温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2010年04月30日

尾瀬人

 現在、取材・執筆・セミナー・講演・講座など、そのほとんどが温泉にかかわる仕事です。それでも、年に何本かは、以前からの付き合いで仕事を頼まれたり、昔からシリーズで連載しているものなど、温泉以外の執筆仕事があります。

 JRや県からの仕事も、そんな温泉以外の仕事の1つ。要は、観光物です。
 今日は早起きをして、尾瀬へ取材に行ってきました。

 尾瀬の玄関、鳩待峠は、まだ身の丈以上の雪が残っていました。
 それでもGWの2日目、天気は絶好の登山日和。たくさんの登山客が、集まっていました。話を聞くと、みなさん至仏山へ登ってきたようです。
 水芭蕉の季節にはまだ早く、雪の残るこの時期は、観光客は少なくて、本当に山の好きな方がやっ来るのだと教えてくれたのは、鳩待山荘の支配人、本多敦志さんです。

 本多さんは、尾瀬に入って約30年。現在は鳩待峠にある山小屋の支配人ですが、尾瀬内の山小屋を転々としてきた方。いわば尾瀬のプロです。
 尾瀬の魅力や登山客のマナー、時代の中での変化など、さまざまな角度から尾瀬の話を聞いてきました。

 インタビューをしていて、とても印象に残った言葉がありました。それは尾瀬の魅力につてい聞いたときでした。
 「まだ、全部を見ているわけではないので…」と、ちょっと困った顔をしたのです。
 30年以上勤めている本多さんにしても、まだ知られざる尾瀬があるということ。尾瀬は広くて、とても奥深いところ。
 「定年退職後も、尾瀬に残りたい」と、きっぱりと言い切りました。

 根っからの尾瀬人なのですね。とても羨ましい生き方をしている方でした。
 僕も温泉人を目指します!  


Posted by 小暮 淳 at 21:10Comments(0)執筆余談

2010年04月29日

猪ノ田温泉 「久惠屋旅館」②

 一昨日、猪ノ田温泉からお土産をもらって帰ったと書きましたが、何をもらったのかというと、それは“源泉”です。
 以前、慢性の乾燥肌に悩んでいる話をしたら、女将さんがペットボトルに1本、源泉をくれました。おかげさまで、その冬は、床に入ってからのイヤなかゆかゆ病に悩まされずに済みました。

 宿に残る明治19年に旧多野郡日野村役場が発行した「分析表及び効能書」という文書の中に、こんな一文があります。
 『猪田鉱泉ハ古来ヨリ猪田川ノ川邊ニ湧出シ薬師ノ湯ト称ス』
 猪ノ田の湯は、明治の初めから「皮膚病に効く」という評判が高く、県内はもとより遠く関西方面からも、ケガや肌荒れに悩む人たちが、はるばる湯治にやって来ていました。今でも医者に見放された患者たちが、ワラをもつかむ思いで訪れています。

 もう何年も前ですが、僕が某雑誌に、ここの湯のことを「アトピー性皮膚炎に効果がある」と書いたところ、編集室にかなりの問い合わせがあったといいます。すでにその雑誌は3年前に廃刊になっているのですが、発行元へはいまだに問い合わせがあると聞きました。

 現在の温泉法では、成分がなくても25度以上あれば、温泉と名乗れてしまいます。
 しかし、古来より沸かしてまで浴した鉱泉には、病気の治癒効果が高く、薬湯と呼ばれる温泉が多いのです。

※久惠屋旅館では、ペットボトル大小の源泉を販売しています。  


Posted by 小暮 淳 at 18:12Comments(0)温泉地・旅館

2010年04月28日

真沢温泉 「真沢の森」

 先ほど、電話で真沢(さなざわ)温泉の支配人、七星裕之さんと話をしました。
 昨年の夏にお会いして以来ですから、約1年ぶりに声を聞きましたが、大変元気そうでした。

 彼は昨年から配属になった方で、まだ30代(たぶん)の若い支配人です。でも、とても接客が丁寧で、初めて会ったときから好感を持ちました。今回は、6月に予定している温泉講座のお願い電話だったのですが、快く引き受けてくださいました。

 僕が、みなかみ町の真沢温泉を6月の講座に選んだのには、理由があります。
 宿のある「真沢の森」周辺は、町の景観保全推進地区で、市民農園として一般の人たちに、水田と畑が貸し出されています。それも地形が地形ですから、すべて棚田と段々畑。初夏になると、それはそれは青々として棚田が風に揺れて、美しいのです。日本の原風景、ここにあり! いつまで眺めていても飽きることがありません。

 最初に僕が真沢温泉の一軒宿を訪ねたのは、4年前の夏。
 夜、露天風呂に入っていたら、棚田の上を無数のホタルが飛び交っていたのです。数え切れない数のホタルの乱舞をみながらの「蛍見風呂」、湯上りにはビールを飲みながらテラスで「蛍見酒」です。
 翌朝、露天風呂へ行くと、今度は棚田が広がる谷の向こうに、群馬の秀峰・三峰山、日本百名山の一座・武尊山が見渡せました。群馬の景観で選ぶ露天風呂のベスト3に入るかもしれません。

