温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2014年11月30日

血が騒ぐ


 「そりぁ~、東宮(とうみや) の血だな!」
 我が一族では、芸術や文学の道を志す者が現れると、必ず口をそろえて、こう言うのです。

 “東宮” とは、東宮家のこと。
 僕の父方の祖母も、母方の祖母も、旧姓を東宮といいます。
 だから僕の体の中には、“小暮” の血よりも “東宮” の血のほうが、多く流れているのです。
 ※(ルーツについては、当ブログの2012年4月22日「赤城温泉 赤城温泉ホテル⑤」を参照)

 歴上の人物では、「満蒙開拓移民の父」 と呼ばれた陸軍大佐の東宮鉄男(かねお) がいます。
 また詩人の東宮七男(かずお)<1897~1988> は、鉄男の従弟にあたります。
 で、七男の次男が、昨年他界した画家の東宮不二夫<1926~2013>であります。
 不二夫は、僕のオヤジの従弟にあたります。


 今日は、現在開催中の 『東宮不二夫 遺作展』 に行って来ました。

 生前、まだ不二夫さんが元気だった頃は、父と連れ立って個展会場へ行ったものです。
 でも今日は、僕一人。
 そして会場にも、不二夫さんの姿はありません。

 遺影と遺族が、来場者を出迎えていました。


 シベリヤ抑留の経験を持つ画家の作品には、根底に “反戦” の色をにじませています。

  <若い兵士が殺し合うのだ
   戦争というのは
   はじまれば
   とどまるところ知らずではないか
   残虐な殺人鬼となる善良な兵士たち
   きれいな
   見通しのきく戦争などありゃしないのだ
   戦争というのはすべて
   汚いものなのだ>
 これは、東宮不二夫詩集 『激怒考』(2003年、煥乎堂) の中の 「イラク空爆」 の一節です。

 画家として、詩人として生きた87年間・・・

 絵を観ていると、沸々と一族の血が騒ぐのでした。


        『東宮不二夫 遺作展』
 ●会期  2014年11月29日(土)~12月3日(水)
 ●会場  ノイエス朝日
       前橋市元総社町73-5 TEL.027-255-3434
   


Posted by 小暮 淳 at 20:10Comments(0)つれづれ

2014年11月29日

みなかみ美人湯めぐり


 <みなかみ町にある温泉地(宿泊施設のある温泉)の数は県内最多の18か所。群馬県が全国屈指の温泉県であることを考えれば、日本でも有数の温泉町といえるだろう。 (中略) サラリとした単純温泉が多いエリアだが、上の原温泉や真沢(さなざわ)温泉のようにpH9以上のアルカリ度の高い温泉もある。「美肌の湯」「美人の湯」 と呼ばれ、肌にまとわりつくトロンとした湯が女性に人気だ。>


 上記の文章は、2013年の 『旅行読売』 12月号に僕が寄稿した 「群馬みなかみ18湯」 というコラムの一節です。

 群馬県の北部、利根川上流に位置するみなかみ町には、なぜか、強アルカリ性温泉が多く点在しています。
 ちなみに上の原温泉はpH9.26、真沢温泉はpH9.6 もあります。
 ※(pH8.5以上をアルカリ性泉といいます)

 アルカリ度が高くなると、湯がローションのようにトロンとして、ツルツル滑るような浴感があり、湯上がりの肌がスベスベになることから、「美肌の湯」 とか 「美人の湯」 と呼ばれています。

 と、いうことで、僕がコメンテーターを務める次回の群馬テレビ 『ニュースジャスト6』 では、みなかみ町に湧く “美人湯” を紹介します。

 寒さが増して、ますます温泉が恋しくなる季節です。
 美肌効果を求めて、“美人湯めぐり” に出かけてみてはいかがでしょうか!


 ●放送局   群馬テレビ(地デジ3ch)
 ●番組名   「ニュースジャスト6」
          NJウォッチのコーナー
 ●放送日   12月1日(月) 18:00~18:30
 ●ゲ ス ト   小暮 淳 (温泉ライター)
 ●テーマ    「みなかみ美人湯めぐり」
  


Posted by 小暮 淳 at 15:14Comments(0)温泉雑話

2014年11月28日

目の湯らーめん


 なんの変哲もない、ふつうのラーメンです。
 昔は食堂で 「ラーメン」 と言えば、これでした。
 しょうゆ味のサッパリしたスープに、かん水の効いた黄色い麺。
 具は、チャーシューとナルトとメンマ。
 なんとも懐かしい、昭和の香りがします。
 “ラーメン” と呼ぶには、あまりにも素朴な味に、
 いつも僕は、お品書きを 「中華そば」 と書き換えたくなるのです。


 今日は朝から野暮用があり、榛名湖へ行きました。
 ワカサギ釣りじゃありませんよ。
 ちょっと、榛名湖温泉まで、人に会いに行って来たのであります。

 野暮用が終わって、時計を見ると11時30分。
 午後は、東吾妻町の温川(ぬるがわ)温泉まで行かなくてはなりません。
 でも、途中で昼飯を食べる時間がありません。

 どうしようか……、と思案をするまでもなく、答えは1つ!
 「目の湯らーめん」 があるじゃないか~!

 ま、そんな名前のラーメンはないのですが、僕が勝手に呼んでます。

 温川温泉は、江戸時代中期に発見された約230年の歴史を持つ湯治場です。
 「白雲荘」 という一軒宿が営業していましたが、現在は休業中。
 温川のほとりにある露天風呂だけが、日帰り入浴の営業を行っています。

 昔から眼病に特効があることから、「目の湯」 と呼ばれています。


 「目の湯」 には小屋があり、入浴の受付だけではなく、簡単な食事もできます。
 うどん、そば、ラーメン、おでん、みそ田楽など・・・

 で、僕は一杯550円のラーメンがお気に入りなのであります。
 いつもは残すスープだって、ここのは最後の一滴まで飲み干しちゃいます。
 だって、いまどき、なかなか、こんなシンプルなラーメンはありませんぞ!
 (最近のラーメンって、存在感があって、自己主張が強過ぎませんか?)


