馬の鼻に抜ける芳醇な香りと、ピリリと舌を刺激したあとの喉ごしの良さ。
 胃に落ちてから、カーッと湧き上がる熱い躍動感。

 これ、これこれこれだーーーーッ!!!!

 自分に甘いだとか、他人になんと言われようが、これが僕流の、頑張った自分へのご褒美なのであります。
 一日に千里走るという伝説の馬に乗って、ポーンと飛び跳ねてみました。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:36Comments(0)酔眼日記

2019年01月17日

Hの次はAでしょう!


 昨晩、やっと “H初め” を済ませてきました。
 Hとは、読者のみなさん、ご存じの酒処 「H」 のことです。
 (違うことを考えた人、いませんか? エッチではなくエイチですよ)
 早い話が、Hでの今年の “初飲み” であります。


 いゃ~、まだ夕方5時半だというのに、先客がいるではありませんか!
 さすがみなさん、自由業であります。
 今日の仕事は、さっさと切り上げて、バスに乗ってやって来たようであります。

 「おめでとうございます」
 「今年もよろしくお願いします」
 「では、カンパーイ!」


 1時間もすると、次から次へと常連客が集まり、カウンターしかない小さな店内は、早くも満席であります。
 最初のうちは、方々で、雑談を交わしていましたが、あるテーマになると、店内が一丸となって、1つの “謎” を解き出しました。

 それは、「改元」。
 平成の次は、いったい、どんな漢字二字の元号が来るのか?
 暗黙のうちに、明治、大正、昭和、平成の頭文字であるM・T・S・Hは除くというルールのもと、さまざまな漢字が飛び出しました。


 ちなみに、日本でこれまでに使われた元号は247。
 ところが、使われた漢字は意外に少なくて72字だそうです。
 使用回数が一番多いのは 「永」、次は 「元」。
 以下、「天」、「治」、「応」 の順となっています。

 ということで、これらの漢字も除いてみました。
 で、カウンター内アンケートの結果、セレクトされた漢字は!

 まず、「安」 でした。


 「平成はさ、災害が多い時代だったからね。“安らかに” なるように」
 というのが、大方の意見でした。
 ちなみに調べてみると、過去には 「安」 を使った元号は、安和(あんな)、保安、仁安、安元、安貞、弘安、文安、安永、安政など、たくさんあるのです。

 討論の結果、「頭文字は “A” に決めよう!」 ということになり、「安」 の次の漢字一字の絞込みに入りました。
 が、その頃には、みんな酒が回ってしまっていて、ついに最後まで満場一致となる漢字は出て来ませんでした。


 酒処 「H」 で見つけた 「H」(平成) の次に来る元号の頭文字は 「A」 でした。
 そして漢字は、「安」。

 ぜひ、どなたか、次に続く漢字を考えてみてください。
   


Posted by 小暮 淳 at 20:56Comments(2)酔眼日記

2018年12月27日

忘れ物はなんですか?


 今年もあと4日となりました。
 みなさんは、思い残すことはありませんか?

 なーんか先週あたりから、胸の奥のほうがモヤモヤしていたのであります。
 やり残したことがあるような、忘れていることがあるような……
 年賀状は書いたし、お世話になった人へのあいさつ回りは済ませたし、年内にすべき支払いも終えました。
 連載中の原稿も、先方に迷惑がかからないようにと、1月分はまとめて早めに入稿しています。

 これで完璧だ!
 モレはないはずだ。
 と、頭の中で指さし確認をしてみたものの、なんか、忘れ物をしているようなモヤ~とした気分が続いていました。


 あっ、そうだ!
 Hだよ、H!

 ご存じ、我らのたまり場、酒処 「H」 での “飲み納め” が、まだだったのです。
 えーと、最後にHに行ったのは……
 手帳を紐解くと、先週の火曜日です。
 でも、あの時は、まだクリスマス前で、年の瀬が押し迫った感覚がなかったため、ママにも常連客にも 「良いお年を」 とは、あいさつをしていません。
 きっと、このことが心のどこかに引っかかっていて、モヤモヤしていたのです。


 「あら、ジュンちゃ~ん! 来てくれたの。年内は、もう来ないかと思った」
 まずはカウンターの中からママが、満面の笑みで迎えてくれました。
 「小暮せんせーが来ました~!」
 カウンターの奥からは、すでに酔いの回った常連さんが、手を振ってくれます。
 隣の席には、“水曜日の男” と呼ばれるダンディー氏が、いつものように洋酒のグラスを傾けています。
 「最近、よく、ご一緒しますね」
 「なんか、忘れ物をしたようで、来ちゃいました」
 「私もですよ」

 カンパーイ!

 これが今年最後の乾杯になりそうです。


 「今年は、どんな年でしたか?」
 たった、それだけのテーマで、カウンターの上には、悲喜こもごもの話題が、次から次へと飛び出してきます。
 飲むほどに、酔うほどに、グルリ、グルリと今年の出来事が、めぐります。

 「今年も本を出されて、いい年だったんじゃないですか?」
 出版記念のトークライブにも足を運んでくれたダンディー氏。
 「そうですね。親の介護もあったから、相変わらず忙しい年でした」

 酔うほどに、語るほどに、刻一刻と今年の終わりが近づいていきます。


 「良いお年を!」
 「良いお年を!」
 三々五々、手を振りながら常連客が、寒空の下へと出て行きます。

 「ママ、1年間、ありがとう。楽しかった。良いお年を!」
 「こちらこそ、ありがとね。良いお年を!」


 深夜の街へ出て、大きく深呼吸を1回。
 ううう~っ、寒い!
 でも、これで今年は、もう思い残すことはありません。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:00Comments(0)酔眼日記

2018年12月06日

秘密のH


 「私もエッチに連れてってください!」
 知人の女性に言われて、一瞬、ドキッとしました。
 でも次の言葉を聞いて、意味が分かりました。
 「ブログ、読みましたよ」

 彼女は、知り合いの I 女史と僕が、Hで酒を飲んだというブログを読んだようであります。
 ※(2018年11月30日 「三人会」 参照)
 Hとは、僕が時々、ぷらりと心の洗濯に寄る、 酒処『H』 のことであります。


