2020年04月29日
コロナウルスの逆襲 ~世紀の対決②~
【前回までのあらすじ】
人類滅亡をたくらむ新型コロナウイルスの化身 「疫病魔コロナウルス」 と、江戸時代に疫病から人々を救ったといわれる伝説の妖怪アマビエの子孫 「妖獣アマビエラ」 の世紀の一戦。
コロナウルスのタックルをかわしたアマビエラは、自慢の長い髪でコロナウルスを捕らえ、鋭いくちばしで脳天攻撃を続けた。すると、パックリと割れたコロナウルスの頭からは見たこともない動物たちが次から次へと飛び出した。それらは、すべて人類が絶滅に追いやった野生生物たちだった。
※(当ブログの2020年4月10日 「コロナウルスVSアマビエラ」 参照)
<アナウンサー>
動物たちの動きが、なんだか変ですね?
<解説者>
ええ、リング中央のコロナウルスとアマビエラを囲むように、円陣を組み出しました。
なんとも不思議な光景です。
<アナウンサー>
あれ……、何か聞こえませんか?
<解説者>
動物たちが、口々に何か言ってますね。
<アナウンサー>
そのようですね。
なんと言っているのでしょうか?
NIN GEN NIN GEN……
<解説者>
「人間」 と言っているんですよ!
NIN GEN NIN GEN……
<アナウンサー>
その声を聞いて、リング上のアマビエラは、まるで金縛りに遭ったように、まったく動かなくなってしまいました。
NIN GEN NIN GEN……
<アナウンサー>
これは、いったい、どういうことなのでしょうか?
<解説者>
たぶん、「人間を出せ!」 というメッセージです。
我々の敵はアマビエラではなく、人間なのだと……
<アナウンサー>
テレビをご覧になっているみなさんは、すでにお気づきかと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、無観客試合で行っています。
我々もモニター観戦により中継をしていますから、会場には、まったく人間はいません。
<解説者>
きっと動物たちは、その不満を口にしているのです。
<アナウンサー>
自分たちを絶滅に追いやった人間を出せということですね。
<解説者>
アマビエラの先祖、アマビエにしても、実は人間が勝手に作り上げた妖怪なんです。
本来は 「天彦(あまびこ)」 が正しいのに、江戸の絵師が姿を描いたときに 「コ」 を 「エ」 と誤って表記してしまったんです。
<アナウンサー>
では、アマビエラのDNAの中には、人間に対する猜疑心があると?
<解説者>
たぶん今、アマビエラは、その葛藤に苦しんでいるのだと思います。
人間の味方をするべきかどうか……
NIN GEN NIN GEN……
<アナウンサー>
えっ……、何が起こったのでしょうか!?
動物たちが一斉に、頭上を見上げ出しました。
音が聞こえます!
バタバタバタ、バタバタバタ……
<アナウンサー>
羽音のようですね?
<解説者>
あっ、あれを見てください!
<アナウンサー>
鳥です!
大きな真っ黒な鳥です。
それも首が2つ、白と黒の双頭の鳥です!
<解説者>
あれは、「ヨゲンノトリ」 ですよ!
<アナウンサー>
ヨゲンノトリ?
<解説者>
アマビエと同じく江戸時代に、コレラの流行を予言したといわれる伝説の鳥です。
「信心する者は難を逃れる」 といわれています。
<アナウンサー>
なぜ、現れたんでしょう?
<解説者>
呼んだのですよ。
<アナウンサー>
誰が?
<解説者>
アマビエラです。
アマビエラは、人間を憎んではいなかったのです。
※この話は、僕が見た夢の続きで、すべてフィクションです。
Posted by 小暮 淳 at 12:20│Comments(0)
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