2013年01月15日
東京を脱出した理由
08時07分
<おはようございます。今、東名川崎インターですが、車がまったく動いていません。>
09時27分
<渋滞で全然動きません。遅刻の可能性が出てきました。>
09時40分
<関越道に乗るまで、まったく到着の時刻が予測できません。>
10時18分
<いまだに動いていません。困りました。>
11時01分
<東名を降りるまで110分と表示されてます。>
これは今朝、僕のケータイに送られて来たメールです。
送り主は、今日、僕と一緒に温泉取材へ向かう予定だった某紙のカメラマン。
彼は昨日まで、連休を利用して神奈川県の実家へ帰省していました。
そして、爆弾低気圧に遭いました。
「小暮さん、すみません。約束の時刻に着きそうもありません。首都の交通機能は完全に麻痺(まひ) しています」
と本人から直接電話が入ったのは、11時01分のメールが入った直後でした。
午前8時前に自宅を出て、すでに3時間以上が経過していますが、まだ神奈川県を出られない状態です。
首都圏の高速道路網は、完全にストップしてしまったようです。
それも、たかが、10センチあまりの雪のために・・・
“一晩で7万件”
ニュース番組の画面に、雪のトラブルの模様が次々と映し出されます。
鉄道も空港も高速道路も、軒並み運休・閉鎖。
駅では、タクシー乗り場で行列を作る帰宅難民の姿。
たかだか、10センチあまりの雪に、大都市が悲鳴を上げています。
雪国の人たちは、さぞかし笑っていることでしょうね。
でも、これが戦後、急成長を遂げた日本の首都の姿でもあります。
今から30年以上も昔のこと。
僕が暮らしていた東京は、毎年のように夏、ゲリラ豪雨に見舞われ、そのたびに河川が氾濫していました。
近くを流れる神田川は、その代名詞とも言われる暴れ川でした。
アパートの近くまで、あふれ出した川の水が押し寄せてきます。
「小暮くん、そっちは大丈夫?」
バイト仲間から電話が、かかってきました。
彼が住むアパートは、神田川のほとりにありました。
「こっちは最悪だ。今、机の上にいるんだ。床上浸水しちまってね」
都会とは、恐ろしいところだと思った。
群馬なら、あの程度の雷雨で河川は氾濫しない。
「オレ、田舎へ帰ろうかな……」
そう、電話の向こうで声をつまらせた男は、栃木県の出身だった。
そして、それから数年後、僕も彼も、東京を離れた。
16時21分
<今、会社(前橋) に着きました。>
カメラマン氏から次にメールが届いたのは、彼が家を出てから実に9時間後のことでした。
「群馬は災害も少ないし、住みやすいところだよね。なによりも温泉がいっぱいあるしね」
渋滞中の車の中で言った彼の言葉が、やけにリアルな響きもって僕の古い想い出を呼び起こしたのであります。
あらためて、群馬の魅力に気づかされた1日でした。
(今日の取材は延期となりました)
Posted by 小暮 淳 at 19:21│Comments(0)
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