 実は、彼女に限らず、ブログを読んでいる友人・知人からは、たびたびHは話題にのぼります。
 「Hって、どこにあるんですか?」
 「Hって、どんな店なんですか?」
 「ぜひ一度、Hに連れてってください」

 なんだか読者の頭の中では、かなりHが美化されて描かれているようであります。


 つい先日のこと。
 さる会社の社長さんと仕事の移動で、前橋の街中を歩いていました。
 偶然にも、ちょうどHの前を通りかかりました。
 でもオープン前の時間ですから、店は閉まっています。

 「ここが、Hなんですよ」
 「えっ、えーーーーっ! ここ、ここなんですか~!!」
 と、大層驚いた様子でした。
 抱いていたイメージと、だいぶ違っていたようです。

 立ち止まって、中をのぞくと、明かりが点いています。
 ママが、仕込みの準備をしているようです。
 ドアのノブを回すと、開きました。

 「あら、ジュンちゃん!!」
 案の定、頭にカーラーを巻いたままのママが、カウンターの中で忙しそうに動き回っていました。
 「仕事で、前を通っただけなんだけどさ。そうそう、こちら○○会社の社長さんです」
 と紹介すると、
 「あ、あ、はじめまして。ここがHなんですね。感動するな~! 今度、来ます!」
 とかなんとか言っちゃって、まるで芸能人に会ったようなリアクションを見せるのでした。


 「イメージと違いました?」
 「すごくキレイな店なので、驚きました」
 「もっと汚いイメージだったの?」
 「いえ、勝手に新橋のガード下にあるような、昭和レトロな店を想像していました。でも……」
 「でも?」
 「確かに、Hでした。だって、小暮さんの本がズラ~リ並んでいましたから」


 謎が謎を呼ぶ、酒処 『H』 であります。
 HのHは、“秘密” のHなのかもしれませんね。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:30Comments(0)酔眼日記

2018年11月30日

三人会


 絵本作家のN氏とは、かれこれ30年の付き合いになります。
 イラストレーターの I 女史とも、20年以上になります。
 年齢はバラバラで、僕を真ん中に三世代のひらきがあります。
 なんと! N氏と I 女史とでは親子ほどの歳の差があるのです。

 でも僕らは、とっても仲良しです。
 なんと! 以前にはバンドを組んでいたこともあるのです。
 N氏はドラム、僕はギター、そして I 女史がボーカルでした。
 ※(バンドは、すでに解散しています)


 ところが、今になって思えば、“3人だけ” で会ったことがありません。
 まして、“3人だけ” で酒を酌み交わしたことも……
 いつも、まわりには他のメンバーや仲間がいたのです。
 「じゃあ、3人で飲もう!」
 「わ~、楽しそうですね」
 ということで、突然、“三人会” が発足されました。

 きっかけは、今月中旬に高崎市で開催された、落語家の三遊亭圓馬師匠と講談師の神田松鯉師匠の 「二人会」 というイベントの打ち上げの席でした。
  I 女史は主催者の一員ということもあり、車で会場入りしたため宴席でもノンアルコールでした。
 一方、N氏と僕は酩酊状態です。
 「ああ、電車で帰るの面倒くさ~い!」
 「でも、今行かないと最終に間に合いませんよ」

 2人の会話を聞いていた I 女史が、ひと言。
 「いいですよ、気にしないで飲んでください。私が2人を送って行きますから」

 ヤッター! そのひと言を待ってました!
 というか、わざと聞こえるように言ったんですけどね。
 それにしても、持つべきものは元バンド仲間であります。
 そして伊達に長い付き合いをしていませんって!


 帰りの I 女史の車中にて
 「ありがとう。本当、いつも感謝しています」
 「タクシー使ったら、高く付きますよ~」
 「だよね……。よし、今度、2人でおごるよ」

 ということとなり、今週、初の “三人会” が行われました。
 もちろん会場は、我らのたまり場 「酒処H」 であります。
 「あら、3人って、珍しいね」
 とママに言われるほど、3人が一緒にいるシチュエーションは、誰から見ても珍しいのであります。


 飲むほどに、酔うほどに、3人が三様、雄弁に語ります。
 世代を超えて、性別を超えて、長い付き合いが続いています。 

 ありがとう!
 祝、結成!
 “三人会”
  


Posted by 小暮 淳 at 19:18Comments(0)酔眼日記

2018年10月19日

ちょっと、ひと休み


 最近のブログを読んだ、友人・知人・読者の方々から、「元気がない」 「たそがれている」 と心配するメールや言葉をかけていただきました。
 なんだか、心配をおかけしてしまったようで、申し訳ありません。

 でも僕は、元気です!


 ただね、ちょっぴり疲労感があるのです。
 まだまだ燃え尽きてはいないのですが、かすかに脱力感を伴っています。
 というのも、正直に言えば、50(歳代) の坂はきつかった!
 今までにない急勾配で、背負っている荷物も大きくて……
 まるで軽トラに鉄骨を積んで、山道をエンジン全開でふかしながら上っているようでした。

 それが上りきると、途端に平坦な道になって、視界が一気に開けたのです。
 「おお、こんな高いところまで、良くもまあ、上ってきたなぁ~」
 ってね。
 そしたら、なんだかドッと疲れが出てきて、「少しくらい休んでもいいかな」 っていう気になっちゃったのです。

 前方には、緩やかな上り坂が続いています。
 六十路であります。
 ここらで少し休憩して、荷物を半分降ろして、これからは、ゆっくりと走ろうかと……


 「あら、ジュンちゃん、大丈夫?」
 馴染みの酒処Hのカウンターの席に座れば、すかさずママが声をかけてくれます。
 「大丈夫だよ、ちょっと疲れただけ。ひと息ついたら、また走り出すから」
 「人生、そんなことも、あらーね」
 「だってオレたちには、定年も老後もないんだぜ。ここらで燃料を補給しなくっちゃ、次のステージに進めないよ」
 と言えば、
 「そのとーり! カンパ~イ!!」
 と、隣の常連客が、グラスを差し出しました。

