2021年07月21日
扇風機にリボン
最近は、扇風機がない家庭が増えているんですってね。
昨日は、久しぶりに愉快な仲間が集まりました。
「弟子の会」 の面々です。
「弟子の会」 とは、ひと言でいえば、温泉好きの集まりです。
きっかけは、僕の講演やセミナー、教室の受講生、著書やブログの読者が横の連絡を取り合い、僕のことを “先生” とか “師匠” とか勝手に呼んで、僕を出しにして集い、酒を呑もうという会であります。
会場は、いつものたまり場、酒処 「H」。
平日ですから出席は、三々五々であります。
一番早い人 (僕) は、午後4時前からカウンター席で、だらだらと呑み始めます。
最後の人は、仕事を終えてですから午後8時近くからという自由参加です。
昨日は、僕を含めて5人のメンバーが揃いました。
メンバーは全員が昭和生まれです。
それも昭和30~40年代ということもあり、いつしか話題は、古き良き “昭和の風物詩” で盛り上がり出しました。
「風鈴が、今は騒音だっていうんだからね」
「そういえばスズムシの鳴き声を聴かないけど、まだ飼っている家ってあるのかな?」
「金魚て、飼い続けると、すごーく大きくなっちゃうって知ってる?」
「蚊帳って楽しかったよね。でも今思えば、窓全開にして寝ていたんだよね。防犯的に、どうだったんだろう?」
「スイカって、風呂桶に水張って、そこで冷やしていたよね」
などなど、昭和の思い出が尽きません。
そんな中、最後は、扇風機の話題で盛り上がりました。
「扇風機には、リボンが付いていたよね」
の一言に、一同、爆笑。
「なんでだろう? 別に涼しくなるわけじゃないのに」
「いや、アレが付いているのと付いていないのでは、涼しさは違ったような気がするよ」
平成生まれ、または昭和後期生まれの方のために、ご説明しましょう。
当時、扇風機は “おしゃれ” をしていたのです。
いわゆるファンの前に、風の風力や風向を視覚的にとらえるための 「吹き流し」 を取り付けるのが流行でした。
たぶん、電気店で販売するときのディスプレーが始まりだと思われますが、なぜか、購入した後も、あの “ひらひら” のテープを付けっぱなしにしていたのです。
色は白やブルー。
涼しさを演出するためでしょうか、必ず寒色系でした。
(首を振る “ひらひら” に、ネコがじゃれついて遊ぶ姿も昭和の風景でした)
「決して、涼しさが増すわけじゃないのにね」
「だったら風鈴だってそうでしょ」
「スズムシや金魚だって、そうだよ」
「昭和の人たちは、工夫をしながら夏を楽しんでいたんだね」
「視覚と聴覚から涼しさを想像していたんだ」
「あと、嗅覚もね」
「蚊取り線香とか……」
外を見ると、店の白い暖簾が風に揺れています。
「ひと雨くれば、涼しくなるのにね」
と、ママ。
それを聞いた僕が言いました。
「そうだ、この店に 『釣り忍』 を吊るそうよ」
「つりしのぶ、いいわねぇ~」
日本の夏、「H」 の夏が始まりました。
Posted by 小暮 淳 at 11:18│Comments(0)
│酔眼日記