温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2018年06月19日

昔イクメン、今カイメン。


 「今日は、父の日だよ」
 「……」
 「はい、たまにはビールで乾杯しよう」
 「……」
 「カンパ~イ!」


 オヤジは満93歳。
 今秋、誕生日を迎えると94歳になります。
 一族でも、歴代最長寿タイに並びます。

 でも認知症を患って、かれこれ10年になります。
 年々症状は悪化しています。
 今ではオフクロも、僕も、アニキのことも分かりません。
 昼も、夜も、もちろん季節も分りません。
 1日24時間、食事の時以外は、目をつむっているか、寝ています。


 「おいしいかい?」
 「冷たくて、おいしい」
 「さあ、これを飲んだら、ちゃんと布団で寝ようね」


 寝る前にオヤジをトイレへ連れて行き、オムツを交換します。
 夜中に、だいたい3回 (多いときは10回近く起きる時も)。
 それでも間に合わない時があります。
 オムツの保水力の限界を超えてしまい、布団も本人もビショビショになることもたびたび……
 教訓を生かして、今は布団の上にレジャー用のビニールシートを敷いて、その上に寝かせています。


 オヤジのオムツを取り替えるたびに、思い出すのは20~30年前の子育てです。
 まだ「イクメン」(育児男子) なんていう言葉もない時代のことです。
 基本、昼間は勤め人ではない僕が、3人の子供たちの面倒を看ていました。

 食事、散歩、保育園の送り迎え……

 重なるんですね、オヤジとかつての子供たちの姿が。
 人間の一生は、元にもどるのだと、つくづく感じています。


 イクメンならぬ、今は 「カイメン」(介護男子) です。
 ただイクメンは10年経てば、すでに役目は終えているのですけどね。
 カイメンの任期って、いったいいつまでなんでしょうか?

 ふぅーーーーーーーーっ!!!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:11Comments(0)つれづれ

2018年06月15日

正しくなくとも……


 「小暮さんは、大したもんだよ」
 「えっ、なんで?」
 「ブレないからだよ」
 「ブレないって?」
 「人生、生き方がだよ」
 「そうかなぁ~、でも、弊害も大きいんだよ」
 「弊害?」
 「ああ、家族にすれば、こんな亭主や父親は大迷惑だ」
 「でも、ちゃんと立派に3人の子供を育てたじゃない」
 「それはオレじゃない、カミさんだよ」
 「でも、ボクは間違っていないと思いますよ。小暮さんの生き方」
 「……そう、ありがとう。そう言ってもらえると、うれしいよ」
 「ま、正しいかどうかは分かりませんけどね(笑)」
 「だな(笑)」


 還暦が近づくに連れて、日に日に臆病になっている自分がいます。
 何か、あせっているのかもしれません。
 同級生は来年、定年退職を迎えます。
 自分だけ、人生に置いて行かれたような錯覚に陥るときがあります。

 いったい、オレは、いい歳をして何をやってんだ!
 学生じゃあるまいし、いつまでも夢みたいなことばかり考えて!
 すでに遅過ぎるけど、社会人として、家庭人として、もう少し、まともに生きられないのか!

 気が付くと、もう一人の自分が、説教を始めています。


 そんなときに、友が言ってくれた言葉に一瞬ですが、ホッと救われました。
 “正しくないかもしれないけれど、間違ってはいない”

 正しくないことは、端から分かっていたことです。
 心配だったのは、間違っていないかということ。

 お世辞でも、ジョークでも、ヨイショでもいいのです。
 他人に言ってもらえさえすれば。


 Y君、ありがとう!
 還暦を迎える勇気が出てきました。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:46Comments(0)つれづれ

2018年06月14日

山頂に立つ


 “出版は登山に似ている”

 たびたび、そうブログに記してきました。

 2009年9月から昨年5月まで毎年、僕は本を出版しています。
 9年間で、10冊の著書を出版しました。
 ※(2011年は2冊の本を書いています)


 そして今年もまた、昨日、最後の原稿を書き上げました。
 登山で例えるならば、山頂に立った気分を味わっています。
 昨晩は1人で祝杯を挙げ、頂上からの景色に酔いしれました。

 でも登山とは、無事に下山してこそ、山を制したことになります。
 いつまでも山頂の絶景を眺めているわけにはいきません。
 早くも下山の準備に、取り掛かっています。


 ここまでは、著者のひとりよがりです。
 ここからは、チームワークの見せ所です。
 カメラマンやデザイナー、編集者らと、一歩ずつ丁寧に足元を固めながら下りて行きます。
 そして下山して、振り返り見たとき、我々が制した山が屹立とそびえているのです。

 出版まで、あと1ヶ月半。
 今日は、これから出版会議です。

 いよいよ、タイトルや装丁を決定しなくてはなりません。
 楽しくも、緊張する時間です。

 でも、この高揚感が、なんとも言えないのです。
 “無” から “有” を生み出す醍醐味とでもいうのでしょうか。
 この充足感を味わいたくて、僕はライターの道を選んだのだと思います。


 では、行ってきます!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:00Comments(0)著書関連

2018年06月12日

TENGU伝説


 <もし一連の事件の舞台が沼田でなかったとしたら、誰もあの男のことを “天狗” とは呼ばなかっただろう。> ( 柴田哲孝著 『TENGU』 より)


 僕は、高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」(ライフケア群栄) に、『民話と伝説の舞台』 という伝奇エッセーを連載しています。
 来月の掲載で、第25話を数えます。
 過去には、カッパや大蛇、龍神、巨人、化身、妖怪、地獄、竜宮伝説を追いかけてきました。
 今回は、天狗です。


 <沼田は天狗の町である。駅周辺や、市内のいたる所に天狗の文字やその図柄が描かれ、この街を訪れる者を伝説の世界へと誘ってやまない。北関東随一の荒祭として名を誇った祇園祭は、いまも沼田の天狗祭として面影を残し、巨大な天狗面の神輿が市内を練り歩く姿が夏の風物詩となっている。> (同書より)


 JR上越線、沼田駅には、大きな天狗様の像が立っている。
 あれ、昔は、こんな大きな像は、あったかしらん?
 はたして沼田市は、いつからこんなにも “天狗の町” になったのだろうか?
 
