温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2010年03月31日

楽天トラベルとタイアップ!

 今日の上毛新聞(24面)に、拙著『ぐんまの源泉一軒宿』の新しい広告が掲載されました。
 「お気に入りの温泉に付箋をつけてプレゼント!」という斬新な企画です。
 さらに著者のコラムと入浴写真付きという、贅沢な構成!

 そして、最大のサプライズは、楽天トラベルとのタイアップ!
 日本最大級の宿泊予約サイト「楽天トラベル」で、『ぐんまの源泉一軒宿』の特集が始まりました。
 楽天トラベルではタイアップを記念して、掲載宿の中から、16施設で「源泉一軒宿特別プラン」を用意してくれました。
 ぜひ、アクセスしてみてください。僕の入浴シーンも満載ですよ。

 URL:http://travel.rakuten.co.jp/movement/gunma/201003/


 新聞に掲載のコラムも、続きます。次回の広告もお楽しみに!  


Posted by 小暮 淳 at 11:45Comments(0)著書関連

2010年03月30日

やぶ塚温泉 「ホテルふせじま」「開祖 今井館」

 昨日から、やぶ塚温泉に泊り込んで、老舗旅館の取材をしてきました。

 「ホテルふせじま」(旧・伏島館)4代目主人の伏島晴彦さんと、「開祖 今井館」9代目主人の今井和夫さんに、やぶ塚温泉の歴史や湯の歴史について、興味深い話をたくさん聞きました。
 開湯1300年、日本最古といわれる温泉神社が、両館の裏山に建っています。新田義貞の隠れ湯ともいわれ、江戸時代にはすでに湯小屋があり、農閑期には近在の農民たちが湯治に訪れていたといいます。

 やぶ塚温泉は、子供の頃よりたびたび訪ねていましたが、このところ一軒宿の温泉ばかり取材していたので、知ってるつもりで知らなかった思わぬ発見があり、両氏の話に引き込まれてしまいました。
 僕にとって最大の収穫は、幻の温泉「西長岡温泉」にたどり着いたことです。
 ここ、やぶ塚には、「湯の入」「滝の入」「西長岡」の3つの源泉があったいいます。「湯の入」が現在のやぶ塚温泉が使用している源泉で、「滝の入」は廃業してしまって福寿館が所有していた源泉。そして今日、以前から探していた「西長岡」の場所が判明しました。今井さんが子供の頃、昭和20年代までは丘陵をひとつ越えたところに一軒宿があったそうです。大火により消失してしまった話を、リアルに語ってくださいました。

 大正7年発行の田山花袋・著『温泉めぐり』に、次のようなくだりがあります。

 <その西長岡温泉に初めて私の出かけて行ったのは、そのあくる年の二月のまだ寒い頃であった。(中略)位置としても、藪塚よりも深く丘陵の中にかくされたようになっていて、一歩一歩入って行く心持が好かった。>原文のまま

 この本を読んだときから、僕は消えた温泉の場所を探しつづけていたのです。
 謎が解けて、実に愉快です。これだから取材は楽しい!  


Posted by 小暮 淳 at 16:29Comments(2)温泉地・旅館

2010年03月28日

源泉巡礼記 第41話

 今日は月刊「Deli-J」4月号の発行日。連載中の「源泉巡礼記」第41話は、藤岡温泉です。

 さっそく藤岡温泉ホテルの山口忠男支配人から、お礼の電話をいただきました。うれしいですね。
 藤岡温泉は、日帰り入浴施設からの転身ということもあり、いろいろ苦労があったことと思います。とてもいい湯が湧いているのですから、これを機にたくさんのお客さまが来湯することを祈っています。

 先月号の第40話で掲載した亀沢温泉には、たくさんの人が訪れているようです。
 亀沢温泉のブログには、「(掲載)以来お客様が非常に増えました。メディアの影響は凄いものです」との書き込みがされています。また、取材した僕についても、次のようなコメントを載せていました。
 「(執筆した)氏の思いは、平地で大深度掘削した大規模日帰り温泉施設ではなく、源泉を大事に守っている人たち(湯守<ゆもり>といいます)を取り上げ脚光を当ててる点にあります」

