温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2021年04月30日

湯守の女房 (2) 「今じゃ、すっかり私も上州人になっちゃった」


 倉渕温泉 「長寿の湯」 (高崎市)


 清流、長井川をはさんだ宿の向かいに、源泉櫓(やぐら)が立つ。
 櫓の下に小さなお堂があり、薬師如来像が祀られている。

 薬師像は、源泉の起源300年前と伝わる湯の御利益に対して、旅人たちが感謝を込めて安置した 「湯前(ゆぜん)薬師」 だといわれている。
 かつて、ここに温泉が湧いていた証しである。
 そして櫓は、ご主人の川崎秀夫さんが丸3年かけて掘削した信念の証しだ。


 「『雪解けが早い場所がある。薬師像もあるし、ここは絶対に温泉が出る』 って言い出して、東京から通って掘削したの。でも650メートル掘ったところで、資金が底をついちゃった。お父さんは、もっと熱い温泉が湧くまで掘りたかったらしいんだけどね」
 そう言って、女将の節子さんは声高に笑った。
 いつ会っても底抜けに明るい女将だが、その半生は決して順風満帆ではなかった。

 長崎の高校を卒業した秀夫さんは、東京で地質調査の会社に就職し、日本中のダム建設現場を飛び回っていた。
 女将の郷里、山梨で2人は出会い、昭和49(1974)年に結婚。
 その後、秀夫さんは東京でボーリング会社を設立。
 女将は、会社で経理を手伝っていた。


 平成3(1991)年、源泉を掘り当てると土地を購入し、念願の温泉旅館をオープンさせた。
 しばらくは地元の人に経営をまかせていたが、やがてバブルが崩壊し、乱脈経営が発覚した。
 倒産するか、旅館を売るか。
 窮地に追い込まれた。

 「最初は 『東京の奥さまに何ができる』 って、地元の人たちから散々なことを言われたけれど、私がやるしかなかったのよ。だって温泉は、お父さんの夢なんだもの。絶対に手放したくなかった」

 東京に仕事のある夫と子どもを残し、湯と宿を守るために単身で群馬にやって来てから7年が経った。
 孤軍奮闘の中、お客から 「女将さんのやっていることが、いつか評判を呼ぶんだよ」 と声をかけられた。


 「結局、地元の人たちに助けられて生きているんだよね。群馬の人は口は悪いけど、心を割って付き合うと、とことん面倒をみてくれる。ずいぶん、助けてもらった」
 と言ったあと、
 「今じゃ、すっかり私も上州人になっちゃった。あ、はははっ」
 と豪快に笑い飛ばした。
 3年前、夫も会社を閉めて旅館に入った。


 女将が守り通した湯が、浴槽からザーザーと音を立てて、あふれ流れている。
 サラリとしたやさしい浴感が評判になり、草津温泉の帰り道に、仕上げ湯として立ち寄る常連客が多い。
 浴室で、毎日通って来るというお年寄りと一緒になった。

 「ここは湯もいいが、やっぱり女将が一番いいね」


 露天風呂から源泉櫓とお堂が見える。
 お堂の中では薬師様が、今日も湯と女将のと旅人を見守っている。


 <2011年2月23日付>
  


Posted by 小暮 淳 at 09:48Comments(2)湯守の女房

2021年04月29日

天才は忘れた頃に帰って来る


 <天才とは、1パーセントのひらめきと99パーセントの努力である>
 と言ったのは、確かエジソンでした。

 「ほほう、なるほど。天才だって99パーセントも努力しているんだから我々凡人が、かなうわけがない」
 と短絡的に解釈してしまうところが、凡人が凡人であるゆえんなのですね。
 僕も昔、この言葉を聞いた時は、そう解釈していました。

 でも、エジソンの真意は異なります。
 <99パーセントの努力も1パーセントのひらめきがなければ、すべて無駄になる>
 と言いたかったのだといいます。

 これまた凡人には、目からウロコの名言であります。


 “目からウロコの名言” といえば、最近、ド頭をハンマーで、かち割られたような衝撃の発言がありました。
 一昨年、白血病を発症し、闘病生活を乗り越え、昨年大会復帰をし、なななんと! 今年の東京五輪代表選手選考会を兼ねた日本選手権で4種目優勝の大会4冠という偉業を成し遂げ、奇跡の復活を果たした競泳の池江璃花子さんであります。

 誰もが彼女のことを “天才” と言いますが、僕はニュース報道を見るたびに、彼女の何が天才と言われるのだろう? と思っていました。
 ところが、ある瞬間、その答えが、まるで彼女からのメッセージのように届いたのです。

 <努力が報われたのではなく、報われるまで努力をした>

 この言葉、いかがです?
 これって、弱冠20歳の女の子の言葉ですか?


 あ~、イヤだ!イヤだ!
 これだから凡人は、凡人から抜け出られないのです。
 僕は60歳を過ぎた今日まで、“努力は報われる” と信じて生きていましたからね。
 (でも報われてないということは、足りていないということなのですが)

 報われるまでの努力とは?

 きっと凡人には、計り知れない努力なのでしょうね。


 天才は忘れた頃に帰って来ました。
 池江璃花子さんの今後の活躍を期待しております。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:00Comments(0)つれづれ

2021年04月28日

酔っぱライター 東毛へ行く


 「趣味と実益を兼ねる」
 とは、誰もが理想とする生き方です。
 好きな趣味でありながら、かつ収入になるのですから……
 でも現実は理想のようには、なかなか成りません。

 「小暮さんは、いいですね。温泉に入って、お金になるんですから」
 と言われる方が、稀にいます。
 きっと、その人は、僕の長年の趣味が温泉に入ることで、趣味が仕事になったと思っているんですね。

 でも、まったく違います!