 天狗と町の関係を知りたくて、市役所を訪ねました。


 経済部産業振興課商工振興係によれば、毎年8月に行われる 「沼田まつり」 で巨大な天狗面を担ぐ天狗みこしが登場したのは、意外と新しく昭和47年(1972) からだといいます。
 それ以前は、「沼田祇園祭」 と 「沼田まつり商工祭」 という2つの祭りがあり、昭和45年に統合され、市民総参加の 「沼田まつり」 が誕生したとのことです。

 で、その2年後に大天狗面を担ぐ 「天狗みこし」 が初めて登場するのですが、昭和45年に大天狗奉賛会が交通安全を祈願して迦葉山(かしょうざん) に奉納した張子の大天狗面 「交通安全身代わり大天狗」(顔4m、鼻2.7m) をみこしに仕立てて担いでいました。
 現在祭りに参加している2基は、昭和58年(1983) に奉納された張子の大天狗面と、平成11年(1999) に奉納された強化プラスチック製の大天狗を、それぞれみこしに仕立てたものです。


 やはり、沼田市の天狗のルーツは、霊峰・迦葉山にあり!

 ということで昨日は、台風が接近した雨模様の中、その足で関東三大天狗の御山と知られる迦葉山龍華院弥勒護国禅寺を目指しました。
 すると、ある事実が浮かび上がってきたのです。
 それは、弥勒寺が開創された嘉祥元年(848) 当時は、まだ天狗伝説は存在していなかったこと。
 600年以上のちの康正2年(1456) のある日、旅の坊さんが、小僧さんを一人連れて迦葉山に登って来ました。
 この小僧さんが、摩訶不思議な神通力を使い、数々の奇行をしたといいます。

 彼は、何者なのでしょうか?

 謎学の旅は、つづくのです。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:55Comments(0)取材百景

2018年06月10日

相間川温泉 「ふれあい館」⑤


 楽しい時間というのは、あっという間に過ぎ去って行くものであります。
 それでも、たまには、こんな日がないと……
 昨日は、自分にご褒美をあげました。

 取材でも、仕事でもない、純粋に温泉に入り、気の置けない仲間たちと酒を酌み交わしてきました。


 相間川温泉(高崎市倉渕町) の一軒宿、「ふれあい館」。
 拙著 『西上州の薬湯』(上毛新聞社) の表紙となった温泉宿です。
 幾度となく取材で泊まっていますが、今まではすべて宿泊施設のある本館でした。
 今回は、併設されている市民農園 「クラインガルテン」 の中にあるログハウスに泊まってきました。

 プロジェクトK主催による、バーベキュー大会です。
 僕は、5年ぶりに参加しました。
 というのも、毎年この時期の土日に開催されていますが、週末は親の介護のため、泣く泣く欠席を続けていたのです。
 でも今年は幸か不幸か、オフクロはリハビリ施設に入院中だし、運良くオヤジもショートステイが取れたので、久しぶりの参加となりました。


 「プロジェクトK」 とは?
 読者なら、ご存じだと思いますが、群馬県を中心に県内外で活動するフリーランスのクリエーター軍団です。
 ライターやカメラマン、デザイナー、イラストレーターら約20人で構成されています。
 ま、ひと言で言えば、組織に属せないアウトローの集まりです。

 だから気心も知れています。
 苦労話も共有し合えます
 まさに、友人・知人というよりは、“仲間” なのであります。


 午後3時、バンガロー前のバーベキュー会場に、9人の男女が集まりました。
 少し遅れた僕が着いた頃には、炭火をおこし、鉄板の上では、上質の牛肉が音を立てていました。
 「あれ、みんな早いな~」
 といえば、「私なんか、2時半に来ちゃいましたから~」 とイラストレーターの I 女子。
 すでに、紙コップでワインを飲んでいます。

 平均年齢は、たぶん、50代半ばだと思います。
 内訳は、60代3人、50代4人、40代1人、20代1人。
 20代のF君(カメラマン) は、父親の後を継いでメンバーになりました。


 午後7時、バーベキュー会場を片付けて、いったんバンガローに戻り、各々タオル片手に浴室棟へ。
 今日も今日とて、黄金色に光り輝く、濃厚な湯をたたえています。
 「湯が茶色いのは、鉄分ですか?」
 と、建築家のY君。
 「ですね。それと、塩分が濃厚だから、ちょっと、なめてみて」
 「本当だ、しょっぺ~!」

 さらに油分が多く、ほのかに重油のような臭いも漂います。
 まさに、西上州(群馬県西部) を代表する薬湯であります。
 でも、長湯は禁物です!
 塩分と鉄分の多い湯は、体感温度が低く感じられるという特徴があります。
 ついつい長湯が過ぎて、湯あたりをする浴客が後を絶たない温泉なのです。


 「夜風が気持ちいいね」
 とカメラマンのS君が、森の中の小道を歩きながら、しみじみと言いました。
 彼は、僕の50年来の友人です。
 誕生日が来て、ひと足先に還暦を迎えました。

 「淳ちゃん、ダバダ飲んでよ、ダバダ!」
 「ダバダ? なんだい、そりゃ?」
 「四国の焼酎だよ。おいしいんだから、飲んでよ!」

 「きーーー、効くねぇ~~!! でも、うまい!」
 「でしょ、でしょ!」
 ロックでいただく焼酎に、気も大きくなり、昔見ていた夢のつづきが饒舌に語られ出したのであります。


 良き湯、良き酒、そして我に、良き仲間あり。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:36Comments(2)温泉地・旅館

2018年06月08日

マロの独白(39) 日赤フィーバー


 こんばんワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。
 (来月、12才になります)


 超~お久しぶりでやんした。
 みなさん、お元気でしたか?
 オイラは、暑さに負けずに毎日、散歩と昼寝をエンジョイしています。

 でもね、我が家のまわりでは、ちょっと騒動が起きているんです。
 前橋市民の方は、ご存知だと思いますが、先週、前橋赤十字病院が引っ越してきたんですよ。
 それも、通りをはさんだ我が家の目の前に!