 これまた、うれしいですね。
 書かれたのは館主の住谷稔さんでしょうか。ありがとうございます。
 取材した温泉地の方が喜んでくれて、記事を見た読者が楽しんでくれて、群馬の温泉地がもっともっと活性化されるよう、微力ながらこれからも執筆活動を続けたいと思います。

 群馬には、まだまだたくさんの素晴らしい温泉があります。次回も楽しみにしていてください。  


Posted by 小暮 淳 at 13:00Comments(0)温泉雑話

2010年03月27日

吊り橋を渡る宿

 群馬県から依頼があり、旅のエッセイを1本書きました。とは言っても、僕に来る話ですから、当然テーマは温泉です。
 「群馬県全体の温泉の魅力に触れながら、おすすめの秘湯を紹介して……」との要望。さらに「秘湯に入っている写真も」ということで、たかだか原稿用紙2枚程度のエッセイなのに、てこずってしまいました。

 そもそも僕はライターなので、写真がありません。こんなときは同行のカメラマンに写真を提供してもらうのですが、雑誌や出版で使用した写真は著作権があるので、簡単には使用できません。ということで、今回も、このブログのタイトルバックに使用している半出来温泉(嬬恋村)の露天風呂を掲載することになりました。

 以前にも書きましたが、半出来温泉「登喜和荘」は、JR吾妻線の無人駅「袋倉」から吾妻川に架かる吊り橋を渡って訪ねる一軒宿の温泉です。国道側からも車で行けますが、秘湯の風情を楽しむなら、絶対に吊り橋からのアクセスをおすすめします。
 露天風呂から吊り橋が見える温泉は、たぶん県内ではここだけではないでしょうか。

 群馬県内には、もう1つ吊り橋を渡る宿があります。湯の平温泉「松泉閣」(六合村)です。
 こちらは、県内で唯一、車で行けない宿。白砂川の対岸から徒歩で向かいます。
 吊り橋を渡り、山道を登るので、足の弱い方や高齢の方には無理かもしれません。
 でも、不便な宿ほど、訪ねたときの喜びもひとしおというもの。湯だって、極上に感じます。
 「湯に会いに行く」そんな温泉旅が、いいですね。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:04Comments(0)温泉雑話

2010年03月26日

「みなかみ紀行」と水上

 水上温泉を紹介するとき、若山牧水の『みなかみ紀行』がよく引き合いに出されますが、牧水は大正11年のこの旅では、水上へは立ち寄っていません。沼田に投宿の後、法師温泉へ向かっています。

 どうしてか、群馬の人は「みなかみ」というと、水上温泉の「みなかみ」をつい連想してしまうようです。でも『みなかみ紀行』の「みなかみ」は、地名ではなく川の上流のことです。
 牧水は『みなかみ紀行』のなかで、次のように記してます。

 <私は河の水上(みなかみ)というものに不思議な愛着を感ずる癖をもっている。一つの流れに沿うて次第にそのつめまで登る。そして峠を越せば其処にまた一つの新しい水源があって小さな瀬を作りながら流れ出している、という風な処に出会うと、胸の苦しくなるような歓びを覚えるのが常であった。>

 ちなみに、牧水が水上を訪れたのは、大正7年のこと。沼田から湯檜曽まで、利根の渓谷に入り込んだと『みなかみ紀行』のなかで述懐しています。ただし、当時はまだ水上温泉とはいわず、「湯原の湯」と呼ばれていました。旅館「藤屋」に泊まっています。  


Posted by 小暮 淳 at 09:36Comments(0)温泉雑話

2010年03月24日

温泉の誤った表記

 雑誌やガイド本などの温泉情報誌を見ていて、とても気になることがあります。それは泉質の誤った表記が多いことです。
 先日も、某新聞の日帰り温泉紹介の記事で、次のような一文を見つけました。

