2019年11月27日
万里の長城を越えた人たち
“縁は万里の長城を越えてやって来る”
中国の古いことわざです。
縁のない人は、袖が触れ合っても行き違います。
でも縁のある人は、わざわざ万里の長城を越えてでもやって来るといいます。
僕は常々、“縁” は偶然ではなく、必然だと思っています。
会いたいと願う強い気持ちが、双方を引き合います。
たまたまの出会いなんて、世の中にはないんじゃないかと……
たとえば、著者と読者の関係です。
もし僕が本を著していなかったら出会えなかった人たちが、たくさんいます。
カメラマンやデザイナー、出版社や雑誌社、新聞社の方々。
本が話題になれば、テレビ局やラジオ局の方々との出会いもあります。
でも、この人たちとは直接、顔を合わせて仕事をしますから、ある意味、必然性の高い出会いかもしれません。
著者にとって一番遠い存在が、目には見えない読者です。
著書に限らず、新聞や雑誌に僕が書いた記事は、どんな人が読んでいるんだろう?
目には見えない人たちに向けて、僕は何十年と文章を書いています。
まれにですが、出版社や新聞社に、感想などの手紙やメールをいただくことがあります。
必ず返事を出すようにしていますが、それでも顔は見えません。
まして、人となりなんて、知るよしもありません。
時々、講演会などで声をかけていただくことがありますが、やはり、その場だけの一過性の出会いです。
ところが世の中には殊勝な読者が、極まれにいらっしゃいます。
講演会やセミナーに来てくださり、その後もマメに僕とコンタクトを取って、同じ熱心な読者とのネットワークも作ってくれました。
これが 「弟子の会」 です。
結成は2016年11月。
以後2ヶ月に1回、飲み会を開いて、僕を呼んでくださり、コアな温泉談義を続けています。
今月で満3周年を迎えました。
数えること、回数にして19回目の 「弟子の会」 です。
今回から新メンバーが加わりました。
彼女もまた、万里の長城を越えて会いに来てくれた人の1人です。
東京都からの参加です。
僕の著書との出合いは、すでに絶版となっている 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) だったといいますから、かれこれ10年の読者歴になります。
この間、僕の本を参考にして、東京から足しげく群馬の温泉をめぐってきたといいます。
このブログにも読者登録をして、毎回読んでくださっているとのことでした。
でも、ここまでなら、どこにでもある著者と読者の関係です。
ところが今年になり、突然、彼女から手紙が届きました。
僕はホームページを持っていませんから住所もメールも電話番号も明かしていません。
ので、一般の人からの連絡は、一切取れないようになっています。
彼女は、手紙を出版社へ送ったのです。
そして、出版社から僕の元へ届きました。
しばらくはメールのやり取りが続きました。
そんな中で、「弟子の会」 の話題になりました。
「ご迷惑でなければ、ぜひ参加させてください」
との連絡をいただいたのが、きっかけでした。
他の “弟子たち” の了承を得て、昨日、初めての出会いが実現しました。
会場は、ご存じ、酒処 「H」。
カウンターだけの小さな居酒屋ですから、ほぼ貸切状態でした。
7時間にわたる長い長い宴でしたが、新旧 “弟子たち” も和気あいあいで、それはそれは楽しい時間でした。
“縁は万里の長城を越えてやって来る”
つくづく、そう感じた素敵な夜でした。
みんな、ありがとう!
Posted by 小暮 淳 at 12:35│Comments(0)
│酔眼日記