 あ~、大満足!
 おかげさまで、午後の仕事もスムーズに進みました。

 貴子さん、お母さん、ごちそうさまでした。
  


Posted by 小暮 淳 at 20:46Comments(0)温泉雑話

2014年11月27日

行け行け!安兵衛ママ


 ♪水上は安兵衛で酒が飲めるぞ
   酒が飲める飲めるぞ 酒が飲めるぞ♪

 と、いうわけで昨晩は、わざわざ水上温泉まで繰り出して、湯酒屋 「安兵衛」 で酒を浴びてきました。
 「安兵衛」 とは?
 はい、僕が名付け親となった “一湯一酒の湯酒屋” であります。
 ※(湯酒屋の由来については、「安兵衛」でブログ内検索を)

 で、なんの飲み会か?と申しますと、我がスーパーローカルオヤジバンド 「KUWAバン」 の打ち上げであります。
 先月、水上温泉内の 「道の駅」 にてイベントがありまして、我がバンドが出演したのであります。
 で、いくばくかのギャラが出まして、「このギャラで打ち上げをしよう!」 ということになり、「どうせやるならライブをやった水上温泉で」 「だったら安兵衛でしょう」 と相成りました。

 安兵衛は、水上温泉でも知る人ぞ知る、路地裏の小さな居酒屋です。
 席はカウンターのみ。7人も入れば、満席になります。
 当然、昨晩は貸し切りであります。

 「カンパ~イ!」
 「ライブ、お疲れさまでした!」
 と、メンバーに加え、ママとママのご主人とご近所の方々と、祝杯を上げたのであります。

 実は昨晩、安兵衛のママこと、孝子さんがテレビ出演する日だったのです。
 テレビ東京、夜7時からの 『にっぽん!いい旅SP』。
 「絶景紅葉!関東近郊あったか温泉&鍋巡り 秋の№1旅が決定!」 であります。

 で、なななんと! 群馬県の案内役が、なぜ、どうして、そんなことになったのかは分からないのですが、孝子ママなのです。
 もう、テレビが始まるや、店内はてんやわんや!
 全員、店の奥のこたつのある居間に押しかけて、ママが出るたびに喚声を上げたのであります。

 タレントの松本明子さんとママが、まるで何十年来のお友だちのように腕を組んで、群馬の紅葉スポットや鍋の美味しい店を回ります。
 「ちょっと、ママったら出過ぎだよ。オレが先月、フジテレビの旅番組に出たときは、ほんの一瞬だったんだよ」
 と、あまりのママの出演時間の長さに、やっかむ僕。

 そして、ついに群馬県が、ナンバーワンに輝きました!


 「おめでとうございまーす!」
 「カンパ~イ!」

 夜が更けていくのも忘れて、打ち上げという名の宴は、延々と続いたのであります。

 ♪安兵衛はママのキャラで酒が飲めるぞ
   酒が飲める飲めるぞ 酒が飲めるぞ♪
  


Posted by 小暮 淳 at 20:14Comments(2)酔眼日記

2014年11月25日

奥日光湯元温泉 「奥日光高原ホテル」


 「温泉には、目で色を楽しむという楽しみ方もあるんですね」
 と湯舟の中で、しみじみ湯をすくいながら語った受講生のNさん。
 久しぶりの白濁した硫黄温泉に、みなさん大満足だったようです。

 今日は、僕が講師を務める温泉講座で、栃木県の奥日光湯元温泉へ行ってきました。
 あいにく一日中、雨でしたが、そのぶん、ゆっくり、しっとりと温泉探訪することができました。


 奥日光湯元温泉の宣伝コピーに、「日本で4番目に濃い硫黄泉」 という言葉があります。
 硫黄濃度の1位は、群馬県の万座温泉ということは知っていましたが、では2位と3位は?
 調べてみたら、2位は月岡温泉(新潟県)、3位は高湯温泉(福島県) でした。
 ま、その差は微妙なんでしょうけどね。
 あえて “4位” というのを強調しているところが、僕は気に入りました。

 「どうしますか、源泉を見に行きますか? それとも外は雨だし、とりあえず温泉に入りますか?」
 と言えば、Tさんが、
 「湯上がりの外出は、湯冷めをしますよ。寒くても先に行きましょう! その後、温泉に入るほうが、より温泉のありがたみが分かります」
 と提案。 一同、賛同。

 と、いうことで、標高約1,500メートル、気温5℃、雨の降りしきる中、みんなで傘をさして歩き出しました。

 いろいろな泉源地(温泉の湧出場所) を見て来ましたが、ここは少し変わっていました。
 湿原の中から湯が湧いているのです。
 その湿原の一角に、小さな温泉の採取小屋が、ポコポコといくつも建っています。
 その一つ一つに、旅館やホテル名の札がかけられていました。

 「先生、これが生きた温泉講座ですよね。寒いからってホテルから出てこなかった人たちはダメですね」
 とは、6年間この講座に通い続けている “ベテラン受講生” のFさん。
 「そうですね、まさに、ここが地球のワレメですよ。よーく、見ておいてくださいね」
 と言った僕のほうが、興味津々になって小屋を覗き込んでいました。

 なんとも言えない、ゆで卵のような温泉臭。
 これが、硫黄温泉の魅力なんでしょうね。
 そして、乳白色のにごり湯。
 目で、鼻で、そして肌で感じられる “ザ・温泉” であります。


 ホテルに戻ってから、その醍醐味を受講生たちと存分に堪能してきました。

 おかげで、帰りのバスの中は、ゆで卵の匂いでいっぱいでした。
 実は今でも僕の体からは、硫黄の香りがプンプンと漂っています。

 さて、来月は・・・
 また、にごり湯を訪ねます。
 次回のお湯の色は、何色でしょうか?

 受講生のみなさん、楽しみにしていてくださいね。
  


Posted by 小暮 淳 at 21:04Comments(0)温泉地・旅館

2014年11月24日

洋種山牛蒡の道


 「じいさん、散歩行くか?」
 声をかけると、
 「OK、オーケーよ」
 と、うれしそうに返事をするオヤジ。
 午前中は毎日、散歩が日課になっています。

 先週末から僕は、実家に泊まりこんで、両親の面倒を看ています。


 オフクロは87歳。
 足が不自由で、一人では歩き回れませんが、目と耳と口は達者です。
 ゆえに、新聞を読んだり、テレビを観たり、ラジオを聴いたり、友人と電話でおしゃべりをして、日がな一日を過ごしています。

 問題は、90歳と2ヶ月になるオヤジです。
 足腰は丈夫なのですが、視力と聴力がほとんどありません。
 ゆえに、一日中、座椅子に座って、こたつに入ったまんま、3度の食事の時にしか動きません。

 生きているのか、死んでいるのか、分からないような生活を続けています。

 半年前までは、自由に一人で散歩にも出かけていたのですけどね。
 痴呆が進んで、迷子になって、保護されてからは、アニキと僕から “一人外出禁止令” が施行されてしまいました。
 よって現在、実家の門は内カギのほかに、ワイヤーロックがされています。