 事実は真逆で、ライターという仕事を続ける上で “温泉” に出合い、興味を持ち、取材を続けるうちに “好き” になったのです。
 ということは、一般の仕事と同じです。
 その世界に入り、続けるうちに興味が湧き、好きになることってありますよね。
 仕事って、そういうものだと思います。


 こんな言葉があります。
 <どんな仕事も好きか嫌いか分かるのに2年かかる。向いているか向いてないかは10年かかる。>

 これは最近読んだ小説の中で、主人公が老舗居酒屋の店主に言われた言葉です。
 まさに僕の場合、この法則に当てはまります。
 フリーのライターになって10年目に “温泉” に出合い、その10年後に “著書” の出版を始めました。


 でもね、1つだけ僕も “趣味と実益を兼ねた” 仕事があります。
 それは、「酔っぱライター」 です!(笑)

 酔っぱライターとは、その名の通り、酒を呑んで、文章にする職業のことです。
 これは完全に、趣味からの出発です。
 僕は、もう何年も前から県内の蔵元をまわって酒を呑み、居酒屋を訪ねて酒を呑んで、そのことを記事に書いてます。

 「好きこそものの上手なれ」 とは、よく言ったものです。
 好きなことは、他人にも伝わりやすいようで、2年前には群馬県酒造組合より 「ぐんまの地酒大使」 に任命されました。


 ということで、昨日は朝から両毛線に乗り込み、群馬の東へと芳醇な香りを求めて、“ほろ酔い旅” をしてきました。
 今回訪ねたのは、県内で初! 県内で唯一!の 「遠心分離搾り」 という画期的な製法で地酒を造っている蔵元です。
 ま~、その味の澄んでいること!
 他に類のない透明感のある酒を存分に、いただいてまいりました。

 ※この記事は、2021年6月4日号の 「ちいきしんぶん」(ライフケア群栄) に掲載されます。
  


Posted by 小暮 淳 at 09:41Comments(0)取材百景

2021年04月26日

湯守の女房 (1) 「湯に入ると自然に 『ありがとう』 と感謝の言葉が出ます」


 このカテゴリーでは、ブログ開設11周年企画として、2011年2月~2013年3月まで朝日新聞群馬版に連載された 『湯守の女房』(全39話) を不定期に紹介します。
 湯守とは源泉を守る温泉宿の主人のこと。その湯守を支える女将たちの素顔を紹介します。
 (肩書等は掲載当時のまま。一部、加筆訂正をしています)



 猪ノ田温泉 「久惠屋旅館」 (藤岡市)


 県道からはずれて山道に差しかかった途端に、ひんやりと空気が変わる。
 標高はさほど高くないが、それほど藤岡市の猪ノ田(いのだ)地区は、深い森に囲まれている。
 小さな渓流のほとりに、和風の一軒宿は建っている。

 「私は病弱だったので、到底手伝えませんって、キッパリ言いました。でも、言い出したら絶対に聞かない人ですから」
 と、女将の深澤信子さんは述懐する。

 昭和58(1983)年12月、藤岡市内で牛乳販売業を営んでいた主人の宣恵(のぶやす)さんは、周囲の反対を押し切って旅館を開いた。
 温泉に、ほれ込んでのことだった。


 猪ノ田温泉は明治初期には 「皮膚病に効く」 という評判が高く、湯治場としてにぎわっていた。
 当時は源泉の湧き口に野天の湯小屋があるだけだったが、大正時代には旅館が建てられ、戦前までは大いに繁盛した。

 しかし戦後に経営は悪化し、約40年前に廃業した。
 惜しむ声はあっても、温泉は森の中で眠ったままだった。
 「主人は、歴史と効能のある温泉を復活させたいって、源泉をくんで来ては温めて入っていました。『この湯はすごい!』 って言いながら」

 現在でも、医者に見放された患者たちが、遠方よりやって来る。
 4年前から女将の発案で源泉を詰めたペットボトルの販売を始めた。
 昨年からは、メーカーとの共同開発した温泉水入りの石けんも販売している。

 長年、体が弱かった女将が、こうして健康を取り戻せたのも、温泉の効能によるものだという。
 「源泉には、殺菌、浄化、漂白の作用があるらしく、皮膚科や小児科のお医者様が取り寄せたり、患者さんに紹介してくれたりしています」


 古来、沸かしてまで浴した冷鉱泉には、病気の治癒効果が高い薬湯が多い。
 猪ノ田温泉も硫化水素を含む独特の腐卵臭がすることから 「たまご湯」 と呼ばれ親しまれてきた “薬師の湯” である。
 現在は 「絹の湯」 と呼ばれ、ふたたび傷ややけど、アトピー性皮膚炎に効く名薬湯として、全国からうわさを聞きつけた湯治客が訪れている。
 その浴感は、トロリとして卵の白身のように滑らかだ。

 「湯に入ると、自然に 『ありがとう』 と感謝の言葉がでます。私たちが生きているかぎり、この湯は守り続けます。ねっ?」
 かたわらで若女将の久美子さんが 「はい」 と大きくうなずいた。
 厨房を預かる長男の嫁として、2代目 “湯守の女房” へバトンが受け継がれようとしている。


 <2011年2月9日付>
   


Posted by 小暮 淳 at 10:04Comments(0)湯守の女房

2021年04月24日

次々中止! 残念なお知らせ


 新型コロナウイルスの猛威は依然、留まることを知りません。
 昨年に続き、今年も温泉地は感染防止策に追われています。

 今日は 「老神温泉大使」 および 「伊香保温泉大使」 から、残念なお知らせであります。


 毎年5月初旬に開催されている老神温泉 (沼田市) の 「大蛇まつり」。
 その昔、日光二荒山 (男体山) の神と赤城山の神が戦い、傷ついた赤城山の神が湧き出る温泉で傷を癒やした伝説に端を発し、体長のギネス記録を持つ大蛇が温泉街を練り歩き、参加者には酒が振舞われる勇壮な祭りです。

 が!
 残念なことに、昨年に続き今年も開催が中止となりました。

 でも温泉街にある観光会館には、ギネス大蛇が展示されていますので、ぜひ、訪ねてみてください。


 伊香保温泉 (渋川市) といえば、石段ひな祭りや河鹿橋のライトアップなど、数々の名所やイベントがありますが、中でも大勢の人でにぎわうことで知られているのが、毎年7月上旬 に開催されている 「伊香保ハワイアン・フェスティバル」 です。
 呼び物は、米ハワイのフラダンスの祭典 「メリー・モナーク・フェスティバル」 の優勝チームの招待ですが、こちらも残念なことに中止が決定されました。
 昨年に続き、2年連続の中止です。


 さらに追い打ちをかけるように、政府は東京をはじめとする4都府県に3度目の緊急事態宣言を発令しました。
 さらにさらに群馬県は、現在実施している 「愛郷ぐんまプロジェクト」 を今月29日から当面、中止することを発表しました。
 「愛郷ぐんまプロジェクト」 とは、群馬県内の宿泊施設への宿泊や日帰りツアーをした県民に5,000円を割り引く経済対策であります。

 おーーーーっ、これでは踏んだり蹴ったり、弱り目にたたり目、泣きっ面に蜂ではありませんか!
 このままでは、群馬県から温泉地が消えてしまうぞ!

