2021年02月21日
カメラマンの目
<さすが、記者のカメラじゃないよなぁ>
地元紙に記事が掲載された日の午前中、“彼” を知る友人から早々にメールが届きました。
そう言われて、朝刊を広げると、確かに他の紙面の写真とは、一見して分かる “画力” を放っていました。
先月末、伊勢崎市の神社で催された 「神社かみしばい」 の記事です。
当日は、『いせさき宮子の浦島太郎』 という、ご当地民話の初披露がされ、新聞やテレビなどの地元メディアが多数、取材に駆けつけてくれました。
出典が拙著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) ということもあり、物語 (文) は僕が書きました。
で、翌日、某紙に掲載された新聞記事の写真が、他紙に比べ、ダントツのリアリティーをもって、場の雰囲気を伝えていたのであります。
その写真を撮った “彼” とは、僕の中学~高校時代の同級生です。
また、紙芝居を口演した、ちんどん芸人も同じ高校の同級生です。
彼は現在、地元新聞社のカメラマンをしています。
若い頃は東京へ出て、フリーのカメラマンとして活躍していました。
結婚と同時に帰郷し、地元の新聞社の写真部に就職しました。
あれから30余年。
彼は組織の中であがきながらも、カメラだけは手放しませんでした。
部署は転々としましたが、それでも 「ここぞ」 という記事では、彼の写真が名入りで掲載されました。
僕の同級生ですから、すでに彼は一度、定年退職しています。
でも彼は定年間際に、自ら役職を捨て、「最後はカメラマンとして終わりたい」 と所望し、人生のスタート地点である写真部に戻りました。
そして定年。
さらに再雇用となり、現在は若手の育成に尽力しています。
その彼が、「同級生2人が演じるならば」 と、記者とは別に、わざわざカメラを手に、やって来てくれたのです。
「悪いね、わざわざ巨匠に来ていただいちゃって(笑)」
と言えば、
「相変わらず、お前らはヤンチャだな(笑)」
と返された。
高校時代の “3馬鹿トリオ” は、今も健在です。
そんな彼が撮った写真には、その日のドラマが、すべて映り込んでいます。
紙芝居を語る演者の姿、それを食い入るように見つめている子どもたち。
さらに、この場が神社の境内であることが、ひと目で分かるように社殿や灯ろうまでもが、きっちりフレームに納まっています。
さすが、臨場感があります。
ともすると、紙芝居のアップ写真だけになり、“開催された” という報告だけになりがちです。
でも彼の目線は、限られた新聞記事の紙面では表現しきれない細部の描写までも、1枚の写真に収めているのです。
我が同級生ながら、見事としか言いようがありません。
まさに、職人技であります。
つくづく、歳は重ねるものだと知らされました。
彼を見習い、人の心に届く仕事をしていきたいものです。
Posted by 小暮 淳 at 11:48│Comments(0)
│神社かみしばい