 「オレを閉じ込めて、どうする気だ~!」
 と、門を叩いて暴れた時期もありましたが、今はおとなしく言うことを聞いています。


 「おとうさん、良かったですね。ジュンが散歩に連れてってくれるそうですよ」
 オフクロも、オヤジが一日中何もしないで、このまま死んでしまうのじゃないかと心配しています。
 「ほら、ジャンパー着て、帽子かぶって、杖持って」
 とにかく出かけるまでが、ひと苦労です。
 ほとんど、保育園児と同じです。

 いえいえ、保育園児は学習しますが、オヤジは日に日に痴呆が進んでいます。
 進んでいるのは、痴呆だけではありません。
 体力も、90歳を過ぎてからは急速に衰えています。

 以前なら平気で一時間ぐらい歩いていたのに、最近は大好きな散歩に出ても、すぐに 「帰ろう」 と弱音を吐きます。
 今日も、一周約1キロの町内を歩くのに、何度も立ち止まって、息切れをしていました。


 「ああ、疲れた」
 何度目かに、立ち止まった時です。
 目の前の空き地に、なつかしい植物を見つけました。

 ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡) です。

 北アメリカ原産の多年草で、アメリカヤマゴボウとも呼ばれています。
 ブドウのような房状の実は、黒紫色していて、つぶすと血液のような赤い汁が出ます。
 子供の頃、よく手首に塗って、「血だーーー!」 なんて友だちを驚かせて遊んだものです。
 服に付くと、なかなか色が落ちないので、オフクロに叱られもしましたっけね。

 「ほら、じいさん。ヨウシュヤマゴボウだよ。なつかしいね」
 「ヨウ・・・・ヤマ・・・」
 「ヨ、ウ、シュ、ヤ、マ、ゴ、ボ、ウ」

 何度かくり返しますが、耳の遠いオヤジには聞き取れないようです。
 「ほれ、この植物だよ」
 と指さしますが、
 「どれだい?」
 目の悪いオヤジには、見えません。

 僕は、一房の実を手折って、オヤジの目の前にかざしました。
 「おお、これか! 知っているよ。なつかしいな」

 実を地面に置いて、石でつぶしました。
 案の定、赤い汁が、ベットリと石に付きました。

 「ほら、じいさん。血だぞーーー!」


 いったい、あと、どれくらい親子で散歩ができるのでしょうか?
 もう、これ以上、老いないでほしい・・・

 オヤジは、僕のギャグが分かったのか、分からないのか、満面にシワを寄せて、笑ってくれました。
   


Posted by 小暮 淳 at 20:38Comments(0)つれづれ

2014年11月23日

年末は酒が飲めるぞ!


 ♪群馬は焼きまんじゅうで酒が飲めるぞ
   酒が酒が飲めるぞ 酒が飲めるぞ♪

 やって来ました~! のん兵衛待望の忘年会シーズンであります!
 いや~、ふだん “家庭内禁酒” を強制されている身としては、うれしい限りです。
 だって、堂々と酒が飲めるのですからね。
 いつだって、大歓迎であります。


 ♪前橋は豚肉で酒が飲めるぞ
   酒が酒が飲めるぞ 酒が飲めるぞ♪

 と、いうことで、一昨晩は我が “人生の師” であります木彫家で版画家で絵本作家でもある野村たかあき先生の誕生会が開催され、出席してきました。
 会場は、ご存知いつもの我らのたまり場、酒処 『H』。
 気の置けない仲間たちが集まり、師の65回目の誕生日を祝ったのであります。

 しかし、先生はお元気です。
 若い頃から数々の賞を受賞するなど意欲的に作家活動を行っていますが、60歳を過ぎてからも作品や新作絵本を次々と発表しています。
 絵本の総数は、すでに70冊を超えているとか!
 すごい!としか、言いようがありません。

 で、そんな野村先生の木版画や木彫、絵本の展示会が、本日から開催されています。
 毎年恒例の2015年版「鬼月から暦」(500円) や 「鬼の木版画ごよみ」(1,000円) も販売中です。


     野村たかあき 『でくの房 暮れ展』

 ●会期  平成26年11月23日(日・祝)~12月7日(日)
        11:00~17:00
 ●会場  でくの房 前橋市朝日町4-1-18
        TEL.027-243-7061


 ♪高崎はパスタで酒が飲めるぞ
   酒が飲める飲めるぞ 酒が飲めるぞ♪

 と、いうことで、昨晩は高崎市まで足をのばして、酒をあおってきました。
 さる団体の準備員会および懇親会に出席してきたのであります。

 正しくは、出席ではありません。
 主催者側の人間ですから。
 えーーーと、あのーー、まだ今の時点では発表できないのですが、実はこの団体の代表を僕が務めております。

 詳しいことは来月、新聞紙上にて正式に発表があると思います。
 それまで、この件についてはまだ触れません。

 でも12名の会員の方々が集まってくださり、スムーズに会議が進み、和やかに懇親会も終了しました。
 初めてお会いする方も多数いましたが、みなさん、僕の趣旨に賛同してくださり、今後一緒に活動をしてくださることになりました。
 ありがとうございます。
 そして、よろしくお願いいたします。


 ♪年末はなんだかんだと酒が飲めるぞ
   酒が酒が飲めるぞ 酒が飲めるぞ♪
   


Posted by 小暮 淳 at 14:53Comments(2)酔眼日記

2014年11月20日

片品温泉 「こしもと旅館」


 山に来たら山の物を!


 以前にも書いたことがあると思いますが、僕は著書や連載記事で滅多に旅館の料理をほめません。
 僕は温泉ライターですから、1に 「温泉」、2に 「歴史」、3に 「人」 を取材します。
 宿の設備や料理は、二の次三の次ということになります。

 そんな僕でも、美味しいものは 「おいしい」 と正直に書くし、珍しいモノは興味を持って取材をします。
 でもね、海なし県の群馬で、魚介類を出されると・・・

 一品かニ品、ちょこっと添え物の具材として入っているぶんには、そんなに気にはならないんですけどね。
 ドーンとマグロの刺身なんかで出されると、ゲンナリしてしまいます。
 あと、天ぷらも同様です。
 山に来て、エビの天ぷらはいりませんって!

 同様に、旅館お決まりの会席料理も、たまーに食べるから美味しいのであって、毎回だと食傷気味になります。
 (これは職業病かな?)