 引越しの日、それはそれは、にぎやかでやんした。
 ピーポー、ピーポー、ピーポーって、一日中、救急車が列を成して走っているんですから。
 オイラ、そのたびに、「何事だ~!」 って吠え続けてましたからね。
 喉がカラカラになっちゃいました。


 「ご主人様、何が始まったのですか?」
 「いよいよ、町内に日赤病院がやって来るんだよ。大変なことになるぞ!」

 ご主人様が言うことには、この日(6月1日) は、約3キロ離れた旧病院から約300人の入院患者を搬送したそうです。
 症状の軽い患者は、県警の白バイが先導するマイクロバスに乗って移動。
 症状の重い患者は、救急車で送り届けられたらしいです。

 まー、それはそれは、さわがしい一日でした。


 あれから1週間が、経ちました。
 「あれれ、ご主人様、こんなところに信号ができましたよ」
 「信号だけじゃないぞ。よく見てみろ! 道路もこんなにも広くなっているだろう」
 「本当ですね。これじゃ、チビのオイラには、渡れませんね。あれ、あの看板!」
 「コンビニもできたし、スーパーもできた。ほれ、通りは薬局だらけだろうが」
 「なんだか、いきなり都会になっちゃいましたね」
 「ああ、数年前までは、田んぼと畑ばかりだったのにな」

 散歩の途中も、救急車が走り抜け、ドクターヘリが飛び回っていました。

 「でも、ご主人様。便利になってよかったでやんすね」
 「まあな」
 「目の前に大きな病院があると、もしもの時に安心でやんす」
 「まあな」 
 「あれ、ご主人様は、便利になるのは、おイヤですか?」
 「いや、便利になるのはいいんだけどさ。固定資産税が上るんじゃないかと思って……」
 「えっ、なんですか? その、コテコテサンなんとかって?」
 「いや、これは俺のひとり言だ。マロには関係ないよ。さ、帰ろう!」


 ピーポー、ピーポー、ピーポー……
 ワン、ワンワンワーン!!
   


Posted by 小暮 淳 at 19:37Comments(3)マロの独白

2018年06月07日

ディレクター魂


 「小暮さん、たびたびすみません。また会ってください。聞きたいことが、たくさんあり過ぎて」

 またまた、熱い男がやって来ました。
 某テレビ局のディレクターであります。
 ※(当ブログの2018年6月1日「熱き心に湯の花が咲く」参照)

 僕も 「全面協力します」 と言った手前、後に引くわけにはいきません。
 とことん彼に、付き合うことにしました。


 いつもの喫茶店に行くと、彼の足元には大きなキャリーバッグが置かれていました。
 「昨日から前橋のホテルに泊まっています」
 そう言いながら、バッグを開けて、本を取り出しました。
 それも、全部で8冊!

 「も、も、もしかして、それ!」
 「ええ、小暮さんの本を、すべて買いました」

 驚き、桃の木、山椒の木であります。
 絶版になった旧 『ぐんまの源泉一軒宿』 を除く、『群馬の小さな温泉』 から昨年出版した 『金銀名湯 伊香保温泉』 までが、コンプリートされているのです。

 最初に会ったときは1冊、2回目に会ったときは2冊に増えていて、ついに全巻を揃え、持ち歩いています。
 恐るべし、ディレクター魂!


 過去に僕は、さまざまなテレビ番組に出させていただきました。
 たいがい1度は、ディレクターが会いに来ますが、その後は、撮影当日に現地で会い、台本が渡され、撮影となります。
 中には事前打ち合わせもなく、当日、一発撮りの場合も珍しくありません。

 でも彼は、違います。
 なんだか仕事をしているというよりは、完全に温泉の魅力にハマっているのです。

 「あの後、O温泉とK温泉に、行ったんだよね。どうだった?」
 「ぬる湯の世界って、奥が深いですね。小暮さんが言ったとおり、本を読みながら1日に8時間以上温泉に入っている湯治客がいました。僕も真似して、湯の中で小暮さんの本を読んできましたよ」

 そこまで、ハマるか!?
 ロケハンの域を超えているぞ!

 「その後、小暮さんに言われたところは、みんな行ってきました。Y温泉でしょ、S温泉でしょ、H温泉でしょ、それとS温泉。そうそう、K温泉も行ってきました。あそこの湯、本当に全身が泡だらけになりますね。感激しました」


 お見それしました!
 スゴ過ぎます!
 だって、最初に彼に会ってから、まだ10日しか経っていないんですよ。
 なのに、この行動力はなんですか!?
 どう考えたって、全部の温泉を番組で紹介することはできませんって。
 それでも彼は、僕から聞いた話の真偽を、自分の目で見て、確かめないと気が済まないのですね。

 素晴らしき、ディレクター魂です。

 「ところで小暮さん、この際、テレビに出て、解説してもらえませんか?」
 「えっ、出るの!?」

 “全面協力” と言った言葉に、二言はありませんって。
   


Posted by 小暮 淳 at 15:38Comments(0)著書関連

2018年06月05日

ハラスメント対策


 とある宴会場にて

部下 「くれぐれも今日は、気をつけてくださいね」
上司 「ああ、言われなくても分かっている」
部下 「絶対ですよ! 部長は酒グセが悪いんですから」
上司 「そんなに、悪いか?」
部下 「酔ってくると必ず女性に、卑猥なことを言います」 
上司 「あれは、ギャグだよ、ギャグ」
部下 「それがダメなんですよ」
上司 「昔は、酒の席で下ネタを言うのは、当たり前だったんだけどなぁ~」
部下 「今はダメなんです。それと、酔ったふりをして女性の体を触らないでくださいね!」
上司 「俺、そんなことをするか?」
部下 「はい、トイレに立つとき必ず。よろけたふりをして女性に触ります」
上司 「それって、ダメなの?」
部下 「ダメです!」

