温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2011年04月09日

お熱いのがお好き?


 震災後、掲載が見合わされていた朝日新聞の連載 『湯守の女房』 が、今週水曜日から再開しました。
 第4話は、大胡温泉の三山センターでした。

 掲載翌日、女将さんに電話で起こされました。
 「いい記事を書いてくださって、ありがとうございます。おかげさまで昨日は、朝から“新聞読んで来た”というお客さんが、大勢来ましたよ」とのお礼電話でした。
 僕が記事を雑誌等に書くと、女将さんは必ず、反響の報告とお礼の電話をくれるのですが、いっつも朝の早い時間なのです。ま、8時頃ですから一般の人なら起きている時間なのでしょうが、なにせ僕は夜型人間ですからね。その時刻はまだ、白河夜船の最中なのです。

 でも、うれしいじゃ、ありませんか。
 今は自粛、自粛で、どこの温泉地も閑古鳥が鳴いている時期です。
 少しでもお役に立てたことは、ライター冥利につくというものです。

 で、女将さんから電話をもらった日、朝日新聞の担当記者のワタちゃんからメールが来ました。
 「今日、大胡温泉に行って、ひと風呂浴びて来ました」という内容でした。
 メールによると、新聞記事が載ったら途端に一見の客がたくさん来るようになって、なかには“湯が熱い!”という苦情を言う客がいたらしく、「今日は、ぬるめの湯でした」とのこと。

 なんだか、女将さんらしいですね。
 きっと常連さんは、熱湯好きが多かったから熱めにしていたのでしょうが、たくさん客が来たものだから、つい迎合してしまったんですね。
 でも、きっとすぐにまた、あのアツーイ常連好みの湯にもどることでしょう。

 ワタちゃんも「あの熱い湯がいいんだよな。いかにもリウマチに効きそうでさ」って、言ってましたから。


 世の中には、ワタちゃんのような熱湯好きという方が、結構いるんですね。
 僕は、ニガテなんです。長湯ができないので。
 でも大胡温泉は僕でも、あのくらい熱いのが丁度いいって思えるんですから、泉質と温度の程度にもよるんでしょうな。

 熱い湯といえば、県内にもキョーレツに熱い湯が、いくつかあります。
 加水も加温もせずに、ジャンジャンかけ流している上等な温泉に多いのですが、湯舟に沈むのが苦行のような温泉です。
 ふつう旅館では、お客からの苦情を避けるため、源泉の温度が高い場合は加水や熱交換式により、浴槽の温度は適温に調節してあります。
 が、手ごわいのは外湯(共同湯)です。それも無人で無料の外湯は、湯がほったらかしですから、熱い場合が多いので注意が必要です。


 では、僕が浴槽に入れなかった高温温泉の県内外湯ベスト3を紹介します。

 ①湯宿温泉 「窪湯」
 ②草津温泉 「地蔵の湯」
 ③四万温泉 「上の湯」

 どこも源泉の温度が50~60℃と高温ですから、ヤケドに気をつけてくださいね。

 それから高血圧症の人は、熱い湯の長湯は避けてくださいね。 

 それでも入ってみたい人は、ぜひ挑戦してみてください。
  


Posted by 小暮 淳 at 18:47Comments(2)温泉雑話

2011年04月08日

奥嬬恋温泉 「干川旅館 別邸花いち」③

 今日は奥嬬恋温泉へ行って来ました。
 確か、昨年の10月に温泉講座で訪ねて以来ですから、半年ぶりになります。
 また女将さんに会えるんですから、とっても楽しみにしていました。

 今回は、新聞の取材です。
 このシリーズは、いつも新聞社の担当記者 I さんの車で温泉地へ行きます。
 I さんは、大阪に家族を残して、単身赴任で群馬に来られている方です。
 だから、不慣れな群馬での移動はすべて、カーナビに頼っています。
 毎回、僕を迎えに来ると、「えーと、今日は何温泉でしたっけ?」と言いながら、僕の著書を広げて、取材先の電話番号をナビに入力します。

 いつも思うんですが、ナビって不思議ですね。
 地元民には想像もつかないルートを行かせるんです。
 「えっ、こんな道入るの?」とか
 「あれれ、遠回りしているよ~」なんて…
 でも、それが楽しいんですよ。

