2013年05月01日
絶滅危惧温泉
僕は、自分の著書の中で、“群馬県内には約90カ所の温泉地がある” と記述しています。
しかし、群馬県が発表している温泉の利用状況の報告書では、100以上の温泉地の名前が挙げられています。
では、なぜ、僕は “約90カ所” という数字に、こだわっているのだと思いますか?
その前に、現在、手元にある 『群馬県温泉利用状況報告書』(平成23年3月末日現在) で温泉地数の検証をしてみたいと思います。
これには、「管轄保健所名」「市町村名」「温泉地名」「源泉数」「利用源泉の自噴・動力」「宿泊施設数」「収容定員」「年度延宿泊利用人数」「公衆浴場数」「主な泉質名」 が記されています。
まず 「温泉地名」 の登録は、211カ所となっています。
ただし、この数には、日帰り入浴施設も含まれています。
一般的に言う温泉地とは、宿泊施設のある温泉のことですから、この中から日帰り入浴施設の数を引き算すると、107カ所になります。
ところが、1つ1つ丁寧に温泉地名を見ていくと・・・
「あれれ、この温泉、今は、もう、やってないぞ!」
という、すでに廃業してしまっている温泉地までが、削除されずに掲載されているのです。
僕がチェックしたところ、6カ所の温泉地が現在は営業していませんでした。
さらに、「おやや、こんな温泉地名は、聞いたことも、見たこともないぞ!」
という、温泉地名の多いこと!
調べてみると、ゴルフ場や企業の保養施設、大学の寮だったりするのです。
これには、一般の人は、自由に温泉に入ることはできません。
そんな温泉地が、11カ所もありました。
と、いうことで、107-(6+11)=90
ほーら、ピッタリ90になったでしょ!
でも、これだって、年々数字が変わります。
だから、“約90カ所” と言っているわけです。
4年前、僕が最初に出版した温泉本 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社)。
この本には、群馬県内の “源泉一軒宿” が、50軒掲載されています。
源泉一軒宿とは、たった一軒で、源泉と温泉地名を守っている温泉宿のことです。
ですから、この1軒が廃業してしまうと、温泉地までもが、1カ所減ってしまうことになります。
出版から4年経った今、すでに、この本に掲載されている4軒の宿が廃業してしまっています。
何十軒と宿のある温泉地では、1軒の宿が姿を消しも、温泉地は残ります。
でも一軒宿の温泉地は、宿がなくなるだけではなく、温泉地名までもが消えてしまうのです。
だから僕は、一軒宿の温泉地のことを別名 「絶滅危惧温泉」 と呼んでいます。
もう、これ以上、群馬の温泉を失いたくありません!
ぜひ、みなさん、群馬の源泉一軒宿に、足を運んでください。
“入って残そう、群馬の温泉”
Posted by 小暮 淳 at 18:23│Comments(3)
│温泉雑話
この記事へのコメント
行っても、行っても、お休みしている感じのM山温泉さん
あれ?と気になって電話してみたら
日帰りは夕方5時で終了しているとのことで、安心しました。
あれ?と気になって電話してみたら
日帰りは夕方5時で終了しているとのことで、安心しました。
Posted by ぴー at 2013年05月02日 15:03
ぴーさんへ
M山温泉とは、川場村でしようか?
最近は、源泉の温度が低い宿は、定休日を設けているところが多いようです。
みんなで、入って、絶滅危惧温泉を守りましょう!
M山温泉とは、川場村でしようか?
最近は、源泉の温度が低い宿は、定休日を設けているところが多いようです。
みんなで、入って、絶滅危惧温泉を守りましょう!
Posted by 小暮 at 2013年05月02日 17:11
近所の、みやま♨です
宿泊者がいないときは、省エネ営業とのことでした。
宿泊者がいないときは、省エネ営業とのことでした。
Posted by ぴー at 2013年05月04日 09:25