 「ありがとう、乾杯!」


 いい時も、悪い時も、嬉しい時も、悲しい時も、そして疲れた時だって、いつだって、ここに来れば、分かり合える仲間がいるのです。

 店内を見渡せば、常連客は同世代。
 リタイア組も現役組も、みんなみんな長い坂道を上る仲間たちです。

 人生100年、まだまだ先は長いぞ!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:27Comments(0)酔眼日記

2018年10月08日

イルカに乗ったひまわり娘


 1年に一度だけ、出会う男女がいます。
 まるで彦星と織姫のように・・・


 今年も参加して来ました!
 “12時間飲酒マラソン”
 という名の旅行です。

 かれこれ10年以上前から僕は、仕事でお世話になっている某社の社員旅行に参加しています。
 とにかく、これが楽しい!!
 フリーランスで仕事をしていると、集団で同じ行動をすることに慣れていませんから、逆に年に1回の “集団行動” が物珍しくて、楽しいんです。

 しかも、無礼講!

 何が無礼講かって?
 そりゃあ、朝から酒が飲めるからです。
 それもノンストップで、12時間!


 午前7時20分
 高崎駅東口を出発したバスは、信州・戸隠を目指します。
 バスのシートに着席するやいなや、前方から配られる缶ビールや缶チューハイ!

 1本が2本、3本も飲めば、お腹はタッポンタッポンです。
 サービスエリアにバスが停まるたびに、溜まった水分を出してはいるものの、追いつきません。
 「トイレが近くなるので、お腹に溜まらないのをお願いします」
 と言えば、今度は紙コップと一升瓶が回り出します。

 もちろん、昼食時だって、止まりません!
 「ビールと日本酒、どちらにしますか?」
 と言われれば、
 「まずは、ビールで」
 と答え、やがて、そばに手がのびる頃には、
 「やっぱり、日本酒がいいでしょう」
 と勧められ、断りもせず、ただ、ひたすらに酔い続けるのであります。


 午後は酔眼にて、善光寺参りを済ませ、またしても帰りのバスの中で、飲酒マラソンは続きます。

 「小暮さん、そろそろ、今年も始めましょう」
 と幹事が、カラオケに曲を入れます。

 ♪ 誰も知らない 南の国から イルカに乗った少年がやって来る ♪

 いつからか恒例になってしまった城みちるの 『イルカに乗った少年』。
 若い人は分からないかもしれませんが、70年代のアイドルです。
 そして、みちるといえば、そう! 当時、恋人だった伊藤咲子を忘れてはいけません。

 ということで、いつしか僕が、この歌を歌うと社員の女性が 『ひまわり娘』 を歌うようになりました。

 ♪ 誰のために咲いたの それはあなたのためよ ♪

 そしてバスの中では、かけ声が飛び交います。
 「みちる~!!」
 「さっこ~!!」


 現実には、一緒になれなかった2人です。
 せめて年に一度、当時、青春を共に生きたオジサンとオバサンたちが、歌だけでも2人を引き合わせてあげようと、毎年歌い続けています。

 たぶん、来年も、再来年も……
 みんながみんな、それぞれの青春を思い出しながら……
   


Posted by 小暮 淳 at 17:08Comments(0)酔眼日記

2018年09月26日

魔法のチケット


 読者のみなさんは、覚えているでしょうか?
 この夏、“弟子”たちが僕の還暦を祝ってくれ、そのとき 「酒処Hご招待券」 なる記念品をもらったという話を……

 “弟子” とは、僕のことを勝手に 「先生」 とか 「師匠」 とか呼ぶ温泉ファンの人たちのことで、2年前に 「弟子の会」 を発足。
 2ヶ月に1回、僕を飲み屋に呼び出してくれ、温泉話三昧の夜を過ごしています。
 ※(当ブログの2018年8月1日 「10%のしあわせ」 参照)

 「酒処H」 とは、ご存じ! 我らの溜まり場であります。
 たびたび、このブログにも登場するので、読者にはお馴染みだと思います。
 嬉しいとき、悲しいとき、辛いとき、苦しいとき、疲れたとき……、喜怒哀楽のすべてにおいて、酔いたくなったときに、フラリと足が向く僕の “オアシス” であります。


 昨晩、前橋駅に降り立ったのは、夜8時を過ぎていました。
 外は、雨。
 適度な疲労感もあり、真っ直ぐ家に帰る気分にはなれません。
 夕食も、まだでした。

 そんなとき、僕の足は、迷わず酒処Hに向かいます。


 「あっ、今日は火曜日。そうだよね?」
 「うん、温泉教室の日」
 「でも、いつもより遅いね?」
 「うん、山梨まで行って来た。おまけに帰り、高速で事故渋滞に巻き込まれちゃって」
 ママとの何気ない会話と、キーンと冷えた生ビールに、旅装が解かれて行きます。

 「あ、こんばんは。お久しぶりです」
 「相変わらず、小暮さんは、いつも元気ですね」
 「元気なもんか、今日は、もうクタクタですよ」
 常連さんとのたわいない会話に、心がゆるみます。

 「こちらの方が、今日、誕生日なんですって」
 「そうですか。それは、おめでとうございます」
 「何か1曲、歌ってあげてよ」
 そう言われて、迷わずカラオケに入れた曲に、大ひんしゅく!
 タイトルに “誕生日” が付いているだけで、詞の内容は、別れ話でした。

 「申し訳ない」
 「愛嬌っていうことで」
 「悪意はないんだ」
 「そりゃ、そうでしょう」
 店内が爆笑に包まれて、ホッとする僕。


 「ママ、ごちそうさまでした。はい、これで」
 カバンから取り出したチケットを、ママに手渡しました。
 “祝、還暦 酒処H招待券”

 「これが、いいんだよね」
 そう言いながらママは、カウンター隅の壁に、チケットをピンで貼りました。

 「これで、2枚目だね」
 僕が誇らしげに、壁のチケットを眺めていると、
 「お客さんに、訊かれるんだよ。これは、なんだい?って」
 ママは、そのたびに、僕と “弟子”たちの話をするそうです。


 飲むたびに、酔うたびに、一人ひとり “弟子”たちの顔が浮かびます。
 しあわせな夜を、ありがとう。
 チケットの魔法は、絶大です。
   


Posted by 小暮 淳 at 14:57Comments(2)酔眼日記

2018年08月20日

7回裏、チャンス到来!