 知っているはずの群馬県内の道が、なんだか違って見えて、面白いんですね。
 今日も、そうでした。

 嬬恋村へ行くのに、群馬の人ならふつう、渋川市経由で長野原町を抜けて行きますよね。
 でもカーナビは、上信越自動車道で軽井沢経由で行かせるんです。
 「えーっ、こっちから行ったことないなぁ」
 と思いながらも、なんだか観光客になったようで、ワクワクしちゃいました。

 I さんが「一度も見たことがない」というので、途中、「鬼押し出し園」に寄りました。
 えらく感動していましたよ。


 予定の時刻に、奥嬬恋温泉の一軒宿「干川(ほしかわ)旅館」に到着。
 3代目女将の干川陽子さんにお話を伺いました。

 僕は「女将さん」と呼ぶより、初めてお会いしたときから「陽子さん」って呼んでます。
 あまり深い理由はないんですけど、陽子さんは「女将さん」っていうより、「陽子さん」って感じなんですね。
 まだ、お若いし、可愛らしい方なので……。

 陽子さんといえば、「干俣の諏訪神社」ですよね。
 以前、このブログでも、雑誌の連載でも書いたパワースポットを紹介してくれたのが、陽子さんです。
 ※(当ブログ内 「干俣の諏訪神社」 検索)
 もちろん、今日も帰りに、しっかりお参りをして来ました。


 たっぷり話し込んだあとは、お約束の僕の入浴シーン撮りです。
 本当は女将の入浴シーンのほうが、読者も喜ぶのでしょうが、お約束はお約束ですから仕方がありません。
 雑誌、新聞、出版本と媒体が変わっても、僕が書く温泉は、僕が必ず入浴します!

 ということで、担当カメラマンが変わっても撮影方法は同じ。
 僕の下半身が写らないように、工夫してもらいます。
 でも今回は、黒色や茶色の湯の花が舞う、半透明のにごり湯です。
 おまけにマグネシウムの含有が多いので、光の加減では湯面が濃緑色に変色して見えます。
 そんなに撮影が難しい温泉ではありません。

 それでも I さんは、手を抜きません。
 ヤル気満々で、海パン姿で登場!
 自ら湯舟につかり、湯面スレスレにカメラを構えて、ベストショットを狙います。
 回を重ねるごとに、手馴れてきています。

 昨年まで連載していた「月刊 Deli-J」の担当カメラマンのタケちゃんに続く、2代目「海パンカメラマン」の風格が出てきましたよ。頼もしい限りであります。

 ワタちゃん( I さんのニックネーム)、これからもよろしく!
   


Posted by 小暮 淳 at 22:42Comments(4)温泉地・旅館

2011年04月07日

四万温泉 「すみよしや 花の坊」②


 一夜明けて、昨日は朝から「積善館」のある新湯地区から日向見川対岸の、ゆずりは地区へ移動して「すみよしや 花の坊」を訪ねました。
 「すみよしや 花の坊」は昨年暮れに、忘年会で泊まったばかりです。
 と、いうことで今回は宿泊取材は無し。訪問取材だけにしました。

 思えば2代目主人の湯浅文男さんとは、10年来の付き合いになります。
 2000年に四万温泉で開催されたイベント「探四万展(さがしまてん)」に参加以後、夏祭り等のイベントにもたびたび呼んでいただき、ご厚意で泊めていただいたこともありました。
 ご主人は、とても愉快で豪快な人。
 僕らバンドのメンバーと一緒にスナックで、ドンチャン騒ぎをしたこともありました。

 昨日のご主人もパワー全開でしたよ。
 「こんなときだからこそ、温泉で全国の人を元気づけたい!」
 と熱く語ってくださいました。

 途中からは、女将の麻起子さんも同席して、コーヒーを飲みながら雑談(本当は取材なのですが、何度も訪ねているので、特別聞くこともないのです)に加わりました。
 女将さんは、四万生まれの四万育ち、そして四万の旅館に嫁いだチャキチャキの四万っ子であります。
 四万温泉の生き字引のような女性です。
 同じく四万っ子のご主人とは、幼なじみ同士。
 馴れそめなんかも、ちゃっかり聞いてしまいました。