 「泉質は弱アルカリ性で神経痛や筋肉痛、慢性消火器病、冷え性などに効能がある」

 弱アルカリ性という泉質はありません。酸性・アルカリ性とは、水素イオン濃度(pH)のことで、いわば湯の性質です。よって記事にあるような効能は、ありません。ここの温泉の正しい泉質は「単純温泉」です。

 では、なぜこのような間違いが起こるのでしょうか?
 まず、取材する記者やライターに、温泉の基礎知識がないこと。もうひとつは、宿や施設が提供するデータ自体が間違っている場合があることです。

 以前、僕が取材した温泉宿でも、堂々と誤った泉質をパンフレットに掲載していたところがありました。温泉分析書と異なった表記がされていたのです。このことでも分るように、経営者ですら温泉の知識が乏しい場合があります。
 現在は、温泉法により情報の開示が義務づけられています。浴室の脱衣場に「掲示証」または「温泉分析書(写し)」が貼られていますので、ぜひ正しい情報を得てから入浴してください。掲示が見当たらない場合は、直接宿の人に聞いてみましょう。

 温泉の湧出量や泉質に自信がある宿(施設)ほど、堂々と情報を公開しています。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:10Comments(0)温泉雑話

2010年03月23日

娑婆の空気はうまい!

 4日間のカンヅメ生活から解放されました。
 今日は朝から医者に行ったり、本屋へ行ったり、久々に外食もしてきました。陽気はすっかり春で、若者たちが、まぶしかった! 仕事からの解放感もあり、なんだかとっても気分が良いです。

 毎度感じることは、なんでライターなんて職業を選んでしまったのだろう?という自問自答です。
 カンヅメになっての執筆活動が、大の苦手なのです。集中力も続きません。
 思えば僕は、ライターといえども編集者あがりなんですね。取材が好きで、この道に入りました。だから文章は二の次だったのです。

 「なんでライターになったんだろう?」と思う瞬間は、他にもあります。取材先で、カメラマンと別れるときです。
 「お疲れさまでした。あ、小暮さんはこれからですね。頑張ってください」と必ず、声をかけられます。
 そうです、取材が終わっても仕事が終わらないという、因果な商売なのです。取材+執筆=原稿の方程式があるかぎり、常に倍の労働を強いられます。
 どんな小さな記事でも、1日取材+1日執筆です。ともすれば図書館へ行って、資料集めに+1日必要です。なかなか取材費や資料費は取れませんから、本当に割りの合わない仕事です。時給で換算したら、よっぽどコンビニにアルバイトへ行ったほうが、良さそうです。
 でもフリーのライターになって、かれこれ15年。いまだに続けているところを見ると、お金に換算できない魅力が、この仕事にはあるのでしょうね。

 さ、目の前から原稿の山は消えました。久々に今夜は、夜の街へ出かけるぞ~!  


Posted by 小暮 淳 at 15:58Comments(0)執筆余談

2010年03月21日

文人たちが愛した湯

 今日は、県からの依頼原稿で、「文人たちの愛した湯」と題したコラムを書きました。

 数々の名湯が湧く関東の奥座敷として、群馬県には古くから著名な文人墨客らがたくさん訪れています。
 有名なところでは、歌人の若山牧水。大正時代に、たびたび訪れては紀行文を残しています。「みなかみ紀行」では、草津温泉をスタートに、花敷温泉、沢渡温泉、四万温泉、法師温泉、笹の湯(現・猿ヶ京温泉)、湯宿温泉、老神温泉、白根温泉と、群馬県を西から東へ横断しています。お付きの者がいたとはいえ、わずか14日間で歩き抜いています。

 草津温泉や伊香保温泉、水上温泉という名湯地には、夏目漱石、芥川龍之介、島崎藤村、高村光太郎、北原白秋、田山花袋……といったそうそうたる文人たちが滞在しています。法師温泉には、川端康成、直木三十五が訪れています。

