2013年05月18日
25年後のサプライズ
人生には、時として、「これは今日まで真面目に生きてきたことへの、神様からのプレゼントじゃないのだろうか」 と思えるようなサプライズが起こるものです。
先日、このブログでも、僕の著書 “群馬の温泉シリーズ” 第6弾の出版が決まり、第1回目の企画編集会議が開かれたことは書きました。
実は、人生のサプライズは、 この会議の席で起こりました。
出版部長より、次回作の担当者の発表がされたのです。
その、新しい担当者が、な、な、なんと! T君だったのです。
T君は、僕の中学~高校の同級生。
しかも、ともに抱えきれないほどの夢を持って、東京へ出て行った “夢見仲間” だったのです。
「よろしく!」
「ああ、よろしく!」
この時、お互いの脳裏をよぎったことは、たぶん同じです。
“これで、また2人で飲み歩ける” と・・・
1988年、初春。
結婚はしていましたが、相変わらず職には就かずに、ミュージャンを気取っていた頃でした。
何を血迷ったか、僕は、突然、妻を家に置いたまま、日本列島一周の旅へと出かけます。
山口県山口市。
旅の途上にて、ある日突然に、宿の電話が鳴り、声の主はT君でした。
その頃、T君は、やはり僕同様に “夢敗れて都落ち” して、地元の新聞社に就職していました。
「急にあさってから2日間、休みが取れてね。どこかで会えないか?」
これが、彼からかかってきた電話の用件でした。
そして2日後、僕らは、島根県出雲市で、再会を果たします。
「若さ」 とは、「バカさ」 なんですね。
僕の旅が終わってから、地元でゆっくり会って、酒を酌み交わせばいいものを、それではつまらない。
若い頃は、人生のスパイスとなる、サプライズがほしいんです。
もちろん、その晩は、出雲市内に宿を取り、2人で知らない街を歩きながら、飲み明かしました。
で、その旅を終えた僕は、出雲市での出来事を小説に書いて、新聞社へ送ったんです。
そ、そ、そしたら、見事、入選!
新聞紙上に掲載されたんですね。
そのことが、きっかけとなり、僕は音楽から文筆の世界へと入って行ったのであります。
いわば、T君は、僕に文章を書かせた、人生の “夢先案内人” だったのです。
※(小説の内容については、当ブログの2010年11月21日 「出雲市15時48分」 参照)
「出雲市」
と僕が言えば、彼が、
「15時48分!」
と叫び、生ビールのジョッキとジョッキが、ぶつかり合いました。
「よろしく!」
「こちらこそ、よろしくお願いします。先生」
と、言って大笑いします。
「勘弁してくれよ、『お願いします』 も 『先生』 も余分だよ」
と、僕が返せば、
「いえいえ、先生は、うちのベストセラー作家ですから、これからもジャンジャン書いていただかないと」
そう言って、またしても2人で爆笑しました。
昨晩は、シリーズ第6弾の制作スタートを記念して、スタッフ懇親会が開かれたのでした。
あれから25年。
四半世紀が過ぎました。
人生って、本当に、不思議です。
また、こうして、キミと夢を追いかけられるなんてね。
T君、あの頃見ていて、夢のつづき・・・
もう一度、一緒に見ようじゃないか!
Posted by 小暮 淳 at 16:46│Comments(0)
│酔眼日記