 現在、僕は片品村に通いながら、村内の全温泉宿(観光協会加盟宿) を訪ね歩いています。
 片品村は、四方を高い山々に囲まれた高原であります。
 一見、“食” の乏しい地域に思われがちですが、とーんでもございません!
 山にも、美味しいものはたくさんあるのです。

 以前、このブログに 「花びら茸」 の刺身のことを書きましたが、すぐに読者から問い合わせなどの反響がありました。
 ※(当ブログ、「片品温泉 うめや」 参照)

 また片品村には、郷土料理に 「つめっこ鍋」 という、すいとんのような食べ物があります。
 何軒かの旅館で食べましたが、野菜やらキノコやらいろいろ入っていて、その家によって具材や味が異なり、どれも大変美味しいのです。


 で、今日は昭和42年創業の老舗宿 「こしもと旅館」 にお邪魔して、漬け物をいただいてきました。

 漬け物? と思われるかもしれませんが、何種類もの漬け物がバイキングで食べられるのです。
 しかも、ナスもキュウリも白菜も大根も野沢菜も、みーんな大女将が畑で育てた野菜です。
 しかも、自家製!

 いつ頃からでしょうかね。この仕事をするようになってからだと思います。
 肉よりも魚、魚よりも野菜のほうが、だんだん好きになっていくんですね。
 美味しい野菜に出合ったときの感動って、忘れられませんよ!

 で、今日は 「赤大根の甘酢漬け」 に、完全にやられてしまいました。
 ひと口食べたら、箸が止まりません。
 ポリポリ、シャキシャキ、ポリポリ、シャキシャキと歯ごたえの良さと、ほのかに甘く酸っぱい味に、魅了されたのであります。

 山に来たら、山の物を!


 女将さん、大女将さん、ごちそうさまでした。 
   


Posted by 小暮 淳 at 20:12Comments(2)温泉地・旅館

2014年11月19日

おかげさまで70回


 現在、朝日新聞の群馬版に毎週水曜日連載中のコラム 『小暮淳の温泉考座』 が、今日(19日) の掲載で第70回を迎えました。
 これも、ひとえに読者様のあたたかい支援の賜物と御礼申し上げます。

 『小暮淳の温泉考座』 は、2013年4月にスタートしました。
 それ以前は 『湯守の女房』(隔週)、『おやじの湯』(不定期) という記事を2年間にわたり連載していました。
 『湯守の女房』 の第1回から数えれば、通算116回の連載を書かせていただいていることになります。

 気が付けば、100を超えていました。
 我ながら、飽きっぽい自分をほめてあげたくなる数字です。
 いえいえ、それ以上に朝日新聞さんの辛抱強さにも敬服いたします。

 すでに3人の担当編集者が替わりました。
 それでも連載が中止されることなく、バトンが受け継がれてきました。

 新聞の週刊連載、しかも自分の名前がタイトルに付いた冠連載が書けるなんて、なんて幸せ者なのでしょうか!
 ライター冥利に尽きる仕事だと、ただただ感謝するばかりであります。
 ありがとうございます。

 そして毎回、飽きもせずに読んでくださっている読者の皆様!
 いつもいつも、ありがとうございます。
 少しでも、温泉のことが好きになってくださったでしょうか?

 すべてに返事は書けていませんが、編集室へ届く叱咤激励のお便りには、すべて目を通しております。
 今後とも、忌憚(きたん) のないご意見、ご感想をお寄せください。
 取材・執筆活動の参考にさせていただきます。


 と、いうことで、ない頭をしぼりつつ、今日もこのあと引き続き、コラムを書くことにします。
 100回を目指して!
 ※( 『小暮淳の温泉考座』 のバックナンバーは、当ブログの 「お気に入り」 からも閲覧することができます)
   


Posted by 小暮 淳 at 13:24Comments(0)執筆余談

2014年11月18日

片品温泉 「尾瀬 山どん」


 群馬県片品村。
 尾瀬へ向かう国道401号沿いにある山小屋風の温泉宿です。
 宿の前を通るたびに、とっても気になっていました。

 だって、「山どん」 ですよ!
 ユニークな名前です。
 とにかく、取材に行ったら、真っ先に名前の由来を聞こうと思っていました。


 「何だと思いますか?」
 と、いたずら小僧のような目で笑うご主人の山崎直康さん。
 名刺には、そう名前が書かれていました。

 「山崎さん・・・、それで 『山どん』 ですか?」
 僕は、ご主人の子供の頃からのアダナだと思いました。
 「いえ、違います。だって私の旧姓は笠原ですから。宿は結婚する前からあります」
 とのこと。
 “山崎” とは、奥様の姓だったようです。

 でも、ご主人は片品生まれの片品育ち。
 しかも、昭和50年代から母親とともに農家民宿を営んでいます。

 「当初から 『山どん』 ですか?」
 「はい、民宿の頃から 『山どん』 です」
 「ご主人は猟をしますよね」
 「ええ」
 「それで、ドーン(鉄砲の音)?」
 「残念、違います」

 「んーーーー、もう降参です。教えてください」
 と、僕は、問答に負けてしまいました。

 「山に来たら、お客様にドンになってくださいという意味です」
 「ドン?」
 「そう、石野真子ですよ」
 「石野真子?・・・ああ、私のドンですね」
 「当たりです」
 と言って、ご主人は豪快に笑い飛ばしました。

 お客様は神様=ボス(ドン)。
 「だから、ここに来たら、大らかに自由気ままに振る舞ってください」 という願いが込められているとのことでした。


 「まあ、私も好きなほうですから、一緒に飲みながら話しましょう!」
 と言って、厨房から一升瓶を抱えてきたご主人。
 手には、升とコップが握られていました。

 トク、トク、トク……

 地酒が升に入ったコップに注がれていきます。
 「まずは、乾杯! 忙しいところ、取材に来ていただきありがとうございます」
 「いえいえ、こちらこそ、お世話になります」

 そして昨晩は、夜が更けるまで “取材” という名の宴が続いたのでありました。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:44Comments(0)温泉地・旅館

2014年11月16日

通り魔の正体


 先日、酒を飲んでの帰り道。
 一人で、夜道を歩いているときのことでした。

 繁華街を抜け、国道の大きな交差点。
 信号が青に変わり、横断歩道を渡り出したときです。

 「#○×☆△!」

 突然、後方から大声が聞こえました。
 振り返ると、何か叫びながら若い男が、僕を目がけて駆けて来ます。

 ヤバイ! 通り魔かも!