 ということで、僕の教室の生徒さんたちに、ぜひこの美しい棚田を見せたくて、6月下旬の講座に真沢温泉を選びました。
 まだ2ヵ月も先のことですが、今からとても楽しみです。棚田に会えるのも、七星支配人と再会できるのも。
   


Posted by 小暮 淳 at 17:58Comments(0)温泉地・旅館

2010年04月27日

猪ノ田温泉 「久惠屋旅館」

 今日は、NHK文化センターの温泉講座「探訪!ぐんまの源泉一軒宿」の第1回目で、藤岡市の猪ノ田温泉へ行ってきました。当日欠席者もあり、参加者は21名。7名が今期からの新受講生で、そのうち3名が男性でした。これで男性が計6名になり、男風呂が、にぎやかになりました。

 講座名を見てお分かりのとおり、拙著と同名タイトルです。昨年は名湯と呼ばれる有名温泉地も巡ったのですが、受講生らの要望で、今年はすべて一軒宿の温泉地を訪ねることになりました。もしかしたら、一軒宿ブームが来るかもしれませんね。

 猪ノ田温泉は藤岡市といっても、下日野の深い深い山の中。明治初期にはすでに湯小屋があり、群馬県内でも最も古い湯治場としてにぎわっていたといいます。大正の初めに旅館が建てられ、戦前までは大いに繁盛していましたが、戦後になり経営が悪化し、昭和40年代は廃業してしまいました。
 その眠ったままの源泉を昭和58年に復活させたのが、現主人の深澤宣恵さんです。深澤さんとは6年の付き合いになります。最初にお会いしたときに、温泉復活に10年の歳月を要した孤軍奮闘の男のロマン話を聞いて以来、すっかり僕はご主人のファンになってしまいました。

 今日は受講生たちの前で、スピーチをしていただき、ありがとうございました。
 またしても、温泉復活に賭けた熱い熱い男のロマン話は、聞いている者の胸まで熱くしてくれました。また、会食の後、源泉湧出地まで見学させていただき、みんな生きた温泉の勉強ができたと、大変喜んでいました。

 帰りには、お土産までいただいてしまいました。
 今度、また泊まりに行きますので、じっくり飲みながら語り合いましょう!  


Posted by 小暮 淳 at 17:52Comments(0)温泉地・旅館

2010年04月26日

「ググっとぐんま」創刊

 群馬県の観光情報誌『ググっとぐんま』が創刊されました。
 この雑誌は、来年の7月~9月の3ヶ月間、群馬県で開催される「群馬デスティネーションキャンペン(群馬DC)」に向けて、群馬県が発行する雑誌です。発行部数19万部、本日より東京・埼玉・神奈川・千葉のJR駅にて、無料配布が開始されました。
 群馬県内でも、県の機関や施設で手に入るそうです。

 創刊号の特集は、草津温泉。外湯や仕上げ湯、土産物などを紹介しています。
 シリーズ「上州の遺産」は、富岡製糸場。あまり知られていない女工たちの生活を取材しています。
 同じくシリーズの「伝統工芸を訪ねて」は沼田の桐下駄、「群馬のまつり」は安政遠足侍マラソンを、それぞれ紹介しています。

 実は、僕もちゃっかりエッセイを寄稿しています。
 10ページの「上州旅のエッセイ」のコーナーで、一軒宿の魅力について書きました。
 入浴写真とプロフィール入りですので、機会があったら、ぜひ手にとって見てください。
  


Posted by 小暮 淳 at 21:01Comments(0)執筆余談

2010年04月25日

源泉巡礼記 第42話

 今日は、上毛新聞を購読しているお宅に無料配布されるフリーペーパー、月刊「Deli-J」(でりじぇい)5月号の発行日です。連載しているエッセイ「源泉巡礼記」も今号で第42話。「塩河原温泉」を書かせていただきました。

 42話ということは、ちょうど3年半です。まあ、我ながら良く続いていると感心します。ネタはあっても、掲載してもらえなければ、世に出ていきませんから、(株)でりじぇいさんには、ただただ感謝しております。

 「継続は力なり」という言葉がありますが、まさに僕が生業としているライター業は、継続し続ける以外に評価されることはない仕事です。コツコツとひたすらに資料を集め、コツコツとまめに取材へ出かけ、コツコツと根気よく原稿を書く。この作業を飽きることもなく(たまに飽きますが…)、何年何十年と続ける仕事です。しかし、ひとたび認められれば、仕事が人を呼び、人が仕事を呼んできてくれる、実に楽しい仕事でもあるのです。

