温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2019年11月30日

弘法大師の足のサイズは何センチ?


 ある時は、温泉や民話をめぐるフリーランスのライター。
 そして、ある時は、テレビ番組のご意見番を務めるスーパーバイザー。
 しかし、その正体は?

 そうです! 数々の謎を解き明かす 「ミステリーハンター」 なのです。


 ということで、またまた行ってきました。
 群馬テレビの人気謎学バラエティー番組 『ぐんま!トリビア図鑑』 の収録ロケ。
 前回、「令和に語り継がれる七つの不思議」 と題して、「水上温泉編」 を放送したしたところ、大変反響をいただきました。
 これに気を良くしたディレクターのN氏から、
 「小暮さん、これをシリーズ化しましょう! ついては、次の企画の提案をお願いします。もちろん、出演もね!」
 との依頼があり、さっそく第2弾の制作に取りかかりました。


 今回の舞台は、旧黒保根村(桐生市) です。
 この村には、名刹、涌丸山医光寺を中心に、7つの “不思議話” が伝わります。
 その不思議を1つ1つ、住職の解説とともにめぐります。

 必見は、弘法大師ゆかりの寺ならではの伝説の数々。
 中でも 「弘法の踏み草履石」 は、ウソかマコトか、かなりリアルな形をしています。

 「それでは、弘法様の足のサイズを測ってみましょう?」
 と、メジャーを取り出す僕。
 カメラは、グーッと手元に寄ります。

 はたして、何センチだったのでしょうか?
 真相は、放送をご覧ください!



        「ぐんま!トリビア図鑑」
    令和に語り継がれる七つの不思議~黒保根編~

 ●放送局  群馬テレビ (地デジ3ch)
 ●放送日  2019年12月17日(火) 21:00~21:15
 ●再放送  12月21日(土) 10:30~10:45 12月23日(月) 12:30~12:45
   


Posted by 小暮 淳 at 10:12Comments(0)テレビ・ラジオ

2019年11月28日

楽しい時間外質疑応答


 今年は、なんだか講演やセミナーに呼ばれることが多い年でした。
 例年だと月に1~2回ですが、今年は3~4回あり、ほとんど毎週どこかで話をしています。
 年内も、まだ4回残っています。

 なんでだろう?
 はっきりとした理由は分かりませんが、公民館や自治体、団体の間でネットワークがあり、講演会の講師情報が飛び交っているのかもしれませんね。
 だって、初めての依頼者なのに僕のケータイ番号を知っているのですから、そう考えざるをえません。

 ま、理由はなんであれ、「温泉の話が聞きたい」 というのであれば、温泉大使の使命として、どこへでも馳せ参じるのであります!


 ということで今日は、前橋市の北部、赤城山南麓の公民館に呼ばれて、温泉の話をしてきました。
 講演のタイトルは、「群馬は温泉パラダイス~温泉の魅力と効能を詳しく知ろう!」。
 対象は、60歳以上の地域住民です。

 公民館の場合、講演時間は120分のところが多いのですが、今回は、ちょっと短めの90分。
 いつものネタでは、軽くオーバーしてしまいそうなので、できるだけ簡潔に、基礎的な話でまとめさせていただきました。

 「何か先生に、お聞きしたいことはありませんか?」
 と司会者。
 講演終了後、質疑応答の時間に入りました。


 長年の経験から言うと、ここで手を上げられる人は、いても1人か2人です。
 そして、かなり温泉に詳しい人の質問となります。
 <聞きたいけど、恥ずかしくて> <こんなこと聞いたら笑われてしまう>
 と思っている人が大半です。
 だから、そんな人のために僕は終了後、すぐに会場を去らないで、荷物を片付けるふりをしながら、あえて、その場にとどまっています。

 作戦、大成功!
 今日も3人の方が、やって来ました。

 ①「○○温泉に、よく行くんですが、いつも湯がぬるいんですけど?」
 ②「友だちが××温泉に行ったら、血圧が下がったというんですが、本当ですか?」
 ③「温泉の正しい入り方を教えてください」
 みなさん、実に真剣なんです。

 ①の方には、「源泉の温度が約43度と、あまり高くないのに加温せず、かけ流しているから」
 ②の方には、「温泉の効能だけではなく、環境が変わったことによる転地効果が大きいかもしれませんね」
 ③の方には、「必ず、かけ湯をしてください。それもシャワーではなく、これから入る浴槽の湯で行い、事前に温度と泉質を肌で知ってから入りましょう」
 と答えさせていただきました。


 みなさん、もっともっと温泉に興味を持ってくださいね。
 すると、温泉のことが、もっともっと好きになると思いますよ。
 そして、僕に会ったら恥ずかしがらずに、なんでも質問してください。
 知っている限りのことは、お答えいたします。

 ぜひ、講演会場でお会いしましょう!
    


Posted by 小暮 淳 at 19:18Comments(0)講演・セミナー

2019年11月27日

万里の長城を越えた人たち


 “縁は万里の長城を越えてやって来る”

 中国の古いことわざです。
 縁のない人は、袖が触れ合っても行き違います。
 でも縁のある人は、わざわざ万里の長城を越えてでもやって来るといいます。


 僕は常々、“縁” は偶然ではなく、必然だと思っています。
 会いたいと願う強い気持ちが、双方を引き合います。
 たまたまの出会いなんて、世の中にはないんじゃないかと……

 たとえば、著者と読者の関係です。
 もし僕が本を著していなかったら出会えなかった人たちが、たくさんいます。
 カメラマンやデザイナー、出版社や雑誌社、新聞社の方々。
 本が話題になれば、テレビ局やラジオ局の方々との出会いもあります。
 でも、この人たちとは直接、顔を合わせて仕事をしますから、ある意味、必然性の高い出会いかもしれません。