 しばらく時が経って

部下 「部長! もう、酒はやめましょう。ソフトドリンクにしましょう」
上司 「てめぇ~、なんだとー! 誰に向かって言ってるんだ!!」
部下 「部長、いいんですか? 今の地位も家族も、すべて失っても!」
上司 「…………」
部下 「部長、部長! どうしたんですか? 急にうなだれちゃって」
上司 「分かった、今すぐ、ガムテープとロープを買ってきてくれ」
部下 「えっ、そんなもの、何に使うんですか?」
上司 「俺の口をふさいで、両手をしばってくれ」
部下 「……そこまでしても、飲みますか!?」
上司 「これは命令だ! 今すぐ、買って来~い!」
部下 「部長、それって今度は、パワハラですよ」
上司 「えっ、……帰ろう」


 予備軍のみなさま、お気をつけくださいませ。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:26Comments(0)酔眼日記

2018年06月04日

そして、榛名湖へ


 何週間ぶりに、週末はオヤジの介護から解放されました。

 なにをしようか?
 自由に動ける休日です。
 一日中、酒を飲んで、家の中でゴロゴロしていようか。
 それとも、映画でも観に行こうか。

 たまには、家庭サービスをするか?
 いやいや、それはないな。
 なーんて、1ヶ月も前からワクワクしながら休日の予定を考えていたのです。

 でも、貧乏性は治りません。
 「一日も無駄にしたくない」 という思いが、僕を仕事モードへ向かわせます。
 「そうだ、彼を誘って、撮影に行こう!」
 と数週間前に、カメラマンにアポを取りました。
 彼のスケジュールも、OK!

 朝からオジサン2人の、スナップ旅行が始まりました。


 なんのことかといえば、今夏、出版が予定されている著書のことです。
 出版まで、残り2ヶ月を切りました。
 「まえがき」 や 「あとがき」 などを除く、ほとんどの原稿は出揃いましたが、いくつか写真が足りません。
 必要とされている写真は10点ほどあり、その被写体は群馬県内に点在しています。
 今月中には、撮影しなければなりませんでした。

 ということで、“介護がない日が吉日” とばかりに、朝から県内各所をめぐりました。


 「残るは、榛名湖だけですね」
 カメラマンの車が、榛名山を目指します。

 標高1,100メールの湖畔は、別天地です。
 この日の下界の気温は30度。
 休日ということもあり、涼風を求める観光客でにぎわっていました。

 でも僕らの目的は、観光ではありません。
 湖畔にある、“あるモノ” を撮影するために訪れたのです。
 観光客は、誰一人気づきません。
 “そのモノ” は、人知れず、ひっそりと、たたずんでいます。

 摩訶不思議なモノが、湖畔に鎮座しているのです。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:12Comments(2)取材百景

2018年06月02日

老神温泉 「伍楼閣」②


 最近は、なんだか老神(おいがみ) 温泉づいています。
 昨日も老神温泉(群馬県沼田市) を訪ね、「伍楼閣(ごろうかく)」 に1泊してきました。

 とはいっても、取材ではありません。
 かといって、温泉大使としての公務でもありません。
 では、仕事ではないのか?
 と問われれば、微妙なのであります。
 しいていえば、“ご褒美” のようなものです。


 2016年4月から上毛新聞社が発行している 『ぐんまの源泉パスポート』。
 ご存知ですか?
 群馬県内の温泉旅館や日帰り入浴施設の割引クーポンが付いている本です。
 おかげさまで発売以来、大好評でして、昨年11月には第2弾が発売になりました。

 96温泉157施設が掲載された <2018-19年版> であります。

 で、この最新版が、わずか6ヶ月で、早くも増刷されました!
 ということで、「増刷祝い」 に温泉宿泊が “ご褒美” となりました。
 僕も末席ながら、コラム執筆と監修をやらせていただいたので、参加してまいりました。


 その会場となったのが、「伍楼閣」 であります。
 館内には、宿名にちなんで5つの浴場があります。
 混浴露天風呂が2つ、男女別の内風呂が2つ、そして貸切露天風呂が1つ。

 かつて僕は、“五湯めぐり” を制覇したことがありますが、今回は取材ではありませんので、無理をせず、ゆっくりと湯を楽しむことにしました。

 まずは、ぬる湯が味わえる混浴露天風呂 「赤城の湯」 へ。
 新緑を愛でながら、暮れゆく初夏の里山風景を存分に堪能しました。

 ま、宴会前ですから欲を張らずに、一浴で浴衣に着替えて、制作スタッフの待つ広間へ。


 「おかげさまで、増刷になりました。これからもよろしくお願いいます。乾杯!」 
 アートディレクターの発声で、宴が始まりました。

 良き仕事に、良き仲間。
 そして、良き酒と、良き湯があれば、いうこと無し!

 しばらくして、
 「あらためて、日本酒で乾杯!」
 長い長い夜が、始まりました。
  


Posted by 小暮 淳 at 17:57Comments(0)温泉地・旅館

2018年06月01日

熱き心に湯の花が咲く


 「小暮さん、企画が通りました! 全編、群馬の温泉でいきます。それもゴールデンの放送ですよ!!」
 某テレビ局のディレクターが、興奮気味に電話をかけてきました。

 読者のみなさんは、覚えてらっしゃいますよね。
 先日、わざわざ東京から僕を訪ねてきたテレビのディレクターがいたことを。
 ※(当ブログの2018年5月29日 「どこかで誰かが⑨」 を参照)

