2013年08月30日
大塚温泉 「金井旅館」③
「小暮先生さ、一軒宿ってーのは、観光旅館とは違うわけよ。マニュアルなんてーものは、ねーんだからさ」
と4代目主人の金井昇さんは、なぜか僕のことを “先生” と呼ぶのです。
「先生は、やめてくださいよ」
と言えば、
「何言ってんだい、オレは先生の新聞記事は全部読んでるし、テレビ番組だって、みーんな見てんだぜ! それだけじゃ、ねーや、講演だって行ってるかんね。そーだろ?」
と、“先生” と呼んでいるわりには、上州弁バリバリの田舎言葉なのです。
でも、そうでした、そうでした!
あの時は、本当にビックリしましたよ。
3~4年前だったと思います。
渋川市で僕の講演会があったんですが、壇上に上がったら、な、な、なんと!
客席の最前列に、金井旅館のご主人が陣取って、手を振っているでは、あーりませんか!
一気に、緊張してしまったことを覚えています。
「先生さ、昨日の新聞にも出ていたよな。ちゃーんと、読んでんだからね」
と、なかなか僕のことについては、常日頃からチェックをしてくださっているようであります。
そーなんですよ。
昨日(8月29日付) の上毛新聞、経済面(6面)。
『生活けいざい』 という記事で、僕が 「冷鉱泉」 についてコメントをしているのです。
3分の2ページほどもある大きな記事なのですが、僕のコメントなんて、ほんの数行なんですよ。
それでも、ご主人は、僕の名前を見逃さなかったんですね。
うれしいじゃ、ありませんか!
そんな、かんなで、僕とご主人は、長い付き合いをさせてもらっています。
「思えば、ご主人と最初に言葉を交わしたのは、“梅干” がきっかけでしたよね」
「そーだよ、先生が、うちの梅干を 『うまい、うまい』 って、言うからさ。くれてやったんだいね」
そうなんですよ。
もう10年くらい前のこと。
取材ではなく、プライベートで、ふらりと大塚温泉に寄ったときに、庭でご主人が梅干を干していたんです。
だから、
「おいしそうな梅干ですね」
と声をかけたのが、付き合いの始まりでした。
「今年も梅が、いっぱい採れたから、持って帰んなよ。用意しておくからさ、風呂浴びてきな」
と言われて、「それでは」 と、お相伴に預かることに・・・
大塚温泉は群馬県内ても、知る人ぞ知る、ぬる湯の湯治宿です。
泉温は、体温より低い約34度。
自噴する湯量は、驚きの毎分約800リットル!
だから内風呂といわず、露天風呂といわず、ザーザー、バシャバシャ、ドボドボ……と、惜しげなく湯が注がれ、そして、あふれ出しています。
「うちは、源泉ぶん流しよ!」
というのが、ご主人の口グセです。
“ぶん流し” とは、かけ流しのこと。
ご主人独特の言い方で、“かけ流し” の最上級形の表現のようです。
いゃ~、この時季は、ぬる湯に限りますね。
のんびり、ゆっくり、湯に浸かることができました。
まだまだ残暑が厳しい毎日が続いています。
「熱い温泉は、ちょっと・・・」 と夏に温泉離れをしているアナタ!
ぬる湯に出かけてみては、いかがですか?
Posted by 小暮 淳 at 18:44│Comments(0)
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