2018年12月04日
ダチョウ倶楽部じゃあるまいし
「押すなよ! 絶対に押すな!」
思わず、叫んじゃいました。
なんだか、ここのところ熱湯風呂づいています。
先月の湯宿温泉(みなかみ町) に続いて、今月は草津温泉であります。
しかも同じ雑誌の連載取材です。
これは担当編集者の僕に対するいじめ、パワーハラスメントに違いありません!
ということで、昨日は早朝より草津温泉の 「大滝乃湯」 にて、入浴シーンの撮影がありました。
僕が入る浴槽は、名物の 「合わせ湯」 です。
一般的に 「合わせ湯」 というと、異なる泉質の温泉に複数回入ることをいいますが、ここの 「合わせ湯」 は泉質ではなく、温度の異なる温泉のことをいいます。
大きな浴場には、5つの浴槽があります。
時計回りに、39度、42度、44度、45度、46度。
僕は自他共に認める “ぬる湯” 好きです。
ふだん41度以上の湯には入らない、“ネコ肌” なのであります。
当然、カメラマンも知っています。
だから僕は、迷わず39度の浴槽に入りました。
う~ん、ちょうど良い!
これならば多少、撮影が長引いても大丈夫です。
リラックスしながらカメラのスタンバイを待っていると……
「小暮さん、そっちはアングル的にダメですね。こちらの手前の浴槽でお願いします!」
と声がかかりました。
振り返ると、カメラマンと担当編集者が、意地悪そうな笑いを浮かべてるではありませんか!!
手前の浴槽は、45度です。
あの2人は結託して、僕が “ネコ肌” と知っていながら、陥れようとしているのです。
まるで、罰ゲームのように。
「マジかよ!? わざと熱い湯に入れさせようとしてない?」
「いえいえ、本当なんです。レイアウトと光の加減が、こちらのほうがいいんです」
もう、こうなりゃ、プロの心意気を見せてやるぞ!
と、足の先を入れた途端、
「アチ、アッチィーーーーー!!!」
ダメだこりゃ、無理だよ。
でも、プロとしての意地もある。
「小暮さ~ん、いつでも、どうぞ! 準備オーケーでーす!」
と言われたって、こっちは心の準備も体の準備もまだなのです。
「押すなよ! 絶対に押すなよ~!!」
と叫びつつも、自ら45度の浴槽にドボ~ン!
「いいですね、もう少し横向いてください。はい、いただきました。今度は、少し前に移動してください」
カメラマンの調子にのせられて、浴槽の中を動くのですが、そのたびに脳天に向かって、ジンジンとしびれるような熱さが全身を駆け上っていくのです。
「はい、もうワンカットです。ありがとうございます。もう、いいですよ。ご苦労さまでした」
瞬時に浴槽を飛び出し、脱兎のごとく脱衣場へと逃げ去ったのであります。
終了後、
「ありがとうございました。おかげさまで、いい写真が撮れました」
と担当編集者が言うものだから、僕も言ってやりました。
「聞いてないよーーー!」
Posted by 小暮 淳 at 13:41│Comments(0)
│取材百景