2010年09月26日
大胡温泉 三山の湯「旅館 三山センター」②
今日の午後、大胡温泉の女将から電話がありました。
「小暮さん、ご活躍じゃないの! 今朝の見ましたよ」
“今朝の見た”と言われて、思い当たることは2つ……。
1つは、上毛新聞の10ページ、読書欄です。
「週間ベスト10」のコーナー(煥乎堂本店調べ)で、5位に拙著の『群馬の小さな温泉』が載ったこと。
“5位は、閉ざされた商店や飲食店、廃虚と化した老舗旅館…、それでもかたくなに湯を守り継いでいる本県の18温泉と36の宿を案内する” と書店からのコメントも添えられていました。
もう1つは、今日、上毛新聞に折り込まれたフリーペーパーの月刊「Deli-J」。
連載中のエッセイ「源泉巡礼記」の下に、ちゃっかり新刊本の広告が入っています。
どうも、女将が今朝見たのは、後者のようです。
「毎回、読んでるんだけど、もう本になっちゃったの? うちも載ってるかしら?」
「いえいえ、この本は、すべて書き下ろしなんですよ。エッセイが出版されるときは、ちゃんと連絡しますから」
「なーんだ、うちは載ってないの。でも買わせていただくわ。書店で売ってるって書いてあったわね?」
「今なら、コンビニでも売ってますよ。よろしくお願いします」
てな会話をして、電話を切りました。
僕は、温泉地に、湯と宿と人を訪ねます。
そのどれかに魅力を感じた事柄を徹底的に取材して、文章を書きます。
でも、湯と宿と人の三拍子揃った温泉って、なかなかあるもんじゃありません。
また、必ずしも揃わなくても、いいんです。満点じゃなくても、平均点じゃなくても、どれか1つが際立った温泉が、魅力的なんです。
人も同じですよね。
で、大胡温泉は、人に会いに行きます。
ズバリ、女将の中上ハツ枝さんの天真爛漫で天衣無縫な性格に、引き寄せられるんですね。
だから、近くを通った際は、用がなくても顔を出してしまいます。
いつぞや、ひと風呂浴びようと、ぷらりと寄ったら、
「ごめんなさいねー、今日はお休みなのよ。これから私、でかけるの。あらら、残念だわ~」
と言いながら、長々と立ち話が続いてしまい、そのうち、女将ったら、
「お腹、空いてない? 何か作るから、食べて行きなさいよ」
と、遠りょする僕を、無理やり座敷に上げて、しまいには、
「すぐ作るから、できるまで、お風呂入ってらっしゃい!」
と言って、厨房へ入ってしまいました。
えっ? 今日は休みで、出かけるんじゃないの?
いっつも、女将はこんな調子なんです。
温泉宿の開業までは、ずいぶんと苦労をした人です。
その波乱万丈な人生は、愛と笑いと涙にあふれています。
「私さ、本出したいの。面白い人生だと思わない? ねっ」
と、ワッハハ、ワッハハと豪快に笑うのです。
僕が書いてあげようかなぁ、なんて、ちょっぴり本気で思えちゃう人です。
女将さん、近々、また行くね。
そのときは、この間の恋愛話のつづきを聞かせてくださいな。
「小暮さん、ご活躍じゃないの! 今朝の見ましたよ」
“今朝の見た”と言われて、思い当たることは2つ……。
1つは、上毛新聞の10ページ、読書欄です。
「週間ベスト10」のコーナー(煥乎堂本店調べ)で、5位に拙著の『群馬の小さな温泉』が載ったこと。
“5位は、閉ざされた商店や飲食店、廃虚と化した老舗旅館…、それでもかたくなに湯を守り継いでいる本県の18温泉と36の宿を案内する” と書店からのコメントも添えられていました。
もう1つは、今日、上毛新聞に折り込まれたフリーペーパーの月刊「Deli-J」。
連載中のエッセイ「源泉巡礼記」の下に、ちゃっかり新刊本の広告が入っています。
どうも、女将が今朝見たのは、後者のようです。
「毎回、読んでるんだけど、もう本になっちゃったの? うちも載ってるかしら?」
「いえいえ、この本は、すべて書き下ろしなんですよ。エッセイが出版されるときは、ちゃんと連絡しますから」
「なーんだ、うちは載ってないの。でも買わせていただくわ。書店で売ってるって書いてあったわね?」
「今なら、コンビニでも売ってますよ。よろしくお願いします」
てな会話をして、電話を切りました。
僕は、温泉地に、湯と宿と人を訪ねます。
そのどれかに魅力を感じた事柄を徹底的に取材して、文章を書きます。
でも、湯と宿と人の三拍子揃った温泉って、なかなかあるもんじゃありません。
また、必ずしも揃わなくても、いいんです。満点じゃなくても、平均点じゃなくても、どれか1つが際立った温泉が、魅力的なんです。
人も同じですよね。
で、大胡温泉は、人に会いに行きます。
ズバリ、女将の中上ハツ枝さんの天真爛漫で天衣無縫な性格に、引き寄せられるんですね。
だから、近くを通った際は、用がなくても顔を出してしまいます。
いつぞや、ひと風呂浴びようと、ぷらりと寄ったら、
「ごめんなさいねー、今日はお休みなのよ。これから私、でかけるの。あらら、残念だわ~」
と言いながら、長々と立ち話が続いてしまい、そのうち、女将ったら、
「お腹、空いてない? 何か作るから、食べて行きなさいよ」
と、遠りょする僕を、無理やり座敷に上げて、しまいには、
「すぐ作るから、できるまで、お風呂入ってらっしゃい!」
と言って、厨房へ入ってしまいました。
えっ? 今日は休みで、出かけるんじゃないの?
いっつも、女将はこんな調子なんです。
温泉宿の開業までは、ずいぶんと苦労をした人です。
その波乱万丈な人生は、愛と笑いと涙にあふれています。
「私さ、本出したいの。面白い人生だと思わない? ねっ」
と、ワッハハ、ワッハハと豪快に笑うのです。
僕が書いてあげようかなぁ、なんて、ちょっぴり本気で思えちゃう人です。
女将さん、近々、また行くね。
そのときは、この間の恋愛話のつづきを聞かせてくださいな。
Posted by 小暮 淳 at 18:50│Comments(0)
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