2011年05月09日
備え本あれば患いなし
薬が、切れた。
明日からの出張が心配だ!
ということで、朝イチで医者へ行ってきました。
以前にも書いたことがありますが、僕は少々血圧が高めでありまして、何年か前から定期的に主治医のもとへ通っています。
連休明けということもあり、医院の待合室は満員御礼です。
「あちゃー、こりぁ、かなり待たされるなぁ。でも出直すのも面倒くさいし…。しまった!こんなことなら読みかけの小説を持ってくればよかった。参ったなぁ……」
と受付で思案していたのですが、
「そうだ!こんな時のために、確かクルマの中に文庫本が置いてあったはず」
と常備本の存在を思い出したのです。
ま、僕は世間で言う “活字中毒” っていう病も患っているんですね。
そのため、“何もしないで待つ” ということができません。
だから、いつもなら “待つ” ことが想定される場合は、必ず本を持って出かけます。
家族で外食するときも、当然、持参します(注文の料理が出て来るまで、間が持ちません)。
ありました、ありました。
後部座席のラックの中に、文庫本が!
それも、最後にいつ読んだのかも思い出せない本が……。
山口瞳・著 『温泉へ行こう』(新潮文庫)
温泉好きには有名な、直木賞作家の温泉旅エッセーです。
エッセーの中には、たびたび、「スバル君」という旅の同行者が出てきます。
実は、このスバル君は、月刊誌の編集者です。
当初は、山口先生の将棋対戦記の連載を担当していたのですが、3回目の対局が終わったときに「還暦近くになり、体力的にしんどいので連載を降ろして欲しい」とお願いされてしまいます。
で、スバル君。
「先生は糖尿病もあるし、高血圧だし、全国の温泉で湯治の旅をしていただこう」
と考えつき、始まった連載が、この 『温泉へ行こう』 なんだそうです。
スバル君には、こんなエピソードがあります。
『私は昂(たかし) という名前ですが、最初に名刺を出したときに “昴(すばる)” と先生が誤読されたことから、連載では「スバル君」として登場するようになりました』
(新潮社・石井昂さんの談 /『作家と温泉』河出書房新書より )
常備本のおかげで、40分の待ち時間を持て余すことなく、楽しく過ごすことができました。
僕は、このようにTPOに合わせて、本を読み替えるクセがあります。
カバンの中には文庫本(エッセー)、ベッドの枕元には文庫本(小説)、机の上には単行本(温泉や歴史、資料関係) と、手の届くところに “活字” が常備されています。
「備え本あれば患(うれ)いなし」 ですから。
Posted by 小暮 淳 at 18:14│Comments(0)
│つれづれ