2019年05月20日
素敵な世の中
『注文の多い料理店』 といえば、ご存じ、宮沢賢治の名作です。
どうみても、これをパロったとしか思えない 『注文をときどき間違える料理店』 というレストランがオープンするという新聞記事を読んで、思わず笑ってしまいました。
新聞の記事で笑えるなんて、なんて素敵ことでしょうか!
<認知症の人が接客する “1日限定” のレストランが26日、大津市の和菓子店 「叶匠壽庵・壽長生の郷」 でオープンする。頼まれた注文を忘れたり、できた料理を別のテーブルに運んだりしても、笑顔で 「ま、いっか」。誤りや違いを温かく受け入れる社会なら、認知症の人も働くことができる──。願いを込めた店の名前は 「注文をときどき間違える料理店」。> 2019年5月18日付の読売新聞夕刊より
主催するのは、認知症介護指導者が代表者を務める介護関係者のグループ。
同様の取り組みが、認知症への理解が広がることを目的に、2年前から東京で始まり、現在は全国各地に広がっているといいます。
当日は、若年性を含む80歳代までの認知症の人が約10人、ウェーターを務めながら注文の聞き取りや配膳などをします。
店内では、注文を間違っても良いことになっていますが、家族や介護スタッフが付き添ってサポートするとのこと。
ここまで読んで、もう笑いがこらえられなくなってしまいました。
だって、僕の頭の中には、死んだオヤジがエプロンをして、トレーを片手で持ちながら、店の中をウロウロと徘徊している動画が映し出されていたのです。
「えっ、なんですか? 聞こえませんねー。もーいちど、いいですか?」
なんて、何度も何度も注文を聞き返しています。
きっと、しまいには、お客さんに運ぶはずの料理を、我慢できなくて途中で食べてしまうことでしょうね。
記事の最後は、主催者のこんなコメントで締めくくられていました。
<ちょっとしたミスにも優しい社会には、認知症になっても活躍できる場所がきっとある。>
便利にはなったけれど、なにかと世知辛い世の中であります。
でも、このように人のミスを笑って許せる場所が、もっともっと増えていけば……
きっと令和は、素敵な世の中になると思うのです。
Posted by 小暮 淳 at 11:35│Comments(0)
│つれづれ