 意外と知られていないのが、太宰治です。昭和11年に谷川温泉、15年に四万温泉に滞在しています。
 ここ数年、太宰ブームが続いています。群馬県はどうして、“太宰の愛した湯”として群馬の温泉地をもっとPRしないのでしょうか? 太宰ファンが、ドッとやって来ると思いますがね。
 群馬県は、本当に観光PRが下手な県ですな。  


Posted by 小暮 淳 at 16:58Comments(0)温泉雑話

2010年03月20日

コラムの連載が始まります

 昨秋に発売以来、上毛新聞紙上で、ときどき掲載される『ぐんまの源泉一軒宿』の広告。ご存知ですか?
 全3段と全5段の2種類があります。内容的には同じですが、全5段広告には、本で紹介している全宿50軒の温泉地名と宿名の一覧が載っています。

 発売から半年が経ったため、広告の内容をリニューアルするとの連絡が、出版元の上毛新聞出版部と広告部よりありました。
 おかげさまで、依然本の売り上げは良いようで、統計によれば一人の方が複数冊買い求めているとのことです。1冊は自分用に、もう1冊は友人や親兄弟へ。また県外の知人へ、群馬みやげとして贈られる方が増えているそうです。

 そこで、新たな広告では、著者のコラムを掲載したいとの申し入れがありました。もちろん快諾しました。
 広告なので、短いコラムではありますが、今月末より3回にわたり連載します。

 上毛新聞を購読されている方、ぜひ楽しみにしてください。  


Posted by 小暮 淳 at 14:32Comments(0)著書関連

2010年03月19日

カンヅメになって、缶詰を食う

 今日から4日間の完全カンヅメ生活に、突入しました。
 この10日間、すべて出張取材に出かけていたため、まったくもって原稿を書く時間を作れませんでした。たまりに溜まった原稿が、なななんと13本! よくぞ溜めたものだと、他人事のように感心しています。昔ならば、2~3本溜まっただけで、パニックに陥ったものですが、この歳になると動じなくなりました。「無理なものはムリ!」と開き直ってしまいます。
 それだけ業界が長くなり、ずうずうしくなっているのです。すでに、締め切りを延ばしてもらった所もあります。

 書かなければならない原稿は、半分以上が温泉関係で、残りは、その他の観光ものです。短いものは原稿用紙1枚程度ですが、5~6枚になるエッセイもあります。ま、小説家の先生方に比べれば、楽なものです。
 さてっ!と朝から気合だけは入れたのですが、気分が盛り上がりません。仕方なく、午前は歯医者へ行って来てしまいました。これからが、いよいよ本番です!

 時計を見れば、お昼です。腹が減っては原稿が書けぬ。
 確か、サバの水煮の缶詰があったっけ。
 まずはカンヅメになる前に、缶詰を食することにします。

   


Posted by 小暮 淳 at 12:30Comments(0)執筆余談

2010年03月18日

小野上温泉 「旅館 花山」

 朝帰りしました。少々、二日酔いです。
 出版本の取材で、昨日から小野上温泉に泊り込んできました。

 小野上温泉というと、日帰り入浴施設の温泉センター(現・さちのゆ)のイメージが強くて、温泉地としてはあまり知られていませんが、いえいえどうして、素敵なお宿が4軒もあります。今回は、そのなかでも美人女将のいる宿「旅館 花山」さんへお邪魔してしてきました。

 女将の新井春代さんにお会いするのは初めてなのですが、実は上牧温泉「辰巳館」の社長・深津卓也さんの友人ということで、前回の辰巳館取材のときに紹介していただいたのでした。そのとき、酔っ払って電話で「今度、取材に行きますから泊めてくださいね」なんて、ずうずうしいことを言ってしまったのですが、女将はその約束をちゃんと叶えてくれました。