 温泉ライターとしての活動は10年くらい前から、コツコツと行っていたのですが、温泉の仕事が舞い込んでくるようになったのは、ほんの2年半前からです。きっかけは、Deli-Jに連載している「源泉巡礼記」でした。
 ある日突然、僕の連載を読んでいるという群馬県薬務課(温泉を管轄する部署)の担当者から電話があり、県の温泉アドバイザーを養成する研修会の講師を頼まれました。温泉医学や温泉科学の教授らに交ざっての講義は、はなはだ気がひけたのですが、これも経験だと思い引き受けました。
 そしたら翌年は、群馬県から紹介されたと、長野県の温泉協会から連絡があり、松本市で開催される研修会の特別講師として、講演を頼まれました。

 まったくもって人生とは不思議なものです。何かが転がりだすと自分の知らないところで、勝手に誰かが営業をしてくれるんですね。その後は、県内の市町村や企業から次から次へと講演話が入るようになりました。現在開講している教室やセミナーも、知らず知らずのうちに、入ってきた話です。
 すべての最初は、たった1本の連載からです。

 あらためて今「継続は力なり」だと、実感しています。コツコツとやっていれば、その姿を誰かが見ているものです。あきらめた時点で、永遠に夢は叶わなくなってしまいます。
 今日も一日、朝からコツコツと原稿を書いています。誰かが見ているのだと、心に命じながら……。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:34Comments(0)温泉雑話

2010年04月24日

沢渡温泉 「まるほん旅館」②

 沢渡温泉へ行ったときは、必ず「まるほん旅館」に顔を出します。16代目の若主人、福田智さんに会うためです。とにかく彼は気さくで、楽しい人。湯は人柄を映すのでしょうか、沢渡の湯のように、しなやかなやさしさを感じます。

 智さんは7年前までは、銀行員でした。仕事で同館を訪れているうちに、湯と先代の人柄に惚れ込んで、ついには養子に入り、老舗旅館を継いでしまったという異色の経歴の持ち主です。

 今回もコーヒーを飲みながら、県内の温泉事情や旅館の在り方、湯を管理する大変さなど、話の内容も盛りだくさんで楽しいひと時を過ごしてきました。
 智さんが大切にしている言葉があります。それは先代の口癖だった「湯さえ守っていれば、一生食いっぱぐれはない」。それほどまでに、沢渡の湯はいい湯だということです。
 でも最初は「そんなきれい事言ったって、今の時代は湯がいいだけじゃ客は来ない」と思ったといいます。宿の設備や料理の質など、お客のニーズは多岐におよんでいます。決して智さんの考え方は、間違ってはいません。

 ところが今回、智さんは僕に「湯に助けられています」と、きっぱりと言いました。「この不景気のなか、やって来てくださるお客様は、すべてお湯目当ての方です」と。
 餅は餅屋、湯は湯宿です。奇をてらい、他のことに手を出して、多角経営に走ったところで、肝心のお湯が良くなくては、本末転倒です。湯があってこその温泉宿ですから。
 「先代の言っていた意味が、やっと分かるようになりました」と、屈託のない笑顔で話してくれました。

 いつの世も、ブームは必ず去ります。そして最後に残るのは、本物だけです。何の世界でも……。   


Posted by 小暮 淳 at 15:56Comments(0)温泉地・旅館

2010年04月23日

沢渡温泉 「龍鳴館」

 昨日は午後から雨の中、沢渡温泉へ行きました。
 沢渡温泉は出版本の取材で1月に「まるほん旅館」に泊めていただいたのですが、そのとき「龍鳴館」に寄ったら「ぜひ今度は、うちに泊ってほしい」と言われてしまい、リクエストにお応えして再取材を兼ねて泊まってきました。

 というわけで、3代目女将の隅谷映子さんにお会いするのは、2回目です。最初に会ったときに、宿の歴史について話を聞いたのですが、そのとき摩訶不思議な出来事を話してくれました。そのことが、ずーっと僕は気になっていたのです。
 それは、お天狗さまの話。

 沢渡温泉は建久2年(1191)に発見されたと伝わる古い温泉です。龍鳴館も古い老舗旅館で、前身を正永館といい、大正11年には若山牧水が訪ねています。
 ところが昭和10年に大水害に遭い、昭和20年には大火に見舞われ、温泉街は壊滅的な打撃を受けました。その後、住民たちの努力により、戦後に復興を果たした温泉地です。
 女将の両親は、二度と災害のないように、また安穏として暮らせるようにと願いを込めて、昭和56年に温泉街を見下ろす裏山に、天狗堂を建立しました。また同時に、以前村にあった天狗さまの面は、心無い者の仕業により鼻が折れていたため、新たに木製の天狗面をこしらえて、奉納しました。「お天狗さまの鼻を折ったから、災いが起きた」という村人たちがいたからです。
 毎年、4月16日に天狗さまの祀りを行っているそうですが、2年目から不思議な現象が起こったといいます。それは、天狗面の鼻が、年々白くなっていくというのです。ちょうど、以前の天狗面の鼻の折れたあたりから……。