 僕がこうやってコーヒーを飲んで、話し込んでいる間、同行のカメラマン氏は、館内を撮影しています。
 取材における仕事量というのは、ライターより圧倒的にカメラマンのほうが多いんですね。
 ま、このあと、僕はウンウンうなりながら原稿を書かなくてはならないのですが……。

 最後はお約束の、僕の入浴シーンの撮影です。
 ここの風呂には、もう何回も数えられないくらい入っているのですが、入浴シーンの撮影は初めてだったんです。
 ご存知、四万温泉のお湯は無色透明ですから、カメラマン氏はここでも悪戦苦闘しました。

 露天風呂では岩陰に隠れたりして、なんとか下半身が写らないようにして撮るのですが、問題は内風呂です。
 撮影する時間帯や天気によっては、湯面がハレって(光が反射して白くなる)くれないんですよ。
 そんなときカメラマン氏は、一緒に湯舟に入ったり、浴室の外から狙ったりと、あれこれ工夫をするのです。

 今回は、「小暮さーん、かき回して、波立ててくださーい!」と最後の手段となりました。

 僕が浴槽の中で、股間のあたりの湯を手のひらで攪拌(かくはん)するのです。
 そうすることにより、波が立ち、アソコが写らなくなるというわけ。

 「そこまで苦労して撮らなくても、タオルを巻けばいいじゃん」
 と言う人がいますが、それはダメダメ!
 テレビの旅番組じゃないんだから、『撮影のためタオルを使用しています』 なーんていうキャプションは入れられませんよ。
 何より、入浴のプロとして、あるまじき行為であります。


 昨日の取材および撮影は、これにて無事終了。
 四万温泉全43湯制覇の旅は、これで現在27湯を制覇しました。
 残りは、あと16湯です。
 なんだか、ゴールが見えてきましたぞ!

 一湯入魂!
 湯あたり御免!
 必達、全湯制覇!

 温泉巡礼の旅は、まだまだ続くのです。
  


Posted by 小暮 淳 at 18:25Comments(2)温泉地・旅館

2011年04月06日

四万温泉 「積善館」②

 久々に四万温泉に入り込み、取材活動をしてきました。
 昨晩は、元禄4年(1692)創業の老舗旅館「積善館」に泊めていただきました。

 積善館は、3つの建物からなります。

 山の斜面に建つ3つの建物は、
 一番上が、昭和61年建築の近代的和風建築の「佳松亭」です。
 真ん中が、昭和11年建築の桃山様式の「山荘」。
 そして一番下、観光パンフレット等でお馴染みの四万温泉を代表する赤い橋「慶雲橋」のたもとにたたずむ木造3階建ての建物が「本館」です。1、2階部分は創業時、元禄4年に建てられたまま残されています(県の重要文化財)。

 積善館と僕は、もうかれこれ20年以上の付き合いになります。
 四万温泉で最初に泊まった旅館も積善館でした。
 その後、何十回と泊まっています。
 それには事情がありまして、現19代目主人の黒沢大二郎さん(僕は「だいちゃん」と呼びます)とは、20年来の友人であり、音楽仲間なのであります。だから、かつては、積善館にバンドで泊り込んで音楽合宿なんてことをしたこともありました。

 ところが、これだけ通っていて、重要文化財に指定されている本館だけは泊まったことがなかったのです。
 と、いうことで今回は、だいちゃんに頼んで、320年の歴史を誇る本館の2階に泊めていただきました。

 まあ、このご時世です。さしもの積善館にも、震災後の自粛の嵐は吹き荒れていました。
 いつもは賑やかな館内も、浴衣姿がポツリ、ポツリ……
 それでも休館することなく、頑張っている姿は、さすが老舗の心意気であります。
 だいちゃんも、社長自ら、先頭に立って、采配を振るっていましたよ。

 その、だいちゃんこと黒沢社長が案内する2つの人気ツアーというのがあります。
 午後4時からの 『館内歴史ツアー』 と午後8時30分からの 『アニメツアー』 です。
 今回僕は、取材を兼ねて、両方のツアーに参加してきました。

