2013年09月21日
湯端温泉 「湯端の湯」②
湯端の湯は、小さな山里で、ひっそりと湧いていました。
「お久しぶりです。その節は大変ありがとうございました。新聞を見て来られた人が、たくさんいました」
と、僕が駐車場に着くなり、作務衣姿で出迎えてくれた3代目主人の桑子済(とおる) さん。
彼は、まだ20代です。
僕が知る限り、県内で一番若い “湯守” であります。
彼に会うのは、半年ぶり。
前回は、今年の3月に朝日新聞の取材で訪れました。
『湯守の女房』 という連載だったので、どちらかといえば奥様の真澄さんを中心に取材した記事でした。
ので、今回は、きっちりとご主人に話を聞いてきました。
と、いっても源泉の歴史や6年ぶり復活させた温泉宿再建までの奮闘記は、前回お聞きしましたからね。
※(当ブログ内、2013年3月7日「湯端温泉 湯端の湯」参照)
今回は、お会いする早々、ご主人に、こう言いました。
「ぜひ、源泉を見せてください」
宿を出て、裏山に流れる小川に沿って約70メートル行くと、ちょこんと、お地蔵さんが乗っかった石積みが見えました。
そのとなりには、扉の付いた小屋があります。
「カギを付けたのは、最近なんですよ。勝手に源泉を汲んで、持って行っちゃう人がいるものですから」
と、南京錠を開けると、中には石で囲まれた井戸のような水たまりが・・・
これが湯端温泉の源泉、「湯端の湯」 であります。
湯の歴史は古く、すでに明治時代には、ここに沼のような源泉が湧いていたといいます。
宿の創業は、昭和46(1971)年。
済さんの祖父が、地域の人たちに勧められて、温泉宿を始めました。
だから今でも源泉は、地区共有の所有物です。
管理者が、済さんということになっています。
「今でも地区の人なら自由に源泉を汲むことができます。昔ほどいませんけど、それでも時々、カギを借りに来ますよ」
源泉は、あせもやアトピーなどの皮膚病に特効があり、飲用すれば胃腸の調子が良くなるとも。
また、この源泉で米を炊くと、シイタケのだし汁で炊いたような炊き込みご飯が出来るそうです。
源泉は、かなり塩辛い高濃度の塩化物冷鉱泉です。
昨晩は、ご厚意により泊めていただき、十二分にお湯を堪能してきました。
ご主人、女将さん、ありがとうございました。
よくぞ! 幻の薬湯を復活させてくださいました。
温泉ファンのひとりとして、心よりお礼申し上げます。
Posted by 小暮 淳 at 18:00│Comments(0)
│温泉地・旅館