 著者にとって一番遠い存在が、目には見えない読者です。
 著書に限らず、新聞や雑誌に僕が書いた記事は、どんな人が読んでいるんだろう?
 目には見えない人たちに向けて、僕は何十年と文章を書いています。

 まれにですが、出版社や新聞社に、感想などの手紙やメールをいただくことがあります。
 必ず返事を出すようにしていますが、それでも顔は見えません。
 まして、人となりなんて、知るよしもありません。
 時々、講演会などで声をかけていただくことがありますが、やはり、その場だけの一過性の出会いです。


 ところが世の中には殊勝な読者が、極まれにいらっしゃいます。
 講演会やセミナーに来てくださり、その後もマメに僕とコンタクトを取って、同じ熱心な読者とのネットワークも作ってくれました。

 これが 「弟子の会」 です。

 結成は2016年11月。
 以後2ヶ月に1回、飲み会を開いて、僕を呼んでくださり、コアな温泉談義を続けています。
 今月で満3周年を迎えました。
 数えること、回数にして19回目の 「弟子の会」 です。

 今回から新メンバーが加わりました。
 彼女もまた、万里の長城を越えて会いに来てくれた人の1人です。
 東京都からの参加です。

 僕の著書との出合いは、すでに絶版となっている 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) だったといいますから、かれこれ10年の読者歴になります。
 この間、僕の本を参考にして、東京から足しげく群馬の温泉をめぐってきたといいます。
 このブログにも読者登録をして、毎回読んでくださっているとのことでした。

 でも、ここまでなら、どこにでもある著者と読者の関係です。
 ところが今年になり、突然、彼女から手紙が届きました。
 僕はホームページを持っていませんから住所もメールも電話番号も明かしていません。
 ので、一般の人からの連絡は、一切取れないようになっています。

 彼女は、手紙を出版社へ送ったのです。
 そして、出版社から僕の元へ届きました。


 しばらくはメールのやり取りが続きました。
 そんな中で、「弟子の会」 の話題になりました。
 「ご迷惑でなければ、ぜひ参加させてください」
 との連絡をいただいたのが、きっかけでした。

 他の “弟子たち” の了承を得て、昨日、初めての出会いが実現しました。
 会場は、ご存じ、酒処 「H」。
 カウンターだけの小さな居酒屋ですから、ほぼ貸切状態でした。

 7時間にわたる長い長い宴でしたが、新旧 “弟子たち” も和気あいあいで、それはそれは楽しい時間でした。


 “縁は万里の長城を越えてやって来る”
 つくづく、そう感じた素敵な夜でした。

 みんな、ありがとう!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:35Comments(0)酔眼日記

2019年11月25日

昭和を飾ったベストセラー


 だいぶ秋も深まってきました。
 みなさんは、どのように夜長を過ごしていますか?

 僕は、もっぱら読書三昧です。
 といっても、そのほとんどが仕事の資料読みですけどね。
 テーマが決まると、取材に入る前の予備知識として、関連本を図書館でドッサリと借りてきます。
 ですから一日の大半は、これらの本の読破についやしています。

 純粋に趣味としての読書となると、若い頃のほうが読んでいました。
 今でもミステリーやエッセイが好きで、寝る前にベッドの中で読んだりしますが、読み切るのは月に1~2冊程度です。
 それも、すべて文庫本です。
 ぷらりと古本屋に寄った時に、まとめ買いをしておいて、気が向いたときに読んでいます。

 ベストセラーや話題の新刊本となると、滅多に手に取りません。
 でも先日、新聞の書評で取り上げられていた本を、珍しく即行買いしました。

 本橋信宏・著 『ベストセラー伝説』(新潮新書)


 昭和の時代にベストセラーとなった雑誌や書籍の舞台裏を明かしたノンフィクションです。
 「冒険王」 や 「少年チャンピオン」、「科学」 と 「学習」、「平凡パンチ」 に 「週刊プレイボーイ」 から受験生御用達の 「赤尾の豆単」 や 「でる単」 まで、60年代から70年代にかけて青少年を夢中にさせたベストセラーの企画と販売の裏側が次々と暴露されます。

 僕なんか、ドンピシャ世代ですからね。
 「科学」 と 「学習」 は、小学校に毎月販売に来た学習雑誌です。
 付録が楽しみで、僕は 「科学」 を購読していましたが、お金持ちの家の子は、両方購読していて、とてもうらやましかったのを覚えています。

 「平凡パンチ」 と 「週刊プレイボーイ」 には、大変お世話になりました。
 たぶん同世代の男子は、当時、みんなお世話になったと思います。
 (ゴールデンハーフの水着写真を切り抜いて、壁に貼っていた記憶があります)

 そして、僕が一番なつかしかったのが、ポプラ社の 「少年探偵シリーズ」 です。
 江戸川乱歩の少年向け作品で、小学校の図書館には全巻揃っていました。
 「怪人二十面相」 「妖怪博士」 「青銅の魔人」 「一寸法師」 などなど、今でもタイトルを覚えています。
 放課後は、真っ先に図書館へ駆け込んで、本好きの同級生らと取り合いです。
 「ああ、それ、オレが借りようと思ったのに! チェッ、次、オレだからな。予約!」
 なんて、いいながら、学校帰りに読んだ本の感想を話しながら歩いたものでした。


 その当時の思い出もよみがえりつつ、なぜ小学校で売られていたのか? 素人の女の子をどうやってヌードにしたのか? など、「へー、そうだったんだ」 と思わずうなってしまう秘話が満載です。
 著者のノンフィクション作家も僕と同世代です。
 だからリアルなんでしょうね。