 瞬時に防御心が働き、反射的に僕も駆け出しました。
 でも、その男はどこまでも追いかけて来ます。


 「おとーさ~ん」

 今度は、ハッキリと言葉が聞こえました。
 おとうさん?
 いったい、なんのことだ?
 走るスピードをゆるめたときです。

 「やっぱり、おとうさんじゃないか!」

 振り返ると、そこにいたのは、息子でした。
 僕の正真正銘の実の息子です。

 「あー、ビックリした。なんだよ、おどかすなよ」
 「だって、おとうさんこそ、逃げ出すんだもの」
 「当たり前じゃないか。それよりなんで、お前がここにいるんだ?」
 「バイトの帰りだよ」

 聞けば、国道を車で走行中に、信号待ちをしている僕を見つけたのだといいます。
 それで、車を信号の先に止めて、追いかけて来たとのことでした。

 「家まで、歩いて帰るつもり? 乗っけていくよ」
 とは、我が息子ながら、やさしい言葉である。

 確かに、その場から我が家までは、5キロ以上の距離があります。
 もちろん、酔った千鳥足で歩いて帰ろうなんて、思ってもいません。

 「いや、今日はいいんだ。おばあちゃんちに泊まるから。お母さんも知っている。ありがとうな」
 そう言うと、
 「な~んだ、追いかけてきて損しちゃった。じゃあね!」
 息子は手を振りながら、数十メートル先に止めてある車にもどって行きました。


 「いい子じゃないか。父親を見かけて、わざわざ追いかけて来るなんて」
 翌朝、オフクロに、しみじみと言われました。

 言われてみれば、確かに冥利に尽きる話です。
 ふだんは家に居ても、滅多に口を聞かない親子なんですけどね。
 もしかしたら夜道を一人で歩いている父親が、よっぽど不憫に映ったのかもしれませんね。

 大丈夫だぞ!
 まだ、そんな歳ではないぞ!
 でも、いつかは面倒を看てもらうかもしれないけど……。
 その時は、よろしくたのむ!


 あ・り・が・と・う
   


Posted by 小暮 淳 at 21:11Comments(2)つれづれ

2014年11月15日

からっ風と温泉浴


 またしても群馬県が最下位です!
 何かと思えば、美肌ランキングだそうです。

 先日の新聞記事によれば、某化粧品会社が発表した女性の肌の美しさを順位付けした 「ニッポン美肌県グランプリ2014」 で、群馬県が47都道府県中47位と最下位。しかも、2年連続とのこと。
 1位は3年連続で島根県、2位は高知県。3位が愛媛県で、以下、富山県、石川県と続きます。
 ちなみに下位は46位が栃木県、45位が滋賀県、44位が岐阜県となっています。


 なんで、群馬の女性は肌が荒れているのか?
 どうも乾燥した北風の影響が大きいようです。
 ご存知、上州名物 「からっ風」 であります。

 リサーチした化粧品会社によれば、「肌の水分を奪う風が少ない地理的条件にある地域が上位に入っている」 とのことです。
 そう考えれば、群馬県の最下位も納得です。

 上位にランキングされた県には、もう1つ共通点がありました。
 それは、日照時間が短いこと!
 紫外線もお肌の大敵ということであります。
 そうなると、ますます納得であります。
 群馬県は日照時間が長いことで有名ですからね。


 で、僕は思うのであります。
 「ブランド力」や「魅力度」 同様、この汚名を返上するには、やはり “温泉” の力にすがるしかないのではないかと!

 『群馬の女性は、温泉に入っていつもお肌ツルツル!』
 ってね。

 県内には、「日本三美人湯」 の1つに数えられている川中温泉(東吾妻町) があるじゃありませんか!
 他にも、「美肌の湯」 「化粧の湯」 「若返りの湯」 と呼ばれる強アルカリ性の温泉が多数あります。
 また、昔から草津の 「仕上げ湯」 「なおし湯」 「ながし湯」 と呼ばれる弱アルカリ性の温泉も点在しています。

 これらの温泉に共通していることは、メタケイ酸を多く含んでいること。
 メタケイ酸とは、化粧品などにも配合されている成分で、保湿力に優れ、美肌効果が高いといわれています。
 ちなみに、1kg中50mg以上で “温泉” として規定されますが、100mg以上あるとかなり効果が期待できます。

 ので、お肌が荒れた群馬県民のみなさ~ん!
 温泉へ行ったら、ぜひ成分分析書のメタケイ酸をチェックしてみてくださいね。
 ※(ただし加水や消毒剤の投入等、源泉に手を加えている場合は、その限りではありません)
   


Posted by 小暮 淳 at 21:08Comments(2)温泉雑話

2014年11月14日

花咲温泉 「ペンション銀河」


 温泉地名は花咲(はなさく) 温泉ですが、源泉名は奥武尊(おくほたか) 温泉であります。

 日本百名山の一座、武尊山のふもとに広がる武尊高原(片品村) には、3本の源泉が湧いています。
 日帰り温泉施設 「花咲の湯」 の 「越沢の湯」。
 旧 「チロリン村」 の 「花咲の湯」。
 そして今回、訪ねたペンション村の 「オグナの湯」 です。

 「オグナの湯」 だけは、湧出地が離れているため源泉名が異なります。 


 と、いうことで、昨日からペンション村に入り込み取材を続け、夜は 「ペンション銀河」 に泊めていただきました。

 なぜ、銀河なのか?
 「ええ、私の誕生日が7月7日、七夕なんですよ。それで “天の川=銀河” です」
 と、主人の永井建二さん。
 奥様の敏子さんとともに、長崎県は天草の出身です。

 なぜ、群馬県の片品村に?
 「埼玉に暮らし、東京で会社を経営していましたが、家族で尾瀬とスキーに来ていました……」
 ここの自然環境に惚れ込んでしまい、平成元年に家族全員で引っ越してきてしまったとのことです。

 ん~、群馬に居ると当たり前の環境ですが、やはり他県の人からみれば、自然に恵まれた素晴らしい環境なのですね。
 なんだか話しを聞いていて、群馬県人として嬉しくなってしまいました。


 泉質はアルカリ性単純温泉。
 泉温は約30度。
 さらに湧出地から3キロも離れているため、宿にたどり着く頃には、だいぶ温度が下がっているとのこと。
 もちろん加温しているのですが、加水はありません。

 「熱かったら、源泉でうすめてください」
 と言われ、浴室に入ると、
 “加水用冷泉” と書かれた源泉の注ぎ口がありました。

 これは、いい!
 いくら薄めても、源泉の濃度が薄まることはありません。
 ちょうど良い温度で、じっくりと入浴することができました。

 湯上がりは、ご主人自らが腕をふるう欧風コース料理をいただきながら、ビールをいただきました。
 宿の前に菜園があり、野菜類はすべて自家製です。
 デザートのシャーベットまでもが、菜園で収穫されたイチゴで作られていました。


