2016年04月13日
重版祈願
好きな女優の一人に、黒木華(はる) さんがいます。
デビューしたての頃は、とっても地味な存在でしたが、その演技力の高さからメキメキと実力を上げて、今では主要な映画やドラマに欠かせない若手女優であります。
映画 『舟を編む』 や 『小さいおうち』 などの出演で知られるようになりましたが、僕が “黒木華” という名前を覚えたのは、『天皇の料理番』 というテレビドラマでした。
主人公を陰で支える妻の役でしたが、そのなんとも言えない柔らかさ! 清楚で可憐な雰囲気に魅了され、一気にファンになりました。
今どきの若い女優にはない、独得の落ち着いた存在感があります。
「なんて昭和っぽい娘なんだろう」
それが、僕の第一印象でした。
きっと、僕世代から上の男性には、絶大な人気があると思います。
「息子の嫁にしたい」 そんな感覚なんでしょうね。
今週から彼女の初主演ドラマが始まりました。
『重版出来!(じゅうはんしゅったい)』 TBS系
出版社で働く体育会系の新人編集者役です。
今までにない、コミカルでパワフルな天真爛漫な役所は、彼女の演技の幅を広げ、新たなファンをつかんだと思います。
もちろん、僕もますます好きになり、毎週火曜日の夜10時が楽しみになりました。
さてさて、タイトルの 『重版出来!』 ですが、完全なる業界用語であります。
「重版」 とは書籍など出版物の刷り版を重ねることで、増刷のこと。
「出来」 とは、その製品ができあがることです。
まあ、編集や出版に関わっている人間にとっては、出世よりも昇給よりも、魂を揺さぶられる特別な “祝い事” なのであります。
そりゃ、そうですよね。
汗水たらして、産む苦しみの後に世に出した作品が、一過性のもとして消えることなく、継続して世に残り続けるのですから、これ以上の喜びはありません。
本音を言えば、初版よりも “重版出来” のほうが喜びは大きいのであります。
かく言う僕も、業界のはしくれにいます。
文筆業を生業にしている者として、重版はこの上ない喜びであり、勲章のようなもの。
もしくは、一度その感動を味わったら中毒から抜け出せない禁断の蜜の味なのであります。
そんな禁断の蜜の味を、おかげさまで僕も何度か体験しています。
拙著の 『ぐんまの源泉一軒宿』 で3回(4刷)、『ぐんまの里山てくてく歩き』 で1回(2刷) の増刷がありました。
やはり出版社から、その知らせを受けた時は、飛び上がるほど嬉しいものです。
ここ数年、増刷の話はありませんが、そろそろあの蜜の味が恋しくなっています。
来月には、新刊が出版されます。
久しぶりに感動を味わいたいものです。
Posted by 小暮 淳 at 20:53│Comments(0)
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