2014年03月09日
面倒をかける。世話になる。
“春めきて 母の手を取り 月参り”
柄にもなく、俳句なんか詠んでみました。
またもや先週から実家に泊まりこんで、両親の面倒を看ています。
いつもは健脚のオヤジを連れ出して、散歩に出かけるのが日課ですが、珍しくオフクロが外へ出たいと言いました。
オフクロは、今年の5月で87歳になります。
昨年夏に脳出血で倒れ、その後遺症で足が少し不自由なんです。
杖を突いても、壁のつたい歩きしかできません。
よって、外へ出るときは、介助が必要となります。
「今月は、まだお参りに行ってないんだよ。今日は風もなく、天気もいいし、連れてってくれないかね」
と、自分から言い出しました。
オフクロは昔から信心深く、毎月1日と15日には、必ず町内の氏神様へのお参りを欠かさない人でした。
でも、病に倒れてからは、歩けるようになっても、外出がおっくうなようで、だんだん月参りに出かけなくなっていました。
「そうだね。思い切って、今日は歩いてみようか! リハビリ、リハビリ!」
そう、はげましながら、一歩一歩、オフクロの手を取って、ゆっくりと神社までの道のりを歩きました。
そしたら今度は、買い物に行きたいと言い出しました。
なんでも、デイサービスで世話になっている介護師さんたちに、何か気持ちを手渡したいようです。
「でもさ、そんなことしなくって、いいんじゃないの? 介護師は、それが仕事なんだからさ」
と言えば、
「いいんだよ、いつも面倒かけているんだから。私が、そうしたいの」
と、言い出したら聞きません。
で、仕方なく、オフクロを車の助手席に乗せて、指定された店へ行きました。
(オヤジは足手まといになるので、留守番です)
とにかく歩くのが遅いオフクロです、
店の中でも、他の客にぶつかったり、商品につまずきそうになったりして、思うようにことが進みません。
なんだ、かんだで、たっぷり1時間かけて、数人分の “使い物” を選ぶことができました。
「もう、いいね。気が済んだね。じゃあ、帰るよ」
と、僕が車を発進させようとしたときです。
「これは、お前んちにね」
と、さっき買った商品を一袋、手渡されました。
「うちは、いいよ」
と言えば、
「なに言ってんだい。お前にも面倒かけて、世話になっているんじゃないか。受け取っておくれよ」
と、嬉しそうに笑うオフクロ。
“面倒をかける”
“世話になる”
いつしか、オフクロの口ぐせになってしまった言葉です。
本音を言えば、確かに、体や頭の不自由な年寄りを看るということは、面倒であり、世話のかかることなのですが、よくよく考えてみれば、何十年も昔に、僕はこの人に “面倒になり” “世話になった” のであります。
親と子は、お互いさまなんですよね。
Posted by 小暮 淳 at 21:00│Comments(3)
│つれづれ
この記事へのコメント
何ともステキなお話し。
ステキなお母さんですね。お互いさま。そうですね。お互いさまじゃないから、嫁と姑は仲良くなれないんですかね?
すみません、話しが反れました。
ステキなお母さんですね。お互いさま。そうですね。お互いさまじゃないから、嫁と姑は仲良くなれないんですかね?
すみません、話しが反れました。
Posted by 優・寛の母さん at 2014年03月09日 22:54
元気にしてました!
実の母は気をつかってくれますね。
姑はあたりまえみたいな顔してボケてますし(笑)
3.11は行けませんが、時刻に黙祷したいと思います。
実の母は気をつかってくれますね。
姑はあたりまえみたいな顔してボケてますし(笑)
3.11は行けませんが、時刻に黙祷したいと思います。
Posted by ぴー at 2014年03月10日 16:34
優・寛の母さんさんへ
う~ん、嫁と姑ですか・・・
僕の家内は同居をしていないので、ほど良い距離感を保っていますけどね。
同居となると、いろいろ問題が生じるのでしょうね。
ただ、大切な人(ご主人) を育ててくれた人と、その大切な人(息子) を愛してくれている人ですから、お互いさまじゃないですかね。
ちょっと、違うかな?(笑)
ぴーさんへ
早いもので、あれから3年の月日が経つんですね。
ぴーさんに最後会ったのも、昨年の3.11でした。
どこにいても、あの日は日本人にとって忘れられない日です。
午後2時46分、僕も黙とうを捧げます。
う~ん、嫁と姑ですか・・・
僕の家内は同居をしていないので、ほど良い距離感を保っていますけどね。
同居となると、いろいろ問題が生じるのでしょうね。
ただ、大切な人(ご主人) を育ててくれた人と、その大切な人(息子) を愛してくれている人ですから、お互いさまじゃないですかね。
ちょっと、違うかな?(笑)
ぴーさんへ
早いもので、あれから3年の月日が経つんですね。
ぴーさんに最後会ったのも、昨年の3.11でした。
どこにいても、あの日は日本人にとって忘れられない日です。
午後2時46分、僕も黙とうを捧げます。
Posted by 小暮 淳 at 2014年03月10日 19:45