 今朝、女将と僕は、そぼ降る雨の中、傘をさして裏山を登りました。天狗堂には、花が手向けてありました。
 施錠されている鍵を開けると、お宮の中に、立派な鼻を突き出した木製の天狗面が見えます。恐る恐る取り出してみると、果たして、女将のいうとおり、天狗の鼻の真ん中ぐらいから先までが真っ白です。そこだけ木が変色しているのです。
 「ね、不思議でしょう」と言いながら、手を合わせる女将。あわてて僕も、沢渡温泉の湯と町の安全と繁栄を祈って手を合わせました。

 古い温泉地には、必ず伝説や言い伝えが残っています。そして薬師様や温泉神社が祀られています。それだけ、地の底から湧きいずる湯は、先人たちにとって霊験あらたかなものだったのです。
 現代人は、どうでしょう。簡単に掘削して、簡単に湯を使い捨ててはいないでしょうか。もっともっと温泉に感謝しながら、大切に利用したいものです。  


Posted by 小暮 淳 at 21:38Comments(0)温泉地・旅館

2010年04月22日

新しい講座が始まります。

 現在、NHK文化センターとヨークカルチャーセンターの2ヶ所で、バスで温泉地をめぐる温泉講座を開講していますが、来月より、また新たな講座がスタートすることになりました。

 今回開講する新講座は、現地へは行かずに、教室でびっちり90分間の講義をします。テキストは拙著の『ぐんまの源泉一軒宿』を用いて、3回にわたり群馬の温泉の魅力をたっぷりとレクチャーします。
 講義では、温泉の成り立ちなどの基礎知識から、泉質・効能の話、いい温泉の選び方、湯を守る「湯守」の仕事などをお話します。また、毎回後半では、テキストに掲載された温泉宿を、一軒ずつエピソードを交えながら紹介します。
 日程は以下のとおりです。温泉に興味のある方、ぜひご参加ください。お待ちしています。


    ぐんま温泉講座 『湯の国群馬は温泉パラダイス』  

●日 時/5月26日(水)、6月9日(水)、7月14日(水)
      13:00~14:30 
●会 場/ヨークカルチャーセンター前橋
      (イトーヨーカドー5F)
●受講料/3,150円(3回コース)、教材費別途

 ※詳しい内容は5月12日(水)の新聞折り込みをご覧ください。


お問い合わせ・お申し込みは/ヨークカルチャーセンター前橋 TEL.027-223-5121  


Posted by 小暮 淳 at 10:18Comments(0)講座・教室

2010年04月21日

鎌田温泉 「畔瀬」

 鎌田温泉には3軒の宿があります。源泉もそれぞれ、自家源泉や村有泉を使用しているため、泉質は似ていますが、宿により微妙に湯質が異なります。

 片品川の支流・小川に架かる尾瀬大橋を渡った田んぼの中に、ぽつんと一軒だけ離れて湯の宿「畔瀬(はんぜ)」があります。部屋数12部屋の小さな宿ですが、2代目の若主人・入沢尚和さんが家族と頑張っていました。
 ここの売りはなんといっても湯量豊富な自家源泉を所有していること。毎分190リットル、47.6度の高温泉が湧いています。泉質も、他の鎌田温泉がアルカリ性単純温泉なのに加えて、ここの湯は硫黄成分を多く含んでいます。だから浴室に入ると、硫黄独特の腐卵臭がします。
 やはり、硫黄泉は「温泉に入ってる~!」という満足感が味わえる、温泉らしい温泉ですね。僕の好きな泉質の1つです。湯舟には、硫黄泉ならではの白い湯花が無数に浮遊していました。
 湯花は本物温泉の証拠として、僕はありがたく思うのですが、主人に聞けば必ずしもそうではないようです。「汚い」「掃除をしていない」との苦情は茶飯のようで、頭を抱えていました。これも、循環して湯をろ過している日帰り温泉の悪影響なんでしょうね。温泉は無色透明だと思っている。また無色透明が、掃除が行き届いた清潔な湯だと思い込んでいる。

 毎分190リットルの源泉ですから、もちろん加水なし、加温なしの完全放流式(かけ流し)の新鮮な湯を存分に楽しめました。加水も、加温も、循環もしていないということは、人の手で湯の面倒をみているということです。季節、気温、天候により、湯の供給量を微妙に調節しています。いわゆる、湯守(ゆもり)のいる宿です。いい湯は、手間隙がかかるものなのですよ。

 ちなみに若き湯守の2代目主人は、独身とのこと。温泉宿の女将となる花嫁を募集中です。
 ああ、僕がもっと若くて、女だったら、名乗り出るのですがねぇ。残念です。
 それくらい、いい湯でした。
   


