2012年09月28日
日本中が抱えている
以前ほどではありませんが、それでも時々、山奥の温泉地へ行くと、ケータイが圏外になってしまうことがあります。
そんなときは、「ああ、これで電話が鳴ることもない」 と逆に開き直って、取材に集中しています。
でも圏外は、緊急の連絡が入らないという不都合も招いてしまうのです。
今週、仕事で数時間だけ圏外の山の中にいました。
午後に下山して、麓まで戻ってきたときのことです。
ケータイに着信表示があることに気づきました。
1件は家内、もう1件は実兄です。
滅多に僕のケータイになんて電話をかけない2人ですから、イヤ~な予感がしました。
留守電には、「至急、電話をください」 の実兄の声。
そして家内からのメールには、「おばあちゃんが入院をしました。連絡ください」 とあります。
2人の着信から、すでに4時間以上が経過しています。
あせる気持ちで、家内に電話を入れると、すでに実兄と病院にいました。
過労による入院です。
実兄によれば、
「大事をとって、入院させたが、今後のことを話し合いたいから、あとで来てくれ」
とのことでした。
ボケ老人のオヤジ(88歳) を老老介護していたオフクロ(85歳) が、介護疲れによりダウンしたのでした。
不幸中の幸いは、東京で暮らしている実兄が、先週から実家にいてくれたことです。
さらに我が家には、家内が偶然にもいてくれました。
おかげさまで、オフクロの病状は回復へ向かっていますが、なにせ高齢ですから入院は長引きそうです。
今日も様子を見に病院へ寄ってきましたが、ボケ老人の介護から解放されたこともあり、前よりも元気そうに振舞っていました。
「お父さんは、どうしているかね?」 とオフクロ。
「大丈夫だよ。アニキが東京へ帰らないで面倒を見てくれているからさ」 と僕。
やっぱり、長年連れ添った夫婦なんですね。
離れれば、オヤジのことが心配のようです。
「あんちゃん、悪いね。近くにいるのに、オレが忙しくてさ」 と僕。
「いいさ、しばらくは俺がオヤジの面倒を見るから、手の空いたときは手伝ってくれ。そうじゃないと、今度は俺が介護疲れで倒れちまうよ(笑)」 と実兄。
「で、問題は、オフクロが退院してきたからだよな……」
と、真剣な顔で語りだしました。
そーなんです。
考えてみれば、オフクロにとって、入院している今が、一番良い状態なんですよ。
睡眠もしっかり取れるし、ストレスもたまらない。
医者と看護士による完全看護ですから、家族の我々も安心です。
でも・・・
退院してきたら、また以前の状態に戻るわけですからね。
そんな家族の苦労を知ってか知らずか、オヤジは今日も元気に大声をあげています。
「おーい、ジュン! ばあちゃんは、どこへ行ったんだろうなぁ~」
教えてやると、
「そうか、病院か……(悲しそうな顔をします)」
と納得するのですが、
ものの5分と経たぬうちに、
「おーい、ジュン! ばあちゃんは、どこへ行ったんだろうなぁ~」
と、何度も何度も同じ質問をくり返します。
でも、日本中、どこでも抱えている家族の問題なんでしょうね。
小暮家にとっては、今回のことで、兄弟や夫婦が話し合い、互いを理解し合い、以前より絆が深まったことだけは、確かのようです。
アニキ、すまんが、しばらくの間、オヤジの面倒を頼むよ!
Posted by 小暮 淳 at 16:38│Comments(0)
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