2017年05月03日
いとしのシュンラン
<物心がついた頃から、山を歩いていた記憶がある。それは父が 「日本野鳥の会」 の会員だったことも大きく関係しているような気がする。今はもうない、生家の廊下には、つねにリュックが掛かっていた。休日の朝、晴れていれば、山がその日の小暮家の遊び場となった。(中略) この金のかからない遊びは、大人になって、自分が家族を持ってからも続けられた。我が家の子どもたちは、3歳になれば “山デビュー” をさせた。>
『ぐんまの里山てくてく歩き』(上毛新聞社) より
いつしか、趣味が仕事になっていました。
でも、相変わらず高山は苦手で、低山ばかり歩いています。
理由は、たった1つ!
極度の高所恐怖症だからです。
吊り橋、岩場、ハシゴやクサリは、ご法度です。
しかも下山後は、必ず酒が飲みたくなるという中毒症状が現れる、やっかいな登山者なのです。
となれば、クルマは使えません。
帰りのことを考えれば、当然ですが電車やバスの公共交通機関を利用するしかありません。
ということで昨日は、低山のメッカ、埼玉県の外秩父の山をいくつか縦走してきました。
降り立ったのは、JR八高線の小川町駅。
小川町は、「武蔵の小京都」 と呼ばれる美しい町です。
古い町並みを抜けて、最初に目指したのは標高299mの仙元山。
そう、ハイカーの間では、“早春の貴婦人” とも称されるシュンラン(春蘭) が咲くことで知られる人気の里山です。
僕も過去に、この山で、その美しい淡黄緑色した花を見たことがあります。
でも花が咲くのは、3~4月です。
運が良ければ見られるかもしれませんが、少し時季が遅すぎます。
また、地元の人の話では、心無いハイカーたちにより、だいぶ盗掘されてしまっているようです。
でも、でもでもでも、会いた~い!
そんな熱烈な思いが通じたのでしょうか!?
山頂付近の山桜の根元の陰に、ひっそりと隠れるように一輪、咲いていたのです。
その清楚で可憐な姿は、
「あなたが来るのを、こうして、ここで待っておりました」
と言わんばかりであります。
「おお~、いとしのシュンランちゃん!」
長年、離れ離れに暮らしていた恋人に会ったようで、大声を上げて狂喜乱舞してしまいました。
神様は、いるんですね。
仕事だけど、最高のゴールデンウィークとなりました。
もちろん下山後は、駅前の居酒屋に駆け込み、カメラマン氏と祝杯を上げたことは言うまでもありません。
「シュンランとの再会に乾杯!」
来年も、会いに来るからね。
Posted by 小暮 淳 at 18:56│Comments(0)
│取材百景