 いくつになっても、気の置けない仲間というのは、いいものです。
 かれこれ20年、バンド活動をしています。

 結成当時、30代だった者は50代になり、40代だった者は60代になりました。
 平均年齢は58.4歳、正真正銘のオヤジバンドです。


 昨日は、老神温泉(群馬県沼田市) の夏祭りに呼ばれて、午後と夜2回のステージを行ってきました。
 お祭りということで、酒のピッチも上り、夜のステージに上る頃には、メンバー全員、ほろ酔いでしたが(1人、酩酊状態のメンバーもいました)、難なくこなし、フィナーレの花火大会を迎えました。

 バンド活動の一番の楽しみといえば、なんといっても終了後の “打ち上げ” であります。
 必ず僕らは宿泊をして、宿で反省会(?) を兼ねた酒宴を開きます。
 昨晩も、観光協会が用意してくださった旅館に集まり、学生の修学旅行よろしく、全員で布団を並べて、夜が更けるまで、酒を酌み交わしながら、人生なんぞについて語り合っていました。


 「あ~あ、気がつけば、還暦だよ」
 と僕。
 気にしていないようで、人生の4分の3が過ぎてしまったことがショックなんでしょうね。
 気の置けない仲間の前では、思わず弱気な本音が口を突いてしまいます。

 「ここらで一発、逆転ホームランを打ちたいなぁ~」
 と言えば、誰かが、
 「また本を出したんだから、印税がガッポガッポでしょう!?」
 と、からかいます。
 「そんなわけ、ねーだろ! 今までに何冊、本を出したと思ってんだよ。だったら今頃は、左うちわの生活をしているよ」

 「9回の裏に、奇跡が起きないかね?」
 と、さらに弱音を吐く僕。
 「9回裏? 人生は、まだ終わりじゃないだろう?」
 と、また誰かが、ツッコミを入れてくれます。
 「でも、あと20年で、何ができる?」
 「20年もあるじゃないか! 小暮さんは、まだ7回の裏だね」
 「7回の裏か……、だったら、まだまだ逆転が可能だな!?」
 「しかも、チャンス到来!」
 「チャンス?」
 「だって、また妖精を見たんだろう? 吉兆の表れだよ」
 ※(当ブログの2018年8月15日 「妖精ふたたび」 参照)


 そうでした!
 10年前に “妖精” を見たときは、翌年から温泉本の出版が始まったのでした。
 今回も、果報が授かるのでしょうか?
 だとしたら期待をせずに、寝て待ちたいと思います。

 人生、7回裏。
 ランナーは、一塁、三塁。
 一発、逆転のチャンス!

 次が、どんな球でも、迷うことなく、思いっきり、フルスイングするぜ!!
   


Posted by 小暮 淳 at 18:17Comments(0)酔眼日記

2018年08月01日

10%のしあわせ


 「小暮さんって、お金とお金で買えるもの以外は、すべて持っているよね」
 以前、知り合いから、そんなことを言われたことがありました。
 もちろん、称賛の意味を込めて言ってくれた言葉であることは分かっています。
 でも、その時、僕は、

 「なんだよ、それ! ていうことは、人生の9割がた失っているじゃん!」
 自虐を込めて、そう返した記憶があります。

 残り、たった10%のしあわせに、しがみ付いている人生であります。


 昨晩は、酒処 「H」 に3人の弟子たちが集まりました。
 「H」 とは、僕が10年以上前から通っている小さな小さな居酒屋です。
 “弟子たち” とは、僕のことを勝手に 「先生」 とか 「師匠」 と呼ぶ殊勝な人たちのことです。
 僕の講演会やセミナー、講座を通じて出会い、これまた勝手に “弟子の会” なるものを発足させ、2ヶ月に1度、集まるようになりました。

 前半は、いつもの飲み会でした。
 突然、誰かが 「ママ、お願い」 と言った途端、店内が真っ暗になりました。

 「おい、何するんだよ~!」
 と、声をあらげたのも束の間、僕の首には金銀ラメのレイが、顔にはエルトン・ジョン風の四角い伊達メガネがかけられ、頭には角のような形をした意味不明な帽子が、かぶされてしまいました。
 そして、店内に流れる音楽……

 ♪ ハッピーバースディ ツウ ユー ハッピーバースディ ツウ ユー

 目の前に出されたケーキには、6本のロウソクに火が灯されています。

 「さあ、先生、消して消して」
 そして僕が、ひと息に炎を吹き消すと、
 「還暦、おめでとうございま~す!!!!」
 の祝福とともに、パンパンパーンと、店内のあちらこちらでクラッカーが鳴り響きました。


 一瞬の出来事に、最初は何が起こったのか分かりませんでした。
 でも僕の誕生は、8月8日です。
 ひと足先に、弟子たちが僕に内緒で誕生パーティーをサプライズ企画してくれていたのです。
 しかも、ママもグルになって。

 「はい、これ、我々弟子たちからのプレゼントです」
 と手渡された箱は、リボンがけされた立派なものでした。
 「これ、今、開けていいのかな?」
 「はい、ここで開けてください」