 お会いして、びっくり! イメージどおりの女性だったのです。きりっとした、宝塚系の美人です。
 そして、もう一つのびっくりが、僕のサイン入り本を持っていたこと! 感激しました。
 昨年暮れに、渋川市で行った講演会でのサイン本だそうです。ご本人は当日、急きょ出席できなくなり、知り合いから譲り受けたとのことでした。
 ということは僕の読者でもあるわけで、取材はとんとん拍子に進み、夜は二次会と称して部屋での酒盛りとなりました。仕事を終えた女将とカメラマン氏と、僕。女将の孤軍奮闘旅館経営苦労話や県内温泉事情などなど、夜が更けるのも忘れて、温泉談義に花が咲きました。

 小野上温泉の歴史や「旅館 花山」については、今秋出版される本に詳しく書きます。  


Posted by 小暮 淳 at 12:03Comments(0)温泉地・旅館

2010年03月16日

下仁田温泉「清流荘」

 先週に引き続き今日も一日、群馬県の観光雑誌の仕事でした。富岡製糸場と下仁田のこんにゃくを取材してきました。

 下仁田といえば、こんにゃくも有名ですが、やはり下仁田ネギが絶品です。ふつうのネギは好んでまで食べませんが、下仁田ネギだけは別です。今では好物の一つになっています。その下仁田ネギを、毎年暮れになると送ってくれる方がいます。下仁田温泉「清流荘」の2代目ご主人、清水雅人さんです。

 清水さんと僕は同世代、最初に取材でお会いしてからというもの、仕事以外でもプライベートで泊まりに行くようになり、酒を酌み交わすようになりました。先月も泊まってきたばかりです。

 清流荘は、米以外は自給自足の宿。2400坪の農地には、随時20種類もの野菜が完全無農薬で栽培されています。もちろん、下仁田ネギの指定農家でもあります。
 イノシシ・シカ・キジの牧場、ヤマメ・ニジマス池もあり、すべての食材を敷地内で地産地消しているのです。僕は、海のものを一切使わず、山里のものに徹した料理を気に入っています。なんど訪ねても、飽きることがありません。

 自然湧出する湯は、全国でも珍しい二酸化炭素を含む炭酸泉。ヨーロッパでは、毛細血管を広げて血圧を下げる効果があるため、「心臓の湯」と言われている温泉です。
 日帰り入浴もできますが、湯だけではなく、ぜひ泊まって料理を食することをお勧めします。
 海なし県にも、こんなにおいしい山の幸があることに気づかされるはずです。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:06Comments(0)温泉地・旅館

2010年03月15日

「グラフぐんま」読者プレゼント

 現在発売中の「グラフぐんま3月号」(上毛新聞社発行・定価350円)に、僕の著書『ぐんまの源泉一軒宿』の読者プレゼント記事が載っています。

 日ごろのご愛読に感謝して、5人にプレゼント!
 官製はがき、FAX、E-mail、ホームページからも応募できます。
 締切は、4月10日まで。応募方法は「グラフぐんま3月号」を参照。
 まだ持ってない方は、ぜひ、ご応募ください。
 ハズレた人は、書店で買ってくださいね。

 「グラフぐんま」は、県内主要書店、コンビニ、上毛新聞取り扱い販売店、県庁県民センターで販売しています。

●問い合わせ/上毛新聞社事業局出版部 TEL.027-254-9966   


Posted by 小暮 淳 at 18:44Comments(0)著書関連

2010年03月14日

大胡温泉 三山の湯「旅館 三山センター」

 携帯電話の不在着信履歴に、登録外の電話番号がありました。こんな場合、「用があるなら、またかけてくるだろう」と放っておくのが常なのですが、なぜか無意識に発信ボタンを押してしまいました。すると「大胡温泉、三山センターです」の聞き覚えのある声が……。「あっ、女将さん! どうしたんですか?」

 「小暮さんのおかげで、うち、繁盛してるのよ。ありがとうございます」と、うれしそうに何度も「繁盛」という言葉を女将はくり返しました。うれしいですね。ライター冥利につきます。
 読者の方からお便りやメールをいただくのもうれしいのですが、取材先の方に喜んでいただくと、改めて「この仕事をしていて良かった」と素直に思います。

