2014年06月13日
老神温泉 「楽善荘」
「先生、お待ちしておりました」
そう言って、作務衣姿の男性が、駐車場まで駆け寄ってきました。
ん? 先生だ? この僕のことですか?
「もう何年も前ですけど、私は前橋まで先生の講演を聴きに行ったことがあるんですよ」
と、2代目主人の桑原公美さん。
すると、女将の照子さんまでもが、
「私も昨年、片品村で先生の講演をお聴きしました」
へー、そんなことってあるんですね。
よりによって、取材に訪れた温泉旅館の主人と女将が、夫婦そろって別々に僕の講演を聴いていたとは・・・
なにか、縁のようなものを感じます。
「あのとき、老神温泉の話が出なかったものですから、いつか老神温泉にも来てほしいと思っていたんです。そしたら、ビックリするやら、うれしいやら、本当に来てくださったんですね」
と大歓迎されてしまいました。
こちらも願ったり、叶ったりです。
取材も和気あいあいの中、スムーズに行われました。
主人の公美さんは、旅館業としては2代目ですが、商店としては3代目になります。
現在は旅館に併設された売店(みやげ物屋) という形になっていますが、そもそもは、こちらの店が始まりです。
創業は明治時代。
「たばこや」 の屋号で祖父の楽吉さんが、商売を始めました
タバコをメインに、生活雑貨を販売する 「よろずや」 だったようです。
「だから今でも地元の人は、うちを旅館名では呼ばずに、みんな 『たばこや』 って言います」
昭和40年、日光へ抜ける金精峠の全面開通に伴い、老神温泉にも観光ブームの余波がやってきました。
これを機に、先代の父、善三郎さんが旅館を始めました。
「じいさんの楽吉の “楽” と、おやじの善三郎の “善” で、楽善荘です」
なーるほど!
“湯に歴史あり、宿に物語あり” ですね。
昭和の50~60年代には従業員の宿舎があるほどの大所帯で経営をしていたといいますが、現在は素泊まり専門の宿として、夫婦で細々と営んでいます。
「建物の古さは隠せないけどね、掃除だけは欠かさずに、お客様を迎え入れてます。うちの自慢は、お湯だから! 湯に入っていただければ、良さが分かってもらえますよ」
と、自信たっぷりに女将に言われれば、湯に入らないわけにはいきません(もちろん、取材に行って入らないことはないのですが)。
「湯元 楽善荘」
その看板に、いつわりはありません。
泉温 約42℃、毎分約160リットルの8号泉と泉温 約55℃、毎分約94リットルの10号泉の混合泉が、惜しみなくザバザバとかけ流されていました。
8号泉は単純硫黄温泉。10号泉は単純温泉。
ですから、無色透明の澄んだ湯でありながら、ほんのりと硫黄の香りが漂っています。
サラリとしてキレがあるのに、湯上がりは肌にしっとりと余韻を残す、かなり憎い湯であります。
「お写真を撮ってもいいですか?」
女将に言われて、帰りしなに売店でパチリ!
「今日のブログに載せます」
とのこと。
そういえば、昨年10月に片品村商工会館で行われた講演会の様子も、しっかりブログにアップしてありましたものね。
楽しみに、拝見させていただきます。
Posted by 小暮 淳 at 17:04│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
ブログを読み、名前の由来が分かりました。
片品方面のスキー場に行ったっとき、お世話になりました。
ブログを読んだら、また泊まりに行きたくなっちゃいました。
片品方面のスキー場に行ったっとき、お世話になりました。
ブログを読んだら、また泊まりに行きたくなっちゃいました。
Posted by 温泉ハイリエ at 2014年06月13日 22:23
温泉ハイリエさんへ
とっても気さくなご主人と女将さんですよね。
そして、湯がいい!
ぜひ、のんびり湯に入りに出かけてください。
とっても気さくなご主人と女将さんですよね。
そして、湯がいい!
ぜひ、のんびり湯に入りに出かけてください。
Posted by 小暮 淳 at 2014年06月14日 11:02