 「ついては、また会っていただけませんか? いつでもいいです。小暮さんの都合に合わせます」
 と今週、また彼は東京から、わざわざ前橋まで僕に会いにやって来ました。

 喫茶店のテーブルには、僕の著書が2冊置かれています。
 確か前回会った時は 『新ぐんまの源泉一軒宿』 だけだったのですが、『西上州の薬湯』 が増えています。
 僕が、そのことに気づくと、
 「ええ、昨日、買いました。小暮さんの話を聞いて、冷鉱泉にも興味を持ったものですから」

 そして、前回より、さらにコアでマニアックな質問をしてきました。
 一軒宿のこと、自然湧出のこと、ぬる湯とあつ湯、その効能の違い……
 先週まで、草津温泉と伊香保温泉しか知らなかった “にわか温泉ファン” とは思えないほどの熱量です。
 ひしひしと、彼の番組に対する意気込みが伝わってきます。

 「この後、みなかみ町へ取材に行ってきます。しばらくは群馬県内にいますので、また会ってもらえますか?」
 「もちろん、いつでもどうぞ。全面協力するって言ったでしょう」
 「ありがとうございます。じゃあ、行ってきます。また連絡します」


 昨晩、彼からメールが来ました。
 <先日はありがとうございました。何から何まで頼りっぱなしで恐縮です。今日はO温泉に日帰りで入り、明日はK温泉に宿泊することにしました。>

 ぬる湯の一軒宿を回り出したようです。
 その行動力に、心を打たれました。


 熱い男の心に、湯の花が咲き出したようです。
 どんな番組がになるのか、ますます楽しみになりました。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:40Comments(2)温泉雑話

2018年05月31日

貧乏脱出大作戦


 “相撲取り 相撲を取らなきゃ ただのデブ”
 “フリーライター 文章書かなきゃ 無職と同じ”


 一昨晩、待ちに待った 「弟子の会」 の定期交流会が開催されました。
 弟子の会とは?
 世の中には殊勝な人たちがいるもので、僕のことを 「先生」 とか 「師匠」 とか呼んでくださる温泉好きの集まりであります。

 講演会やセミナー、またこのブログを通じて知り合った読者たちが、自主的に結成してくださいました。
 一昨年の発足から1年半、2ヶ月に1度、飲み屋に集まり、温泉談義をしています。


 親はいなくとも子は育ち、師はいなくとも弟子は成長するものです。
 会うたびに、彼ら(女性もいます) は、新しい話題を持ち寄って、いかに群馬の温泉を盛り上げるかを語り合っています。
 今回の最大の議題は、これでした!

 『小暮淳 貧乏脱出大作戦』


 すでに企画書が用意されていました。

 ① 資本金が要らない
 ② 投資した金がすぐ回収できる
 ③ 今の仕事が続けられる
 ④ すぐに真似されない、真似されにくい
 ⑤ みんなに喜ばれる
 ⑥ 本も同時に売れる
 ⑦ 名前も売れる


 うる、うる、うるるるる~~!!!!

 なんですか、これは!?
 もう、感動で震えが止まりません。

 師匠が、ふがいないばかりに、見かねた弟子たちが、こんなにも心配していてくれたのですね。
 ああ、感謝! 感動!

 企画書には、続きがあって、具体的な展開が記されています。
 もちろん、ここでは内容を公表できませんが、とても素晴らしい企画力です。
 なによりも、弟子たちの愛情の深さを感じるのであります。

 オレが貧乏なばっかりに、みんなに迷惑をかけて申し訳ない……


 でも、貧乏だからこそ、こうやって知恵も出るのです。
 “貧乏は発明の母” なのだ!
 なんて、師匠がこんなにも脳天気だから、弟子たちが気をもむんですよね。

 貧乏脱出、するぞ~!

 でも、こんなに幸せな気分を味わえるのなら、もう少し貧乏のままでもいいかな。


 ただただ美酒に酔いしれた夜でした。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:15Comments(0)酔眼日記

2018年05月29日

どこかで 誰かが⑨ ディレクター


 先週、こんなメールが届きました。

 <私、○○○○(東京のテレビ局名) に所属しております、ディレクターの××××(男性名) と申します。普段、ニュース番組や紀行番組などを制作しております。(中略) 書店で過去の出版物などを調べている中で、小暮様の出されている温泉に関する多くの書籍、とりわけ 「源泉一軒宿」 のシリーズについて非常に興味深く拝見しました。私自身、旅行などで草津温泉や伊香保温泉には訪れたことがあるのですが、一軒宿で温泉を守られている温泉が、こんなに沢山あることや、また湯守の方たちの魅力的なエピソードに大変驚きました。(中略) 現在、企画段階で、まだはっきりとしてことは言えないのですが、メジャーな温泉地以外の一軒宿などに触れることが出来ないかと思っております。一度、小暮様にお話をお伺いすることが出来ないかと、連絡させていただきました。>

 とっても丁寧な文面で、人柄まで察せる真摯な内容だったので、すぐに連絡を取りました。
 すると、なんと、彼は、僕のスケジュールに合わせて、さっそく昨日、わざわざ前橋まで会いに来てくれたのです。


 わずか2時間の面談です。
 それでも彼は、持参した僕の著書を開きながら、一つ一つ、質問をしてきました。

 「“一軒宿” という言葉も、“湯守(ゆもり)” という言葉も、この本で初めて知りました」
 「群馬の人は、こんなにも一軒宿の温泉があることを知っているのですか?」

 次から次へと、彼から質問が飛び出してきます。
 “草津の仕上湯” のいわれや “ぬる湯” の効能、“薬湯”について、温泉の発見伝説にいたるまで、かなりマニアックな内容にまで話はおよびました。
 あっという間の2時間でした。

 「今日だけで、温泉講座の中級くらいまで行きましたよね?」
 「ですね。いい番組を作ってください。取材には全面協力しますから」
 「ありがとうございます。また時間を作ってください。すぐ、会いに来ますから」


 どこで、誰が見ているか、分からないものですね。
 だから人生は、面白いのです。

 さて、どんな番組が放送されるのでしょうか?
 読者のみなさま、楽しみにして待ちましょうね。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:18Comments(0)著書関連