 秋の夜長に、おすすめの1冊です。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:11Comments(0)つれづれ

2019年11月23日

今年も暮れ展


 「暮れ展一番乗りの淳ちゃんが来ないので、どうしたのか気になっていました」
 なんていうメールをいただいてしまいました。

 “暮れ展” とは、『でくの房 暮れ展』 のこと。
 “でくの房” とは、木彫作家で木版画家で絵本作家の野村たかあきさんのアトリエです。
 年に1回、暮れになるとアトリエをギャラリーとして公開して、作品の展示・販売をしています。
 これが “暮れ展” です。


 毎年、この展示会の便りが届くと、「ああ、いよいよ今年も押し迫ってきたなぁ~」 と年の瀬を感じます。
 そして長年、僕は会期の初日の開館と同時に入り、一番乗りを果たしてきました。
 ところが!
 残念なことに今年は、その初日が、僕が代表理事を務めるNPO法人 「湯治乃邑(くに)」 主催のイベントと重なってしまいました。
 その後も、何かと野暮用が重なりまして、そうこうしているうちに業を煮やした野村さんからメールをいただいてしまったという次第です。

 ということで、さっそく詫びを入れに行ってきました。


 野村さんは、前橋市在住の作家です。
 御歳、70歳!(見えませんって)

 「淳ちゃん、俺もついに古希になっちゃったよ」
 と笑う野村さんは、30数年前に出会ったあの頃と、少しも変わりません。
 まだ野村さんは30代、僕にいたっては20代でした。

 その後、飛ぶ鳥を落とす勢いで、絵本の世界では講談社絵本新人賞や絵本にっぽん賞などを次々と受賞されました。
 現在までに世に出した絵本の数は、優に70冊を超えています。
 今回、会場には、うち約30冊の絵本が、展示・販売されていました。

 そして、毎年お楽しみなのが、翌年のカレンダーの原画展示と即売です。
 「鬼の木版画ごよみ2020年」(1,000円)
 もちろん、毎年購入していますが、今年は最新作の古典落語を絵本にしたシリーズの第4作 『そこつ長屋』 も購入してきました。

 お時間のある方は、ぜひ、お立ち寄りください。



       「でくの房 暮れ展」
 ●期間  令和元年11月17日(日)~12月1日(日)
        午前11時~午後5時
 ●場所  でくの房
        群馬県前橋市朝日町4-1-18 TEL.027-243-7061
    


Posted by 小暮 淳 at 12:13Comments(0)ライブ・イベント

2019年11月21日

知らないほうがいい


 作家の横山秀夫さんとは、直接、お会いしたことはないのですが、その昔、僕が編集人をしていた雑誌で、インタビュー取材をしたことがありました。
 地元の新聞記者だったこともあり、また群馬在住ということもあり、とても親近感を抱いていた作家さんです。
 小説もデビュー作の 『ルパンの消息』 から、すべて読んでいました。

 そんな横山さんを、より身近に感じたのが、雑誌で取り上げたインタビュー記事でした。
 出来上がった誌面を見て、驚きました。
 仕事部屋に写っていたワープロが、僕が使用しているものと同メーカー同機種だったのです。

 「横山さん、これで原稿を書いてるの?」
 担当ライターに訊ねると、
 「はい、しかも、メールではなく、わざわざプリントアウトして、ファックスで送っているらしいですよ」

 同じだ! 同じだ! 僕と同じだ~!!
 と、その時は、大作家と同じワープロを使って原稿を書いているというだけで、大変喜んだものでした。


 現在、横山秀夫さん原作の映画が全国公開中です。
 歌手の山崎まさよしさん主演の 『影踏み』。
 “オール群馬” で撮影された映画ということもあり、県内では話題になっています。

 ということで、さっそく僕も観てきました。

 ノビ師と呼ばれる泥棒(忍び込みのプロ) が主人公の犯罪ミステリーです。
 事件が事件を呼びさます、スリリングな展開に引き込まれました。
 恋人役の尾野真千子さん、大好きな女優です。
 若手俳優の北村匠海さんの演技も光っていました。

 脇をかためる俳優陣も豪華です。
 大竹しのぶさん、下條アトムさん、根岸季衣さん、鶴見辰吾さん、滝藤賢一さん……

 作品としては、申し分ありませんでした。


 でも……
 何か違和感を感じたのです。
 同じ違和感を、以前にも感じた映画がありました。
 『そして父になる』 でした。

 そうなんです、この映画も群馬ロケの多い作品でした。
 知っている場所が多過ぎて、作品に集中できないという違和感です。

 場所を知っているため、場面の位置関係と距離感が気になってしまいます。
 ドキュメントじゃないんだから!と分かっていても、場面が変わるたびに 「あっ、ワープした」 なんて思ってしまいます。

 中でも一番違和感を感じてしまったのが、たびたび登場する前橋市内の中心商店街でのシーンです。
 「あれれ、通行人が、いっぱいいるぞ!」
 と気になってしまい、映るたびにスクリーンの中を目が泳いでしまいました。

 全部、エキストラなんですよね。
 実際には休日でも、あんなに人は歩いていませんもの。


 映画はロケ地を知らないほうが、楽しめますね。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:39Comments(0)つれづれ

2019年11月19日

マリア像を探しに


 トイレには 「トイレの神様」 がいますが、僕らの業界には 「取材の神様」 がいます。
 時々、降臨して、奇跡を起こしてくださいます。


 「時季ですし、クリスマスのネタで記事をお願いできませんか?」
 某紙の編集長から依頼がありました。
 「だったら、マリア像でいきませんか!?」
 「マリア像って、教会めぐりですか?」
 「違いますよ、隠れキリシタンです」

 ということで昨日は、丸一日、“隠れキリシタンの里” をめぐってきました。

 幕府の弾圧により全国へ散ったキリシタン信者たちは、人知れず暮らしながらもキリシタンとしての証しを残しています。
 資料によれば、群馬県は全国でも隠れキリシタンが多く潜伏していたと伝わります。
 なぜ、群馬には多かったのか?
 それが僕の、謎学(なぞがく) の始まりでした。


 よく話題になるのが、隠れキリシタンの墓です。
 「クルス」 と呼ばれる十字架に似た文様が隠されている墓です。
 これは県内の広範囲に点在しています。
 ところがマリア像となると、かなり狭いエリアに集中していることが分かりました。

 マリア像を探せ!