 いつもいつも取材では、旅館の会席料理ばかり食べているので、洋食はとても新鮮でした。
 温泉と洋食!
 これはこれで、相性が良いものです。

 ビールではなく、ワインをいただけば良かったと、後になってちょっぴり後悔しました。
   


Posted by 小暮 淳 at 21:16Comments(0)温泉地・旅館

2014年11月12日

片品温泉 「子宝の湯 しおじり」


 全国には、「子宝の湯」 と呼ばれる温泉が数多く存在します。
 泉質はさまざまですが、塩分を含んでいる点が共通しているようです。
 保温力があり、体がよく温まるため、婦人病に効果があるということでしょうか。

 群馬県内にも 「子宝の湯」 は、いつくつかあります。
 伊香保温泉(渋川市) は、昔から婦人病や不妊症に効くことで知られています。
 また野栗沢温泉(上野村) は、源泉名そのものが 「子宝の湯」 であります。
 そういえば、宝川温泉(みなかみ町) にも 「子宝の湯」 という露天風呂がありましたっけね。

 僕が取材で出合ったエピソードでは、新鹿沢温泉(嬬恋村) の 「つちや旅館」 に、子供のいない夫婦が住み込みで働いたところ、すぐに子供が授かったという話があります。
 それ以来、誰ともなしに、「子宝の湯」 と呼ぶようになったといいます。


 で、今回、またまた “子宝話” を拾ってきました。
 片品温泉(片品村) の 「子宝の湯 しおじり」 です。
 旅館名からして、そのものズバリ!子宝なのであります。

 「このあたりは、昔から子だくさんの家が多いのよ」
 とは、2代目女将の池田美恵子さん。
 でも、真偽のほどは半信半疑だったといいます。

 ところが・・・

 2年前のある日のこと。
 40代の夫婦が突然、菓子折りを持って現れ、お礼を告げたのだといいます。
 「この子が、その時に授かった子です」 と。

 2人の手に引かれて立っていた子供は、満2歳。
 3年前に1泊したところ、奥様が懐妊したそうです。

 「もう、ビックリしましたよ。40年以上旅館をやっていますが、直接、事実を知らされたのは初めてでしたからね」
 と笑う女将。
 「子宝の湯は本当だったんです!」


 でもね、たぶん、本当に不妊症に効く温泉だと思いますよ。
 だって以前、片品温泉で一番古い源泉 「新井の湯」 を保有する老舗の 「千代田館」 を取材した際、祀られていた御神体は、夫婦和合の象徴である一対のアレでしたからね。
 昔から子宝信仰はあったということです。

 ま、僕は、すでに3人の子と孫にまで恵まれていますから、今さら 「子宝の湯」 の御利益はいらないのですが、しっかりと湯をいただいてまいりました。
 pH9・2という強アルカリ性泉です。
 不妊症のほか、肌荒れに特効があるといわれています。
  


Posted by 小暮 淳 at 20:31Comments(0)温泉地・旅館

2014年11月11日

片品温泉 「水芭蕉の宿 ひがし」


 今年の6月から、僕は長い長い取材の旅に出ています。
 たぶん、この旅が終わるのは、来年の夏・・・

 ま、いつものことですけどね。
 書き下ろしの本を出版するには、それなりの時間と手間を要するということです。
 毎回、僕の本を楽しみにしてくれている読者がいる限り、「疲れた」 とか 「休みたい」 とかの弱音は、おあずけ!
 ただ、黙々と取材を続けるのみであります。


 と、いうことで、今週も昨日から取材活動を続けています。
 昨晩は、片品温泉(片品村) の 「水芭蕉(みずばしょう) の宿 ひがし」 に泊めていただき、ご主人の萩原有朋さんと、酒を酌み交わしてきました。

 “水芭蕉の宿” と聞いて、「ははー、やっぱり尾瀬が近いからね」 なーんて思ったでしょう?
 何を隠そう、僕も、ただ単に受け狙いで付けたネーミングだと思っていたのです。

 と、ところが!
 取材は、してみるものです。
 ご主人は元農家で、なんと!水芭蕉を栽培していた方なのです。
 「えっ、水芭蕉って、栽培できるんですか?」
 「はい、出荷していました」
 とは、驚きました。
 ここで詳しいことは書けませんが、かなり需要はあるらしいですよ。


 「もっと、じっくりお話を聞きたいのですが?」
 と言えば、
 「たった2人でやっている宿なので、これから料理の用意で手が放せません。夕食のあとでも、いいですか?」
 とのこと。
 ならば、話は早い!
 脱兎のごとく、部屋で着替えを済ませて、浴室へ。

 泉質は、単純温泉。
 サラリとした、尾瀬の湧き水のように澄んだ湯であります。
 湯口には、炭が置かれています。
 これが “ひがし名物” の 「炭風呂」 であります。

 と思えば、廊下にも客室にも、いたるところに炭、炭、炭だらけ~!
 トイレの中なんて、小便用便器の1つ1つすべてに、墨が置かれています。

 う~ん、炭パワーの威力で、空気を浄化しているようです。
 それにしても、これほどまでに炭が置かれた旅館は初めてです。


 食後、主人に通された部屋は、囲炉裏がある部屋でした。
 そして赤々と、炭火が燃えています。
 聞けば、すべての炭は、炭焼き小屋で先代(父親) が焼いているとのこと。
 これで “炭だらけ” の理由が判明しました。

 「お茶で話しというのもなんですから、さあ、どうぞ!」
 と、主人の手元をみれば、「えっ、いいんですか!」 と僕が小躍りしそうな大好物が!
 そうです、主人の手には、日本酒のビンが握られているではありませんかーーーーっ!