 なにか、できないか?
 僕は、名ばかりの温泉大使なのか?
 こんなときだからこそ、知恵を出して、愛すべき温泉地を救いたい!


 ジレンマがジレンマを生んで、悶々とした日々を過ごしています。
 本当に残念なお知らせで、申し訳ありません。m(__)m
  


Posted by 小暮 淳 at 12:03Comments(2)大使通信

2021年04月23日

三度目の妖精


 またまた妖精を目撃しました。
 これで3回目になります。


 最初は、十数年前の真冬の夜。
 自転車を漕いでいた僕を、後方から白い光の玉が、尾を引きながら追い越して行きました。
 (2010年11月16日 「妖精目撃」 参照)

 2回目は、3年前の真夏の夜。
 オヤジの介護中のこと。
 深夜にオムツ交換で起こされ、そのまま眠れず、気分転換にと庭に出たときでした。
 深呼吸をする僕の頭上を低空飛行しながら、またしても光の尾を引きながら飛んで行きました。
 (2018年8月15日 「妖精ふたたび」 参照)

 どちらも飛行体の大きさは、ピンポン玉か、それよりやや小さいサイズ。
 高度は、僕が背伸びをして手を伸ばしても届かない距離ですから、地上2~3mくらいでしょうか。


 さて、この2件の “妖精目撃” ですが、共通点と相違点があります。
 共通しているのは、光の大きさとスピード、そして高度です。
 異なるのは、目撃した季節です。
 十数年前は真冬、3年前は真夏でした。

 そして今回は、春!

 一年を通して、発光しながら飛ぶ生物なんて、いるのでしょうか?


 先週の夜、仕事場でのこと。
 部屋の空気の入れ替えをしようと、北側の窓を開けたときでした。

 またまた、“彼” は現れたのです。
 窓の下 (僕の仕事場は2階です) を、スーーーーっと白い光が横切りました。
 十数年前と、3年前と同じ “光る物体” です。

 ただ、今までと違うのは、僕の方が高い位置から眺めているということ。
 俯瞰した状態での遭遇となりました。
 上から見ても、下から見たときと、まったく同じ形状をしていたので、同種類の生物だと思われます。


 では、なぜ、この発光飛行体が 「妖精」 なのでしょうか?

 その件については、上記の過去ブログをご覧ください。
 友人の自称・妖精研究家による分析が記されています。

 そして、今回出遭った妖精も “オス” でした。
 ぜひ一度、“メス” の妖精に遭ってみたいものです。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:20Comments(2)謎学の旅

2021年04月22日

温泉考座 (84) 最終回 「入って残そう群馬の温泉」


 「なぜ温泉ライターになったのですか?」
 と、よく聞かれます。
 「県外の温泉は取材しないのですか?」
 とも。
 どちらも答えに窮してしまいます。

 なぜなら温泉ライターになろうと思ったこともなく、群馬の温泉にこだわっているわけでもありません。
 ただ、群馬の温泉に魅了されたことは確かです。


 私は長年、県内のタウン誌や情報誌、フリーペーパーの編集に携わってきました。
 紅葉や雪見のシーズンになると、決まって温泉の特集を組みます。
 ところが掲載される温泉地は同じところばかり。
 広告収入を優先しますから、大きな温泉地の有名旅館やホテルが顔を揃えます。

 全国誌ならいざしらず、地元誌がこれでは編集人としてのプライドが許しません。
 「いったい群馬に温泉は、いくつあるのだろう?」
 そう思って調べのが始まりでした。


 現在、群馬県には大小100余りの温泉地 (宿泊施設のある温泉) があります。
 その一つ一つに源泉が湧き、その源泉を守っている人たちがいます。
 「設備や料理の宣伝ではなく、代々湯を守り継いでいる人たちを紹介したい」
 そんな思いから私は県内の温泉地を訪ね、宿の主人や女将から話を聞いて回るようになりました。

 とりわけ魅せられたのが、たった一軒で源泉と温泉地名を守り続けている “源泉一軒宿” の存在です。


 戦後、日本の温泉地は、どこも急速に変化していきました。
 高度経済成長の波に乗り、団体客が観光バスでなだれ込み、湯量に見合わない大浴場と露天風呂を造り、宴会客中心の大型旅館やホテルが増え続けました。
 しかし、大きな温泉地が集客に奔走している間も、一軒宿の温泉は変わることなく、かたくなに湯を守り続けていたのです。

 ところが、そんな昔ながらの小さな温泉地は、観光地化による営利競争の中で取り残されてしまいました。
 経営不振、後継者不在などの理由で、年々姿を消しているのが現状です。
 「一軒でも多くの温泉宿を残したい」
 そんな思いが、私を温泉ライターという手段 (仕事) へ導いたのだと思います。


 “入って残そう群馬の温泉”
 を合言葉に、これからも取材活動を続けて行くつもりです。

 長い間、ご愛読いただいた読者のみなさんに、心よりお礼を申し上げます。
 ありがとうございました。


 <2015年3月25日付>


 このカテゴリーでは、ブログ開設10周年 (2020年2月) を記念した特別企画として、2013年4月~2015年3月まで朝日新聞群馬版に連載された 『小暮淳の温泉考座』(全84話) を紹介いたしました。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(0)温泉考座

2021年04月21日

ノンデル係数 日本一!


 えー、うっそそそそ~!
 マジ? 本当?

 と、飛び込んできたニュースに目を疑いました。

 <前橋市民は日本一の清酒好き>


 総務省が発表した2020年家計調査で、前橋市の1世帯当たりの清酒への年間支出額が8,852円となり、全国の都道府県庁所在地や政令都市52都市の中で、前年の22位からトップへ急浮上したというのです。

 ちなみに、2位は秋田市で8,500円。
 3位は熊本市で8,063円。
 8千円を超えたのは、この3都市だけでした。

 前橋市の何がスゴイかって、その支出額の推移です。
 2017年が5,394円、2018年が6,595円、2019年が4,892円だったのに、突然、2020年は前年比1.8倍に跳ね上がっているんです!

