2012年03月02日
生きるために食べる
改めて、たくさんの人が、このブログを読んでくださっていることに気づかされました。
コメントやメール、または直接電話で 「体調はいかがですか?」「大丈夫?」「具合はどうですか?」と、励ましの言葉をいただきました。
本当にありがとうございます。
この場をお借りして、お礼を申し上げます。
おかげさまで “知恵熱” が出たのは2日間だけで、腰痛も今ではすっかり治まっています。
来週からは、また取材旅行や新企画の打ち合わせ等、体力と知力を使うスケジュールが入っているので、思い切って今週は体を休めることに専念しました。
食欲も出てきて、通常通り、自宅にてデスクワークをこなしています。
今日も朝から雨降りですから、資料読みの日に当てようと考えていた矢先のことです。
実家のオフクロから電話がありました。
「おとうさんが食欲がなくて何も食べないから、お昼に連れ出して何か食べさせてよ」
そりゃあ、大変だ!
最近読んだ本に、老人は 「食べないから死ぬのではなく、死ぬために食べなくなる」 という、イャ~な言葉を見つけてしまったものですから、あわてて飛んでいきました。
「じいさん、ランチしに行こうや!」
「オレはいいよ。留守番している。ばあちゃんと行ってこい」
そんな、やり取りを聞いていたオフクロが、「ほらね、いっつもこうなんだから。今日は私がおごるから、おとうさんの好きなものを食べましょうよ」 と強行に言いくるめて、半ば無理矢理にオヤジを車に乗せて、出かけたのであります。
市内某大型ショッピングモール。
オヤジといえば、昔から麺類好きですから、迷うことなく、うどん店の前へ。
ところが、他人が食べているうどんを見て 「あんなには食えん」 と駄々をこねる。
「食べ切れなかったら、手伝ってやるからさ」 と言えば、「讃岐うどんは硬くてイヤだ」 とすねる。
「じゃあ、ラーメンか?」 と言っても反応がない。
ところが、たこ焼き店の前でピタリと足が止まった。
「たこ焼きがいいんか?」
「ああ、これがいい」
と、いうことで、せっかくオフクロがおごってくれるというランチが、たこ焼きになってしまいました。
でもね、オヤジったら、子どものように 「ふーふー」 しながら、「あっちち」言いながら、美味しそうにたこ焼きを食べていましたよ。
さすがに、タコは硬いとみえて、全部はじき出していましたけどね(それじゃ、たこ焼きじゃねーじゃん)。
もちろん僕とオフクロは、ちゃんと別の食事をしましたけど、オヤジが食べたたこ焼きは、たったの2つだけ。
「もっと食べなきゃ、死んじゃうよ」
と、僕は本で読んだ言葉が頭をよぎったものだから、ついつい強制的に食べさせようとしてしまいます。
するとオフクロが、
「おとうさん、90歳まで生きるんだものね。あと3年は食べなきゃ、生きられませんよ」
と、実に生々しい言葉を吐いたのです。
あと3年・・・
90歳まで生きても、あと3年なのかよ!
どこも悪いところなんてないんだから、もっといけるさ。
そう、あと5年は大丈夫だよ。
いや、もっと食えば100歳だって夢じゃない!
頑張れ、オヤジ! さあ、食え! もっと食え!
でも、結局、たこ焼き2つどまりでした。
「せっかく、連れ出したのにね」
と僕が言えば、
「いいんだよ、おとうさん楽しそうだもの。喜んでいるよ」
とオフクロは、うれしそうに笑うのでした。
モール内を手をつなぎながら、トボトボと歩く両親の後姿。
でも、不思議と2人の背中は、曲がっていないのです。
足腰もしっかりとしているし、これなら、まだあと5年は大丈夫そうですよ。
ただ、オフクロよ。
くれぐれも、オヤジよりに先に逝くんじゃねーぞ!
ま、これも大丈夫かな。
オフクロの食欲は、衰えていませんでしたから。
僕も、しっかり食べて、来週からの仕事に備えたいと思います。
Posted by 小暮 淳 at 18:52│Comments(0)
│つれづれ