温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2018年08月13日

意地悪な神様


 「介護とは、糞尿との闘いである」
 と、誰かが言っていました。

 と、テレビドラマ 『遺留捜査』 の糸村風に書いてみました。


 オヤジは、来月で94歳になります。
 重度の認知症で、自分のこと以外は、誰も分かりません。
 もちろん妻も、息子たちのことも。
 ましてや息子の嫁や孫、ひ孫なんて、この世に存在しないことになっています。

 そのオヤジが、突然、思い出したようにオフクロの名前を連呼することがあります。
 「○○子さん、○○子さん」
 って。
 「じいさん、急にどうしたんだい? ばあさんに会いたいのかい?」
 「○○子さんは、どこにいるんだい?」

 そうまで言われれば、介護している息子としては、オヤジとオフクロを会わせないわけにはいきません。
 ということで昨日、オヤジを車イスに乗せて、オフクロが入所しているリハビリ施設へ、面会に行きました。

 「ほら、じいさん。○○子さんだよ」
 オフクロのベッドの脇に車イスを寄せて、2人を会わせました。
 オフクロは寝たきりですが、頭はハッキリしているので、オヤジの来訪を大変よろこんでいます。

 「おとうさん、わたしですよ」
 オフクロが手を伸ばして、オヤジの手を取りました。
 「・・・・・」

 「あれほど会いたがっていたじゃないか?」
 「・・・・・」
 「○○子さんだよ!」
 「えっ、誰だって?」
 「○○子さん」
 「○○子って、……」 


 しばらく、オフクロはオヤジ手を握っていましたが、やがて離して、こんなことを言い出しました。
 「神様はさ、意地悪だよね」
 「どうしてさ?」
 「だって、おとうさんたら、『女は男を見送るものだ』 って言っていたんだよ。でも、ズルイよね。ボケちゃって。なーんも、分からないんだもの。しかも元気だし。わたしは、おとうさんを見送る自信なんて、ありませんよ」

 「まだ、分からないさ」
 息子としては、そう声を返すのが精一杯でした。


 神様、意地悪は、ほどほどにして、どうか、年寄りの願いを叶えてやってくださいませ。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:40Comments(0)つれづれ

2018年08月11日

目指せ、重版出来!


 「おめでとうございます」
 「大変、お疲れさまでした」
 「次は、“重版出来” あるのみ」
 「よろしくお願いいたします」

 昨晩、高崎市内のホテルにて、新刊 『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん刊) の完成・出版祝賀会が開かれました。
 出版元の社長や編集長、スタッフ、デザイン会社の社長やデザイナー、プロデューサーらが集まり、完成までの労をねぎらい、出版へ漕ぎつけたことへの喜びを分かち合いました。


 「僕にとっては、14冊目の著書になります。何度本を出版しても、この喜びはひとしおであります」
 著者として、ひと言、あいさつをしました。

 乾杯の音頭は、11年間の連載で苦楽を共にした、編集長が務めました。
 その、彼から発せられた言葉が、“重版出来”であります。

 <じゅうはんしゅったい>

 業界用語で、本が増刷されることをいいます。
 我々、出版に関わる者たちにとっては、あこがれの響きを持つ四字熟語です。
 編集者にとっては、出世よりも昇給よりも価値のある称賛だと思います。

 もちろん、著者にとっても同じです。
 いえいえ、印税のみに生活がかかっている身にとっては、それ以上の魅惑の言葉なのであります。


 「目指せ、重版出来!」
 「必達! 重版出来!」
 「かんぱ~い!」

 またもや、美酒に酔いしれたのでありました。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:12Comments(0)著書関連

2018年08月10日

どこかで 誰かが⑩ ロンドンの旧友


 「ジュンちゃん、誕生日おめでとう! 確か、昨日だったよね?」
 昨日の夜、突然、ロンドンに住む古い友人から電話がありました。

 彼は、僕の仕事仲間でした。
 25年前のある日、
 「イギリスへ行って、向こうでデザイナーとしての腕を確かめてくる」
 そう言って、単身、渡英してしまいました。
 数年後、奥さんと子どもを呼び寄せ、今でもロンドンで暮らしています。