 「本が売れちゃってないのよ。また仕入れたいんだけど、電話番号が分らなくなっちゃって、それで小暮さんにかけたのよ」と、相変わらずおおらかで、元気いっぱいの女将です。
 昨秋出版した著書の『ぐんまの源泉一軒宿』は、掲載されている旅館でも販売していただいているのです。もちろん、すぐに僕から出版元へ、追加注文を連絡しておきました。

 大胡温泉と僕の出会いは、何年か前に、ふらりと湯に寄り、帰りに庭そうじをしていた女将の中上ハツ枝さんに声をかけたのが始まりでした。そのとき、長い長い温泉誕生秘話を聞かされたのです(どんな誕生秘話かは、僕の著書に書いてあります)。
 それからというもの、近くまで行くと女将の人柄にひかれて「女将さん、元気?」と顔を出すようになりました。

 宿の前に池があり、宿と池を囲むようにぐるりと桜の木が植わっています。
 満開の花見湯を楽しめるのも、もうすぐです。  


Posted by 小暮 淳 at 15:45Comments(4)温泉地・旅館

2010年03月13日

旅するリエコさん

 今朝の上毛新聞(27面)を見て、びっくり!
 長い髪の綺麗な女性が、僕の本を持って微笑んでいる写真が載っているではありませんか!
 最初は驚きましたが、記事を読んで納得しました。いよいよ、企画が始まったのです。

 彼女は、バックパックを背負って世界中を旅するタレントのリエコ・J・パッカーさん。楽天トラベルの企画で、一昨日から群馬を訪れているのです。その企画というのに、僕が書いた『ぐんまの源泉一軒宿』がかかわっているのです。そのため出版元である上毛新聞社を昨日彼女が訪れ、僕の本を手に「この本をガイドに温泉めぐりをしたい」とコメントしていたのでした。

 昨日のリエコさん来訪の席に、実は僕も呼ばれていたのですが、草津の取材があったために同席できませんでした。
 ちっくしょー、こんな美人だとわかっていたら、県の仕事の方をキャンセルして、新聞社へ駆けつけたのに!
 でも、きっと会えますよね。ぜひ、そのときは、混浴風呂で対談なんていかがでしょうか?
 
   


Posted by 小暮 淳 at 14:57Comments(0)著書関連

2010年03月13日

草津温泉「千代の湯」

 昨日は早朝から夜遅くまで、草津温泉にいました。来月、群馬県が発行する観光雑誌の取材で、カメラマンやデザイナー、プロデューサーら5人で、一日中、草津の町を歩き回って来ました。

 さすが天下の草津温泉です。平日というのに、湯畑や西の河原通りは人でいっぱい。前橋や高崎の街中よりも、はるかににぎわっています。韓国、中国から観光客も多く、卒業旅行でしょうか、若い女性グループも目につきました。

 雑誌で紹介する土産物を探しながら、西の河原へ。いたる所から源泉が噴出し、もうもうと湯けむりを上げるさまは、いつ訪ねても圧巻です。「湯の国ぐんま」と呼ばれるゆえんは、草津あってのものだと、つくづく感じてしまいます。

 ベルツ記念館で、館長の沖津弘良さんにインタビューをしました。
 ベルツ博士が草津の湯の素晴らしさを世界に知らしめたことは、つとに有名ですが、惚れ込んだのは湯だけではなかったのですね。「草津温泉には日本で最上の空気と、理想的な飲み水がある」という言葉を残して、日本を離れたとのこと。
 草津っ子の館長さんの熱のこもった話に、メモを取るのも忘れて聞き入ってしまいました。

 草津温泉には18ヵ所の無料の外湯(共同浴場)と、6ヵ所の有料の立ち寄り湯があります。
 ひととおり取材を終えて、湯畑にもどってみれば、すでにどっぷりと日が暮れていました。だからと言って「お疲れさまでした」と、ここで解散するわけにはいきません。仕事とはいえ、せっかく草津温泉に来たのです。もちろん、僕はいつも仕事で温泉に入っていますが、他のスタッフさんたちのために、外湯をプレゼントしました(無料だってば)。

 せがい出し梁造りの建築様式が美しい旅館が並ぶ滝下通りにある、湯畑源泉を引き込んだ「千代の湯」へ。
 草津の外湯の良さは、4人も入ったらいっぱいになる湯舟のサイズ。じっと浸かっていられるのです。草津の湯特有の押しの強い浴感が、歩き疲れた体にはたまりません。グイグイと抱きしめてきます。

 一日中、草津の町を共に歩き、共に飯を食い、共に湯に入ったスタッフの皆さん、お疲れさまでした。
 いい雑誌を作りましょうね!   


