2013年03月02日
鬼が笑えば僕も笑う
この業界(編集・出版) は、常に先を見越して動いています。
月刊誌なら2~3カ月前には作業に取り掛かっているし、季刊誌ならば半年前には編集会議を済ませています。
現在、僕が新聞に隔週で連載をしているエッセーにしても、常に1カ月前には取材を終えているようにアポ取りをしています。
これが書籍の出版となると、さらにスパンは長くなります。
来年のことを言うと “鬼が笑う” などと言いますが、僕らの業界では鬼だけでなく、関係スタッフは笑いっぱなしの状態なのであります。
と、いうことで昨晩、早くも来年に出版を予定している著書の企画会議が行われました。
でも、出版社の会議室なんかじゃ、しませんって!
とーぜん、飲み屋が会議室であります。
集合したのは、出版元の編集責任者T氏と本のアートディレクターK氏。
そして僕。
会議室に指定されたのは、いつもの海鮮居酒屋 『T』 であります。
ここで酒を浴びながら、過去の著書の企画は誕生しました。
カンパ~イ!
「お疲れ様でした。ずれ込むかと思いましたが、予定通り順調に取材が進んだようで、ありがとうございます」
と、T氏が言葉を切り出し、乾杯となりました。
「発行日は当初の予定通り、4月の大安ということでいいでしょうか?」
とK氏が手帳を広げて、大安の日を探し出します。
今年4月の大安は、6日もあります。
中旬以降となると、18日と24日、それと30日です。
30日は、はずすとして、候補は18日か24日ということになります。
「では、そのどちらかということで、進めてください」
とT氏に言われて、あらためて実感が湧いてきました。
不思議なものですが、本というものは何冊書いても、そのたびごとに新たな喜びが湧いて来るものなのであります。
“もうすぐ、終わる”
その切なさと、充足感。
最後の原稿を書き上げてしまうことも淋しいが、書き上げたときの達成感といったら他にありません。
ついに僕に残った作業は、 「あとがき」 の執筆のみとなりました。
だから昨晩は、全取材を終え、原稿を書き上げた前祝いでもあったのです。
生ビールから冷酒に替わり、飲むほどに、酔うほどに、出版への意気込みも大きくなっていきます。
話のつまみは、すでに次回作の発行日のことで盛り上がっています。
「今秋には、間に合いますか?」
T氏に言われて、
「それは無理です。死んでしまいますよ。最低1年間は取材と執筆に時間をください」
と、あわてて否定する僕。
「来年の夏までには出版するということで、どうでしょう?」
とK氏が助っ人を出してくれましたが、T氏の顔は<できれば、もっと早く>と言っています。
「分かりました。早ければ春までに、遅くても夏前までにということでは……?」
と苦しまぎれの僕の弁明。
「・・・では、そういうことで。よろしくお願いします」
カンパ~イ!
と、早くも温泉シリーズ第6弾の制作ホイッスルが鳴ったのであります。
まだ、第5弾の 『みなかみ18湯』 下巻が出版されていないというのに・・・。
もう、苦笑いをするしかありませんね。
Posted by 小暮 淳 at 16:12│Comments(0)
│酔眼日記