2019年02月27日
湯宿温泉 「太陽館」③
僕が講師を務めているNHK文化センター前橋教室主催による野外温泉講座 「名湯・秘湯めぐり」。
今年度で開講10周年を迎えています。
毎月、前橋駅と高崎駅からバスを出して、群馬県内外の温泉地を訪ねています。
2月講座日の昨日は、群馬県みなかみ町の湯宿(ゆじゅく) 温泉へ行ってきました。
この講座で湯宿温泉を訪ねるのは3回目です。
毎回、違う宿にお世話になっています。
かつて三国街道の宿場町だった湯宿温泉は、旅人や湯治客で大変にぎわっていました。
戦前までは20軒近くの宿がありましたが、現在は5軒の旅館が共同で源泉を守りながら商いを続けている小さな温泉地です。
国道と並行して石畳が続く、細長い温泉街の一番西の端に 「太陽館」 はあります。
「ご無沙汰しています。その節は、お世話になりました」
4代目女将の林せつ子さんが、一行を出迎えてくれました。
僕が太陽館を訪れるのは、約6年半ぶりです。
最後に女将さんにお会いしたのは、確か新聞記事の取材でした。
当時、僕は朝日新聞に 『湯守の女房』 というタイトルのエッセイを連載していました。
旅館の創業は明治初期。
初代が 「すみよしや」 という屋号で開業しました。
「太陽館」 を名乗るようになったのは2代目からです。
改名の理由は、源泉の効能にありました。
昔から湯量が豊富なことで知られ、旅人たちの疲れた体を “春の日だまりの太陽” のように芯から温めたことから 「太陽の湯」 と呼ばれていたといいます。
筋肉痛や疲労回復に効果があることから、アスリートたちからも愛されてきました。
その代表選手が、マラソンの瀬古利彦氏です。
早大競走部時代から、毎年合宿に訪れていた宿としても全国的に有名になりました。
同館自慢の大浴場は、その名も 「太陽の湯」!
浴槽内は、湯の流れを計算した実に良くできた造りをしています。
熱い源泉を注ぎ込む湯口が奥にあり、中ほどが適温、手前のオーバーフローされる湯尻付近はぬるめになっています。
「先生、いい湯ですね」
「本当に芯から温まりました」
と口々に感想を述べる受講生たち。
「汗が止まりません!」
と言って、湯上がりにTシャツ姿で生ビールを飲み干してみせた生徒さんもいました。
「Tシャツっていうことはないでしょ!」
誰かに突っ込みを入れられ、昼食会場は爆笑となりました。
いい湯、いい宿、いい旅
温泉めぐりの旅は、今年も始まったばかりです。
Posted by 小暮 淳 at 11:03│Comments(0)
│温泉地・旅館