Posted by 小暮 淳 at 10:15Comments(0)温泉地・旅館

2010年03月11日

足利温泉 地蔵の湯「東葉館」

 ちいきしんぶん(ライフケア群栄)に連載している『里山をゆく』の取材へ行ってきました。このシリーズは、車を使わず、公共交通機関のみで移動し、里山の山頂を踏破し、帰りに温泉に入り、酒を飲むのが真骨頂のウォーキングエッセイです。

 シリーズ17回の今回は、JR両毛線の桐生駅から東へ歩き、桐生川を渡り、ガッチン山~雷電山~観音山と菱丘陵を横断して、県境を越えて栃木県足利市へ入り、JR両毛線の小俣駅から帰るという、総歩行時間5時間のハードな行程でした。

 帰りに訪ねた温泉は、小俣駅近くの足利温泉。地元では「地蔵の湯」と呼ばれ、古くからから親しまれている温泉です。
 4代目女将によれば、「湯は明治末期の創業以前から湧いていて、当時は近くの寺院・無量院の所有だった」とのこと。現在も庭内で湧き続けています。

 浴場は内風呂、離れ風呂、露天風呂とあり、源泉風呂は内風呂内にあります。
 鉄分を多く含む赤褐色の濃厚な湯が、酷使した足の筋肉に染み入って、気持ちがいい。
 湯上りは、カメラマン氏とお決まりの生ビールで、下山祝いのジョッキを掲げた。

 山を歩いて、温泉に入って、ビールを飲んで、でもこれが仕事なんですね。
 「それって、一般の人の休日のレジャーですよ」と、よく言われますが。
 毎度のことですが、当然、ビールだけでは終わるわけがなく、今日も無人駅のホームで電車を待つ間、カメラマン氏が持ってきた泡盛と、僕が持ってきた日本酒を並べて、酒盛りが始まってしまいました。
 くれぐれも誤解のないように言っておきますが、これも仕事うちなのです。
  


Posted by 小暮 淳 at 21:42Comments(0)温泉地・旅館

2010年03月10日

塩河原温泉「渓山荘」

 月刊Deli-J(でりじぇい)5月号の取材で、塩河原温泉に行ってきました。
 川場村の薄根川ほとりに、100年以上前から自噴する温泉です。浴感が、つるつるすべすべすることから「美人の湯」として知られています。全国に「美人の湯」と称する温泉はあまたとありますが、こちらのは源泉名が「美人の湯」なのです。通称や俗称ではありません。

 一軒宿の渓山荘へは、かれこれ10年近く取材で通っています。今回は、2代目女将の柳操さんに話を聞きました。
 「美人の女将、と書いてもいいですか?」と僕。すると「いえいえ、美人の湯の女将です」とすかさず軽妙なジョークで返されてしまいました。が、とんでもない。清楚で気品漂う、お綺麗な方なのです。

 浴室にある平成21年の温泉分析書を見ると、泉温:22.5℃、泉質:アルカリ性単純温泉と書かれていました。
 「えっ、単純温泉って、25度以上じゃないの?」と気づかれた方、かなりの温泉通です。僕も一瞬、あれっ?と思いましたが、すぐに、以前いただいた平成9年の温泉分析書を持ってきていることを思い出し、広げてみました。すると、それには泉温:27.8℃とあります。察するに、昨年の検査日は2月の真冬なので、泉温が下がってしまったのでしょう。
 温泉は、自然がつくりだした産物です。自然とは、決して一定ではありません。天候や季節により、泉温も変化するし、湧出量も常に増減します。泉質まで変わってしまうこともあるのです。
 いずれにせよ、pH(ペーハ)9.66というアルカリ性の強い湯がもつ、つるつるすべすべ感は今日も健在でした。「美人の湯」の源泉名に、いつわりはありません。