 これが一筋縄ではいかない、根気のいる作業でした。
 資料では明記されていても、場所が判然としません。
 必ずしも寺院の境内や墓地にあるとは限りません。
 路傍であったり、山中であったり、調査は難儀しました。

 地元の観光協会や教育委員会にたずねても、「聞いたことはあるが、場所は分かりません」 の一点張りです。
 中には 「聞いたこもない」 と、けんもほろろの応対をされてしまった所もありました。


 そんな折、1本のメールが入りました。
 テレビ番組でお世話になっている構成作家の方からでした。
 「取材の参考になれば」 と、現在、沼田市歴史資料館で開催中の企画展の情報が寄せられました。
 その展示会のタイトルが、『かくれキリシタンと鉱山』(12/3まで) 。

 この展示会との出合いが、一気に運気を変え、「取材の神様」 の降臨を促がします。


 マリア像が集中するエリアとは、県の北部です。
 川場村、沼田市、みなかみ町をめぐり、なんとか3体のマリア像とおぼしき石像を探し出しました。
 でも、この3体は、すべて座像です。

 探しているマリア像のうち、残る1体が立像なんです!
 やっぱり、マリア様といえば、立像でしょう!
 ところが、この立像の場所が、どこに訊いても分かりません。


 神は、ラーメン屋に降臨しました。
 午前の取材に疲れ果てて、カメラマン氏と遅い昼食をとっている時でした。
 なんと! 偶然にもラーメン屋の店内の壁に、沼田市歴史資料館のポスターが貼られていたのです。

 「忘れていたよ、ここだ! ここへ行こう!!」
 と、脱兎のごとくラーメン屋を飛び出しました。


 学芸員に待たされること約1時間。
 その女性の学芸員は、方々の関係者に電話をかけまくり、ついに、「立像を見たことがある」 という人を見つけ出してくださったのです。
 そして、その人のおぼろげながらの記憶をたどりながらも 「だいたい、このあたり」 という場所をスマホで教えてくれました。

 ほとんど目印のない、山の中です。
 でも、行くっきゃない!

 そして僕らは、ついに、山間の渓流の道ばたで、ひっそりとたたずむマリア様と対面いたしました。
 神々しく微笑みながら、僕らを見下ろしています。
 「取材の神様」 の降臨です。
 いえ、イエス様の導きかもしれませんね。


 いくつもの出合いと、偶然の積み重ねにより、またまた大切な宝物にめぐり合えました。
 取材で出会った、すべての方に、感謝とお礼を申し上げます。

 ありがとうございました。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:24Comments(2)取材百景

2019年11月16日

高原千葉村温泉 「高原千葉村」④


 温泉ファンの間では、“幻の温泉” とも呼ばれた群馬県内でもマニアックな温泉です。
 その名も、高原千葉村温泉。

 なぜ、そんなネーミングなのか?

 場所は、みなかみ町相俣。
 昭和48年(1973) に、千葉県千葉市が市民の保養目的しとて建てた施設なのです。
 約41万500平方メートルの敷地にキャンプ場、スキー場、テニスコート、青少年自然の家、ロッジ、ログハウスなどの野外スポーツ施設を所有しています。

 温泉が湧いたのは昭和53年(1978)。
 昔から雪解けの早い所があり、掘削したところ湧出したとのこと。
 ところが、この温泉が、たちまち評判になりました。
 このあたりでは珍しい、硫黄を含んだ乳白色の湯だったのです。

 「季節や天候によって色が変化する不思議な湯です」
 最初の取材時、当時の管理事務所長さんが言った言葉を覚えています。

 僕は過去に3回訪ねていますが、確かに3回とも色が違いました。
 1回目は、少し緑がかった抹茶ミルク色。
 2回目は、完全なる乳白色。
 3回目は、半透明で湖のように神秘的なエメラルドグリーンでした。

 では、なぜ、温泉ファンから “幻の温泉” といわれたのか?

 まずは、群馬県にありながら千葉市の施設だということ。
 もちろん一般客も 「市外者料金」 を払えば利用は可能ですが、あまり知られてなかったようです。
 そして一番の理由は、日帰り入浴客を受け入れていなかったことです。
 この二重のハードルのため、なかなか温泉ファンでも未体験の人が多い温泉でした。


 さて、ここまで読んで、なにか気づきませんでしたか?
 そうです! 僕の文章が 「でした」 と過去形なんです。
 残念ながら、利用者数低下などの理由により今年の3月で廃止されてしまいました。

 でも、ご安心ください!
 みなかみ町が今年4月、千葉市から施設を取得いたしました。
 そして現在、施設運営を希望する民間業者を募集しています。
 ぜひ、温泉好きの経営者さんがいましたら、ご一報ください!
 みなかみ温泉大使からのお願いです。

 幻の温泉を復活させましょう!

 ●問い合わせは、みなかみ町観光商工課 TEL.0278-25-5018
 
   


Posted by 小暮 淳 at 11:43Comments(4)温泉地・旅館

2019年11月15日

パネディスで会いましょう!