 「よく、覚えていたね?」
 「うん、偶然、ジュンちゃんの記事を読んでね。それで、思い出した」
 「記事?」
 「日本から雑誌を送ってもらっているんだ。その中に 『グラフぐんま』 があった」

 『グラフぐんま』 とは、群馬県が発行しているグラビア広報誌です。
 僕は昨年の5月号から 「ぐんま湯けむり浪漫」 という紀行エッセーを連載しています。
 遠く離れたイギリスで、彼は、その記事を読んだというのです。


 「60歳になったんだよね?」
 「ああ、早くも還暦だ。キミは、いくつになったんだい?」
 「7つ下だから、今年53ですよ」
 「そうか……、そろそろ会いたいねぇ。今度、日本に帰ったら、連絡をちょうだい」

 彼と最後に会ったとき、僕は、まだ30代でした。
 彼にいたっては、20代です。
 でも、何年かに1度、こうやって電話とメールのやり取りだけは続いています。


 とても不思議です。
 僕が書いた記事が、知らないところで海を渡り、偶然にも知っている人が手にして読んでいるなんて……。

 いつも、どこかで、誰かが、見ていてくれているということなんですね。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:33Comments(0)執筆余談

2018年08月09日

トリビアな夜


 火曜日の夜9時~、といえば?

 そうです!
 群馬テレビの謎学バラエティー 『ぐんま!トリビア図鑑』 ですよね。
 僕は、この番組のスーパーバイザーをしています。
 おかげさまで、今年で放送4年目に入りました。
 来週の放送で、135回目を数えます。

 昨日は、この番組の企画・構成会議でした。
 プロデューサー、ディレクター、構成作家らが集まり、年内放送分のネタ出しを行ってきました。
 毎度のことながら僕も末席に座り、“ご意見番” として会議に参加してきました。


 くしくも昨日は、僕の新刊 『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』 の発売日でした。
 プロデューサーのご配慮により、“資料” という名目で著書を購入していただき、スタッフ全員に配付されました。
 「ネタ元が増えた!」
 「これさえあれば百人力!」
 とディレクターたちからは、評判も上々です。

 実際、すでに過去には、この本に収録されているネタで、いくつか番組は作られています。
 今回の会議でも、さっそく本の中から1話、番組が作られることが決まりました。


 会議が終われば、夏恒例の 「暑気払い」 であります。
 テレビ局の会議室を飛び出して、市内の居酒屋へ直行!
 折りしも台風が接近中でしたが、“そんなの関係ない” 人たちであります。
 会場が替わっただけで、話のテーマは、やはりトリビアネタです。
 熱い熱いトークが、延々と続いたのであります。

 と、突然、サプライズが起きました。
 「小暮さん、誕生日おめでとうございます!」
 女性ディレクターのN嬢からプレゼントが渡され、
 ♪ ハッピーバースディ ツー ユー
 の大合唱となりました。

 こうして、仕事仲間に祝っていただけるなんて、冥利に尽きるというものです。
 でも、何冥利なんでしょうか?
 ライター冥利なのか? スーパーバイザー冥利なのか? ご意見番冥利なのか?

 ま、そんなことは、どうでもいいことであります。
 良き仕事、良き仲間、良き酒に酔いしれた “トリビアな夜” でした。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:12Comments(0)テレビ・ラジオ

2018年08月08日

8月8日は何の日?


 今日、8月8日は、何の日だか知っていますか?

 パチパチという音がするから 「そろばんの日」。
 “八” という字がヒゲに似ているから 「ひげの日」。
 足が8本あるから 「タコの日」。

 いろいろありますが、実は、僕の誕生日です。
 今日で、満60歳になりました。
 いよいよ、夢にまで見た(?) “還暦”であります。
 赤いちゃんちゃんこならぬ、赤いTシャツでも着て、1人で祝いたいと思います。

 でもね、60年なんて、あっと言う間なんですね。

 ギターを片手に、夢を追って、東京へ出た10代が、去年のようです。
 夢やぶれて、都落ちして、腐っていた20代が、半年前のようです。
 無我夢中で、我武者羅に、雑誌記者をしていた30代が、先月のことのようです。
 暗中模索、五里霧中、さまよい続けた40代は、まるで先週の出来事のようです。
 そして、“温泉バカ” と言われながらも東奔西走を続けた50代は、昨日のように過ぎ去って行きました。

 人生、百年時代といいますが、たぶん、残りの人生も、あっという間に過ぎて行くんでしょうね。


 さてさて、僕の誕生日なんて、どうでもいいのです。
 今日、8月8日は何の日か?

