2014年08月24日
中庭図書館
ふだん、実家で両親の介護をしているアニキが、先週から夏休みをとって、家族のいる東京へ帰ってしまいました。
よって現在、僕が実家に泊り込みで両親の面倒を看ています。
足の不自由なオフクロは、87歳。
日本女性の平均寿命を超えました。
頭の不自由なオヤジは、来月で卒寿(90歳)を迎えます。
かなりのスーパーボケ老人ですが、日本男性の平均寿命をはるかに超えて、寿命を更新中であります。
ま、介護といっても、なんとか2人とも自分でトイレは行けますので、下の世話はありません。
3度の食事の用意と洗濯、それと買い物や後片付けくらいなものです。
それでも高齢のため、いつ何時、何が起こるか分かりません。
そのため、いつでも2人の部屋に、駆けつけられるようにしています。
で、毎日、空いた時間は何をしているのかって?
はい、僕は毎回、実家に泊まり込んでいるときは、絶好の “読書三昧” に当てています。
たまには仕事を持ち込むこともありますが、よっぽど締め切りが迫っているとき以外は、朝から晩まで本を読んでいます。
実家の1階には、建築家であるアニキのアトリエがあります。
アトリエには壁一面に、はめ込み式の書架があり、かなりの蔵書が収納されています。
専門的な本もありますが、彼の家族や僕が読み終えた書籍類も置かれています(もちろん僕の著書もあります)。
「さて、今回は、誰(作家)を読もうか……」
と、実家に着くと、僕は真っ先にアトリエに入って、本を探します。
“『檀』 沢木耕太郎”
「う~ん、確か、以前、読んだよなぁ~」
と手に取り、ページをめくります。
なんとなく、内容は覚えていますが、もう10年以上も前の作品です。
再放送のサスペンスドラマと同じで、観たことは覚えていても、犯人やトリックなどの細部は忘れているものです。
僕はそのまま中庭へ出て、ディレクターチェアーに腰を下ろし、アイスコーヒーを飲みながら読み始めました。
沢木耕太郎といえば、僕にとっての青春のバイブル 『深夜特急』 を書いた作家です。
これにより、アジアへの旅に目覚めました。
そしてインドでは、珠玉のエッセイ 『バーボン・ストリート』 を読みながら旅を続けました。
ま、吉田拓郎と双璧をなす “我が青春の師” であります。
で、『檀』 とは、ご存知、昭和の無頼派作家、檀一雄のことであります(女優、檀ふみのオヤジです)。
まあ、これまた若い日に 『火宅の人』 を読んで、あこがれたものでした。
「ああ、僕もこんなハチャメチャな生き方をしてみたい」 なんてね。
その愛人との暮らしをつづった 『火宅の人』 を書いたハチャメチャな作家の妻、檀ヨソ子さんに沢木耕太郎が1年間かけて取材して書いた本が、この 『檀』 なのであります。
う~ん、やっぱり面白い!
やっぱり、どこかあこがれちゃうのであります。
でも、あこがれちゃうということは、僕はそこまでの無頼にはなれなかったということなのですね。
ちょっぴり、自分の人生のスケールの小ささに、いじけたりもするのでした。
朝、昼、晩と日がな一日、介護の合い間に中庭で涼みながら読書を楽しんでいます。
Posted by 小暮 淳 at 20:40│Comments(0)
│つれづれ