 箱の大きさからすると、中身はシャネルかヴィトンの財布だろうか?
 でも、そんな物をもらっても、中に入れる金がないよなぁ~。
 なんて考えながら箱を開けました。

 すると箱の中は上げ底で、たった4枚の紙切れ入っているだけでした。
 紙には、こう書かれています。

 <祝(温泉マーク)還暦>
 <酒処Hご招待券>
 <※このチケットは還暦本人「小暮淳」以外の使用を禁ず。>
 <※他人への譲渡、またオークション出品等を禁ず。>

 そして4枚の紙には、それぞれ1枚ずつ、ママも含め4人のコメントが書かれていました。
 『悩みに喝!この券を使えば、たちどころに悩み解消!』
 『~人生のスパイス・酒~ご利用は計画的に』
 『還暦と思えない若さに乾杯!でも飲み過ぎに注意だワン!』
 『いつまでも麦わら帽子にトンボ取網の似合う少年でいて下さい』


 もう、ダメです。
 あっという間に涙腺が、ぶっ壊れてしまいました。
 「あ・り・が・と・う」
 みんなに、礼をいうのが、やっとです。

 すると、
 「やったー!! 小暮淳を泣かせる会、大成功!」
 の声とともに、またもや拍手に包まれました。


 たった10%のしあわせですが、僕には充分過ぎるようです。

 みんな、ありがとう!
 そして、これからも、よろしくお願いします。
  


Posted by 小暮 淳 at 19:24Comments(0)酔眼日記

2018年06月05日

ハラスメント対策


 とある宴会場にて

部下 「くれぐれも今日は、気をつけてくださいね」
上司 「ああ、言われなくても分かっている」
部下 「絶対ですよ! 部長は酒グセが悪いんですから」
上司 「そんなに、悪いか?」
部下 「酔ってくると必ず女性に、卑猥なことを言います」 
上司 「あれは、ギャグだよ、ギャグ」
部下 「それがダメなんですよ」
上司 「昔は、酒の席で下ネタを言うのは、当たり前だったんだけどなぁ~」
部下 「今はダメなんです。それと、酔ったふりをして女性の体を触らないでくださいね!」
上司 「俺、そんなことをするか?」
部下 「はい、トイレに立つとき必ず。よろけたふりをして女性に触ります」
上司 「それって、ダメなの?」
部下 「ダメです!」

 しばらく時が経って

部下 「部長! もう、酒はやめましょう。ソフトドリンクにしましょう」
上司 「てめぇ~、なんだとー! 誰に向かって言ってるんだ!!」
部下 「部長、いいんですか? 今の地位も家族も、すべて失っても!」
上司 「…………」
部下 「部長、部長! どうしたんですか? 急にうなだれちゃって」
上司 「分かった、今すぐ、ガムテープとロープを買ってきてくれ」
部下 「えっ、そんなもの、何に使うんですか?」
上司 「俺の口をふさいで、両手をしばってくれ」
部下 「……そこまでしても、飲みますか!?」
上司 「これは命令だ! 今すぐ、買って来~い!」
部下 「部長、それって今度は、パワハラですよ」
上司 「えっ、……帰ろう」


 予備軍のみなさま、お気をつけくださいませ。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:26Comments(0)酔眼日記

2018年05月31日

貧乏脱出大作戦


 “相撲取り 相撲を取らなきゃ ただのデブ”
 “フリーライター 文章書かなきゃ 無職と同じ”


 一昨晩、待ちに待った 「弟子の会」 の定期交流会が開催されました。
 弟子の会とは?
 世の中には殊勝な人たちがいるもので、僕のことを 「先生」 とか 「師匠」 とか呼んでくださる温泉好きの集まりであります。

 講演会やセミナー、またこのブログを通じて知り合った読者たちが、自主的に結成してくださいました。
 一昨年の発足から1年半、2ヶ月に1度、飲み屋に集まり、温泉談義をしています。


 親はいなくとも子は育ち、師はいなくとも弟子は成長するものです。
 会うたびに、彼ら(女性もいます) は、新しい話題を持ち寄って、いかに群馬の温泉を盛り上げるかを語り合っています。
 今回の最大の議題は、これでした!

 『小暮淳 貧乏脱出大作戦』


 すでに企画書が用意されていました。

 ① 資本金が要らない
 ② 投資した金がすぐ回収できる
 ③ 今の仕事が続けられる
 ④ すぐに真似されない、真似されにくい
 ⑤ みんなに喜ばれる
 ⑥ 本も同時に売れる
 ⑦ 名前も売れる


 うる、うる、うるるるる~~!!!!

 なんですか、これは!?
 もう、感動で震えが止まりません。

 師匠が、ふがいないばかりに、見かねた弟子たちが、こんなにも心配していてくれたのですね。
 ああ、感謝! 感動!

 企画書には、続きがあって、具体的な展開が記されています。
 もちろん、ここでは内容を公表できませんが、とても素晴らしい企画力です。
 なによりも、弟子たちの愛情の深さを感じるのであります。

 オレが貧乏なばっかりに、みんなに迷惑をかけて申し訳ない……


 でも、貧乏だからこそ、こうやって知恵も出るのです。
 “貧乏は発明の母” なのだ!
 なんて、師匠がこんなにも脳天気だから、弟子たちが気をもむんですよね。

 貧乏脱出、するぞ~!

 でも、こんなに幸せな気分を味わえるのなら、もう少し貧乏のままでもいいかな。


 ただただ美酒に酔いしれた夜でした。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:15Comments(0)酔眼日記

2018年05月09日

『新ぐんまカルタ』 制作10周年


 「小暮君は、若くっていいなぁ~」

 昨晩、5人のメンバーが集まりました。
 僕以外は、70~80代の先輩たち。
 還暦を迎える僕が、最年少の集まりです。

 2006年春、僕らは8人で 「ぐんまカルタ制作実行委員会」 を発足。
 2008年10月、『新ぐんまカルタ』 を発行・発売しました。
 ※(発足・制作のいきさつについては、当ブログの2010年12月18日「3分の1は敵」を参照)

 あれから10年……
 その間に、3人の同志が他界しました。
 こうやって毎年、残されたメンバーが集まって、定期総会を開いています。


 平成29年度の収支決算の報告、販売・在庫数の報告の後、いつものように乾杯となりました。

 「あれ、ノンアルですか?」
 「ああ、まだ医者の許可が出ていないんだよ」
 「残念ですね」
 「次回は、飲むから」

 「来年も、このメンバーで集まれるといいけどね」
 「そんなこと、言わないでくださいよ」
 「いや、これだけは分からないから」
 「みなさんは、まだまだ大丈夫ですよ」
 「最後に残るのは、小暮君だ。頼んだぞ!」

 座は、笑いに包まれました。


 あれから10年……
 60代だった人は70代に、70代だった人は80代になりました。
 僕だって、彼らに会った時は、まだ40代だったのです。

 「でも、あの時、カルタを作って、本当に良かったと思うよ」
 発起人であり代表のIさんが、しみじみと言いました。

 “これからの群馬を担う子供たちのために”
 その思いは、こうやって形として後世に残すことができました。

 来年も、元気にお会いしましょう!


