2017年09月13日
思わぬ伝言
『ぐりとぐら』 『かえるのえるた』 『ちいさなおうち』 『シナの五人きょうだい』……
もう50年以上も昔のことなのに、すらすらと題名が出てきます。
絵本というものは、そういうものなんですね。
みなさんにも、きっと “心に残る絵本” があるはずです。
先日、行きつけの薬局に行ったときのことです。
顔見知りの薬剤師さんから、
「小暮さん、I さんという女性を覚えていますか?」
と、声をかけられました。
「……」
「『誕生日の夜』 を読み聞かせしている人です」
「はいはい、覚えていますとも。手紙をいただきましたから!」
もう5年以上も前の話です。
この薬局を利用している女性が、待合室に置いてあった僕の絵本 『誕生日の夜』 に感動してくださり、手紙をくださったのです。
彼女は小学校の元教師で、そのときは学童保育で絵本の読み聞かせをしていました。
<最初は1年生だけに読み聞かせていたのですが、反響が良かったので、他の学年の児童にも読んであげています>
という内容の手紙でした。
※(当ブログの2012年3月8日「『誕生日の夜』が小学校で…」 参照)
「小暮さんに、お会いしたがっていましたよ」
「どんな方か、僕もお会いしたいですね」
「なんでも、学童で育った子どもたちが、卒業後に “心に残る絵本” として、小暮さんの 『誕生日の夜』 を挙げているらしいですよ」
「えっ、本当ですか!」
薬局を出た後、僕は、しばらく道端で立ち止まってしまいました。
見る見るうちに、目頭が熱くなってきたからです。
うれしくて、うれしくて、体まで震えてきました。
あれから5年……
I さんは人知れず、ずーっとずーっと、『誕生日の夜』 を子どもたちに読み聞かせ続けていたのですね。
“感謝” などという薄っぺらい言葉では、言い表わせない感動が全身を突き抜けていきました。
たかが絵本、されど絵本なんですね。
15年前に、自費出版で世に出した小さな小さな絵本です。
I さん、ありがとうございます。
あなたがいたから、たくさんの子どもたちの心に、僕の絵本が届きました。
いつかきっと、直接お会いして、お礼を申し上げます。
本当に、本当に、ありがとうございます。
※『誕生日の夜』 は、当ブログ内のカテゴリより全文を閲覧することができます。
Posted by 小暮 淳 at 17:14│Comments(0)
│誕生日の夜