2021年02月10日
消えた日本一
30年以上も昔のこと。
昭和の終わりに、群馬県内のある場所が、“日本一” だということで、マスコミにもてはやされたことがありました。
当時、タウン誌の記者をしていた僕もカメラを片手に、すっ飛んで行った記憶があります。
「さて、しばらく噂は聞かないけど、今は、どうなっているんだろう?」
と思い、ネットで検索をしてみると……
「あれれ?」
いくつかの記事は見かけますが、“日本一” をうたっていません。
「これは、どういうことだ? この30年間で、あの町に、いったい何が起こったのか?」
そう思ったら、もう居ても立っても居られません。
「謎学ハンター」 の血が騒ぎ出しました。
ということで、カメラマンを連れて、現地を訪ねてきました。
すると!
あれから、思わぬ騒動が勃発していたことが分かりました。
群馬県某所。
まずは、30年前に訪れたことのある “現場” を訪ねました。
大きい! 見上げるほどの大きさで、そびえ立っています。
その姿は、30年前と変わりありません。
でも……
ないのです!
何がないって、町に入ってから、この場所に来るまで、一切、観光の案内看板がないのです。
30年前は、凄かったですよ!
新聞や雑誌、テレビまで来たのですから、その後、完全に町一番の観光名所となり、 “日本一” の文字が町中に躍っていたのです。
なのに、まったくありません。
さらに不思議だったのは、町の中だけでなく、現地の案内板からも、その名前が消されていました。
「これは、絶対、何かある!」
と感じた僕は、まず町の観光案内所へ行きました。
すると……
案の定、すべての観光パンフレットから、“その名” は消されていました。
「じゃあ、役場へ行こう!」
とカメラマンの車に飛び乗りました。
「役場って、どの部署でしょう? 観光課ですか、文化財? いや教育委員会ですかね?」
カメラマンの問いに、
「どこでもいいよ。片っ端から訪ねてみよう!」
その結果……
「あっ、……少々、お待ちください」
「ああ、それはですね……」
どこも奥歯に物がはさまったような対応です。
「絶対に知っていますよ。なのに隠している」
「だね、みんな名前 (日本一の名称) を言うと、顔が引きつったものね」
そして、待たされること約5分。
若い職員が出てきて、こう言いました。
「その件は直接、○○さん (土地の所有者) に聞いてください」
もちろん僕らは、○○さんの自宅を探し出し、その足で訪ねました。
そこで知らされた事実は……?
申し訳ありません。
せっかくカメラマンを連れて取材をしてきたのですが、記事としての掲載を断念しました。
もちろん、このブログにも書くことはできません。
では、この30年の間に何が起こったのか?
まず、“日本一” ではなかったこと。
(マスコミが、あおり過ぎたようです)
そして、権利をめぐり、制作者と地主と町が三つ巴の争いになり、「すべては無かったこと」 にしたようであります。
よって、裏話としては大変面白いのですが、ライターとして、このことを表に出すことはあきらめました。
でも、講演ならば大丈夫かも?
いつか、みなさんの前で、“消えた日本一” のてん末を、面白おかしくお話しできる時が来るかもしれません。
その日まで、封印いたします。
Posted by 小暮 淳 at 13:21│Comments(2)
│取材百景
この記事へのコメント
久しぶりに興奮しています。
レポートの最初から最後までワクワクしながら読みました。
友達にも内緒の話として教えます・・・・・・?
レポートの最初から最後までワクワクしながら読みました。
友達にも内緒の話として教えます・・・・・・?
Posted by 気まぐれ爺さん at 2021年02月11日 09:06
気まぐれ爺さんさんへ
毎度、ご愛読いただき、ありがとうございます。
もちろん、“内緒の話” で、お願いします。
それにしても、「書きたい!」 と思った謎の真相でした。
毎度、ご愛読いただき、ありがとうございます。
もちろん、“内緒の話” で、お願いします。
それにしても、「書きたい!」 と思った謎の真相でした。
Posted by 小暮 淳 at 2021年02月11日 17:06