 そうです!
 僕の最新刊 『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん刊/定価1,000円税込) の発売日であります!!!

 一部の書店では、すでに先行販売されていますが、現在、お求めになれる書店は、下記の店舗となっています。
 取扱店は、これから続々と増える予定です。
 ぜひ、お近くの書店で、ご確認ください。

 ●戸田書店 (群馬県内)
 ●文真堂店 (群馬県内)
 ●文開堂書店 (高崎市連雀町)
 ●フリッツ・アートセンター (前橋市敷島町)

 ※問合/ちいきしんぶん TEL.027-370-2262
  


Posted by 小暮 淳 at 12:01Comments(0)著書関連

2018年08月07日

夏だ、老神温泉へ行こう!


 老神温泉(群馬県沼田市利根町) ファンのみなさん!
 お待たせしました。

 今年も、やってまいります。
 夏の祭典 「とねふるさと風のまつり」!


 僕は2015年5月に、老神温泉の全旅館を取材した 『尾瀬の里湯』(上毛新聞社) という本を出版しました。
 これが縁となり、その年の夏から祭りに参加させていただいています。
 昨年は 「老神温泉大使」 にも任命していただき、さらに深く濃く、祭りに関わるようになりました。

 もちろん今年も、僕がボーカルとギターを担当するスーパーローカルオヤジバンド 「KUWAバン」 が、ステージに登場します。
 それも2ステージ!
 いつものようにイベントのトリを務め、演奏終了とともに盛大に花火が打ち上げられます。

 ぜひ、僕らと一緒に、老神の夏を楽しみましょう!

 湯上がりに、浴衣で、生ビール片手に、お越しください。
 待ってまーす!!



     『とねふるさと風のまつり』

 ●日時  2018年8月19日(日) 13:30~21:00
 ●会場  沼田市利根老神多目的広場
        ※入場無料
        KUWAバン 16:15~ 19:20~
        花火大会  20:00~
 ●問合  利根町観光協会 TEL.0278-56-2111
  


Posted by 小暮 淳 at 11:12Comments(0)ライブ・イベント

2018年08月06日

だれにでもドア


 昨日は、「フリッツ・アートセンター」(前橋市敷島町) で開催中の絵本作家・野村たかあきさんの原画展会場にて、ゲストに呼ばれ、トークショーを行って来ました。
 予想以上の来場者があり、とても楽しいひと時を過ごすことができました。

 というより、正直、感動すら覚えました。


 ふだんから僕は、講演やセミナーを行っていますが、これらはすべて温泉がテーマです。
 よって聴講される人たちも、主催者や関係者、または温泉ファンがほとんどです。
 ときどき、僕の友人・知人が冷やかしに現れることはありますが、それはかなり稀なことであります。

 でも、昨日の客層は違いました。
 もちろん、知名度からして野村さんの集客力に負うところが大きかったのですが、僕の関係者もかなり来場されました。
 温泉関係者や読者もいましたが、40年以上ぶりに会う同級生や兄の友人、友人のお姉さん……
 昔、編集の仕事でお世話になった先輩たちも駆けつけてくれたりして、さながら僕にとっては “人生の同窓会” のようでした。

 また、僕と野村さんが出会った30年前から2人を知る共通の友人の顔もあり、懐かしいやら、照れくさいやら、でも、メチャクチャうれしいやらで、最高の記念日となりました。


 で、僕は、思ったのであります。
 ドラえもんは、「どこでもドア」 という道具を使って、自由自在に好きな所へ行けるけれど、もしかしたら僕も “魔法” を使えるようになったのかもしれないって。
 その魔法とは、名づけて 「だれにでもドア」!

