2020年10月07日
しあわせの記帳音
このコロナ禍で、以前より生活が豊かになった人なんて、ほんの一握りなんでしょうね。
自営業者、サラリーマンを問わず、大多数の人が “コロナ不況” の中で、ジッと耐えていることと思います。
ご多分にもれず、この僕も、もがいています。
若い頃から貧乏には、めっぽう強い体力と精神力の持ち主なので、この程度の収入減など、屁とも思いませんが、やはり長引くと、生活のそこかしこに影響が出てきます。
その筆頭が、酒です。
完全に止めるわけにはいきませんから、毎日の晩酌の質と量をひかえるようにしています。
発泡酒を第3のビールに、2合を1合にして、僕なりの自粛をしています。
でも本音を言えば、もっと呑みたい!
しかも、できれば、家ではなく外で!
そんな時、唯一の救いは、フリーランスならではの、「忘れていた入金」 の存在です。
僕の場合、ライターの仕事以外に、講演やらテレビ出演やら額は小さいのですが、時々イレギュラーの収入があります。
これって、請求書を上げるわけではないので、忘れたころに振り込まれていたりするわけです。
だから……
ガチャガチャ、ガチャー、ガチャガチャ、ガチャー
銀行のATMで記帳音を聞いた時の、喜びようったらありません。
「うぉっ、忘れていた。今頃、入っているよ。こりゃ、天からのおぼしめしだ! よし、呑みに行こう!」
ということになるわけです。
ある意味、生活費としては予定していなかった臨時収入ですからね。
パーッと、使っちまったほうがいいわけです。
で、僕は、迷うことなく、直行するわけです。
どこへって、もちろん、我らの秘密基地、酒処 「H」 であります。
まだ陽のある午後5時前。
一番乗りをしてカウンターのいつもの席に座れば、これまた、いつものママの笑顔が出迎えてくれます。
「あれ、もしかして?」
「そう、もしかして」
「音がした?」
「音がした」
ガチャガチャ、ガチャー、ガチャガチャ、ガチャー
心地よい機械音が、僕の頭の中をめぐります。
「では、カンパイ!」
庶民のささやかな贅沢、至福の時間の始まりなのです。
Posted by 小暮 淳 at 10:22│Comments(0)
│酔眼日記