 『館内歴史ツアー』 は、タイトル通りの元禄時代から続く積善館の歴史をたどりながら、館内をめぐる1時間余りのツアーです。
 もう1つの 『アニメツアー』 は、ご存知、宮崎駿監督のアニメ映画 「千と千尋の神隠し」のイメージとなった場所をめぐるツアーなのであります。
 これは、アニメファンならずとも必見であります!
 映画を観たことのある人なら「あっ、本当だっ」と驚く場面ばかり。
 だいちゃんが、映像と写真を見せながら、映画の舞台となった場所を案内してくれますよ。

 実際、宮崎駿監督が泊まった部屋もあり、ツアーに同行したカップルは偶然にも、その部屋に泊まっていることを知り、大感激していました。

 と、いうことで、昨晩はいつものように、酒をあおっているだけの呑兵衛さんではなかったのです。
 しっかり、積善館の歴史と宮崎アニメの勉強をして来たのであります。

 当然、その後に、宿の名物「元禄の湯」(昭和5年建築、国の有形登録文化財および群馬県近代化遺産に指定)で名湯を浴んでから、酒を浴びたことは言うまでもありませんがね。
   


Posted by 小暮 淳 at 21:21Comments(0)温泉地・旅館

2011年04月04日

ラジオ番組スケジュール

 今月19日(火)から毎月第3火曜日に放送されるNHK-FMのラジオ番組「トワイライト群馬」(午後6時~6時50分)の中で、僕が担当するコーナー 『群馬は温泉パラダイス』 の年間スケジュールが、次のように決まりました。


●4月  「群馬の温泉」
●5月  「温泉とは?」
●6月  「湯守の一軒宿」
●7月  「ぬる湯の魅力」
●8月  「温泉の楽しみ方」
●9月  「いい温泉の選び方」
●10月  「湯治場と観光地」
●11月  「かけ流しと循環ろ過」
●12月  「入浴マナー」
●1月  「四大温泉と三名湯」
●2月  「仕上げ湯と合わせ湯」
●3月  「温泉のブランド力」(総集編)
 ※番組の内容は変更になる場合があります。

 以上のような内容で、進行することになりました。
 詳しいことは、NHK前橋放送局が発行する「ほっと群馬」4月号およびホームページにて確認してください。


 と、いうことで、以前ラジオ番組「群馬の力」の「温泉の力」でお世話になった鈴木桂一郎アナウンサーと打ち合わせして、一年間の内容を決めさせていただきました。
 もちろん暫定的なスケジュールですので、突然、僕の気まぐれで変更するかもしれませんし、リスナーからの要望や質問があれば、随時組み込んで、お話をさせていただきます。

 火曜日の担当キャスターは、金井一世(いよ)さんです。
 先日、電話をいただき、初めてお話をしました。
 群馬に来られて、まだ2ヵ月なんですって。
 「よろしくお願いします。いろいろ教えてくださいね」
 だ、なーんて!
 「オイチャンが、いろいろ教えちゃうよ~ん」と、今からテンションはアゲアゲであります。
 だって、すっごい美人なんですよ! 知ってましたか?

 で、第1回目は、「群馬の温泉」あれこれをお話します。
 どんな温泉があるのか? その特長など、群馬の温泉の素晴らしさをお伝えしますね。

 リスナーのみなさん、よろしくお願いいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:41Comments(0)温泉雑話

2011年04月03日

BUREZUに生きる

 先日、ひょんなことから4人のオヤジが集まりました。

 といっても、オヤジもオヤジ、全員50代であります。
 それも僕が最年少。
 おまけに、全員がフリーランス。

 今年、還暦を迎える最年長のTさんが、こんなことを言いました。
 「初めて淳ちゃんに会ったときは、ミュージシャンやってたよね。今は文筆業だもんな。生き方、貫いてるねぇ」

 これを聞いていたWさんが、
 「人生で一番大切なのは、ブレないことだよね」
 と、サラリと言いのけました。

 この “ブレない” という言葉、最近、良く聞く言葉なんですよ。
 とくに一匹狼で生きていると、様々な誘惑や挫折が、生き方を揺さぶるんですね。
 それに対して、ブレずにいることは、並大抵の信念では守り切れないのであります。

