2021年04月12日
99%の嘘と1%の真
昨日は、月に一度の 「神社かみしばい」 の上演日でした。
風もなく、春の日差しが、たっぷりと注ぐ、穏やかな紙芝居日和で、たくさんの方が来社(場)してくださいました。
『いせさき宮子の浦島太郎』
これが月一回、伊勢崎神社で上演している紙芝居の演題です。
海のない群馬県に、なぜ、浦島太郎の伝説があるのか?
まさに、この “謎学の旅” が、僕のライターとしての取材のライフワークとなりました。
そして10年間続けた旅の節目として出版されたのが、『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) でした。
2018年8月の出版以降、僕は著書をテーマにした講演活動を続けています。
「民話や伝説は何を伝えようとしているのか?」
この演題には、長めの副題 (サブタイトル) が付いています。
~99%の嘘と1%の真~
舞台がある限り、謎は解ける!
ちょっと大げさなタイトルですが、講演では、まず民話や伝説のウソの部分に触れます。
いったい荒唐無稽な話は、どのように誕生したのか?
みなさんは、子どもの頃にやった 「伝言ゲーム」 という遊びを覚えていますか?
まず先生 (出題者) が紙に書かれている話を、他の子に聞こえないように最初の子の耳元で伝えます。
例えば、
<よしお君はお母さんに、八百屋でトマトとキャベツとニンジンを肉屋でコロッケとハムカツとカレー肉200グラムを買って来るように頼まれました。>
という伝言文があるとします。
この伝言文が、2人目、3人目と伝わるうちに、少しずつセンテンスが書き換えられていきます。
よしお君→まさお君
ニンジン→ジャガイモ
200グラム→500グラム
のように変化し、10人目の子が届いた伝言文を発表する頃には、まったく別の話になっていたりします。
これが民話や伝説の伝承システムです。
いわゆる 「口承」 といわれるものです。
現代のように文字やデータで残ってはいませんので、私たちにたどり着くまでに先人たちの多大なる “創作” の手が加わっているということです。
そこで!
99%の嘘 (創作) の中にある1%の真 (事実) を探すのが、“謎学の旅” の妙味なのであります。
そして、その謎を解くカギは、舞台にあります。
伝言ゲームの例題でいえば、よしお君のお母さんが居た場所です。
そして、よしお君が買い物に行った商店街探しです。
『いせさき宮子の浦島太郎』 にも舞台があります。
その舞台は今もあり、地名としても残されています。
では、この話のどこまでが “嘘” で、どの部分が “真” なのか?
ぜひ、みなさんの目で耳で確かめに来てください。
次回の 「神社かみしばい」 は、5月30日に上演いたします。
Posted by 小暮 淳 at 09:53│Comments(0)
│神社かみしばい