 囲炉裏をはさんで、注しつ注されつ、温泉談義が始まったのでありました。
 炭火のぬくもりと、ご主人のもてなしに、身も心もポカポカに温まった取材でした。

 ご主人、ごちそうさまでした。
 とっても美味しい地酒でした。
 このお礼は、本にしてお返しいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 20:42Comments(0)温泉地・旅館

2014年11月09日

きなこ、あんころ、からみ餅


 19年前、我が家は現在の場所に引っ越してきました。
 前橋市の郊外、田園風景が広がるのどかな町です。

 それ以前は、僕が生まれ育った旧市街地で暮らしていました。
 「もっと子供たちをのびのびと育てたい」
 そんな思いから、土地を探して、家を建てました。

 おかげさまで3人の子供たちは、すくすくと育ち、旅立って行きました。
 (1名、まだ義務教育が残っていますが…)

 で、僕たち夫婦は、この大らかで、のびのびと子育てができた土地と住民に、並々ならぬ感謝をしています。
 だって、古い風習の残る閉鎖的だった土地に、縁もゆかりもない家族が突然やって来て、住み着いたのですからね。
 それなのに、僕ら家族と分け隔てなく付き合っていただき、子供たちを地域の人たちは温かく見守ってくださいました。

 そんな思いから僕は、子育てが終わった今でも地域の育成会に残り、子育て活動に参加しています。
 「いゃ~、いい人が入ってくれたよ。これで我が地域も安泰だ。死ぬまで頼むよ!」
 とかなんと言われて、いい気になって、ボランティアで年中行事の手伝いに出かけています。


 今週末は、そんな地域の文化祭があり、2日間、イベントに借り出されてきました。
 昨日は近くの小学校体育館で、カラオケとダンスの発表会があり、全28組出場、開催時間3時間のプログラムをこなしてきました。
 と、いうのも、このイベントの司会が僕だったのです!

 いやいや3時間というのも長いが、28組のプロフィールを紹介したり、インタビューするのは重労働でしたよ。
 でもね、老若男女、1年間の練習の成果を遺憾なく発揮してくださり、みなさん、とても楽しんでいられました。

 また、1つ、恩返しができたと、僕も喜んでいます。


 2日目の今日は、もう1つの会場である公民館にて、模擬店の設営と販売を手伝ってきました。
 僕の担当は、「餅つき」 の実演と配布。
 午前8時のテント張りから参加しました。

 今日はあいにくの雨。
 それでも大勢のお客さんが来てくださいました。

 計12臼の餅をついて、「きなこ」 「あんころ」 「からみ」 の3種類を配布。
 雨の中、長蛇の列ができるほどの盛況でした。

 餅をこねるのは、技のある長老の役目。
 餅をつくのは、力のある若者の仕事。
 つき上がった餅をパックに詰めるのは、婦人たちの作業です。

 えっ、僕は何をしたのかって?
 ええ、まあ、技も力もないもので……。
 1回1回、餅がつきあがるごとに、杵と臼を洗う当番をおおせつかっておりました。


 足は棒になるわ、寒くて冷えるわ、疲れた2日間でしたが、終わってみると、なんともいえない充足感があるのです。
 それって、地域の人たちの笑顔をたくさん見たからなんでしょうね。

 この笑顔が、子供たちも育ててくれたのであります。

 まだまだ恩返しは足りませんが、これからも時間の許す限りお手伝いをさせていただきます。
 来月は、ウォークラリー大会ですね。
 よろしくお願いいたします。
    


Posted by 小暮 淳 at 21:09Comments(0)つれづれ

2014年11月07日

逆鱗ダイエット?


 このところ、会う人会う人から 「やせましたね!」 と言われます。
 なかには、「病気をされましたか?」 と言われる始末。
 「違う」 と言えば、決まって 「ダイエットですか?」 と訊かれます。

 どちらでもありません。
 答えは、“自然減少” です。

 たびたび、このブログにも書いているので、熱心な読者は、すでにご存知だと思いますが、8月下旬に、家内の “逆鱗” に触れてしまったのであります。
 それ以来、日に日に体重が減って行ったのであります。
 ※(体重減少の理由については、当ブログの2014年9月12日 「逆鱗の功名」 を参照。)

 で、上記(※)のブログを書いた時点では、「6キロやせた」 と記されています。
 その後、さらに3キロ減って、合計9キロもやせました!
 逆鱗に触れただけで、約2ヶ月半で9キロですぞ!

 これは、どんなダイエットより “健康的” で無理がなく、確実にやせる方法かもしれませんな~。


 「それは、名づけて 『逆鱗ダイエット』 ですね」
 と先日、取材先で、旅館の主人に言われました。
 「いや~、やせたけど、ダイエットをしたわけではありませんからね」
 そう言うと、かたわらにいた女将が、
 「やせて健康になったんだから、それは奥さんに感謝すべきですよ」
 ですって!

 とーーーんでもない!
 いまだに家内とは、口もきいていませんって!

 と、いうことは、現在も “家庭内禁酒” を続行中なのであります。

 (注) このダイエット?方法は、健康的にはやせますが、精神的な苦痛を伴いますので、あしからず。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:31Comments(0)つれづれ

2014年11月06日

立ち止まらず、振り返らず。


 昨日の午後、僕は温泉取材から戻ると、すぐに桐生市(群馬県) へ向かいました。
 敬愛する彫刻家、丸尾康弘さんの個展が今日(6日) までだったからです。

 丸尾さんとの出会いは、25年前。
 僕が、まだ駆け出しの雑誌記者をしていた時代に、取材でお会いしました。
 年齢は僕のほうが、2歳年下です。
 でも、家族構成も同じで、考え方も似通っていました。

 ただ違ったのは、“生き方”。
 ※(丸尾さんとの出会いについては、当ブログの2013年4月6日 「山が私を呼んでいる」 を参照)


 今回の会場は、桐生市の 「無鄰館(むりんかん)」。
 ノコギリ屋根の工場跡に、芸術家たちが移り住んでいるアート・スペースです。
 丸尾さんのアトリエも、この中にあります。

 「どうも、ご無沙汰しています」
 会場で、来場者と談話中の彼に、声をかけました。
 トレードマークのジーンズにGジャン姿。
 白毛交じりのアゴヒゲも、似合っています。

 「ジュンちゃん、ありがとうね」
 「顔が見たくて、来ました」
 とは、僕の本音です。

 丸尾さんの作品は、大きなものは等身大、小さいものは手のひらサイズの木彫りの人形(ひとがた) です。
 凄いと思いますが、正直、僕には “芸術” が良く分からないのです。
 でも、昔から丸尾さんの “生き方” には、あこがれ、刺激を受けてきました。


 今回の個展のこと、次回の作品展のこと、現在の活動状況や家族のこと・・・
 散々、話し込んだあと、僕は素直に思ったままを質問しました。

 「丸尾さんって、いつも前を向いて生きてますよね?」
 すると、
 「・・・・・」
 さー、どうかなっていう顔をしながら、右手でアゴのあたりをさすってみせました。

 「立ち止まったり、振り返ったりは、しないのですか?」
 そう、訊ねたときでした。
 僕の質問が、終わらないうちに、
 「それはないね!」
 と、キッパリ言い放ちました。

 その時の衝撃・・・
 「いつも前を向いているか?」 の質問には言葉をあぐれていたのに、「立ち止まらないのか?」「振り返らないのか?」 の問いには、即答だったのです。

 僕は、そこで大きなため息をついてしまいました。

 強い!

