2017年03月19日
金があったらバチが当たる
「幸せになっちゃダメ! 小暮さんはアウトローなんだから!!」
突然、カウンター席の隅で、ヨッパライが大声を上げました。
馴染みの居酒屋での常連客とのざれ言です。
それまで僕は、ママと両隣の客と、僕の私生活について話していました。
息子が先日、結婚したこと。
今年は、2人目の孫が産まれてくること。
どこにでもあるような普通のオヤジの世間話であります。
でも、それが彼には面白くなかったんでしょうな。
「不真面目に生きている小暮さんが、真面目に生きている自分たちと変わらない平凡な暮らしをしているなんて許せない」 と思ったのでしょう。
言われた本人でさえ、「だよね、ゴメン」 と素直に納得してしまいました。
彼は僕と同世代。
でも、かたや某有名企業のエリートサラリーマンです。
“アウトロー” の僕には、計り知れない苦労と屈辱のイバラの道を歩んで来たことでしょうね。
「それじゃ、不公平だろう!」 という怒りの声が、悲しい嘆きとなって僕の胸に刺さりました。
その翌日。僕は同じアウトロー(自営業) の友人を訪ねました。
「そりゃあジュンちゃん、無理もないよ。オレたちは社会の落ちこぼれなんだから。甘んじて、その言葉を受けなくっちゃ」
そう言うのであります。
彼は、小さいながら工房を構える一国一城の主。
たった1人で、独自の世界を生きてきました。
それでも私生活では持ち家に住み、2人の子どもを立派に成人させています。
ただし僕同様、昔も今も “貧乏” の二文字に縛られて暮らしています。
「それってさ、昔、ジュンちゃんのオヤジが言ってたセリフと同じだよね。『これで金があったらバチが当たる』 っていう言葉。今じゃ、オレの座右の銘だものな」
『これで金があったらバチが当たる』
そうなんです。
人生を好き勝手に生きてきたオヤジの口ぐせなんです。
するとオフクロは必ず、こう返していました。
「そうですよ。おとうさんは好きなことだけして生きてきたんだから、お金のことは言ってはいけませんよ」 と。
幸せとは、他人を羨ましがらずに暮らすことなのかもしれませんね。
Posted by 小暮 淳 at 20:51│Comments(0)
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