 こちらの宿の特筆すべきは、村内にあった神社の能舞台を移築・改造したという離れの特別室。お値段も良いようですが、ぜひ一度、泊まりたいものです。もちろんその時は、仕事ではなく、プライベートで。
  


Posted by 小暮 淳 at 22:35Comments(4)温泉地・旅館

2010年03月09日

おかげさまで、満席になりました!

 4月に開講するNHKカルチャーの温泉講座『探訪!ぐんまの源泉一軒宿』の受講生募集が、おかげさまで満席になりました。
 受付開始から2週間での満席、うれしいですね。それだけ皆さん、一軒宿に興味があるということでしょうか。今から開講が大変楽しみです。

 昨年度のように、好評の場合は10月以降に臨時講座が開講しますので、日程が決まりしだい情報を公開します。
 申し込まれた方々、ありがとうございます。お会いできる日を楽しみにしています。群馬の源泉一軒宿を一緒にめぐりましょう!


●お問い合わせ/NHK文化センター前橋教室
            TEL.027-221-1211
  


Posted by 小暮 淳 at 20:18Comments(0)講座・教室

2010年03月08日

安全な温泉 あぶない温泉

 2002年の夏、宮崎県日向市の温泉施設で起きた、レジオネラ菌集団感染の事件は、まだ記憶に新しいと思います。被害者総数およそ300人、死者7人という未曾有の大惨事でした。保健所が立ち入り調査したところ、循環風呂にもかかわらず、浴槽の残留塩素濃度がゼロだったという事実も後日判明。つまり、まったく殺菌がきれていなかったということです。
 この事件によって、「循環風呂」という言葉が、一般の人にも知れ渡り、「循環風呂は危ない」という不信感を持つようになってしまいました。でも、あぶないのは循環風呂だけではない。かけ流し風呂にも、レジオネラ菌は発生する!と警鐘を鳴らしている本がありました。中澤克之・著『安全な温泉 あぶない温泉』(草思社)です。

 私たちは温泉を語るとき、泉質や湯量など、ついつい源泉の良し悪しばかりに気をとられがちで、なかなか実際に入浴する浴槽内の湯の状態というものに無頓着だったようです。全国の温泉の7割がレジオネラ菌に汚染されているという事実。それゆえに塩素消毒が必要とされている現状。
 著者の中澤さんは、実際に消毒業務を行っている温泉衛生コンサルタントです。ちまたには温泉地や温泉旅館を紹介する本はあまたとありますが(僕も書いてます)、浴槽を清掃・消毒する業者の立場から書いた温泉本は、大変珍しいと思います。これだけ温泉をめぐっている僕でさえ、清掃と消毒の現場については知らないことばかりでした。まさに目からうろこの温泉本です。

 中澤さんは著書の中で、こんなことを言っています。
 「レジオネラ菌は、湖、沼、湿地、土壌に発生する菌で、昔のように森林が豊かであったら、レジオネラ菌は誕生しなかったのではないか…」と。
 緑地の砂漠化、森林の伐採により、樹木が発するフィトンチッドが減少しているといいます。フィトンチッドのもつ殺菌力の低下が、レジオネラ菌の繁殖を引き起こしたのではないかと、中澤さんは推測しています。でも、確かに昔の山のいで湯の小さな浴場では、起こらなかった現代の感染病です。

 塩素漬けの温泉もいただけませんが、レジオネラ菌の繁殖は死亡事故につながる大問題です。
 安全で、清潔で、新鮮な湯が、豊富に浴槽内で使われている温泉……。
 僕の新たな温泉めぐりのテーマになりました。  


Posted by 小暮 淳 at 21:08Comments(0)温泉雑話