 ☆ 『新ぐんまカルタ』 は、前橋市内の主要書店にて取り扱っています。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:40Comments(0)酔眼日記

2018年04月18日

「F」 と 「H」


 小説を読んでいたら、無性に酒が飲みたくなりました。
 でも時刻は、まだ午後の3時。
 早く、時間よ経て!
 ページをめくる手が、アル中患者のようにふるえます。

 午後4時。
 あと1時間。
 そわそわしながら、ページをめくります。
 ノドは、カラカラです。

 えい、もう我慢がならぬ。
 いざ、出陣じゃーーー !!!

 ということで、僕は脱兎のごとく家を飛び出して、「H」 へと向かったのでした。
 「H」 とは、ご存じ、我らのたまり場、酒処 「H」 であります。
 一番乗りを目指したのに、カウンターには、すでに先客がいます。
 さすが、のん兵衛の世界にも、上がいるものです。


 で、僕が読んでいた小説とは、
 栗山圭介著 『居酒屋 ふじ』(講談社文庫)
 であります。

 役者志望の主人公が、オーディションに落ち、ふらりと入った小さな居酒屋。
 そこには、強烈な人生を生き抜いてきた80歳の名物 “おやじ” がいました。
 常連客は、すべて “おやじ” のファンたち。
 いつしか主人公も、通い出すのですが……

 実は、この店、東京に実在するする店なんですね。
 有名人が通う店としても知られ、テレビドラマ化もされました。


 <名物らしき鯨の尾の身とふじ豆腐とちりめんキャベツを注文した。>

 主人公は、初めて店に入った日に、この3品を注文します。
 よっぽど美味しかったようで、毎回、この3品をたのみます。

 <「鯨の尾の身」 は、尾びれの付け根の部分で、ほとんどが赤みの鯨肉の中で唯一の霜降り。この薄切りされた尾の身に、にんにくとしょうがをのせて、しょう油でいただいた。>

 <「ふじ豆腐」 は、ぷるんぷるんの豆腐の上に、ほぐされたたらこが山のように盛られていて、そのまろやかな塩加減が豆腐のぷるふる感とマッチして、つい一気食いしてしまった。>


 そんな小説を読んでいたら、居ても立ってもいられませんって。
 「ママ、とりあえず生ちょうだい!」

 お通しは、ほうれん草のおひたし。
 ポン酢がけで、いただきました。
 「ク~、しみるねぇ~」

 「ジュンちゃん、まだビールでいいの?」
 「あと1杯、ちょうだい。その後は、芋焼酎かな」
 最後は、日本酒でしめるつもりです。


 「H」 には、メニューは一切ありません。
 すべて、ママのおまかせコース料理です。
 それも、客一人ひとりの飲み方と腹具合に合わせて、1品ずつ出してくれます。

 きのこ豆腐、鶏の手羽揚げ、鯛の粕漬け焼き……

 どれも手の込んだ、ママの創作料理です。
 「H」 だって、「居酒屋 ふじ」 に、負けてなんかいないぞ!


 小説に嫉妬して、ムキになって飲みに出た夜でした。
  


Posted by 小暮 淳 at 14:14Comments(0)酔眼日記

2018年03月31日

大事なことは飲み屋で決まる③


 昔、僕が雑誌の編集長をしていた時の話です。
 編集会議の内容が、だいぶ煮詰まってきたときのこと。
 「よし、ここから先は、飲みながら決めよう!」
 突然の僕の言葉に、スタッフ全員、目がテンになっていました。

 「さ、行くぞ! 出かける用意して」
 「編集長、それって仕事ですか?」
 「当然だろう、会議は続いているんだ」
 「だったら、会議を終えてから飲みに出かけませんか?」

 「バカモ~ン! それじゃ、いい知恵が出ないだろう!!」

 ま、そんな具合で、昔から “苦しい時の酒頼み” と言って、たびたび 「お酒さま」 の力を借りては、アイデアをしぼり出して来たのであります。


 昨晩は、某紙の社長と編集長と、夕方から高崎の街を流しました。
 理由は、1つ。
 秘密裏に進めている、さる企画についての検討会議であります。

 そんな大切なことを飲み屋で?
 昔のスタッフの声が聞こえてきそうですが、昔も今も理由は変わりません。
 「お酒さま」 の力を借りて、最良のアイデアをしぼり出そうという魂胆であります。

 「乾杯!」
 「よろしくお願いします」
 「こちらこそ、お願いします」
 「さっそくでが、例の件ですが、いかがでしょうか?」
 「うちとしては、異論はありません。ぜひ、進めたいと思います」
 「ありがとうございます。となれば、今後のスケジュールですが……」

 生ビールから始まり、ワイン、日本酒へ。
 さらに河岸を替えて、地酒の専門店へ。

 飲めば飲むほどに頭は冴えて、饒舌になっていきます。
 まるで、酔えば酔うほど強くなる “酔拳” のよう。

 「では、これは小暮さんの還暦祝いのプレゼントということで」


 春の宵に酔いながら、ゆらゆらと電車に揺られる帰り道。
 “還暦” という文字が、ちらつきます。

 もう、還暦。
 まだ、還暦。

 でも、こうして酒を飲める仕事がある幸せ。
 まだまだ、夢を追い続けますぞ!

