2012年03月03日
共有温泉源泉分湯場
僕がライターという職業を選んだ一番の理由は、“取材” という名目だと、いろんな人に会え、いろんな物を見ることができるからです。
温泉でいえば、一般の温泉ファンは、旅館に泊まり、湯に入り、料理を食べるだけですが、これに取材が加わると、旅館のご主人や女将さんとじっくり話をすることができ、温泉や宿の歴史を聞くことができます。
また時には、温泉協会や観光協会の人たち、旅館の旦那衆と、酒盛りをしながら、本音の温泉話を聞くこともできます。
こんなとき、“取材” という言葉が、まるで魔法のように感じられるのです。
さらに特権を利用すれば、泉源(源泉の湧出地) や給湯施設などを見せてもらうことも可能です。
自家源泉を所有している宿では、必ず泉源を確認して、許可が取れれば小屋の中も見せてもらいます。
まあ、泉源くらいなら、一般の人でも見せてもらえるかもしれませんが、源泉の「分湯場」 となると、なかなか見せてもらえるものではありません。
これは共有泉ですから、組合の役員でないとカギを持っていないので場内に入ることはできません。
で、今回、水上温泉取材で、初めて 「共有温泉源泉分湯場」 の中へ、入らせていただきました。
現在水上温泉には、9つの源泉があります。
その中でも最も古く、最大の湧出量を持つのが 「旧湯」源泉です。
湯量は毎分約650リットル。
泉温は約46℃。
これをくみ上げ、1ヶ所に集め、各旅館やホテルへ配湯する場所が 「分湯場」 であります。
共有泉でも、泉源は見たことがありましたが、「分湯場」 の中というのは初めて入りました。
役員さんにお願いして、見せていただくことができました。
建物の中には、鉄骨を組んだやぐらがあり、大きなタンクが乗っていました。
といっても円筒形ではなく、平たいたらいのような形をした器です。
鉄のハシゴを上り、覗き込むと、ポンプアップされて来た源泉が注ぎ込まれている様子が分かります。
丸いたらいのような器の中は、二重になっていて、外側は 「マス」 と呼ばれる小部屋に区切られています。
このマス1つが、分湯される1軒分ということです。
良く見ると、マスの壁には中央に向かって、穴があけられててます。
そして、その穴の大きさは、それぞれ異なります。
これが、温泉契約量のサイズです。
要は、中央に集められた源泉は、各マスへ送り込まれるわけでが、契約量により、その送り込まれる量は異なるということです。
実に良くできた分配システムです。
現在、9軒ほどが加盟していて、契約に応じた湯量がマスからパイプで各旅館や施設へ配湯されていきます。
やぐらを組んで、いったん高い位置に温泉を上げているのも、その後、自然流下にて湯を送り出すためだったのですね。
すぐ近くには、「新湯」源泉の分湯場もあるとのことでした。
こちらは、4~5軒が契約しているそうです。
見ると聞くとでは大違い。
百聞は一見にしかず、であります。
これからも “取材” という魔法の言葉を使って、なんでも見てやろう!と思います。
Posted by 小暮 淳 at 21:56│Comments(2)
│温泉雑話
この記事へのコメント
群馬県では古くから伊香保温泉の小間口や、草津温泉の配湯の仕組みというのがあり、利権も絡みあまり表に出ない部分ですよね(^^ゞ
非常に羨ましく、楽しく読ませて頂きました♪
非常に羨ましく、楽しく読ませて頂きました♪
Posted by 松島 at 2012年03月05日 23:16
松島さんへ
いつもありがとうございます。
誰かと思ったら 「旅芸人」 さんなのですね。
これからも温泉好きには、たまらない “部分” を逐一ご報告いたします。
いつもありがとうございます。
誰かと思ったら 「旅芸人」 さんなのですね。
これからも温泉好きには、たまらない “部分” を逐一ご報告いたします。
Posted by 小暮 at 2012年03月06日 00:30