Posted by 小暮 淳 at 14:45Comments(0)温泉地・旅館

2010年04月20日

鎌田温泉 「梅田屋旅館」

 昨日から片品村・鎌田温泉に滞在して、温泉地周辺と宿の取材をしてきました。夜は、ご好意により、明治44年創業の老舗旅館「梅田屋旅館」に泊めていただきました。「日本秘湯を守る会」の会員宿でもあります。

 梅田屋さんを訪ねるのは、3回目。過去にプライベートと雑誌の取材でお世話になっています。今回も、出版本の取材ということで、快く引き受けてくださいました。

 とにかく、たくさんの著名人が訪れている宿です。落語家の立川談志師匠や映画の山田洋次監督などが、常宿にしています。
 僕がお気に入りなのは、大広間のふすまの落書き(?)です。
 『人生なんて知るもんか 勝手に生きりゃそれでいい』
 『オイ、客よ、生まれてきたんだろ なら酔えよ、そして文句をたれてりゃいい』
 などなど、談志師匠が酔っ払って書いた書(?)、いや襖絵か(?)。とにかく、一面に大迫力で書きなぐられているのです。
 一番のお気に入りは、この一句。
 『俺の人生 梅田屋程度で 充分なのだ』
 いやいや、恐れ入ります。そう書かせた、梅田屋さんもエライ!

 4代目女将の星野由紀枝さんと、宿と温泉の歴史話で盛り上がりました。
 あんまりに僕が歴史に興味を持ったものだから、先々代の2代目女将・星野志かさんが20年前に上梓した自叙伝『梅壽記』をくださいました。ありがとうございます。
 何が嬉しいって、僕は本をいただくのが何よりも嬉しいのです。とくに温泉史や伝説本は大好物です。

 先ほど家に帰ってから、さっそく読み出しました。グイグイと引き込まれていきます。
 まだ、明治34年生まれの志かさんの生い立ちの部分ですが、これからの梅田屋の波乱万丈な旅館奮闘記が楽しみです。

 守り継ぐもの、語り継ぐものがあるって、素晴らしいですね。

   


Posted by 小暮 淳 at 16:56Comments(0)温泉地・旅館

2010年04月18日

売り上げランキング

 今日の上毛新聞紙上で発表された、煥乎堂書店・本店(前橋)調べによる「週間ベスト10」で、拙著『ぐんまの源泉一軒宿』が、第4位に返り咲いていました!
 いやあ、久しぶりのベスト10入りです。感動しました。まだ売れているなんて嬉しいですね。

 最初にランキング入りを果たしのは、発売2ヶ月後の昨年11月。いきなり1位の登場に、出版元も本人もビックリしました。村上春樹や東野圭吾を抜いての1位ですから、それは大騒ぎとなりました。
 その後、年内は1位と2位がしばらく続きましたが、暮れにはランキング外へ落ちてしまいました。
 明けて新年、2位に復活! 年末年始の帰省客らが購入したようで、売り上げ人気が再燃焼しました。しかし、その後はまたしてもランキング外へ。このところは「村上春樹の『1Q84』じゃないんだから、そんなにいつまでも売れるわけがないよな」と、ランキングに対してあまり意識をしていませんでした。なによりも、次回作の取材や執筆が忙しくて、過去を振り返っている間がなかったのが、正直なところです。

 そこへ今日の新聞の記事が、飛び込んできました。
 楽天効果なのでしょうか? 確かにここに来て、掲載宿からの再注文も増えています。
 在庫も少なくなり、再増刷する日も近いかな……。

 本が売れるということは、それだけ温泉に興味を持っている人がたくさんいるということで、温泉ライターを生業にしている僕としては、今後の仕事に関係してくるので、大変嬉しいことです。何のために書いているのかと言えば、読まれるためです。読まれない本ほど、苦労が報われず悲しいことはありません。
 と、いうのも、過去の本が全然売れなかったから。ああ、売れて良かった!  


Posted by 小暮 淳 at 14:35Comments(0)著書関連

2010年04月17日

またしてもカンヅメ

 今週は月曜から昨日まで、すべて取材や講座で温泉地へ出かけていたため、まったくと言っていいほど、原稿の執筆作業がはかどっていません。やれやれ、どれくらいたまっているのだろうかと、数えてみると……・・・なななんと、15本!(めまいがします)

 大変だ~!ということで、今夜の飲み会の誘いは断り、明日のコンサート鑑賞もあきらめて、今朝から完全2日のカンヅメ生活に突入しました。
 最低でも、明後日までに4本を仕上げなくてはなりません。原稿入稿のリミットは、19日の午前11時。昼からは、また温泉行脚の旅に出なくてはなりません。

 以前にも書きましたが、僕はカンヅメが苦手なのです。自由を奪われた、酸欠になりそうな精神状態がたまらなくツライのです。後半になると、強迫観念に襲われます。あと一日、あと半日と迫り来る恐怖ったらありません。
 今日の午前中は、なんとか予定量をクリアしましたが、午後になりエンジンがかからなくなってしまいました。新聞読んだり、コーヒー飲んだり、なんだかんだと自分に言い訳をつけて、仕事部屋に入らないようダダをこねています(今、ブログを書いているのも、現実からの逃げです)。