 昨年になって急に増えたということは、これはコロナ禍の影響で “家呑み” が増えたからということなんでしょうが、だったら、どこの都市でも同様のはずです。

 実は、この統計には、ビールや焼酎も含む 「酒類」 という区分もあるんですね。
 これでは、前橋市は3万5,852万円で、26位でした。
 それでも52都市中、26位ですからね。
 そこそこ、アルコール全般が好きな市民ではあります。


 では、なぜ、“清酒” だけがダントツなのでしょうか?

 はい、答えは、僕が 「ぐんまの地酒大使」 に就任したからです!(キッパリ)

 まあ、冗談はさておいて、やっぱり大使としては、これは飛び上がるほど嬉しいニュースなのであります。
 これで堂々と、「前橋市は日本一、酒好きの街」 だと胸を張って言えるんですからね。
 それも全国の名立たる酒どころを抑えての全国1位ですぞ!


 さあ、これで北関東県庁所在地の名物が揃いました。
 水戸の 「納豆」
 宇都宮の 「餃子」
 前橋の 「清酒」
 この3都市がタッグを組んで、全国に打って出ようではありませんか!


 ちなみに、我が家の昨年のノンデル係数 (家計全体に占める酒代の割合) は、前橋市の一世帯当たりの年間支出額の数十倍になりますから、1位躍進に大いに貢献していることになります。

 まあ、地酒大使としては、当然のことをしたまでですが……
  


Posted by 小暮 淳 at 11:11Comments(2)大使通信

2021年04月20日

レンジでピー


 「ジーコロコロ」
 「ピッポッパッ」

 この擬音語 (オノマトペ) を聞いて、「懐かしい」 と感じた人は、絶対に昭和生まれですね。
 上は、黒電話のダイヤル音です。
 下は、プッシュホンのタッチ音です。

 今はスマホ の時代ですから、音はしません。
 つくづく昭和という時代は、“音” に囲まれて生活をしていたんだと思います。


 たとえば、「チンドン屋」。
 まさにオノマトペが、そのまま職業名になっています。
 鉦を叩いた “チン” と太鼓を叩いた “ドン” です。

 「パチンコ」 もそうです。
 “パチン” と弾いた球の音が、そのまま遊技機の名前になってしまいました。


 そう思ったら、なんだが懐かしくなってしまい、昭和のオノマトペを探してみたくなりました。
 すると商品名にも、たくさんありました。

 「ペロペロキャンディー」
 「プッチンプリン」
 「チュッパチャプス」

 「ブーブークッション」 なんていう、いたずらする玩具もありました。
 身近なところでは、群馬のブランド米 「ゴロピカリ」 もオノマトペです。


 で、ふと、気づいたことがありました。
 今では、誰もが普通に使っている 「レンジでチン」 です。

 確か登場したのは、昭和の終わり頃だったと思います。
 火を使わないのに、食材が温まる “魔法の機器” は、またたく間に一般家庭にも普及しました。

 そして、いつしか、電子レンジで温めることを 「チンする」 と誰もが使っていました。
 “チン” とは、電子レンジに設定した使用時間の終了音のことです。
 確かに、あの頃は “チン” と鳴っていました。

 でも……

 現在、“チン” と鳴る電子レンジをお使いになっている方って、いますか?
 ほとんどの家庭の電子レンジの終了音は、“ピー” です。
 なのにテレビの料理番組でも一般の会話でも、いまだに 「レンジでチンして」 なのです。

 これって、変じゃありませんか?


 気づいてしまった以上、言葉は正しく使うしかありません。
 だから僕は今度から、コンビニでお弁当を温めてもらうときは、店員さんに 「ピーしてください」 と言うことにしました。

 日本語は正しく使いましょう。
 さあ、みなさんもご一緒に! 

 「レンジでピーしてください」
  


Posted by 小暮 淳 at 11:31Comments(2)つれづれ

2021年04月19日

コロナ VS 温泉地


 以前、群馬大学の研究機関により草津温泉の湯畑の湯が、新型コロナウイルスの感染をなくす 「不活化」 に効果があることがわかった!というニュースについて書いたことがありました。
 (2021年2月11日 「草津よいとこコロナに効く湯?」 参照)

 その後の研究によると……
 ①水道水
 ②湯畑源泉
 ③湯畑源泉と同じ水素イオン指数 (pH) の硫酸水溶液
 ④万代鉱源泉 (草津の他の源泉)
 の4つの試料水に、それぞれ新型コロナウイルスを接触させ、感染力がどう変化するか調べたところ、湯畑源泉の不活化力が最も大きく、硫酸水溶液の50倍以上あったことが分かりました。

 研究結果を発表した群馬大学の板橋英之教授は、
 「酸以外にも何らかの温泉成分が不活化に寄与している。どの成分が関係しているか調査を続ける」
 とコメントしています。


 いや~、素晴らしい研究結果ではありませんか!
 先人たちが大切に伝承してきた古式ゆかしい “湯治” という民間療法の文化が、医学と薬学が進歩した令和の世に、科学的に証明されたのですぞ!

 と思ったら、また1つ、朗報が飛び込んで来ました。

 群馬大学の内田満夫准教授 (公衆衛生学) が、こんな内容の論文を発表しました。
 <政府の観光支援事業 「GoToトラベル」 開始後の2020年の群馬県内の感染者数を分析したところ、県内の主要温泉地がある地域の方が、それ以外の地域より相対的に感染者が少なかった>
 というものです。

 調査対象となったのは、
 ①草津温泉がある吾妻
 ②水上温泉がある利根沼田
 ③伊香保温泉がある渋川
 の3地域 (観光地) と、それ以外の7地域 (非観光地) で、GoToトラベル開始前と実施期間のそれぞれの感染者数を比較しました。

 結果、感染者数の増加率は、非観光地の12.8倍に対し、観光地は7.4倍。
 また、実施期間中の人口10万人あたりの感染者数も、非観光地の111.6人に対し、観光地は41.5人にとどまっています。


