2010年12月14日
四万温泉 「三木屋旅館」
「あら、もう、あれから2年も経つんですか?」
四万(しま)温泉「三木屋旅館」の3代目女将、田村洋子さんに前回、お会いしたのは2008年の夏でした。
JR東日本の「小さな旅」の取材で、お世話になりました。
今回は、僕の出版本の取材に全面的に協力してくださることになり、昨晩は泊めていただきました。
しかし、昨日は、あいにく雨模様の一日……。
半日、歩き疲れた僕とカメラマン氏が「三木屋旅館」たどり着いたのは、すでに日没近く。
それでも女将は、「雨の中、大変でしたね。お疲れでしょう。取材は、いつでもいいですから、とりあえず部屋でくつろいでください」と、満面の笑みで迎えてくれたのです。
こんな時、つくづく「ああ、温泉宿っていいなぁ」と感じてしまいました。
部屋に通され、旅装を解いて、浴衣に着替え、2階の窓から外を望めば、オレンジ色の光に四万川のせせらぎがライトアップされています。
各旅館から流れ込む湯のけむりと、山肌に立ち上る雨けむり……。
なんとも幻想的な景色が、眼前に広がります。
「どうします? 先に露天風呂の撮影を済ませちゃいます?それとも……」と僕。
「やっぱり、とりあえず “それとも” でしょう」とカメラマン氏。
まー、部屋に着いたら、とりあえずのビールは、お約束の1つです。
僕も、ちょっとカメラマン氏を、からかってみただけなのです。
こちらの露天風呂は、一浴の価値大ありですぞ!
宿の裏手からサンダルに履き替えて、傘をさして、石段を上ります。
すると路地のような小さな道を渡り、ふたたび石段を上ります。
要は、裏山の斜面に浴室があるのです。
小屋の中には、男女別の2つ浴室があります(夜間は貸切になります)。
高台からの眺めは、絶景です。
対岸の山並みと深い森を眺めながら、総木造りの湯舟に浸かると、下方から清流の音が聴こえてきます。
カメラマン氏が撮影していることも忘れて、ついウトウトとしてしまいました。
「オーケーです。もう、いいですよ。小暮さん、終わりました!」
ああ、このまま、今日の仕事は終わりにしましょうよ~。
えっ、まだ終わってない?
そーでした。
このあと、女将さんとご主人に、大正元年創業の老舗旅館の歴史話をお聞きする約束をしていたのです。
「仕事を終えたら、また、ゆっくり入りに来ましょう」とカメラマン氏。
ハイハイ、分かりました。
なんだか、因果な商売ですな。
仕事の入浴とプライベートの入浴を、使い分けなくてはならないなんて。
ま、全部プライベートだったら、とっくに僕は、自己破産していますけどね。
Posted by 小暮 淳 at 21:57│Comments(0)
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