2014年02月19日
本当の豊かさとは?
<変化したお客>
<本当に豊かなのはどっち?>
これは、今日の朝日新聞群馬版に掲載されたコラム 『小暮淳の温泉考座』 の見出しです。
シリーズ39回目の今回は、温泉地の今昔と、その変遷(へんせん) について、書かせていただきました。
その昔、「温泉へ行く」 といえば、湯治のことでした。
人々は食料を持ち込み、自炊しながら長期滞在をして、持病や疲弊した体を癒やしました。
ですから、「湯」 と 「床」 を提供してくれる宿に対しては、当然、感謝の気持ちがありました。
「泊めていただき、ありがとうございます」
と、客から声をかけられたといいます。
ところが現代は、どうでしょう?
1泊2日が当たり前となり、温泉宿は、豪華な料理を食べて過剰なサービスを受ける、ストレス発散の場となっています。
いつしか、湯治場が観光地になってしまいました。
お金を払う側の客が、非日常の優越感を求めるあまり、「泊まってやる」 という横柄な態度になってしまったといえます。
さらに、ストレス社会が生み出した “負” の産物、「クレーマー」 の存在は、秘湯の宿にも現れ出しました。
「露天風呂がない」「貸切風呂がない」、アレがない、アレもない、と、昔の湯治場では考えられない不平不満を平然と押し付けてきます。
なかには、「川の音がうるさくて眠れないから、どうにかしろ!」 というヤカラもいるそうです。
いったい、この人は、山奥の温泉宿に、何を求めに来たんでしょうか?
「最近は、虫を嫌がるお客様が多いんですよ。でも、これだけはね。ここは山の中なんですから」
と、ご主人や女将さんから、散々グチをこぼされました。
いやはや、なんとも、返答に困ってしまいます。
質素な料理でも、のんびりと湯を浴みながら滞在していた昔と、豪華な料理を腹いっぱい食べて1泊だけで帰ってしまう現代と、はたしてどちらが豊かな時代なんでしょうかね?
そんな疑問を今回のコラムでは、読者に投げかけてみました。
次回の掲載は、来週の水曜日(26日) です。
リウマチを治した不思議な温泉の話を紹介いたします。
Posted by 小暮 淳 at 18:04│Comments(2)
│執筆余談
この記事へのコメント
ご無沙汰していますが~お元気ですか~
小暮さんの気持ち、わかるな~
小暮さんの気持ち、わかるな~
Posted by らかん亭 at 2014年02月19日 23:10
らかん亭さんへ
こちらこそ、ご無沙汰して申し訳ありません。
なかなか安中まで行く機会がなくて・・・
昔は良かった、あの頃は良かった、という懐古趣味ではなく、湯や人や自然に感謝の気持ちをもてる人間でありたいものです。
物の豊かさと、心の豊かさが反比例しないように。
こちらこそ、ご無沙汰して申し訳ありません。
なかなか安中まで行く機会がなくて・・・
昔は良かった、あの頃は良かった、という懐古趣味ではなく、湯や人や自然に感謝の気持ちをもてる人間でありたいものです。
物の豊かさと、心の豊かさが反比例しないように。
Posted by 小暮 淳 at 2014年02月20日 11:20