 この結果について、内田准教授は、このようにコメントしています。
 「遮蔽物の設置やアルコール消毒など観光業界の感染対策が一定の効果を上げた可能性がある」

 ま、そういうことなんでしょうけど、はたして、“感染対策” だけでしょうか?
 僕は、温泉水が持つ “不活化力” が大きいと思うんですけどね。

 たとえば、温泉街に漂う “湯けむり” の存在です!
 あの中にも、温泉成分が含まれていますよ。


 で、前出の板橋教授は記者会見で、こうもコメントしています。
 「今後は湯煙も分析したい」

 教授!
 温泉ファンが歓喜する研究結果の発表をお待ちしております。 
   


Posted by 小暮 淳 at 11:26Comments(0)温泉雑話

2021年04月18日

温泉考座 (83) 「自分に合う湯探し」


 <脚気(かっけ)川場に瘡(かさ)老神>
 <川古の土産は一つ杖を捨て>

 これは昔から言い伝えられてきた温泉の効能を表すキャッチコピーのようなものです。
 川場温泉 (川場村) の湯は脚気に、老神温泉 (沼田市) の湯は瘡 (皮膚病) に効果があり、川古温泉 (みなかみ町) の湯につかれば杖を忘れて帰るほど元気になる、という意味です。

 中には、こんなユニークなものもあります。
 <親の説教と亀沢の湯は後からじんわり効いてくる>
 亀沢温泉 (高崎市) は昔からシミやソバカス、ニキビに効くといわれた西上州の薬湯で、近年は 「美人の湯」 として知られています。


 医学が発達した現代では、病気になったからといって、真っ先に温泉へ行く人はいないかもしれません。
 でも、病後や疲労の回復、リハビリなどの目的で温泉に通い続ける人は今でも少なくありません。
 やはり、そこには温泉の持つ治癒力があるからだと思います。

 医学的に治療効果がある温泉のことを 「療養泉」 といい、含まれる主な化学成分によって10種類の泉質に分類されています。
 もっともポピュラーなのが日本で一番多い 「単純温泉」 です。
 突出した含有成分がないため、体にも肌にもやさしく、湯あたりも少ないのが特徴です。
 乳幼児から高齢者まで安心して入浴できることから、別名 「家族の湯」 と呼ばれています。

 塩分を多く含む 「塩化物泉」 は、皮膚に付く塩分が汗の蒸発を防ぐことで体が芯から温まる保温効果があり、「熱の湯」 とも言われます。
 湯冷めしにくく、発汗作用があります。

 「硫黄泉」 には美肌効果、「酸性泉」 には殺菌効果があります。
 「含鉄泉」 は飲用すると鉄分の補給になるため、鉄欠乏症の貧血に効果があるとされます。
 また泡の出る 「二酸化炭素泉」 は毛細血管を広げて血圧を下げる効果があるため、「心臓の湯」 と言われています。


 群馬県内には10種類の療養泉のうち、8つの泉質の温泉が湧いています。
 湯めぐりを楽しみながら、自分の体に合った温泉を探してみてください。


 <2015年3月18日付>
  


Posted by 小暮 淳 at 11:14Comments(0)温泉考座

2021年04月17日

相間川温泉 「ふれあい館」⑥


 <湯をすくい、鼻先へ近づけると金気臭い。顔に触れると、ひげそり後の肌がヒリヒリする。なめると、かなり塩辛い。体にすり傷でもあれば、間違いなくしみることだろう。体を移動しようと手をついた瞬間、ふわりと尻が浮いた。それほどに塩分濃度が高い湯である。>
 (『ぐんまの源泉一軒宿』 より)


 「世のやみ洗う 相間川」
 ※上毛かるた 「世のちり洗う 四万温泉」 のパロディ

 「お湯の中にも コーリャ油が浮くよ チョイナチョイナ―」
 ※草津節の替え歌

 まー、いつ行っても館内のあちこちに、ダジャレやコピーが貼られています。
 浴室には、こんな言葉も……

 「カップラーメン お湯を注いで3分 相間川の温泉(おゆ) 入っても7分! これ以上は のびるだけ」

 お見事!
 思わず 「山田く~ん、座布団2枚」 と言いたくなる名コピーのオンパレードです。
 でもね、言い当てて妙なんですよ。


 ということで昨日は、この抜群のセンスの持ち主を訪ねて、相間川温泉 (高崎市) 「ふれあい館」 へ行って来ました。
 昨年の12月に 「相間川の温泉暖議(サミット)」 で、お世話になって以来ですから4ヶ月ぶりでした。
 お会いしたのは副支配人の秋山博さん。
 そう、この方が名コピーの生みの親であり、“温泉暖議” の仕掛け人であります。
 昨年のサミットが大好評だったため、今年も第2弾を開催することになり、その打ち合わせで伺いました。


 ま、打ち合わせといっても日程や講演内容をサクサクッと決めただけですからね。
 ものの30分ほどで終わってしまいました。
 打ち合わせが終われば、お楽しみの “入浴タイム” であります。

 まー、相変わらず、濃い~んです。
 内風呂も露天風呂も、黄褐色であります。
 いや、茶褐色かな? いやいや赤褐色か?
 それくらい鉄分が濃いということです。

 さらに独特の油臭が漂います。
 大量の油分を含んでいるためなんですね。
 これは太古の地層から抽出されたもので、地下に閉じ込められていた海水内の微生物が、地熱と地圧により変化したものと考えられています。
 原油が生成される原理と同じようです。

 時に、この油分が湯面に膜を張ります
 すると日光に照らされ、キラキラと七色に光り輝くことから、温泉ファンの間では 「虹色の湯」 なんて呼ばれています。


 そして極めつけは、塩分濃度です。
 ちょっと、なめてみてくださいよ!
 「しょっ、ぺーーーー!!!」
 って、顔がゆがんでしまいますから!

 塩分、鉄分、油分
 3種混合の濃厚泉ですから、好きずきがあります。

 ちなみに塩分と鉄分の多い温泉は、実際の温度よりも体感温度が低く感じられます。
 だから <7分以上は、のびるだけ> なんですね。


 脱衣場には、こんなポスターも貼ってありました。
 <要注意! 長湯・湯あたり>

 みなさんも相間川温泉へ行かれた際は、ご注意ください。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:51Comments(4)温泉地・旅館

2021年04月16日

今日の朝日新聞 “地域の民話 定年後同級生と”


 いったい、どうしちゃったというのでしょうか!?
 マスコミからの取材が止みません。

 今年の1月から毎月一回、伊勢崎神社 (群馬県伊勢崎市) の境内で開催している 「神社かみしばい」 です。
 初回からテレビ局、新聞社、情報紙等、メディアやマスコミが毎回のように取材に訪れています。
 ありがたい話ですが、当事者としては少々、戸惑っています。

 なんでだろう?
 みんな、紙芝居が懐かしいのかな?
 もしかして今、“昭和レトロ” がブームなの?