 さ、そろそろ重い腰を上げて、つづきの原稿を書くことにしましょう。
 あ、その前に忘れていました。そろそろ、愛犬マロ君の散歩の時間です。
 と、言う具合に、ずるずると逃げ回っているのです。  


Posted by 小暮 淳 at 15:09Comments(0)執筆余談

2010年04月16日

高崎観音山温泉 「錦山荘」②

 今日は月刊「Deli-J」連載「源泉巡礼記」の取材で、高崎観音山温泉へ行ってきました。
 シリーズお約束の“入浴シーン”撮りがあるため、日帰り入浴客が来る10時前に宿に入りました。

 同行のカメラマンは、フリーのT君。このシリーズでは、3代目のカメラマンで、第33話「応徳温泉」から、僕のヌードを撮ってもらっています。彼は、まだ30代。歴代で一番若いのですが、センスと感性に優れたアーティスト系のカメラマンです。
 「いいですねぇ、そうそう、窓の外を眺めてください」 「はい、今度は縁に手をついてみてください。いいですね~」なんて、流暢な彼のトークにのせられて、いいオヤジがいっぱしのモデル気分で、毎回ポーズをとっています。

 彼のカッコいいはところは、海水パンツをはいてジャバジャバと湯舟の中に入ってワイルドにシャッターを切る、その撮影姿勢です。以前は、素っ裸で撮影をしていたのですが、どうもフルチンでカメラを覗いている姿が、妙に変態チックで不気味だったため、海水パンツをはいてもらいました。

 入浴シーン、本館客間、名物料理の「おっきりこみ」と順調に撮影が終わり、宿の外観撮影のために庭へ出ると、副支配人の武藤三治さんに呼ばれました。声は竹林の中から聞こえてきます。行ってみると、細長い特殊のスコップで竹の子を掘っていました。
 宿の名物「竹の子会席」の食材となる竹の子は、すべて敷地内の竹林で採れたものです。これぞ本当の地産地消!
 ごっそりと採れたての竹の子をいただいてしまいました。

 「小暮さんとの取材ぐらいですよ、こんないい思いをするのは。温泉入って、おいしい料理が食えて、おまけに毎回お土産付きだもの」と、帰りの車の中でT君に、ほめられ、おだてられ、オヤジはまたしても気分を良くしてしまったのでした。
 彼は写真の腕も一流ですが、トークも一流! よっ、オヤジ殺し! 来月もよろしく頼みますよ。
 
  


Posted by 小暮 淳 at 21:40Comments(0)温泉地・旅館

2010年04月15日

「里山をゆく」 出版に向けて

 昨年の暮れに、某出版社の方から「連載されている『里山をゆく』は、出版される予定があるのですか?」という問い合わせがありました。実は、一昨年に掲載をしている「ちいきしんぶん」(ライフケア群栄)から出版の話があったのですが、諸般の事情により、棚上げされていました。その旨を伝えると、「良かったら、うちから出しませんか?」という嬉しいお誘いが!
 「よそで連載しているシリーズですよ?」と僕。すると「先方さんが良ければ、うちは大丈夫です」とのこと。善は急げということで、「ちいきしんぶん」の社長と担当者を呼んで、僕と出版部長さんの四者会談を開きました。お見合いは大成功で、双方とも異議なしの結論に。結果、今年中に出版されることになりました。

 「里山をゆく」は3年半前に連載が始まったウォーキングエッセイです。スローライフをテーマに、移動手段はすべて公共交通機関を利用し、温泉に入り、酒を呑んで帰るという、一日を3倍楽しめる贅沢な旅の仕方を提案し続けてきました。
 現在、今月までで17話。里山は低山のため、夏場は暑く、ヤブが深くなるため、渓流や滝をめぐる「ぶらり水紀行」とタイトルを変えて、同じ条件で旅をしています。こちらが現在までに10話。合わせて27話、夏までにあと3話を連載して合計30話。本にするには、ちょうど良いページ数になります。

 ところが、掲載された里山の中には、開発が進み現在は登山が禁止されているコースや、ファミリーで登るには危険な箇所があるコースなど、本に収めるにはふさわしくないものも多々あるため、再取材や追加取材が必要となりました。
 と、いうことで、今日は朝も早くから、電車を乗り継ぎ、バスに乗って、旧吉井町の八束山(やつかやま)を登ってきました。牛伏山、朝日岳とともに「吉井三山」と呼ばれる西上州の秀峰(低山の中では)です。
 どんなコースだったかは、今秋に出版される本に書きますので、お楽しみに。

 里山の登行時間は、2~3時間です。車で登山口まで行けば、半日で登ってしまう山でも、電車やバスを乗り継ぐため、丸一日かかってしまいます。この手間隙かけた遊び心が、里山歩きの楽しさなんです。
 でも思えば、昔の人は、みんなそうやって、時間をかけて旅をしていたのですよね。  