 「でもさ、ブレずに生きようとすると、どうしても経済的に貧窮するときがあるよね」
 とは、芸術家のM氏のお言葉です。

 「だからさ、ブレないということは、そのときに、どう対処するかなんだよ」
 そうTさんが言ったとき、僕はハッとある言葉を思い出しました。

 以前もブログに書いたことがあったと思いますが、友人でドッグアーティスト(犬専門のカメラマン)の酒井寛くんのセリフです。

 “人生は食えないくらいがいい”

 彼は、そう言い切ったのです。
 まさしく、ブレないための処世術なのであります。

 よく、「食えればいい」と言います。
 しかし「食える」というレベルは、かなりハードルが高いことなのです。
 でも食えないのでは、生きていけません。そこで人は、食う道を考えます。
 一番簡単な選択は、勤めに出ることです。とりあえずは、食えます。
 しかし、その行為が “ブレずに生きる” から、はずれることと考えるフリーランスの人たちは多くいます。
 となると、“食えないくらい” というストイックな状態が、ブレずに生きられるということになります。

 「食えないくらいか……、初めて聞いた言葉だけど、いい言葉だね」
 とTさんは、やけに感心しきりの様子でした。

 思えば、画家にしても、歌手にしても、作家にしても、それだけで食えている人は、ほんのわずかです。
 ブレずに生きようとすれば、おのずと “食えないくらい” の生き方を強いられることになるのです。


 そこでコーヒーを一杯。
 全員が、大きなため息をつきました。

 「ここまで(この歳まで)来ちゃうとさ、もうブレようがないよね」
 「そうそう、ブレるほうが難しいし、面倒くさい」
 「だから、みんな貧乏なんだよ」
 「だって、食えないんだから仕方ない(笑)」

 一同、大爆笑となりました。

 まったく懲りないオヤジたちであります。
  


Posted by 小暮 淳 at 21:49Comments(2)つれづれ

2011年04月02日

ブログの効用 ②

 ブログをはじめて、かれこれ1年2ヵ月になります。
 最初は「ブログなんて…」と思っていましたが、これが、あなどるなかれ。
 反響は、大きいですなぁ~。

 「ブログ、読んでますよ」

 そう、思わぬ人から声をかけられることがあります。
 たとえば、同級生。
 中学や高校の同級生にバッタリ会って言われたりすると、こっちがビックリします。

 たとえば、昔の仕事仲間。
 このブログで『小暮淳 イメージキャラコンテスト』のことを書いたら、以前、仕事でご一緒したことがあったデザイナーさんから連絡があり、作品を応募してきました。今は神奈川県に嫁いで、名字も変わっていました。
 思わぬところで、つながっているのが、ブログの凄いところです。

 「小暮さんの名前を検索してたら、ブログに出会いました」
 という人もいます。
 これって、僕もやるんですよ。

 “アイツ、今、何してるんだろう?”
 って、昔の友人知人の名前を検索してみます。
 サラリーマンだと、なかなかヒットしませんが、会社を興してたり、何か賞を受賞していたり、医者や大学教授なんかだと、必ずたどり着きます。
 中学時代のクラスメートに、2人の大学教授を発見!
 大学教授は、必ず本人の顔写真が出てきますので、確認しやすいですね。
 「うわぁ~、おっさんになっている~」
 なんて、自分のことは棚に上げて、旧友の現在の姿を笑って楽しんでいます。


 で、先日、飲み屋でのこと…。

 いつもの店で、カウンターの一番隅っこに座り、ママや客たちと談笑しながら日本酒をチビリ、チビリとやっていたときのことです。
 ママや常連さんたちは、僕のことを「ジュンちゃん」と呼びます。
 それを聞いていた、後から入って来た客の1人が、隣の常連さんに「一番奥の方、ジュンちゃんて呼ばれてましたけど、名字は何という方ですか?」 たぶん、そう聞いたのだと思います。

 突然、立ち上がり、
 「えっ、小暮淳さんですかー! ブログいつも読んでます」
 と僕に近寄って来ました。
 年の頃は、50代半ばのスーツを着こなしたダンディーな紳士であります。

 話を聞くと、なんでも息子さんが僕のファンで、ブログを教えてもらい読み出したとのことです。
 「お正月のFMラジオも聞きましたよ。あっ、名刺をいただいてもいいですか?」
 というので、差し上げました。
 すると、「うぁ、本当だ、本人だ。息子に自慢しょ」と、握手を求めるのでした。
 なんだか、こっちも嬉しくなっちゃって、それからは和気あいあいと、一緒に酒を飲みました。