 またしても今日の朝日新聞群馬版に、大きく記事が掲載されました。
 <“神社紙芝居” コロナ禍の子ら励ます>
 <伊勢崎出身 石原之壽さん>
 <地域の民話 定年後同級生と>

 今までに取り上げてくださった新聞各紙は、紙芝居自体にスポットを当てていましたが、今回の朝日新聞では、僕の同級生で紙芝居師、「壽(ことぶき)ちんどん宣伝社」 の座長・石原之壽 (いしはらのことぶき) 君の波乱万丈な人生を追っています。


 ま、彼とは40年以上の付き合いがあり、一緒に紙芝居を作り、上演している仲間ですからね。
 当然、記事に書かれていることは、すべて僕は知っていました。
 でも今回、彼は過去の病気のことも包み隠さず、記者に話しているんです。

 暗く、長く、つらい闘病生活……
 当時、何度も彼から電話をもらい、会いに行ったことを思い出します。
 でも、そんな彼を人生のドン底から救い出したのが、“チンドン屋” との出合いだったんですね。
 記事は、まるでNHKのドキュメンタリー番組を観ているように、彼の人生の山と谷を映します。

 そして、同級生らとの出会い!

 この “同級生” とは、決して僕だけではないんです。
 伊勢崎神社の宮司も同級生です。
 そして今年から 「神社かみしばい」 が開催されると、僕らの高校時代の同級生が毎回、誰かしら訪ねて来てくれています。

 「ああ、いくつになっても同級生っていいな」
 「本当だね。同級生って、ありがたいね」
 と僕と石原君は、毎回、境内の跡片付けをしながら話し合っています。


 ありがとう、みんな!
 また、来てくれよな!
 差し入れ、待ってま~す!

 ※次回の 「神社かみしばい」 は、5月30日に開催いたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 10:16Comments(0)ライブ・イベント

2021年04月15日

温泉考座 (82) 「群馬にうまいものあり」


 いったい、いつからでしょうか?
 温泉旅館に泊まると、食べきれないほどの豪華な料理が並ぶようになったのは。
 これも戦後の日本が築き上げた “豊かさ” の象徴なのかもしれません。

 “質” から “量” への変化は、そのまま “湯治場” だった温泉地が “観光地” に移行した時期と重なります。
 また、温泉地へ行く目的も “保養” から “レジャー” に変わりました。


 美味しいものをお腹いっぱい食べることは、確かに旅の楽しみの一つです。
 でも旅の基本は、あくまでもふだん食べられない、その土地のものを味わうこと。
 なのに海から遠い山中の旅館で、刺し身の盛り合わせが出てきたり、カニの食べ放題が人気と聞いたりすると、がっかりしてしまいます。

 いくら流通事情が良くなったといえ、それでは旅をしている意味がありません。
 やはり海へ行ったら海のものを、山へ行ったら山のものを、美味しくいただきたいものです。


 以前、県外のご婦人から、こんなことを言われました。
 「温泉が好きだから群馬には時々行くんだけど、必ず旅館でうどんが出るわよね。あれが楽しみなの」 と。
 これぞ群馬が他県に誇る粉食文化です。

 粉食はうどん以外にも 「おっきりこみ」 や 「すいとん」、「おやき」 など多彩で、土地土地で味も呼び名も異なります。
 すいとんも片品村では 「つめっこ」、旧六合村 (中之条町) や嬬恋村では 「とっちゃなげ」 と方言で呼ばれています。
 「だんご汁」 「おつけだんご」 などと呼ぶ地域もあり、鍋料理として客人をもてなしています。


 温泉地にも、客人をもてなす美味しいものがあります。
 上牧温泉 (みなかみ町) では、地域に伝わる川魚や野菜を炭火で焼く 「献残焼(けんさんやき)」。
 下仁田温泉 (下仁田町)」 では、昔から祝いの席に出される 「猪鹿雉(いのしかちょう)料理」。
 老神温泉 (沼田市) の 「山賊鍋」、梨木温泉 (桐生市) の 「キジ料理」 など、滋味豊かな山や川の幸をふんだんに盛り込んだ郷土料理が旅館の名物となっています。


 群馬には海はありませんが、それに代わる美味しい食材が、たくさんあります。
 ぜひ、湯めぐりをしながら郷土の味を楽しんでください。


 <2015年3月11日付>
  


Posted by 小暮 淳 at 09:44Comments(0)温泉考座

2021年04月14日

今日の朝日新聞 “国定忠治の最期の一献 落語に”


 以前、僕は、こんなことをブログに書きました。
 <1つの謎から1つの連載が生まれ 1つの連載から1つの落語が生まれ 1つの落語から1つの番組が生まれた>
 ※(2021年3月15日 「明日オンエア!末期の酒 『牡丹』」 参照)


 そして、その一連の流れが今日、新聞記事になりました。

 朝日新聞 (4月14日付) 群馬版 23面
 <国定忠治の最期の一献 落語に>
 <処刑前日 所望した上州の地酒は「牡丹」?>
 <群大教授の噺家演じる>


 記事では、演歌や講談、大衆演劇の主人公として今も人気がある江戸末期の侠客・国定忠治の生涯に触れつつ、処刑前夜に呑んだ地酒のエピソードを題材にした落語ができるまでを紹介しています。

 演者は、ご存じ!
 我らのたまり場、酒処 「H」 の常連客であり、前橋市が生んだアマチュア落語界のスパースター、都家前橋 (みやこや・ぜんきょう)。
 「H」 のカウンターで、注しつ注されつ、酔いし酔われ、語り語られて、誕生したのが落語 『末期の酒』 であります。


 記事では、落語の内容にも触れています。

 <「最期に何を所望するか」 と牢番侍に聞かれ、「上州の酒を飲んで上州の土に還る。こんな気分のいいことはねえ」 と地酒を所望した忠治。ぐいっと一杯。「もう一杯、どうだ」 と勧められたが、「天下の忠治が、磔(はりつけ)が怖くて、散々に酔っ払って死んだとあっちゃあねえ、こりゃあ、末代の恥になりやす。これで、結構でござんすよ」 と断る。>


 この時、呑んだ酒が、加部安左衛門という豪農が醸造していた 『牡丹』 という酒でした。
 ということで、記事の最後は落語の原作者である僕の登場です。
 さて、どんなことをコメントしたのでしょうか?