Posted by 小暮 淳 at 21:29Comments(2)執筆余談

2010年04月14日

「ぐんま温泉探訪」 4月講座

 今日は、ヨークカルチャーセンターの温泉講座日。朝から受講生さんたちとバスで、倉渕川浦温泉「はまゆう山荘」へ温泉探訪に行って来ました。

 温泉講座の場合、NHKセミナーでもそうですが、受講生のほとんどが女性です。男性が少ないのが特徴。なぜなんでしょうかね。
 今年の2月に開講した「ぐんま温泉探訪」も、男性は60代の方が1人。まあ、僕とふたりだけですから、湯舟がゆったり利用できて良いのですが……。女風呂は、いつも芋を洗うような騒ぎをしています。
 ところが、今月から、もう一方男性が入りました! 80代の元気なオジイチャンです。仲間が増えたことを喜んでいるのは、60代の男性。「めでたい、めでたい」と言いながら、さっそく湯上りにビールを3本買ってきて、3人で乾杯をしました。
 年齢層はバラバラの3人ですが、共通は「温泉好き」。楽しい一日を過ごさせていただきました。

 Hさん、Aさん、来月もお待ちしています。また、湯上りに旨いビールを飲みましょうね。
 ちなみに来月は、上牧温泉「辰巳館」へ行きます。


※講座の定員に、まだ若干空席があります。ぜひ男性の方、僕と一緒に温泉で湯上りビールを飲みましょう!
●お問い合わせ・お申し込み/ヨークカルチャーセンター前橋 TEL.027-223-5121  

  


Posted by 小暮 淳 at 19:12Comments(0)講座・教室

2010年04月14日

泡の付く湯

 群馬県には、全国でも1%しかないという珍しい泡の出る炭酸泉が、いくつかあります。正確には、炭酸泉は旧泉質名で、現在は二酸化炭素泉といいますが、別名「泡の湯」「ラムネの湯」などとも呼ばれています。ヨーロッパでは「心臓の湯」と言われ、毛細血管を広げて血圧を下げる効果がある温泉として、珍重されています。県内では下仁田温泉が有名です。

 二酸化炭素泉以外でも、重曹泉(旧名)と呼ばれる炭酸水素塩泉や一部の硫酸塩泉でも、炭酸ガスを含み、泡が体に付着する温泉はあります。霧積温泉、古川温泉、平治温泉、温川温泉なども、泡が着きましたね。

 ところが炭酸ガスは、熱に弱いんです。だから温めると気泡は消えてしまいます(コーラを温めると、炭酸が飛んじゃうでしょう)。だから、基本的に炭酸泉は“ぬるい”です。または“冷たい”。
 下仁田温泉の源泉の温度は12℃、冬場はキツイですが、夏の暑い日に源泉風呂に入ってみてください。加温した内風呂よりも、はるかに多くの泡が付着します。

 ここからは、ナイショの話。

 ですから源泉の温度が高い炭酸泉は、非常に珍しいことになります。でも、これが群馬に存在するんですね。
 どこか?というのを教えられないのが残念です。というのも、地元民だけが入れる温泉で、一般には開放していません(建前では)。僕も、場所を明かさないという条件付きで、教えてもらいました。

 先日の取材の帰りに、カメラマンのT君へのサプライズとして連れて行きました。
 T村のH温泉の源泉湧出地に、小さなプレハブの湯小屋があります。もちろん一切の誘導看板も、小屋に名前もありません。知る人とぞ知る温泉なのです。
 入るなりT君は「おおおおおっー!」と雄叫びをあげました。ものの1分も経たずに、全身が泡だらけになったのですから、無理もありません。僕も知る限りでは、県内最強の泡風呂だと思います。
 しかも源泉の温度が約42度! 奇跡としか言いようがありません。加温なしに適温で入れて、炭酸ガスが付着する湯は、たぶん県内ではここだけでしょうね。

 知っている方は、地元の人たちのために、ナイショにしてあげてくださいね。 
 
  


Posted by 小暮 淳 at 18:20Comments(0)温泉雑話

2010年04月13日

赤城温泉 「赤城温泉ホテル」

 昨日は、土砂降りの雨の中、赤城温泉のロケを敢行。これはこれで、雨と霧にけむる幻想的な温泉地の写真が撮れました。
 夜は、赤城温泉ホテルに泊めていただきました。

 実は赤城温泉ホテルは、旧宿名を「あづまや」といい、僕の祖母が産湯をつかった旅館なのです。早い話が親戚で、10代目主人の東宮秀樹さんと僕は、はとこ同士にあたります。
 その昔、僕が子供の頃は、赤城温泉は「湯之沢温泉」といっていたため、祖母は死ぬ間際まで「湯之沢の湯に入りたい」と言っていたと母に聞いていました。その母も、子供の頃は祖母に連れられて、よく湯治へ出かけていたと言います。