2018年05月27日

言葉を届けに


 <お誕生日おめでとうございます。これから暑くなりますが、身体に気をつけて、元気で過ごしてください。>


 オヤジを車イスに乗せて、オフクロの病室を訪ねると、枕元に大きなバースデイカードが置かれていました。
 「職員一同」 と、手書きで書かれています。
 日付けは、今日です。

 「ばあちゃん、おめでとう!」
 「ありがとうね。覚えていてくれたんだ」
 「当たり前じゃないか。でも、なにもプレゼントを持って来なかったけど。言葉だけで、ごめんね」
 入院しているリハビリ施設は、飲食の差し入れは禁止されているのです。

 「なにもいらないよ。こうして会いに来てくれたんだから」
 「元気そうだね。いくつになったんだい?」
 「おかげさまで、きゅうじゅういっさいに、なりました」
 「すごいね、息子としてもうれしいよ」

 正直、親戚から “病気のデパート” と揶揄されたオフクロが、こんなに長生きをするとは思いませんでした。

 「おとうさんは、元気ですか? 熱は下がりましたか?」
 「ああ、元気になったから、ほら、連れてきたよ」
 そう言って僕は、車イスをベッドの脇に付けました。

 「本当!? おとうさんがいるの!」
 「ほれ、じいさん。H子さん(母の名前) だよ」
 オフクロの手に、オヤジの手を重ねてやりますが、オヤジの目は宙を泳いでいます。

 「H子さん、わかるよね?」
 「……」
 「今日が誕生日なんだよ」
 「……」
 認知症のオヤジには、目の前のオフクロが分かりません。


 「ジュン、ベッドから起こしてくれないかね。おとうさんの顔が、もっとよく見たいから」
 僕はオフクロの上半身を抱えて、起こしてあげました。
 小さくて、ガリガリで、まるで人形のようです。
 医者の話によれば、25キロしかありません。
 生きていることが不思議に思えるくらい、細い体です。

 「おとうさん、おとうさん、おとうさん……」
 オフクロがしきりに呼びかけますが、オヤジには届きません。


 「ジュン、お願いがあるんだけど、写真を撮ってくれないかい?」
 「いいよ、ほら並んで」
 僕がケータイを向けると、
 「ここでじゃないよ。おとうさんの誕生日にだよ。2人して、家でさ」

 オヤジの誕生日は、9月20日です。
 「だったら、それまでに家に帰れるように、リハビリを頑張らなくっちゃ」
 「うん、がんばるよ」


 94歳と91歳のツーショット。
 たぶん、今年で結婚69周年じゃないかな。

 その時は、孫もひ孫も呼んで、盛大にお祝いをしてあげようと思います。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:12Comments(0)つれづれ

2018年05月25日

猿ヶ京温泉 「千の谷」


 昨日から猿ヶ京温泉(みなかみ町) に、泊まりで行って来ました。
 といっても、取材ではありません。
 今回は、みなかみ温泉大使として、みなかみ町観光協会の定時総会に来賓として出席してきました。
 その会場となったのが、「源泉湯の宿 千の谷」 でした。

 えっ、知りませんか?
 猿ヶ京に、そんな宿はあったっけって?
 実は、最近リニューアルオープンしたホテルなのです。

 その昔は 「ホテルコープシャトウ猿ヶ京」 といっていました。
 後に経営が替わり、「ホテル シャトウ猿ヶ京 咲楽(さくら)」 となりました。
 僕の著書 『みなかみ18湯』 では、「咲楽」 の名で掲載されています。

 今回のリニューアルは、今までとは違い、大改装されました。
 たぶん、以前、訪れたことのある人は、驚かれるでしょうね。
 これが、同じホテルなの?って。

 それもそのはずです。
 今度の経営は、かの “松乃井リゾートグループ” なのであります。
 水上温泉(みなかみ町) の 「松乃井」 や老神温泉(沼田市) の 「紫翠亭(しすいてい)」 と姉妹館になりました。
 だもの、かなり洗練されました。

 僕も久しぶりに訪れて、大変驚きました。
 ロビーに多少面影が残っているものの、それ以外は、まったく別のホテルに来たようです。
 部屋もきれいにリニューアルされ、清潔感あふれるものでした。


 総会が終われば、お待ちかねの懇親会です。
 例年だと、この席で僕はバンドメンバーとライブをやるのですが……
 まあ、なんといいますか、みなさんもご存知のように、みなかみ町は、なにかといろいろありまして、今回は、なにげに自粛ムードが漂っていたのであります。
 ということで、今年は余興は中止となりました。

 懇親会の後は二次会がお決まりですが、やっぱり温泉ライターとしては、一刻も早く湯に浸かりたいのであります。
 ということで深酒する前に、一浴することにしました。


 まずは1階に新設された 「名月の湯」 へ。
 これは、広い!
 温度の異なる浴槽のほか、浅い寝湯や深い立ち湯まであるのです。
 露天風呂は、さほど大きくありませんが、まさに名前どおりの “月見風呂” が楽しめました。

 一夜明けて、朝風呂に訪れたのは3階にある 「星あかりの湯」。
 朝だったので、“星見風呂” というわけにはいきませんでしたが、そのぶん、まばゆいばかりの新緑を愛でながら、存分に湯を楽しんでまいりました。

 ぜひ、みなさんも新しくなった 「千の谷」 で、リゾート気分を味わってください。
    


Posted by 小暮 淳 at 12:32Comments(0)温泉地・旅館

2018年05月23日

沢渡温泉 「まるほん旅館」⑥


 <しんしんと雪降る宿で福田おやじとサトボオと酒を飲むと、深夜〇時になってしまった。サトボオは純朴なマジメ人間で、まだ発展途上の道楽者予備軍である。福田おやじは「これで、まるほん旅館は安泰です」と感慨深げだった。>
 (嵐山光三郎著『日本百名町』光文社知恵の森文庫 より)