 先月、このブログでもお知らせしましたが、その後、新聞各紙が記事として取り上げていただいたおかげで、数多くの問い合わせや申し込みがありました。
 何のことかといえば、今度の日曜日 (17日) に高崎市で開催する公開パネルディスカッションであります。
 ※(詳しくは、当ブログの2019年10月25日 「第4回 公開パネルディスカッション」 を参照)

 僕が代表理事を務めるNPO法人 「湯治乃邑(くに)」 では、4年前の設立以来、毎年、ゲストスピーカーを招いて討論会を開いています。
 テーマは一貫して、「湯治場の復活を考える」。

 かつて温泉地は、心身の病やの労働の疲れを癒やすための湯治場でした。
 ところが高度経済成長期を境に団体客が押しかけるようになり、いつしか “宴会場” と “観光地” に変貌してしまいました。
 それでも時代の中に取り残されるように、湯を守り続けている昔ながらの温泉宿が存在しています。

 ところが、その湯守のいる温泉宿が、年々姿を消しています。
 少なくとも、この10年間で群馬県内の10軒以上の一軒宿が姿を消しました。
 「一軒宿」 = 「一温泉地」 ですから、事実上は10ヶ所以上の温泉地が地図から消えたことになります。

 “ストップ!消えゆく温泉!”

 その一念で立ち上げのが、「湯治乃邑」 であります。


 毎年、多彩なパネラーを迎えて、群馬が誇る温泉の魅力を語り合っています。
 今回は大御所の登場です!
 上毛かるたの、いろはの 「い」。
 一番最初の札で 「日本の名湯」 と詠まれている伊香保温泉より、渋川伊香保温泉観光協会会長の大森隆博氏をお招きして、伊香保温泉の魅力を余すことなく語っていただきます。
 きっと、今後の温泉地を考える上でのヒントがいただけると思います。


 まだ、席に余裕があります。
 興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。
 当日、直接参加される方でも大歓迎いたします。



   NPO法人 湯治乃邑 第4回 公開パネルディスカッション 
    湯治場の復活を考える ~消えゆくぐんまの源泉一軒宿~
 ●日時  2019年11月17日(日) 午後3時~5時
 ●会場  高崎白銀ビル 第2会議室 (高崎市白銀町9)
 ●料金  無料
 ●申込  ファックスまたはメールで
        FAX 027-221-8822 E-mail:toujinokuni@gmail.com
  


Posted by 小暮 淳 at 10:42Comments(0)湯治乃邑

2019年11月13日

七つの不思議と三つの奇石


 数字には、何か謎めいた力が宿っているようです。
 特に日本人にとって “奇数” は、慶弔どちらにも用いられる数字です。
 奇数の中でも 「七」 と 「三」 は、さらに特別な響きを持って、大切なことを伝え、残そうとしているように感じます。

 七色、七草、七光、七曜、七福神、七変化……
 三位、三教、三景、三世、三易、三大……


 先月、群馬テレビで放送された 『ぐんま!トリビア図鑑』 では、僕がミステリーハンターとしてナビゲーターを務め、水上温泉に伝わる七不思議を紹介しました。
 この番組が、ことのほか好評だったため、シリーズ化されることになりました。
 題して、「令和の世に語り継がれる七不思議」。

 今日、その第2弾の制作のため、ディレクターと構成作家と共にロケハンに行って来ました。
 “ロケハン” とは業界用語で、ロケーションハンティングの略です。
 いわゆる撮影に入る前の下見のことです。


 今はまだ、群馬県東部の山中としか申し上げられません。
 舞台は、弘法大師が東国遊化の折に薬師仏を刻み開創したと伝えられる古刹です。
 この寺に、7つの不思議が伝わります。
 また周辺には、寺を囲むように奇妙な形をした3つの石が鎮座しています。

 今回は、この7つの不思議と3つの奇石にまつわる言い伝えをハンティングしてきました。


 信じるか、信じないかは、あなた次第です。
 放送 (12月下旬予定) を、お楽しみに!
  


Posted by 小暮 淳 at 20:10Comments(0)謎学の旅

2019年11月12日

赤城温泉 「赤城温泉ホテル」⑦


 <成し終えて 赤城の山に 果てるとも 湧き出る湯こそ 吾命かな>

 宿の玄関前で、8代目主人の故・東宮欽一さんが詠んだ歌が出迎えてくれました。
 欽一大伯父は、僕の母方の祖母の弟であります。

 「おじさん、また来たよ」
 そう、心の中で歌碑に呼びかけながら、館内に入りました。


 「大変、ご無沙汰しています」
 「また、よろしくお願いいたします」
 満面の笑みで出迎えてくれたのは、10代目主人の東宮秀樹さんと、女将の香織さん。
 秀樹さんと僕は、はとこの関係になります。

 「今でも小暮さんの本を持って来られる方がいますよ」
 「うれしいですね」
 「決まって、『著者の小暮さんとは親戚なんですよね』 と言われます(笑)」

 本とは、2010年9月に出版した 『群馬の小さな温泉』(上毛新聞社) のことです。
 この本で僕は、赤城温泉はかつて 「湯之沢温泉」 と呼ばれていたこと、赤城温泉ホテルの前身は 「東屋(あづまや)」 だったこと、そして、我が一族の “ルーツの湯” であることを書きました。

 子どもの頃から、慣れ親しんだ温泉です。
 創業300年の昔から先祖たちが、脈々と守り継いできた命の湯であります。

 昨日は雑誌の取材で、赤城温泉へ行ってきました。


 「相変わらず、いい色をしていますね」
 カメラマンのT君が、浴室でセッティングをしながら言いました。
 「あれ、T君は、ここ初めてじゃないんだ?」
 「いやだな~、小暮さんたら! D(雑誌名) の取材で来たじゃないですか!」

