2020年09月27日
宮子の浦島太郎
<伊勢崎市宮子町を流れる広瀬川に架かる 「竜宮橋」 のたもとに、「竜神の森」 と呼ばれる小高い岩山があり、竜神様が祀られている。この岩山の下には深い淵があり、竜宮城へつながっているという。>
(『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』 より)
一昨年、僕は群馬県内の民話や伝説の舞台を集めた 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) という著書を出版しました。
発売当初から新聞やラジオなど各メディアが取り上げてくださったおかげで、話題となり、書店での売り上げも好調のようです。
特にコロナ禍の自粛影響もあり、手軽に身近な謎をめぐることができるガイド本として注目されたようで、出版元からは 「今年の春から急に売れ出した」 との報告もいただきました。
また昨年秋頃からは、民話をテーマとした講演依頼が入るようにもなりました。
長年、「温泉」 をテーマとした講演活動は続けてきましたが、まさか、「民話」 をテーマに話をするようになるとは……
人生は、いつ、なにが、どうなるのか、まったくもって予測不能であります。
先月、高崎市内の某公民館にて、「民話と伝説の舞台」 を演題としたセミナーがあり、僕が講師として招かれました。
本来は地域在住の高齢者向けのセミナーだったのですが、コロナの影響により年齢が下げられ、一般向けとなったため、受講者の年齢は幅広く、市外からの参加者もいました。
その中に一人、県外から参加してくださった僕と同年配の男性がいました。
とはいっても、素性を明かせば、僕の高校時代の同級生です。
以前、このブログにも登場したことのあるチンドン屋の座長さんであります。
※(2020年3月23日 「紙芝居がやって来た!」、2020年6月10日 「コロナ太郎に負けるな!」 参照)
なぜ、彼は遠路はるばる県外から僕のセミナーに参加したのか?
その答えは、セミナー終了後にありました。
「ジュン、久しぶり」
「今日はありがとう。よく来てくれたね」
「このあと、どこかで話せるかな?」
ということになり、ランチがてら近くのファミレスへと向かったのでした。
そして、そこで出た話題が、冒頭に記した伊勢崎市内に伝わる浦島太郎伝説でした。
伊勢崎は、彼が生まれ育った故郷なのです。
彼いわく、「ぜひ、この話を紙芝居にしたい」。
あれから1ヶ月……
僕と彼は、ひそかにメールのやり取りを続けました。
そして一昨日、作画を担当するイラストレーターを伴い、3人で現場の下見に行ってきました。
おりしも台風の影響で、関東地方は朝からあいにくの雨です。
しかも、僕らが竜宮の森に着いた時には、より雨足が激しくなっていました。
「こりゃ、なんだか、我々の訪問をはばんでいるようだな」
と、不安顔の彼。
だから僕は、言ってやりました。
「竜神様は、水の神様なんだよ。伝説でも、この森の上を竜が舞い、雷鳴がとどろき、激しい雨を降らせているんだ」
「だったら、これは歓迎されているのか?」
「そうだよ」
そして僕らは、森の中にある浦島太郎が祀られている龍神宮へ向かって歩き出しました。
謎学の旅は、つづく……
Posted by 小暮 淳 at 12:01│Comments(0)
│謎学の旅