 今日は雑誌の取材で、中之条町の沢渡(さわたり)温泉へ行って来ました。
 思えば、昨年6月のNHKBSプレミアムの旅番組のロケ以来ですから、ちょうど1年ぶりになります。

 午前8時、共同浴場に着くと、沢渡温泉組合長の林伸二さんが出迎えてくれました。
 「小暮先生が来られるというので、また、こちらを用意しておきました」
 と、沢渡温泉名物の 「きび大福」 を渡されました。

 別に “先生” ではないのですが、中之条町の観光大使をしているからでしょうか、なぜか組合長は僕のことを 「先生」 と呼ぶのです。
 そして会うときは、必ず僕の大好物の 「きび大福」 をくださるのです。


 組合長との雑談と、共同浴場での写真撮影の後、隣接する 「まるほん旅館」 へ。
 温泉ファンなら誰でも知っている創業400年の老舗旅館です。
 そして、作家の嵐山光三郎先生が、著書の中で 「サトボオ」 と呼ぶ16代目主人の福田智さんのいる宿です。

 有名な話ですが、智さんは元銀行員で、湯と歴史と先代の主人に惚れ込んで、脱サラして福田家に養子として入ったという異色の “湯守人” であります。
 その経緯については、嵐山先生や僕の著書をお読みください。


 「まずは、湯をいただいてきます」
 と勝手知った館内を、ドカドカと歩いて、名物の混浴大浴場へ。
 といっても、今日は休館日なので、他に客はいません。
 貸切であります。

 別名、「ひのき張り湯小屋風呂」。
 群馬県内でも3本の指に入る、僕の大好きな湯殿です。
 湯殿もいいが、なによりも湯がいい!

 湯葉のように幅広の湯の花が、ゆらゆらと湯の中をたゆたう姿は、なかなか他の温泉では見られるものではありません。
 隣の共同浴場と同じ源泉なのに、なぜか湯の花のサイズが違うのです。
 (共同浴場の湯の花は、もっと小さくて細かい)

 極楽、極楽!
 やっぱ、ここの湯、好きだわ~!!
 と、声を出さずにはいられない至福感を存分に堪能してきました。


 湯上がりは、サトボウこと智さんとコーヒーをいただきながら、いつもの温泉談義に花を咲かせてきました。
 またしても彼の温泉に対する情熱に触れ、「負けるもんか!俺だって」 という闘志が湧いてきたのであります。

 もっともっと、沢渡温泉の湯を全国の人に知ってほしいものです。
  


Posted by 小暮 淳 at 20:58Comments(0)温泉地・旅館

2018年05月22日

川原湯温泉 「丸木屋旅館」


 昭和27年だったといいますから、66年の歳月が過ぎたことになります。
 のどかな温泉街に、突然、ダム建設の計画が持ち上がった年です。
 いまだに、ダムは完成していません。

 国の方針も中止と再開をくり返し、温泉街をはじめ水没予定地区の住民は、賛成派と反対派に分かれ、確執と翻弄の中で闘い続けて来た66年間でした。
 それでも終結の日が、いよいよ、あと2年と近づいています。
 ダム堤は完成すれば、高さ116メートル、幅290メートル。
 現在、24時間態勢で、コンクリート打設工事が進んでいます。


 「旅館が移転したら、また取材してくださいね」
 と9年前に言ってくださったのは、“旧七軒” と呼ばれる老舗旅館の主人でした。
 その主人の旅館は、まだ新天地には移転していませんが、すでに5軒の宿が営業を再開しています。
 今日、そのうちの1軒、「丸木屋旅館」 へ行って来ました。


 NHK文化カルチャーの野外温泉講座です。
 僕は9年前から、この講座の講師をしています。
 開講した初年度に、講座では旧川原湯温泉を訪ねています。

 「旧川原湯温泉に行ったことある人は、いますか?」
 行きのバスの中で、受講生に声をかけると2名が手を挙げました。
 顔を見れば、初回講座から受講している方でした。


 「うわ~、なんだか温泉地という雰囲気じゃないですね」
 バスを降りた受講生の第一声でした。
 「ですね、まだ道路も工事中だし、宿も商店もまばらです。これからですよ」

 僕は昨年、雑誌の取材で、川原湯温泉協会長の樋田省三さんにインタビューをしました。
 彼いわく、「次世代を担う若い後継者たちが、帰って来ています。私たちは過去を引きずっていますが、彼らには未来しかない。新しい川原湯温泉に期待しています」
 もちろん、僕も期待しています。
 10年後、20年後の川原湯温泉を見てみたいものです。


 現在の温泉街の入り口に建つ、「丸木屋旅館」。
 黒を基調としたモダンな和風旅館です。
 部屋は全6室、家族だけで商うアットホームな宿です。

 なによりも、湯がいい!
 旧温泉地からポンプアップされていますが、源泉の温度が約80度もあるため、加温する必要はありません。
 この時季だと、ちょっと熱いくらいです。

 でも、これが不思議なんです。
 昔から川原湯の湯は、“熱いけれど涼しさを感じる” のであります。
 ま、これは僕の大げさな表現なんですけどね。
 入るときは確かに熱いのです。
 でも肩まで浸かる頃には、もう熱さは感じません。
 「あれ、ちょうどいい湯加減じゃない」
 と、受講生たちも大変驚いていました。


 湯上がりにいただいた料理は、フキとタケノコの煮物、ウドやコシアブラの天ぷらなど、山の幸たっぷりで、ついつい酒も進んでしまいます。
 「先生、最高ですね!」
 「でしょう、いいでしょう!」

 みなさんも、新しくなった川原湯温泉へ、ぜひ足を運んでください。
 今だと、「八ッ場(やんば)ダム現場見学ツアー」 を行っていますよ。
   


Posted by 小暮 淳 at 22:13Comments(0)温泉地・旅館

2018年05月21日

不自由なれど


 すでに、ご存知のとおり、僕は週末、認知症のオヤジの介護をしています。
 オヤジが認知症を発症してから、もうかれこれ10年になります。

 年々、記憶は遠ざかり、加齢とともに体力もなくなり、今では自立歩行もままなりません。
 今年94歳になる高齢ですから、仕方がないといわれれば、それまでなのですが、長引く介護に、僕もアニキも少々疲れを感じる今日この頃です。


