2021年02月18日
温泉考座 (69) 「美人の湯めぐり」
以前、「日本三美人湯」 と呼ばれる温泉があることを書きました。
※(2020年8月6日、温泉考座16 「4つある三美人湯」 参照)
龍神温泉 (和歌山県)、湯の川温泉 (島根県)、そして群馬県の川中温泉 (東吾妻町) です。
3つの温泉の泉質は異なりますが、共通する美肌作用の条件は、弱アルカリ性でナトリウムイオン、カルシウムイオンを含んでいること。
とりわけ川中温泉はカルシウムイオンが多く、湯上りはベビーパウダーを塗ったようなスベスベ感があると評判です。
これとは別に 「三大美人温泉」 といわれる泉質の湯があります。
古い角質をやわらかくする炭酸水素塩泉、高い保湿効果を持つ硫酸塩泉、紫外線から肌を守る作用のある硫黄泉です。
また水素イオン濃度 (pH) の高いアルカリ性単純温泉は、トロンとしたローションのような浴感があることから 「美人の湯」 と呼ばれ、女性に人気の温泉です。
ちなみにpH6以上7.5未満を中性泉、それ未満を酸性泉。
7.5以上8.5未満を弱アルカリ性泉、それ以上をアルカリ性泉といいます。
群馬県北部、利根川上流に位置するみなかみ町には、なぜか、このアルカリ性泉単純温泉が多く点在しています。
上の原(うえのはら)温泉はpH9.1という強アルカリ性で、湯上りの肌がツルツル、スベスベになることから 「美肌の湯」 とも 「ツルスベの湯」 とも呼ばれています。
向山(むこうやま)温泉はpH9.2、保湿効果があり、肌にうるおいを与えることから 「若返りの湯」。
真沢(さなざわ)温泉は驚異のpH9.6を誇り、化粧品の成分として使用されているメタけい酸を多く含んでいるため、地元では 「美人の湯」 の愛称で親しまれています。
また 「三大美人温泉」 の1つ、硫酸塩泉が湧く上牧(かみもく)温泉も昔から 「化粧の湯」 と呼ばれてきました。
みなかみ町に限らず、県内には 「仕上げ湯」 や 「なおし湯」 といわれてきた、肌にやさしい、やわらかい泉質の温泉がたくさんあります。
寒さが増し、ますます温泉が恋しくなる季節です。
美肌効果を求めて、“美人の湯めぐり” を楽しんでみてはいかがですか。
<2014年11月12日付>
Posted by 小暮 淳 at 17:22│Comments(0)
│温泉考座