 そうでした、彼は、初代の 「海パンカメラマン」 でした。
 もう、かれこれ10年以上も前の話です。
 めぐりめぐって、また、こうして一緒に仕事をしているのも、彼とは縁があるんでしょうね。
 ※( 「海パンカメラマン」については、当ブログ内で検索をしてください )


 今日も茶褐色の “にごり湯” は健在です。
 加水なし、加温なし、完全かけ流しゆえ、その湯の色は濃厚です。
 湯舟からあふれ流れた湯の通り道は、黄土色の析出物が堆積して、鍾乳石のような模様を描いています。
 また露天風呂では、析出物が、まるでサンゴのように無数の突起を持ったオブジェを作り出しています。

 さらに、運が良ければ見られるという 「石灰華(せっかいか)」 まで漂っていました。
 これは温泉成分である炭酸カルシウムが、湯葉のような白い膜となって湯面を覆う現象のことです。
 僕でさえ、今までに数回しか見たことがありませんから、かなりラッキーでした。


 赤城温泉の歴史は古く、起源は古墳時代ともいわれ、奈良時代の書物には、すでに記述があります。
 何百年、何千年と湧き続ける命の湯。
 それを守り続けてきた先祖に、ただただ感謝であります。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:38Comments(2)温泉地・旅館

2019年11月10日

天高く老若男女が集う秋


 昨年、還暦を迎えたのを境に、僕は生き方を変えました。
 それまでは唯我独尊を貫き、他人の意見や指示、提案には、ほとんど耳を傾けてきませんでした。
 でも還暦を機に、いさぎよく他人の評価を受け入れることにしたのです。
 似合わないことでも、柄じゃないことでも、他人が、そう評価したのなら甘んじて受けることにしました。

 題して、“来るものは拒まず精神” です。


 今日の関東地方は、朝から抜けるような青空が広がり、絶好のイベント日和となりました。
 僕が暮らす前橋市南部の地区では、公民館と小学校の体育館を会場に文化祭が開催されました。
 その文化祭の1部門である交流会 「カラオケとダンスの集い」 の司会を、僕がおおせつかることになりました。
 ※(いきさつは、当ブログの2019年10月10日 「60年の評価」 を参照)

 カラオケとダンスですよ!

 しかも、カラオケといっても、すべて演歌です。
 ダンスといっても、社交ダンスにフォークダンス、フラダンス、ルンバ、それと、だんべえ踊り (前橋まつりで踊られる前橋市のオリジナル踊り) です。

 そうなんです、すべて出場者は、シニア世代なのであります。
 それでも、このブログのタイトルに 「老若男女」 と付けたのは、市の職員や運営スタッフが若い人たちだからです。
 でも出場者の年齢層の高さは、ハンパありません。
 半数以上は70代ですが、80歳以上の女性たちがド派手な衣装で、飛んだり跳ねたり舞ったりしているのです。

 つくづく、この国は高齢化社会が進んでいて、元気なお年寄りが大勢いるのだと実感しました。


 それでも市の職員によれば、「出場者が年々減っている」 のだといいます。
 サークルが高齢化により解散してしまうためのようですが、どうも理由は、それだけではないようです。
 「シニア世代の公民館離れ」 があるようです。
 これにより、次世代 (60代~) の入会者が、年々減少しているのです。

 これは、ゲートボールやグランドゴルフなどのスポーツも同様のようです。
 歳を取ったら公民館に集まり、サークルに入るという生き方自体が、時代遅れなのかもしれませんね。
 シニア予備軍の僕ら世代から見たら、ゲートボールもカラオケもフォークダンスも 「ノー・サンキュー」 であります。
 それより、気の会う仲間と趣味を共有したり、自分の好きなこと、やりたいことのために時間を使いたいと思ってしまいます。

 そこで、提案します。
 カラオケの代わりに、軽音楽部を作り、フォークやロックのバンドを結成してみては?
 フォークダンスの代わりに、ジャズダンスやヒップホップを!
 ゲートボールの代わりに、スケートボードやスノーボードを!


 今日は司会をしていて、そんなことを考えていました。
 人生100年時代、まだまだ 「シニア」 なんて呼ばれたくありませんって!
   


Posted by 小暮 淳 at 19:10Comments(0)ライブ・イベント

2019年11月08日

トリビアが止まらない② もうすぐ200回!


 3ヶ月に1度のこの時間を、僕は毎回楽しみにしています。

 群馬テレビで毎週火曜日に放送されている 『ぐんま!トリビア図鑑』。
 2015年4月スタート時より、僕は番組のスーパーバイザーをしています。
 早いもので5年目に入り、来週の放送で185回を数えます。

 大台の200回放送は、目前です!


 ということで、昨日は番組の企画・構成会議に出席してきました。
 僕を含め、プロデューサー、ディレクター、構成作家ら10名が集まり、今回も、あっと驚く!トリビアネタが飛び交いました。

 たかが群馬、されど群馬……

 群馬には、まだまだ知られざる “お宝トリビア”が 眠っています。
 そのお宝を多ジャンルからリサーチして、資料を集め、発掘をします。
 歴史あり、産業あり、文化あり、そしてミステリーあり!