 平日はデイサービスとショートステイを組み合わして、実家でアニキが面倒を看ています。
 週末になると、僕がオヤジを迎えに行き、我が家で引き取っています。
 その間、アニキは東京の家族の元へ帰ります。

 我が家では、1階の和室に布団を敷いて、オヤジを寝かせています。
 起きているときは座椅子に座らせていますが、ほとんど目をつむっています。

 「トイレも行かせたし、今なら、しばらく大丈夫かな……」
 と寸暇を惜しんで、僕は2階の仕事部屋へ行き、急ぎの仕事を片付けようとするのですが、そうは問屋が卸してはくれません。

 ドタン! バタン!
 「ああああああーーーー!!」

 オヤジが徘徊をして、廊下で転倒したり、玄関から転落して、カメのようにひっくり返って、手足をバタつかせているのです。
 これでは、おちおち仕事なんてしていられません。
 一瞬たりとも、目を離せないのが現状なのです。


 ということで、このところは、オヤジが居る3日間は仕事をするのは、あきらめています。
 その代わり、本を読んでいます。
 でもね、一日中読書を続けるのも、飽きるものですよ。
 しかも、締め切り原稿なんか抱えていると、「ああ、早く仕事をしたい。このオヤジさえ、いなければ……」 なんて恨み言の一つも言いたくなるのです。

 でも、今回は、そんなストレスも吹き飛んでしまいました。
 先週、今夏出版される著書の “ゲラ” が上がってきたのです!
 ゲラとは、「ゲラ刷り」 のことで、印刷前の校正用の刷り物のことです。
 この用紙に、校正をしながら訂正・修正の赤を入れるときが、ライターとしての至福の時なのであります。

 まだ本文だけの初稿ですが、それでも130ページのゲラが、出版元より手渡されました。
 「やった! これならオヤジの介護をしながらでも、仕事ができる!」
 と、この3日間は、オヤジの目の前でゲラを広げて、黙々と赤ペンを走らせていたのであります。

 「ダメだよ、じいさん! これは触っちゃダメなんだよ。仕事だからね」
 時々、目を開けては、ちょっかいを出すオヤジをたしなめながらも、有意義な時間を過ごせたのでした。


 介護は不自由なれど、やりようで、どうにかなるものです。

 出版、間近!
 気合が入ります。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:34Comments(0)著書関連

2018年05月18日

情熱のローラ


 ♪ 涙をふいて僕と歩いて行こうよ
   この道はもどれない 青春という季節
   恋に悩みもするだろう
   誰かと争うことも時にはあるだろう
   若い日二度と来ない さらばといって行こう ♪
     <『青春に賭けよう』 作詞/たかたかし 作曲/鈴木邦彦>


 また一つ、昭和の光が、青春の1コマが消えて行きました。
 西城秀樹、享年63歳。

 今思えば、僕の青春時代には、ピンクレディーやキャンディーズもいたけど、ちゃっかり、“新御三家” もいたことに気づきました。
 中でも、西城秀樹は、僕のお気に入りでした。

 何を気に入っていたのかって?
 あの、歌唱ですよ。
 ちょっとハスキーで、ロックと歌謡曲の折衷のような楽曲は、モノマネをするには最適でした。

 「情熱の嵐」 「傷だらけのローラ」は、僕の十八番でした。
 休み時間には筆箱をハンディマイク代わりに、放課後はモップをスタンドマイク代わりに、熱唱したものでした。
 もちろん、オンステージのつかみは、
 ♪ ハウスバーモントカレーだよ~ ♪


 いつか僕も、秀樹のように、大きなステージで思いっきリ歌ってみたい!

 確かに10代の時は、そう思っていました。
 だから夢を追って、東京へ出て行ったのです。
 そして、初めて行ったディスコで、最初に踊った曲が 「ヤングマン/Y.M.C.A」 でした。

 でもね、僕が秀樹の曲で一番好きなのは、「ヤングマン」 でも 「情熱の嵐」 でも 「傷だらけのローラ」 でも 「薔薇の鎖」 でも 「ギャランドゥ」 でもないのです。
 そう、あまり売れなかったけど、「青春に賭けよう」 なんです。
 だから訃報を知ってからは、ずーっと、この曲を歌っています。


 ヒデキに、感謝!
 青春をありがとう。

 ご冥福をお祈りいたします。
      


Posted by 小暮 淳 at 23:13Comments(0)つれづれ

2018年05月16日

おかげさまで1周年


 「毎月、銀行で見ています」
 「グラフぐんま、読んでますよ」
 このところ、そう声をかけていただくことが増えました。
 連載開始から1年、少しずつ知られるようになりました。


 『グラフぐんま』(企画/群馬県、編集・発行/上毛新聞社)。
 年9回発行されている群馬県のグラビア広報誌です。
 定価360円で書店販売されていますが、役所や公民館、銀行、病院のロビーや待合室に置かれているのを見かけた人は多いと思います。

 この雑誌に昨年の5月号から、僕は “冠連載” を書かせていただいています。
 「かんむり」 とは、タイトルに筆者の名前が付いている記事のことです。

 『温泉ライター小暮淳の ぐんま湯けむり浪漫』

 第1回の四万温泉から始まり、今月(2018年5月号) の伊香保温泉で、第10回を迎えました。
 ちょうど連載1周年になります。
 読者も増えてきているようで、筆者としても嬉しいかぎりです。


 連載は続きますが、群馬県内には約100ヶ所の温泉地がありますので、シリーズが完結するには丸10年続くことになります。
 あらあら、その頃僕は、“アラ古希” であります。
 が、すべては群馬の温泉のため!
 老体にムチを打ってでも、書き続けますぞ!

 読者のみなさま、末永くお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:58Comments(0)執筆余談