 温泉の歴史は大変古く、開湯は500年以上。江戸時代には前橋藩主により湯権が認められ、元禄13年(1700)には「あづまや」が創業しています。かの国定忠治や新田義貞も、ここの湯につかったと伝えられています。

 赤城山以南の温泉は、ほとんど冷鉱泉なのですが、唯一ここだけは43℃という高温泉が湧いています。
 満遍なく鉱物が溶け込んだ赤褐色のにごり湯が特徴で、実に存在感のある湯です。湯縁に付着した珊瑚礁のような析出物の結晶、洗い場まで堆積した鍾乳石(リムストーン)のようなスケールのかたまり。とかく循環された軟弱な湯に入りなれた人は、ぜひ一度、この衝撃の湯体験をしていただきたい。それほど濃厚な湯であります。

 ひと夜明けて、朝食会場と露天風呂でお会いした、2人の初老紳士。ともに奥様とのふたり旅のご様子。一組は群馬県内から、もう一組は埼玉から来たとのこと。あれやこれやと話をすると・・・・!
 これがビックリ仰天! お二方とも僕の本を持っていた読者だったのです!(感謝!感激!)。
 「次の本も、ぜひ買わせていただきます」と言われて、ごきげんで帰路に着いたことは言うまでもありません。

 ああ、ライターしていて良かった。
 お二方とも、大変温泉に詳しい方たちでした。また、どこかの温泉でお会いするかもしれませんね。
  


Posted by 小暮 淳 at 16:28Comments(2)温泉地・旅館

2010年04月11日

湯守の一軒宿

 『上州風』(上毛新聞社)vol.32が、発行されました。
 年2回発行される雑誌で、僕は2年半前から「湯守の一軒宿」という温泉エッセイを連載しています。

 湯守(ゆもり)とは、温泉の源泉を守り続けている人のことです。
 何軒も宿のある温泉地では、1つの源泉から湯を分湯して使用している場合が多いので、必ずしも宿の主人が湯の管理をしているとは限りません。でも、一軒宿の温泉地のほとんど(まれに例外がある)は、自家源泉を所有しています。いわば、湯を守る“湯守”のいる宿なのです。

 僕が10年前から一軒宿の温泉地を取材するようになったのは、この湯守の仕事に魅せられたからです。
 季節や天候、気温により変化する湯の温度を、湯守は先祖から受け継いだ技と、長年の経験から培われた勘により、浴槽に注ぐ湯の量を微妙に調節しながら、大切な温泉を守り続けているのです。

 今回の『上州風』で取材した「湯守の一軒宿」は、川中温泉「かど半旅館」と野栗沢温泉「すりばち荘」です。
 なお、今までに掲載した温泉宿は、以下のとおりです。

・『上州風』vol.29  鳩ノ湯温泉「三鳩楼」と白根温泉「加羅倉館」
・『上州風』vol.30  鹿沢温泉「紅葉館」と滝沢温泉「滝沢館」
・『上州風』vol.31  下仁田温泉「清流荘」と大塚温泉「金井旅館」

●『上州風』のお求めは、最寄の書店または上毛新聞取り扱い販売店にて、お申し込みください。
 バックナンバーのお問い合わせは、上毛新聞社事業局出版部へ TEL.027-254-9966
  


Posted by 小暮 淳 at 10:30Comments(0)温泉雑話

2010年04月10日

コラム広告 第2弾「プチ湯治」

 今日の上毛新聞(21面)に、拙著『ぐんまの源泉一軒宿』のコラム広告 第2弾が掲載されました。
 前回の「秘湯編」に続き、今回は「湯治編」です。

 その昔、江戸の頃は、旅籠(はたご)と呼ばれた「宿場宿」と、温泉地の「湯治宿」は、明確に利用目的が分かれていました。旅人のための宿場宿は1泊が原則です。病気などのやむを得ない場合だけ連泊も許されたようですが、その場合でも奉行所へ届出が必要でした。
 それに対して湯治宿は、1週間単位の連泊が原則。現在のように1泊だけの宿泊は、受け入れていませんでした。
 文化2年(1805)に、この常識をくつがえす事件が起こります。「一夜湯治事件」です。
 箱根湯本温泉で、東海道中の旅人を1泊で泊めていたことが発覚。宿場宿が、これを営業妨害にあたるとして訴えました。
 果たして道中奉行の判決は? これが、意外にも「お構いなし」というものでした。
 これを機に、温泉宿は1泊の客を泊めるようになり、湯治客以外の一般入浴客も泊まるようになりました。

 いずれにせよ、何かと忙しい現代人には、1週間以上の休暇をとることは不可能です。せめて3泊、いや2泊でもいい。移動日のない、のんびりとした湯時間を楽しみたいものです。
 心が少し疲れたかな、と感じたら、プチ湯治に出かけてみてはいかがでしょうか。

   


Posted by 小暮 淳 at 11:10Comments(0)著書関連