2014年11月18日
片品温泉 「尾瀬 山どん」
群馬県片品村。
尾瀬へ向かう国道401号沿いにある山小屋風の温泉宿です。
宿の前を通るたびに、とっても気になっていました。
だって、「山どん」 ですよ!
ユニークな名前です。
とにかく、取材に行ったら、真っ先に名前の由来を聞こうと思っていました。
「何だと思いますか?」
と、いたずら小僧のような目で笑うご主人の山崎直康さん。
名刺には、そう名前が書かれていました。
「山崎さん・・・、それで 『山どん』 ですか?」
僕は、ご主人の子供の頃からのアダナだと思いました。
「いえ、違います。だって私の旧姓は笠原ですから。宿は結婚する前からあります」
とのこと。
“山崎” とは、奥様の姓だったようです。
でも、ご主人は片品生まれの片品育ち。
しかも、昭和50年代から母親とともに農家民宿を営んでいます。
「当初から 『山どん』 ですか?」
「はい、民宿の頃から 『山どん』 です」
「ご主人は猟をしますよね」
「ええ」
「それで、ドーン(鉄砲の音)?」
「残念、違います」
「んーーーー、もう降参です。教えてください」
と、僕は、問答に負けてしまいました。
「山に来たら、お客様にドンになってくださいという意味です」
「ドン?」
「そう、石野真子ですよ」
「石野真子?・・・ああ、私のドンですね」
「当たりです」
と言って、ご主人は豪快に笑い飛ばしました。
お客様は神様=ボス(ドン)。
「だから、ここに来たら、大らかに自由気ままに振る舞ってください」 という願いが込められているとのことでした。
「まあ、私も好きなほうですから、一緒に飲みながら話しましょう!」
と言って、厨房から一升瓶を抱えてきたご主人。
手には、升とコップが握られていました。
トク、トク、トク……
地酒が升に入ったコップに注がれていきます。
「まずは、乾杯! 忙しいところ、取材に来ていただきありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ、お世話になります」
そして昨晩は、夜が更けるまで “取材” という名の宴が続いたのでありました。
Posted by 小暮 淳 at 19:44│Comments(0)
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