 一夜明けて…。
 どーして、あの人は僕が分かったんだろう? ジュンちゃんだけで……と考えましたが、なんてことはありませんね。
 ブログには、僕の名前も写真も載っているんでした。
 一般の人のブログって、なぜだか、名前も写真も載っていませんよね。
 “プロフィール”ってあっても、ペンネームだったり、ペットの写真だったりします。
 でも僕の場合は、しっかり生まれ年や仕事の経歴まで公開していますから、同級生や友人知人が見れば 「あ、小暮だ」「あらま、小暮さんだわ」 と分かってしまうんですね。

 もし、名前がペンネームで、プロフィール写真が愛犬のマロ君だったら、誰も僕だとは気づかないんでしょうね。
 ブログって、不思議です。
  


Posted by 小暮 淳 at 17:52Comments(3)つれづれ

2011年04月01日

下仁田温泉 「清流荘」②

 一昨日は、約1年ぶりに下仁田温泉の一軒宿、「清流荘」を訪ねました。

 新緑を映す清流、栗山川のせせらぎ。
 部屋の窓から見るホタルの舞い。
 V字谷を染め上げる錦繍美。
 そして、僕が最も好きなシチュエーションが、炬燵(こたつ)の中から眺める積雪の庭園です。

 春夏秋冬、訪ねるたびに、西上州の豊かな自然に惚れ込んでしまいます。

 清流荘は、もう何回訪ねたか分かりません。
 新聞、雑誌、本の取材だけではなく、温泉講座でも訪ねています。
 いやいや、プライベートで仲間たちとも何度か泊まりました。
 どうして、そんなに行くのかって?

 そうですね、たぶん豊かな自然に囲まれた日本の温泉宿を感じるからでしょうね。
 約7000坪の広大な敷地には、池や小川が配されていて、本館と離れ家、浴室棟、露天風呂がそれぞれ点在しています。
 それらが回廊のように渡り廊下でつながっているんです。
 冬は移動に、ちょっと寒いですが、その分、風情があります。

 敷地内には散策路があり、自家農園やシカ園、キジ園、イノシシ牧場、ヤマメ池とめぐります。
 もう、お分かりですね。
 ここは、全国でも珍しい自給自足の宿なんですよ。
 それも、すべて敷地内産地直送であります。
 海のモノを一切、食卓に出さないこだわりが、僕の一番のお気に入りです。

 珍しい、といえば、温泉の泉質。
 大量の二酸化炭素を含む炭酸泉は、全国でも全体の1%という貴重な泉質です。
 泡のでる某入浴剤の150倍以上の二酸化炭素を含んでいるそうです。
 炭酸は毛細血管を広げるため、血圧を下げる効果があり、ヨーロッパでは「心臓の湯」と言われるほど、珍重されている温泉です。

 今回は、2代目主人の清水雅人さんと、女将の恵子さんにお話を伺いました。
 今までの苦労話を聞こうと思ったのですが、「一番の苦労は今です」と言われてしまいました。
 震災後、温泉地はどこも、未曾有の客離れを起こしています。
 キャンセル率は、90%以上!
 「あと1ヵ月もこの状態が続いたら、廃業する温泉宿が出始めるでしょうね」
 と、悲痛な表情を浮かべました。

 さらに、まったく報道されていませんが、地震による直接被害も県内の温泉地で出ています。
 源泉が止まってしまったS温泉、川の水が入り込んで温度が下がってしまったH温泉、加熱装置が破損してしまったY温泉などなど、やむなく休業している旅館がたくさんあります。

 「うちなんて、客が来ないだけですから、増しなほうですよ」
 そう言って笑ったご主人の明るさに、救われた思いがしました。

 がんばれ、日本!
 がんばれ、群馬の温泉!


 ご主人、女将さん、お昼ごちそうさまでした。
 ネギもコンニャクもヤマメもイノシシも、絶品の味でしたよ。
 さすが、敷地内産地直送自給自足の宿であります。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:36Comments(2)温泉地・旅館