 この強さが、何十年とブレることなく、モノを創り続けている原動力なのだと……


 来年は、また前橋で個展を開くといいます。
 「必ず、行きます」
 と約束をして、ノコギリ屋根をあとにしました。
  


Posted by 小暮 淳 at 20:48Comments(0)つれづれ

2014年11月05日

老神温泉 「亀鶴旅館」②


 昨日は午後から片品村の花咲(はなさく)温泉に入って取材、夕方から沼田市の老神(おいがみ)温泉に移動して、カメラマンのS君と合流しました。
 来夏に出版予定の本のグラビア撮影です。
 紅葉に映える夕刻の露天風呂や、ライトアップされた渓谷美を撮影しました。

 その後、昨晩は女将さんのご厚意により、老神温泉の 「亀鶴(きかく)旅館」 に泊めていただきました。
 そう! 以前にも書きましたが、タレントの鈴木奈々似のアイドル系美人女将のいる宿です。
 ※(女将については、当ブログの2014年9月1日 「老神温泉 亀鶴旅館」 を参照)


 そして、サプライズは、夕食時に起こりました。

 風呂に入り、浴衣に着替え、僕とS君、そして担当ディレクターのK氏の3人は、料理が並んだテーブルの前に着きました。
 当然、湯上がりは、まず乾杯です。
 「女将さん、ビールをお願いします」
 と、言ったときです。

 「小暮さんの読者という方から、ビールとお酒の差し入れが届いています。今、お持ちしますね」

 「????」
 呆気にとられる2人。
 「えーーーっ、本当だったんだ!」
 と驚愕する僕。

 実は先月、上牧温泉(みなかみ町) で開催されたイベントのフィナーレで、僕が 「温泉考座」 と題して講演をしたのであります。
 そのとき、さる男性聴講者が、
 「来月の4日は、亀鶴旅館にお泊りですよね?」
 と、声をかけてきました。
 僕のスケジュールを知っているだけでも驚きなのに、その男性は、
 「差し入れしますよ。楽しみにしていてください」
 と言ったのです。

 そのことを、僕はすっかり忘れていました。
 いえいえ、まさか本当に差し入れていただけるなんて、思ってもいませんでした。

 さらに女将は、
 「そうそう、小暮さんにお渡しするように、お手紙も預かっているんですよ」
 と、1枚の紙を手渡されました。
 2度、ビックリです。

 その手紙には、取材へのねぎらいの言葉、いつも僕の本を参考にして温泉地をめぐっていること、そして今後も講演やセミナーがあれば聴講したい旨が書かれていました。
 さらに、さらに! S君とK氏の名前までも明記され、 「よろしくお伝えください」 とまで記されていたのです。

 「おおーーっ、うれしいね。それにしてもジュンちゃん、温泉ライター冥利に尽きるねぇ~」
 とS君。
 まったく、そのとおりであります。
 本当に、本当に、ありがたいことです。


 「来年の完成を目指して!」 
 「カンパーイ!」
 僕らは、差し入れに感謝しながら、女将さんの手づくり料理に舌鼓を打ちながら、美酒に酔いしれたのであります。

 Wさん、ありがとうございました。
 Wさんの期待を裏切らないよう、これからも温泉取材を続けていきます。
 本当に、本当に、ありがとうございました。 
   


Posted by 小暮 淳 at 21:34Comments(0)温泉地・旅館

2014年11月03日

温川温泉 「目の湯」


 「温川(ぬるがわ)温泉の一軒宿、白雲荘が閉まっている!?」 という情報が入ってきたのは、夏前でした。
 えっ、だって、今年の4月に出版した 『新ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) に掲載したばかりなのに~!
 と、激震と動揺が体の中を駆け抜けたのでした。

 すぐにオーナーに電話をして確認すると、
 「経営を任せていた女将が病気で倒れたため休業中」 とのことでした。
 そして、「再開のめどは立っていないが、露天風呂だけは日帰り入浴ができます」 と。

 少しホッとしましたが、自分の目で確認して詳しい話を聞くまでは、心配でなりません。
 と、いうことで、今日は朝から車を東吾妻町まで飛ばして、浅間隠(あさまかくし)温泉郷の1つ、温川温泉を訪ねてきました。


 浅間隠温泉郷とは、薬師温泉と鳩ノ湯温泉と温川温泉の総称です。
 すべて一軒宿ですが、温川温泉の白雲荘は、なかでも一番小さな宿でした。

 湯の歴史は古く、江戸中期には発見されています。
 眼病に効くことから 「目の湯」 と呼ばれ、親しまれてきた湯治場です。


 「小暮さん、済みませんでしたね。せっかく本に載せていただいたのに、こんなことになってしまって」
 と僕を出迎えてくれたオーナーのSさんとKさんの親子。
 新聞や著書の取材で、大変お世話になったお母さんと娘さんです。

 でも、閉鎖している旅館の玄関と、日帰り入浴を受け付けている露天風呂前の店には、しっかり僕の著書ポスターが貼られていました。
 「いえいえ、心配しましたが、事情を聞いて安心しましたよ」
 と、2人の笑顔を見て安堵しました。

 現在、再建に向けて動いているとのことで、安心したら、急に温泉に入りたくなってしまいました。
 「では、湯をもらいます」
 と言うと、
 「旅館のほうの給湯管を止めたら、温泉の色が変わったんですよ」
 ですと!
 なんでも、黄色い湯の花が浮くようになったとのこと。
 これは、ますます楽しみです。

 と、いうことで、1人で浴室へ。
 他に客はいませんから、 “源泉ひとりじめ” 状態です。

 サッシで仕切られている半露天風呂でが、すべて開け放ち完全なる露天風呂にして、いざ、入湯!
 ん~~、熱からずぬるからず、ちょうど良い温度です。
 オーナーのいうように、確かに浮遊物があり、うっすらと湯はカーキ色をしています。
 なんだか、以前より効能がありそうで、いいじゃありませんか!

 湯舟の正面では、真っ赤に染まったモミジの葉がそよぐ風に揺れています。
 深まる秋の景色を眺めながら、極上の湯浴みを楽しんできました。


 白雲荘の再開を楽しみにしています。
   


Posted by 小暮 淳 at 20:12Comments(0)温泉地・旅館