2012年09月12日
湯ノ小屋温泉 「清流の宿 たむら」
♪なだらかな坂道を 登りつめた場所で
君と僕だけを降ろして バスは戻って行く
わずか二日の小さな旅でも 二人にとっては
半年も前から 待ち焦がれていた
見知らぬ町への 二人だけのはじめて旅♪
この歌は、1984年に僕がリリースしたアルバム 「はじめての旅」 に収録されている、タイトルナンバーです。
滅多に自分の曲なんて口ずさまないんですけどね。
なぜか昨日は、宿に着くなり、部屋の窓辺でビールを飲みながら山間の景色を眺めていたら、口をついて、この歌詞とメロディーが 出てきてしまったのであります。
とにかく、一度は泊まってみたい宿でした。
一昨年の秋に出版した 『群馬の小さな温泉』(上毛新聞社) の取材で、湯ノ小屋温泉を訪れたときから、渓流沿いの高台にポツンと一軒宿のようにたたずむ、小さな宿が気になっていたのです。
願いとは、念じていると叶うようで、今回、取材で泊めていただくことになりました。
で、宿に着くなり、全身に鳥肌が立ってしまったのであります。
「ここだ! 僕の歌のモデルになった宿は!」 ってね。
デジャ・ヴュ(既視体験) って、言うんですか?
とても不思議な感覚を覚えました。
だって28年前に、頭の中のイメージで作った歌の舞台が、今になって目の前に現れたんですからね。
「ああ、僕は昔、ここの宿をイメージして、あの歌を作ったんだ」 って、素直に納得してしまいました。
本当に小さな宿なんです。
客室は、たったの5部屋。
浴室は、内風呂と露天風呂が1つずつ。
ともに部屋ごとの貸し切りになります。
昭和59(1984)年に親戚が開業した 「民宿 たむら」を、現主人の田村今朝雄さん、妙恵さん夫婦が平成2年から引き継ぎました。
たった2人で、夫婦二人三脚で営んでいる民宿です。
(※偶然にも、僕がアルバムを出した年に、宿が開業しているんですね。これまた鳥肌が立ちました)
小さなお宿は、のんびりできるのがいいですね。
完全に仕事であることを忘れてしまいました。
湯上がりには、鹿児島出身の女将さんが作る薩摩料理を肴(さかな) に、これまた幻の芋焼酎 「三岳」 なーんていただいてしまいました。
酔うほどに、旅情が深まる山の宿であります。
♪山間の民宿で 夕げのひとときを
二人過ごすだけの 何もない旅だけど
部屋に戻った君が 急に無口になって
深い夜へと 二人消えてゆく
明日になれば またいつもの都会(まち)暮らし♪
<『はじめての旅』 より>
ま、一緒に泊まったのは、いつものオジサンカメラマンですから、歌詞のような出来事はありませんでしたけどね・・・
でも、たまには、こんな取材旅行もいいものです。
Posted by 小暮 淳 at 19:09│Comments(0)
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