 さしづめ僕の担当は、温泉とミステリーです。
 今回は、先月放送された 「水上温泉の七不思議」 に続く第2弾! 「令和の世に語り継がれる七不思議」 の続編の企画を提案をしました。

 温泉ネタでは、「ダム湖ができると温泉地はどうなるか?」 について、その微妙な関係についてコメントさせていただきました。


 さてさて、その他にも素敵なトリビアが飛び出しました。
 ・なぜか、その地域だけキリスト宣教師の名の付いた山や橋がある!
 ・「玉の輿」 の語源は、群馬だった!
 ・珍発明の数々を世に残した“群馬のエジソン” と呼ばれる男がいた!
 などなど、取材だけでも楽しそうなトリビアネタが目白押しです。

 会議では、ちょうど200回を迎える来年3月の放送分までのテーマ決めをしました。

 ますます、ハードに!ディープに!なって、トリビアが止まりません!
 乞う、ご期待!!



    『ぐんま!トリビア図鑑』
 ●放送局  群馬テレビ (地デジ3ch)
 ●放送日  火曜日21:00~21:15
 ●再放送  土曜日10:30~10:45 月曜日12:30~12:45
   


Posted by 小暮 淳 at 12:09Comments(0)テレビ・ラジオ

2019年11月06日

マロがいる!③ 犬友再会


 空気の澄み切った秋晴れの昼下がり。
 2階の仕事部屋で、のんびりと読書を楽しんでいるときでした。
 突然、階下が騒がしくなりました。

 ん? 家内も娘も外出しているはずだが……

 「おとーさん、いるの?」
 長男の声がしました。
 別に世帯を持った今でも、彼は合鍵を持っていて、自由に実家の出入りをしています。

 「ほら、ジイジに 『こんにちは』 は?」
 長男に、しがみ付くようにして、2歳になる孫のS君が張り付いています。
 「向こうのお義父さんには、慣れているんだけどね。お父さんには、あまり会わないから……」


 「今日は、なんだ?」
 「これ、オレは飲まないから」
 見れば、足元に一升瓶が2本も置かれています。
 「こんなにも、どうしたんだ?」
 「もらい物だけど、飲んでよ」
 ラベルを見れば、どちらも群馬県内の地酒です。
 ありがたく、いただくことにしました。

 「ありがとう、でも、あんまり気をつかうな!」
 照れ隠しで言うと、長男は、こんなことを言いました。
 「だって、マロがいなくなって、落ち込んでいると思ってさ」

 ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメーーーーーーーーッ!!!!!!

 その言葉は、今の僕には、まだ禁句です。
 マロの “マ” の字を聞いただけでも、涙腺がゆるゆるしてくるのであります。
 「それを言うなって!」


 先日も、つらい出来事がありました。
 外出からもどり、家の前で車を停めようとしていると、犬を連れた見慣れた婦人が通り過ぎました。
 それもヨークシャーテリアです。
 そうです、いつも散歩の途中で出会っていたマロの犬友です。

 僕は車から飛び出し、後を追いました。
 「こんにちは」
 「あっ、こんにちは、お久しぶりですね」
 「実は……」
 マロの死を伝えると、その婦人の顔色が見る見るうちに変わり、やがて大粒の涙を流し始めました。

 「チワワでしたよね。まだまだ元気そうだったのに……」

 知ってか知らずか、ヨークシャーテリアが僕の膝に前足をかけて、甘えています。
 「ごめんね。マロちゃん、もう、いないんだよ。いつも遊んでくれて、ありがとうね」
 そう言うのが、精一杯でした。
 婦人の涙に、もらい泣きしてしまいました。


 “ペットロス” という言葉は知っていましたが、まさか、こんなにも引きずり続けるとは思いませんでした。
 この思いは、酒でまぎらわすしかないのでしょうか?

 息子からもらった一升瓶が、今は心の支えであります。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:59Comments(4)つれづれ

2019年11月04日

漢字1文字


 今年も赤ちゃんの名前人気ランキングが発表になりました。
 発表したベネッセコーポレーションによれば、今年生まれた赤ちゃんで多かった男の子の名前は 「蓮(れん)」 で2年連続の1位。
 女の子は 「陽葵(ひまり)」 で4年連続の1位でした。

 以下5位までは、男の子は 「律(りつ)」 「湊(みなと)」 「樹(いつき)」 「蒼(あおい)」、女の子は 「凛(りん)」 「芽依(めい)」 「結菜(ゆいな)」 「紬(つむぎ)」でした。


 これを見て、何か気づきませんか?
 一時の “きらきらネーム” は鳴りをひそめて、替わりに漢字1文字の名前が人気を集めています。
 男の子にいたってはトップ5が、すべてが漢字1文字です。

 これは近年の傾向で、日本の伝統や和のイメージを連想させる名前が増えているようです。
 でも、僕の名前も漢字1文字です。
 いえいえ、僕だけじゃなく、僕の父も兄も子も孫も、4世代全員が漢字1文字なんです。
 ということは、明治生まれの祖父に先見の明があったということなんでしょうか?

 これは決して家訓ではありません。
 なのに代々、暗黙のうちに生まれて来る子が、男でも女でも漢字1文字を命名するようになっていました。
 理由は分りません。
 僕も3人の子に、気がついたら1文字の漢字のみ考えていましたもの。

 孫に漢字1文字の名前を付けた長女と長男にも訊いてみたことがありますが、名付け理由は 「なんとなく」 でした。


 1位から5位までの中には、うちの一族の名前はありませんが、ただ1つだけニアミスした名前があります。
 それは男の子の3位、「湊」 です。
 「次に生まれて来る子が男だったら “湊” にしよう」 と決めていましたが、実際に出て来たのは女の子でした。

 昔、オヤジに 「淳(じゅん)」 という名前を名付けた理由を訊いたことがありました。
 すると、「意味はない。音だけで付けた」 との返事でした。
 思えば、僕が付けた3人の子の名前も、意味ではなく、聞いたときの言葉の響きだけで決めました。
 2人の孫の名前も、音の心地良さを感じます。


 これから令和の子どもたちの名前は、どのように変化していくのでしょうか?
 毎年、発表が楽しみです。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:25Comments(2)つれづれ