 酒が飲める限り…
    


Posted by 小暮 淳 at 16:53Comments(0)酔眼日記

2018年01月17日

赤兎馬、宙を舞う。


 それは、昨年の5月のことでした。

 僕のことを 「先生」 とか 「師匠」 とか呼んでくださる自称 “弟子” たちが集まり、新刊 『金銀名湯 伊香保温泉』(上毛新聞社) の出版を祝ってくれました。
 その時、祝いの品として手渡されたのが、幻の芋焼酎といわれる限定品の 「赤兎馬(せきとば)」 でした。
 ※(2017年6月3日 「赤兎馬に願いを込めて」 参照)


 あれから8ヵ月。
 僕は、弟子たちの思いが込められた焼酎のボトルを仕事場に飾って、願をかけ続けてきました。

 “温泉といえば群馬”

 観光大使として、温泉大使として、いえいえ、群馬の温泉をこよなく愛する一人のライターとして、全国区へ導きたい……
 ただひたすらに、その思いだけを念じ続けてきました。
 そして、その願いが叶った時、このボトルの封を切ろう。
 それも、3人の弟子たちの前で……


 「カンパイ!」
 「今年もよろしくお願いします!」

 カウンターに、4人が勢揃いしました。
 昨晩は、今年最初の 「弟子の会」 会合でした。
 場所は、ご存知、我らの溜まり場、酒処 「H」。

 「みんなのおかげで、少しずつだけど、願いが叶えられつつあります。ありがとうございます。今日は新年会ということもあり、ここで赤兎馬を開けたいと思います」


 昨年は、NHKBSプレミアムの旅番組に出演して、群馬の温泉を全国に紹介することができました。
 また、観光ガイドブックの 『d design travel 群馬』(ディアンドデパートメントプロジェクト) では、群馬のキーパーソンの1人として、紹介していただきました。
 インタビューの中では、しっかりと “温泉といえば群馬” のメッセージを全国へ発信することができました。

「それでは、あらためて、カンパイ!」

 キィーーーーー!! しみる!
 これこれ、この味。
 鼻孔をくすぐる芳醇な香り、口に含んだときのピリッとした刺激、そして胃に流し込んだときのカーッと湧き上がる熱い高揚感。
 3人の思いと、僕の8ヶ月間の願いが、今、全身を駆けめぐっています。


 1杯が2杯、2杯が3杯。
 4杯、5杯……

 ふわり、フワリ、ふわり、フワリ
 身も心も軽くなり、宙を舞い出しました。

 僕も、弟子たちも、ママも、カウンターの客も、一緒になって揺れています。
 見れば、赤兎馬のボトルまでもが、ユラリ、ゆらり、ユラリ、ゆらり……


 いい酒、いい店、そして、我に友あり。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:41Comments(0)酔眼日記

2017年11月30日

ブリっと、シャブっちゃいました!


 “贅沢” とは、稀にあることだから 「ぜいたく」 なんですね。
 6年ぶりに、寒ブリが届きました。
 ※(前回の贅沢は、当ブログの2011年12月11日「ブリを食い月を食う」参照)


 そもそも海なし県に暮らす僕らにとって “海鮮物” は、贅沢以上のものでした。
 現在のように流通経路も冷凍技術も未発達の時代のこと。
 子どもの頃に食べたことのある魚なんて、塩ジャケとタラコくらいのものです。

 大人になってからだって、大差はありません。
 山で出されるマグロの赤身を食べて、喜んでいるレベルですからね。
 だもの、寒ブリだなんて……

 6年前のあの日、誰もが初体験をしました。
 「こんな、うまいものが、この世にあったのか!」
 「50年以上生きてきて、初めて食った味だ!」
 ってね。
 その場にいた誰もが、度肝を抜かれたものでした。


 あれから6年。
 生涯2度目の贅沢が、富山湾からやって来ました。

 今回も仲買人は、建築家のY氏であります。
 そして、集まったメンバーも6年前と同じ貧乏な面々。
 全員が、フリーランスのクリエーターたちです。
 とっくに忘れちまっている “贅沢” を求めて、10人が結集しました。

 ただ、今回は6年前と1つだけ異なることがあります。
 それは会場です。
 前回は、メンバーの家でホームパーティー形式で行いましたが、今回は、なななんと! 飲み屋に寒ブリを持ち込んだのであります。

 これは、スゴイ!
 他の客には絶対に出せない、特別メニューですからね。
 僕らのテンションだって、上がりっぱなしです。


 「カンパーイ!」
 のかけ声も終わらぬうちに、誰もが我先にとブリの切り身に箸を伸ばします。

 「うーーーーめーーーー!!」
 「うわぁ~、この味だよ」
 「とろける~!」

 喚声の中、Y氏がうんちくを述べます。
 「えー、刺身としゃぶしゃぶでは、部位が違いますからね。食べ比べてみてください」
 言われてみれば、確かに違います。
 しゃぶしゃぶのほうが、たっぷりと脂がのっています。

 「どのくらい、しゃぶしゃぶすればいいの?」
 イラストレーターの I 女史の質問に、にわか “ブリしゃぶ” 評論家を買って出たのは、カメラマンのS氏でした。
 「8秒ね、8秒! これ以上でも以下でもダメです」
 これに対してY氏いわく、
 「レアでも、ミディアムでも、その人の好みでいいんじゃないですか?」

 ドッと場に笑いが起こったものの、その後は
 「イチ、ニイ、サン……、シチ、ハチ」
 と、あちらこちらから声が響いたのでした。

 「ね、8秒が一番おいしいでしょう!」
 と、悦に入るS氏。
 それほどに、夢中になれる “食の祭典” でした。


 カニを食べると、人は無口になるといいます。
 でも、ブリは人を饒舌にするようであります。

 次に寒ブリを食せるのは、いつのことでしょうか?
 どうか神様、死ぬまでに、もう一度……
 貧乏人の願いをかなえたまえ!
 アーメン
   


Posted by 小暮 淳 at 11:58Comments(0)酔眼日記

2017年11月27日

一周年を祝う


 世の中には、殊勝な人たちがいるものです。
 「温泉が好き」 というだけで、僕のことを “師匠” “先生” と呼んでくださり、定期的に酒宴を開いて、招いてくださるのです。