 興味のある方は、ぜひ、今日の朝日新聞をご覧ください。


 いや~、謎学って、面白いですね。
 「瓢箪から駒」 ならぬ 「瓢箪から酒」 が飛び出してまいりました。
 さて、今後、この酒は、何に化けるんでしょうか?
   


Posted by 小暮 淳 at 10:47Comments(0)謎学の旅

2021年04月13日

温泉考座 (81) 「東上州の名薬湯」


 「歴史に名高い 新田義貞」

 『上毛かるた』 の札で知られる武将ゆかりの温泉といえば、やぶ塚温泉 (太田市) です。

 湯の歴史は古く、1300年以上前の天智天皇の時代に発見されたと伝わっています。
 元弘3(1333)年に新田義貞が鎌倉に攻め入ったとき、傷ついた兵士をこの湯で癒やしたという言い伝えがあることから、「新田義貞の隠し湯」 とも呼ばれています。


 やぶ塚温泉には、こんな伝説があります。

 昔、八王子山のふもと、藪塚(やぶづか)の地に 「湯の入」 というところがあり、小さな社の下の岩の割れ目から、こんこんと湯が湧き出していました。
 ある日、この温泉に1頭の馬が飛び込み、一声高くいななくと、雲を呼び、雨を起こして、天高く舞い昇って行きました。
 すると温泉は、たちどころに冷泉に変わってしまいました。

 ところが、何年か経ったある日のこと。
 村人の夢枕に薬師如来が現れ、
 「この冷泉を温めて入浴すれば、百病を治す霊泉になる」
 とのお告げがあったため、温めて入浴したところ、身体の痛みはことごとく消え、さまざまな病が治ってしまったといいます。
 以来、やぶ塚温泉は冷泉ながら沸かし湯として、多くの人々に親しまれてきました。


 温泉街北の小高い丘に神社があり、伝説に登場する薬師如来像が納められています。
 神社のふもとから湧き出す源泉は 「巌理水」 といい、何百年もの間、村人たちにより大切に守られてきました。

 「昔から 『おできは、やぶ塚へ行けば治る』 と言われています」
 そう話すのは、創業180年の老舗旅館 「開祖 今井館」 の9代目主人、今井和夫さん。
 「皮膚病に特効があり、草津や伊香保で治らなかった人が、この湯に入ったら治った」
 という話もあるそうです。


 保湿効果のあるメタけい酸を含むアルカリ性の湯は、うっすらと生成り色をしていて、トロンと肌にまとわりつく独特の浴感があります。
 まさに東上州を代表する名薬湯です。


 <2015年3月4日付>
  


Posted by 小暮 淳 at 11:24Comments(0)温泉考座

2021年04月12日

99%の嘘と1%の真


 昨日は、月に一度の 「神社かみしばい」 の上演日でした。
 風もなく、春の日差しが、たっぷりと注ぐ、穏やかな紙芝居日和で、たくさんの方が来社(場)してくださいました。


 『いせさき宮子の浦島太郎』
 これが月一回、伊勢崎神社で上演している紙芝居の演題です。

 海のない群馬県に、なぜ、浦島太郎の伝説があるのか?

 まさに、この “謎学の旅” が、僕のライターとしての取材のライフワークとなりました。
 そして10年間続けた旅の節目として出版されたのが、『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) でした。
 2018年8月の出版以降、僕は著書をテーマにした講演活動を続けています。


 「民話や伝説は何を伝えようとしているのか?」

 この演題には、長めの副題 (サブタイトル) が付いています。

 ~99%の嘘と1%の真~
 舞台がある限り、謎は解ける!

 ちょっと大げさなタイトルですが、講演では、まず民話や伝説のウソの部分に触れます。
 いったい荒唐無稽な話は、どのように誕生したのか?


 みなさんは、子どもの頃にやった 「伝言ゲーム」 という遊びを覚えていますか?

 まず先生 (出題者) が紙に書かれている話を、他の子に聞こえないように最初の子の耳元で伝えます。
 例えば、
 <よしお君はお母さんに、八百屋でトマトとキャベツとニンジンを肉屋でコロッケとハムカツとカレー肉200グラムを買って来るように頼まれました。>
 という伝言文があるとします。
 この伝言文が、2人目、3人目と伝わるうちに、少しずつセンテンスが書き換えられていきます。

 よしお君→まさお君
 ニンジン→ジャガイモ
 200グラム→500グラム

 のように変化し、10人目の子が届いた伝言文を発表する頃には、まったく別の話になっていたりします。
 これが民話や伝説の伝承システムです。

 いわゆる 「口承」 といわれるものです。
 現代のように文字やデータで残ってはいませんので、私たちにたどり着くまでに先人たちの多大なる “創作” の手が加わっているということです。

 そこで!
 99%の嘘 (創作) の中にある1%の真 (事実) を探すのが、“謎学の旅” の妙味なのであります。
 そして、その謎を解くカギは、舞台にあります。

 伝言ゲームの例題でいえば、よしお君のお母さんが居た場所です。
 そして、よしお君が買い物に行った商店街探しです。


 『いせさき宮子の浦島太郎』 にも舞台があります。
 その舞台は今もあり、地名としても残されています。

 では、この話のどこまでが “嘘” で、どの部分が “真” なのか?
 ぜひ、みなさんの目で耳で確かめに来てください。

 次回の 「神社かみしばい」 は、5月30日に上演いたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 09:53Comments(0)謎学の旅

2021年04月10日

バッタリ昔の恋人に出逢ったような面映ゆい想い


 <「おい、どうなんだ! 聞いてんのか!」
   その言葉に気圧されるように、思わず本音が口を突いて出てしまった。
   「は、はい。俺、歌手になります」
   忘れもしない。その時、職員室中に沸き起こった嘲笑の嵐を──。>
  (『上毛カルテ』 「まえがき」 より)


 別に、アルバムタイトルを検索したわけじゃないんです。
 とある人物を探していたら偶然、なつかしい青春の残像に出合ってしまったんです。

 『扉の向こうで』 Tomorrow is Another Day

 20歳の時に、仲間とリリースしたインディーズのオムニバスレコードアルバムです。
 ジャケットには当時のメンバー6人が、扉の向こうで、にこやかに笑っています。
 僕は後列の右。
 肩までかかる長い髪が、時代を象徴しています。