2019年11月03日

温泉のエネルギーを学ぶ


 “温泉はエネルギーとして使えるか?”
 このコピーにひかれて、参加を応募しました。

 正式タイトルは、「シンポジウム 温泉県ぐんまの可能性 『エネルギーの地産地消』」 です。
 主催は、群馬県環境政策課・地熱エネルギーを学ぶ会。
 協力は、群馬県環境アドバイザー温暖化・エネルギー部会とあります。
 ちょっと堅苦しそうなシンポジュウムですが、「知らぬは一生の恥」 と思い、興味があるので高崎市の会場へ出かけてきました。


 第1部:基調講演 「地熱エネルギーの利活用と群馬の可能性にいて」
 第2部:「温泉熱有効活用に関するガイドライン」 について
 第3部:フリートーキング
 
 講師の方も、電力中央研究所環境科学研究所上席研究員と環境省自然環境局自然環境整備課温泉地保護利用推進室という、なんとも長たらしくて舌をかんでしまいそうな肩書きなので、“場違いの席に来てしまった” 感が強かったのですが、さにあらん。
 始まってしまえば、すーっと話が頭の中に入ってきました。


 「地熱エネルギー」 と聞くと我々は勝手に 「地熱発電」 のことと解釈してしまいがちですが、これが奥が深いんですね。
 また地熱発電にしても、掘削して取り出した蒸気でタービンを回す 「フラッシュ式」 と、既存の温泉を水より沸点の高い媒体 (アンモニア水など) と熱交換してタービンを回す 「バイナリー式」 があることを知りました。

 群馬県内には現在、地熱発電所はありませんが、温泉熱エネルギーの活用なら行われています。
 草津温泉などでは、90℃以上の温泉と上水とを熱交換して約60℃の温水を作り、旅館や住宅へ供給しています。
 また温泉熱を活用した暖房利用や冬場の融雪利用も行っています。

 でも、それだけではありませんよ!
 まだまだ、温泉エネルギーは利用されているよな~
 農業とか、水産業とか……

 なーんて、考えていたら、突然、サプライズが起こってしまいました。


 「えー、実は今日、会場に、温泉ライターの小暮淳さんがお見えになってますので、ぜひ、ひと言お願いしたいと思います」
 と、司会者から不意をつかれたアナウンスをされてしまいました。

 えっ、なんで知っているの!?
 あっ、そうか、受付で名前を記入したっけ!
 あのとき、「もしかして、小暮さんって?」 と声をかけられたことを忘れていました。

 仕方がありませんね。
 渋々ですがマイクを取り、「それ以外の温泉活用の現状ですが……」 と実例をあげてのスピーチをさせていただきました。


 「あーあ、せっかくプライベートで後学のためにと参加したのになぁ~」
 と車中でグチをこぼしながらも、「まっいっか、だいぶ知らなかったことを知ることができたし」 と納得して帰路に着いたのでありました。

 温泉エネルギーのこと、みなさんも考えてみませんか?
   


Posted by 小暮 淳 at 12:33Comments(0)講演・セミナー

2019年11月01日

あざ~す!


 「あざ~す!」
 「あ・ざ・す? なんだ、そりゃ?」
 自転車がパンクをしたというので、修理をしてやると、スマホをいじりながら次女が言った言葉です。
 彼女は大学2年生。
 最寄の駅まで自転車通学をしています。

 「パンク、直しておきましたけど!」
 「あざ~す!」
 訊けば、“ありがとうございます” を短縮した若者言葉のようであります。


 言葉は生き物ですから、時代とともに変化するものです。
 僕だって若い頃には、親から 「なんだ、その言葉使いは!」 なんて注意をされたものです。
 ただ、その変化のスピードは、昭和より平成、令和と加速しているように思われます。
 たぶん、電話からファックス、パソコン、そしてスマホと、言葉の伝達方法が変化しているからでしょうね。

 より早く簡単に伝えるために、言葉はどんどん短くなっています。
 以前、「あけおめ」 という言葉が、正月になると飛び交いました。
 「あけましておめでとう」 の略式です。
 さらに進化して、若者は 「あけおめことよろ」 なんて言ってました。
 「あけましておめでとうございます。ことしもよろしくおねがいいたします」 の短縮形です。

 確かに頻繁にメールやラインを利用する若者にしてみれば、32文字の入力が8文字で済むのですから、短縮化は必至です。


 「おとう、ヒマ?」
 先日のこと。
 リビングで遅い朝食をとっていると、ドタドタと2階から駆け下りて来た次女が言いました。
 「ヒマ」 と言うのは彼女の口グセで、決まって他人に用を頼む時に発する言葉なのです。

 「ヒマじゃないけど、なんか用か?」
 「寝過ごした。チャリだと間に合わないから、駅まで送ってくれないかな?」
 と娘に言われれば、父親は 「ノー」 とは言えないものです。
 しかも彼女は、僕が40歳を過ぎてから生まれた末っ子であります。

 世間では、“老いてからの子は可愛い” なんて言いますからね。
 僕もご多分にもれず、世間の父親なのであります。


 「間に合ったか? 気をつけてな」
 駅のロータリーで、次女を車から降ろしました。
 「あざ」
 「なに? あざ? あざ~す、じゃないのか?」
 父親の問いかけに返事もせず、彼女は手を振りながら駅の構内へと消えて行きました。

 ますます短くなっていました!
 次は、「あ」 だけだったりして……
 若者に、ついては行くのは大変ですね。


 では、「どくみなこれよろ!」
 (読者のみなさん、これからもよろしくお願いいたします)
   


Posted by 小暮 淳 at 11:54Comments(0)つれづれ