2021年08月06日
悪魔祓いとコロナ退散
「悪魔っぱら~い! 悪魔っぱら~い!」
「疫病退散! コロナ退散!」
町内全戸を練り歩く 「神楽廻し」 を前に、企業訪問を行いました。
僕は今年、町内の 「年番」 をしています。
年番とは、その年一年間、神様に仕える氏子の代表です。
神楽廻しは年2回、正月と盆過ぎに行なわれます。
五穀豊穣、無病息災を祈祷しながら、“お神楽” と呼ばれる獅子頭を廻します。
その時のかけ声が、「悪魔祓い」 です。
去年からは住民の要望もあり、「悪魔祓い」 に加え、「疫病退散」 や 「コロナ退散」 と言いながら行っています。
午前10時。
とはいえ、すでに気温は30℃を優に超えています。
通常の神楽廻しならば重労働は若い人が率先して行いますが、今回は企業訪問なので “幹部5人” だけによる精鋭部隊です。
すると、還暦過ぎの僕が最年少!
必然的に、獅子頭の中に入る役は決まってしまいます。
公民館を出発した一行は、町内最大の企業S食品の本社工場へ。
S食品はテレビCMでもお馴染みの即席麺の会社です。
敷地もでかいが、社屋もでかい。
どうみても、軽トラで乗り付けたジイサンたちには、不釣り合いの場所です。
「緊張しますね」
と本音を言えば、
「何言ってんだい、小暮さん! 堂々としていていいんだよ。俺たちは “神の子” なんだよ。ありがたい存在なんだから」
と長老の言葉が、僕の背中を押してくれました。
案の定、長老のおっしゃる通りでした。
ドンドンドン、ドンドンドン……
ドンドンドン ドンドンドン……
正面玄関からロビーへ、太鼓の音が鳴り響きます。
すると1人、2人、3人……
続々と仕事の手を止めて、社員たちが集まって来ます。
あれよあれよの間に、玄関ロビーは黒山の人だかりです。
「悪魔っぱら~い! 悪魔っぱら~い!」
声を張り上げながら僕は、獅子頭をかかげて、獅子の口をパクパクさせます。
「私も噛んでください」
「私も」 「私も」 「私も」 ……
次から次へと、若い社員たちが僕に駆け寄り頭を差し出します。
昔から体の悪い箇所を獅子に噛まれると治るといわれています。
ですから年寄りなら腰や足を噛んであげます。
子どもたちには、「勉強ができるように」 と頭を噛みます。
「みなさん、頭でいいんですか? ほかに悪い所はありませんか?」
と声をかけても、なぜか、みんな頭を出します。
「では、みんなの願いは一つですね、祈願しましょう!」
疫病退散! コロナ退散!
祈祷料なんでしょうか?
帰りに、どっさりとカップ麺を段ボール箱で、いくつもいただいてまいりました。
S食品さん、これで今年も売り上げアップ間違いなし!
我々神の子が、しっかりとお祓いをしましたから。
Posted by 小暮 淳 at 11:52│Comments(0)
│つれづれ