2014年01月29日
松之山温泉 「凌雲閣」
午前6時30分、JR前橋駅南口
あたりは、まだ、真っ暗闇です。
そして、寒い!
でも、僕ら一行は、元気にバスに乗り込んだのであります。
昨日は、僕が講師を務めるNHK文化センターの野外温泉講座 「名湯・秘湯めぐり」 の平成25年度最終講座日でした。
この講座は、僕が講師を務めて本年度で丸5年。
年間9温泉を訪ねますから、今回が通算45温泉目となります。
今回の講座地は、新潟県の松之山温泉です。
ご存知、草津温泉(群馬県)、有馬温泉(兵庫県) と並んで、日本三大薬湯の1つに数えられている名湯です。
僕が松之山温泉を訪ねるのは、今回が2度目。
以前、雑誌の仕事で 「ほくほく線」 を取材したことがありましたが、もう20年以上も昔のこと。
松之山温泉に立ち寄った記憶はあるのですが、どこの旅館だったかも、湯の浴感も、覚えていないのです。
ということで、僕にとっても新鮮かつ楽しみな講座となりました。
ではなぜ、真冬のこの時期に、豪雪地帯の温泉地へ行くのかといえば、それは受講生たちからの要望だからです。
「雪見風呂をしたい!」
という、たっての願いから、毎年、真冬には豪雪地帯の温泉を訪ねています。
「うわ~、先生! 見て見て~!」
バスが山道に差し掛かると、受講生らが喚声を上げます。
2メートル以上は優にある、雪壁。
屋根にうず高く積った、雪帽子。
2階から出入りする民家や、タテになっている信号機など、ふだん群馬県にいては目にしない雪国の風景に、目を見張っていました。
今回、お世話になった旅館は松之山温泉でも歴史と伝統を持つ 「凌雲閣」 さん。
「鏡の湯」 という自家源泉を保有し、昭和13年建築の 「木造三階建て」 の本館は、国の登録有形文化財に登録されています。
まずは、女将の案内のもと、館内見物へ。
とにかく圧巻は、各客間の意匠の素晴らしさ!
創業当時の亭主が、群馬県の渋川市から宮大工を呼び寄せ、1人に1部屋ずつ担当させ、腕と意匠を競わせたといいます。
ですから、1つとして同じデザインの部屋がありません。
16部屋の部屋は、それぞれに趣向が凝らしてあり、遊び心にあふれていました。
傘を張ったような天井、袋戸棚のある床の間、網代天井、煤竹を編んだ欄間、手の込んだ飾り棚や雪見障子・・・
とにかく、見ているだけで楽しい!
みなさん、時間も忘れて、見学に夢中になっていました。
見学が終われば、当講座のメインイベント!
“入浴” です。
「鏡の湯」源泉の泉温は約84度。
泉質は、ホウ酸を含む塩化物温泉です。
なぜ、火山のない山間部なのに、塩分濃度と泉温が高いのか?
それは、この温泉が 「ジオプレッシャー型の化石海水温泉」 だからです。
推定約1200万年前に地中に閉じ込められた海水が、さらに深いところにあるマグマに温められ、噴出している温泉のことを言います。
湯の色は、うっすらと黄色がかった生成り色。
塩分濃度が非常に高く、ヒゲそりあとがヒリヒリします。
湯口(温泉の注ぎ口) には、白い析出物がガッチリ付着しています。
たいがいの温泉はカルシウム成分ですが、ここのはすべて “塩”!
「しょっぺー!」
受講生らは、順番に析出物をなめながら、舌で源泉の味を確認していました。
これぞ、生きた温泉講座であります。
塩分の保温効果で、湯上がりも体がほてって、なかなか汗が止まりません。
「では湯上がりは、やりますか?」
と、脱衣所で数名の飲兵衛たちと、意気投合。
昼食を待たずに、缶ビールを片手に乾杯となりました。
「く~~、やっぱり温泉に入った後のビールは、うまっすね」
「これだから、この講座は辞められませんよ」
「先生、今年も参加しますから、いい温泉を紹介してくださいね」
もちろんですよ。
また4月から開講する新講座では、県内外の名湯や秘湯をめぐります。
平成26年度の野外温泉講座では、毎月1回、年12回の講座を予定しています。
現在、若干の空席があります。
ご興味のある方は、下記までお問合せください。
●NHK文化センター前橋教室 TEL.027-221-1211
Posted by 小暮 淳 at 14:25│Comments(0)
│温泉地・旅館