 <前橋駅からギターを抱えて乗り込んだ、上野行きの各駅停車。この電車は、いったいどこへ行くのだろうか。夢の大きさに、すべてを預けてしまった十九の春だった。>

 平成9(1997)年に出版した処女エッセイ 『上毛カルテ』(上毛新聞社) に、若き日の情熱と不安の葛藤が書かれています。
 エッセイの文章は、さらに、こう続きます。

 <夜間の専門学校、昼間の書店や出版社倉庫でのアルバイト、週末のぬいぐるみ劇団のエキストラ……。そのかたわらでのライブ活動や自主レーベルでのレコード作り、数々のコンテスト応募……。鳴かず飛ばずの間に、五年の月日が経っていた。>

 若さとは、なんて残酷なのでしょう。
 なんの自信も根拠もなく、ただひたすらに夢を追い、そして叶えようとするのです。

 ジャケット写真の中では、まだ挫折を知る前の僕が笑っています。


 昨日、僕は、ふとE君のことを思い出したんです。
 数年前に風の便りで、すでに亡くなっていることを知りました。
 ジャケットに写っている6人のうちの一人です。

 あれから彼は、どんな人生を歩み、どこで、どんな人生の終焉を迎えたのだろうか?
 何か手がかりでもあればと思い、数々のキーワードを打ち込みながら彼の人生を追いました。

 そして分かったことは……

 東京と横浜あたりを点々としていたようですが、40歳を過ぎて東北に移住し、牧場を始めたようです。
 そして、病魔が彼を襲い、帰らぬ人となりました。


 その牧場に、たどり着き、彼の名前で検索をしたとき、突然、パソコンの画面にレコードジャケットが映し出されたのです。
 いったい誰が? 何のために?
 はるか43年前の、名もなき若者たちの、レコードを……

 収録曲の中には、当時僕が作詞・作曲した2曲のタイトルも、きちんと記されていました。


 しばらく画面を消すことができず、ただただ見つめていました。
 バッタリ昔の恋人に出逢ったような面映ゆい想いで……
  


Posted by 小暮 淳 at 12:01Comments(0)つれづれ

2021年04月09日

温泉考座 (80) 「復活した源泉一軒宿」


 一度、地図から消えてしまった温泉が、何十年という時を経て復活することは、大変珍しいケースといえます。
 そこには良質の湯が湧き続け、その効能が語り継がれ、それを惜しむファンの声が地元の人たちを動かしたとき、伝説が伝説ではなくなります。

 平成の世に、かつて 「美人の湯」 と呼ばれていた幻の温泉が、見事によみがえりました。


 上越新幹線の上毛高原駅から車で5分ほど。
 大峰山の中腹に、日本の原風景のような段々畑と棚田の里が広がっています。
 その絶景を見下ろす高台に、三角屋根の一軒宿、真沢(さなざわ)温泉 「真沢の森」 が、ポツンとたたずんでいます。

 開湯は定かではありませんが、すでに江戸時代には湯小屋があったといいます。
 痔(ぢ)や皮膚病に効く湯治場として、昭和の初期まで、にぎわっていました。


 「昔から 『やけどや切り傷は、真沢の湯へ行けば治る』 と言われ、親しまれていたと聞いています」
 と支配人 (当時) の武川恵二さん。
 武川さんは、この土地で源泉を守り継ぐ5代目の湯守(ゆもり)でもあります。

 祖父の代に源泉を手放してしまい、長い間、温泉は閉鎖されていました。


 平成10(1998)年のこと。
 かつての湯の効能を知る人たちから惜しむ声が高まりました。
 当時の旧月夜野町長が 「こんないい湯を、このままにしておくのは、もったいない」 と源泉を買いもどし、休耕田を利用した市民農園を造成するとともに、交流施設として温泉宿を復活させました。

 源泉はpH値 (水素イオン濃度) 9.6という強アルカリ性泉です、
 ローションのようなトロンと肌にまとわりつく独特の浴感と、保湿効果があるメタけい酸を多く含んでいることが、昔から 「美人の湯」 と呼ばれるゆえんです。


 露天風呂からは群馬の名峰、三峰山(みつみねさん)や日本百名山の武尊山(ほたかさん)を一望することができ、夏の夜には眼下の棚田に、無数のホタルが舞う光景を観賞することができます。


 <2015年2月25日付>
  


Posted by 小暮 淳 at 10:45Comments(4)温泉考座

2021年04月08日

今日は何の日?


 今日4月8日は、お釈迦様の誕生日 「花まつり」 です。
 「仏教の日」 とも呼ばれています。
 
 また4月8日は、全国的に入学式が行われる日ということで、「参考書の日」 でもあります。


 他には、どんな日に制定されているのだろうかと思い、調べてみると……
 あるわあるわ、「○○の日」 のオンパレードであります。
 そして、そのほとんどが語呂合わせです。

 シワ対策の日 「し (4 ) わ (8)」
 芝の日 「し (4 ) ば (8)」
 ホヤの日 「ホ=フォー (4) ヤ (8)」
 白肌の日 「し (4 ) ろは (8) だ」
 すきやきの日 「す (4 ) きや (8) き」 ※中国語の4=スー
 出発の日 「し (4 ) ゅっぱ (8) つ」
 炭酸の日 「シュ (4 ) ワ― (8)」
 
 中には、無理矢理こじつけたような苦しい語呂合わせもありますね。


 では、ここで、クイズです。
 今日4月8日は、「貝の日」 でもあります。
 さて、その理由は?

 語呂合わせではありません。
 かなり、ひねってあります。
 ヒントは、“貝” という漢字です。


 分かりましたか?

 正解は……

 まず、「貝」 を 「目」 と 「ハ」 に分解します。
 次に 「目」 という漢字を90度横に倒します。
 すると 「四」 という漢字に似ています。
 「ハ」 は 「八」 に似ているので、“四月八日” は 「貝の日」 になったといいます。

 これは、考えましたね。
 毎月22日が 「ショートケーキの日」 というのに匹敵する傑作です。
 ※(カレンダーの22日の上に15 (イチゴ) 日がのっているから)


 ちなみに、「タイヤの日」 というのもありました。
 4月は春の交通安全運動が行われる月で、「8」 が車輪 (タイヤ) をイメージするからだそうです。

 ともあれ1年365日、毎日が何かの記念日だということです。
 自分なりのオリジナル 「○○の日カレンダー」 を作ったら面白そうですね。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:20Comments(0)つれづれ