 通称、「弟子の会」 といいます。


 発足は、ちょうど1年前の11月でした。
 3人の温泉好きが、僕を介して、ひょんなことから出会い、意気投合して、団結しました。
 ※(出会いの詳細は、当ブログの2017年2月2日「魅惑の会合」を参照)

 この会は、2ヶ月に1回、奇数月に集まるのですが、1つだけルールがあります。
 それは、貧乏人の僕を気遣ってのことなのですが、「会費は3,000円以内とする」 というもの。
 飲んで食べて、3,000円ですぞ!
 しかも、「チェーン店の居酒屋を除く」 です。

 でも、そこは、師匠ゆずりの飲兵衛な弟子たちであります。
 毎回、毎回、「よく、こんな店を知ってるねぇ~!」 と驚くほどに格安で、うまい、穴場の飲み屋を探してくるのであります。
 1回目は、おでん屋でした。
 2回目は、ホルモン焼き屋。
 その後、すき焼き屋、寿司屋、焼き肉屋など、毎回持ち回りの幹事が会場を押さえ、料金の交渉をしてくれています。


 先日、発足一周年を記念する7回目の会合が、前橋市内の焼き鳥屋で開催されました。
 「一周年、おめでとう!」
 「カンパーイ!」

 「じゃあ、焼き鳥を頼みますか?」
 と、生ビールを飲み干した僕が言えば、
 「先生、ここは焼き鳥じゃないんですよ。おまかせください」
 とTさん。
 なんでも、焼き鳥屋なのに、揚げ物や他の料理がうまい店なんだといいます。
 ま、いつも、こんな調子で料理も、幹事にまかせっきりなのであります。


 「えー、ちょっと僕から、ひと言、ごあいさつを、よろしいですかね?」
 この日に合わせて、僕は弟子たちに、心ばかりのプレゼントを用意していました。
 「本当に、毎回、楽しい会をありがとうございます。これからも末永く、よろしくお願いいたします」
 と告げ、一人ひとりに手渡しました。

 “冥利” っていうやつですかね。
 たかが温泉ですが、こんなに楽しい仲間たちに会えました。
 されど温泉、そして温泉……。

 今回も、延々と尽きない温泉夜話が続いたのであります。

 みんな、ありがとう!
  


Posted by 小暮 淳 at 13:42Comments(0)酔眼日記

2017年11月09日

それぞれの出発(たびだち)


 ♪ サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ! ♪

 といわれたのは、高度経済成長に浮かれていた50年も昔のことです。
 もし、今でも、そうだったら、僕はサラリーマンを続けていたことでしょうね。
 でも現実は、そうじゃなかった。
 努力、忍耐、根性……なかでも、忍耐には我慢が効かず、早々にフリーランスの道を選んでしまいました。


 酒処 「H」 のカウンター。
 「一番乗りかな?」
 「だね」
 カウンターの中から、ひょこっと顔を上げたママは、いつものように手に数字パズルとペンを持っています。

 時計を見れば、まだ午後5時を少し回ったところ。
 昨日は突然、仕事がキャンセルとなり、午後から時間を持て余していました。
 そんなとき、僕は迷わず 「H」 に向かいます。

 まずは生ビールで喉を潤し、焼き魚と湯豆腐をつつきながら、日本酒の一升瓶に手を伸ばした頃でした。
 Mちゃん、Kさんと、常連が顔を出し始めました。

 「Mちゃん、転勤だって?」
 「ええ、静岡です」
 「大変だね」
 「いえ、転勤は慣れっこですから」
 「さみしくなるね」
 「たまには、H のみんなに会いに来ますよ」

 Mちゃんは、40代半ば、独身。
 金融関係に勤めています。
 2年に1度の転勤をくり返し、日本中を転々としています。

 いくら独身だからといっても、その労力は多大なものだと思います。
 僕だったら、最初の転勤命令で、辞表を出しているかもしれません。


 「小暮さん、お久しぶりです」
 隣の席に座ったKさんは、県内有名企業に勤めるエリートサラリーマンです。
 歳は50代後半で、僕とは同世代。
 あと数年勤めれば、悠々自適の人生が待っています(うらやまし~い!)。

 「お久しぶりです。元気でしたか?」
 そう僕は、ふつうに言葉を返しました。
 通常ならば、社交辞令として次に、「ええ、変わりなく」 とか 「元気ですよ」 と言葉が返って来るはずですが、彼の口から出た言葉は違いました。

 「私、会社を辞めました」

 ええ、えええええええええーーーーっ!!!!

 ママもMちゃんも、そして僕も一斉に驚きの声を上げました。
 絶句とは、こういうことなんですね。
 二の句を継げません。

 「ど、ど、どうして?」
 「会社の方針に我慢ができなくて」
 さらに絶句であります。

 あと2年、たった2年の我慢じゃないの?
 でも、その2年の我慢ができなかったといいます。
 「奥さんは、なんて言ってた?」
 「あなたは、そうすると思ったって」
 それは、良かった。

 聞けば、先のことは、まだ何も考えていないといいます。
 「とりあえず、細々と切り詰めて生きて行こうと思います」
 「だね、オレと同じだ」
 「唯一のぜいたくが、H に来ることかな」
 「それも、オレと同じだ」


 晩秋の酒処 「H」 は、悲喜こもごもの事情を抱えたオジサンたちが、今宵も酔いしれています。
 サラリーマンにもフリーランスにも、世間の風が冷たい年の瀬であります。

 「では、それぞれの出発(たびだち) に、カンパーイ!」
    


Posted by 小暮 淳 at 12:09Comments(2)酔眼日記