 もし、僕がふつうの勤め人をしていたら、60歳のときに、こんなにもたくさんの友人や知人、読者たちに出会えたでしょうか?
 たぶん、無理だったと思うのです。
 “ライター” という、ヤクザな職業に就いたからこそ、この歳になってから魔法を使えるようになったのだと思います。

 まだまだ、会いたい人たちがいます。
 その人たちに会うためには、もっともっと修行を積んで、魔法のワザを磨かなくてはなりませんね。
 でも必ず、会いに行きますよ!
 待っていて、くださいね。


 トークショーおよびサイン会に、お越しいただいたすべての人に、心よりお礼を申し上げます。
 そして、このような場を与えてくださった野村さんとフリッツ・アートセンターの小見社長に、感謝いたします。
 ありがとうございました。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:52Comments(0)ライブ・イベント

2018年08月04日

奈女沢温泉 「釈迦の霊泉」④


 秘湯ファンに朗報です。

 今週、奈女沢温泉(群馬県利根郡みなかみ町) の一軒宿、「釈迦の霊泉」 の2代目女将、今井経子さんから直々に電話がありました。
 「長い間、ご心配をおかけしましたが、ようやく再開いたしました。ぜひ、またお越しください」 と。


 コアな温泉ファンは、ご存知かと思いますが、2015年の夏、突如、土砂災害に遭い、旅館は余儀なく休館をしていました。
 しばらくは 「御神水」 と呼ばれる源泉水の販売のみを行っていましたが、復旧が進み、昨年の暮れには、日帰り入浴と素泊まりのプレオープンに、こぎ着きました。

 あれから丸3年。
 電話の中の女将さんの声も嬉しそうです。
 「良かったですね。全国のファンが喜んでいますよ」
 そう言葉を返しました。


 「釈迦の霊泉」 といえば、知る人ぞ知る “万病に効く湯治場”。
 全国から難病に苦しむ患者たちが、ワラにもすがる思いでたどり着く 「奇湯」 です。
 奇湯とは、もちろん僕の造語ですが、それだけ数々の奇跡を起こす湯として知られています。

 僕自身、大変奇妙な体験をいくつもしています。
 詳しくは、拙著 『みなかみ18湯(下)』 や 『新ぐんまの源泉一軒宿』 をお読みください。


 入って残そう! 群馬の温泉
 ぜひ、奇跡の復活をした天下の“奇湯” に、足を運んでください。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:58Comments(2)温泉地・旅館

2018年08月02日

梨木温泉 「梨木館」④


 ♪ 梨木よいとこ 赤城のふもと 雲の中から お湯が湧く

 西条八十作詞による 『梨木(なしぎ)小唄』 の一節です。
 作曲は群馬県伊勢崎市出身の作曲家、町田嘉章。
 昭和のはじめ、梨木の湯に惚れ込んだ嘉章は、友人の西条八十と訪れて、この歌を作りました。


 今日は雑誌の取材で、赤城山南面の山ふところに湧く、秘湯の一軒宿 「梨木館」 に行ってきました。
 最後に訪れたのは2013年の12月、拙著 『新ぐんまの源泉一軒宿』 の取材ですから、約5年ぶりとなります。

 梨木温泉といえば?
 そう! 鉄分の多い “赤い湯” であります。
 なぜか、赤城山の南麓には、赤い湯が湧く温泉が多いのです。
 ※(詳しくは、当ブログ2013年12月25日 「梨木温泉 梨木館③」 を参照)

 今日の湯も、レンガの粉を溶かしたような濃厚なオレンジ色をしていました。
 内風呂と露天風呂、両方の湯に入りましたが、やはり歴史の古い内風呂は、相変わらず見事です。

 何が見事かって?
 はい、塩分や鉄分、カルシウムなど、温泉に溶け込んでいる成分が多いため、浴槽の縁はもちろんのこと、洗い場の床までもが、析出物が堆積して、まるで鍾乳洞の千枚皿のように幾何学模様を描いているのです。
 まさに自然の造形によるアート!
 開湯1200年の時の重さを感じる湯であります。


 6代目主人の深澤幸司さんによれば、「にごり湯は汚い」 と敬遠された時代もあったといいます。
 でも代々、かたくなに 「にごり湯じゃなけりゃ、温泉じゃねぇ!」 と守り続けてきた唯一無二の源泉です。

 後世へ大切に残したい、群馬の温泉遺産の1つだと思います。
  


Posted by 小暮 淳 at 19:06Comments(0)温泉地・旅館

2018年08月01日

10%のしあわせ


 「小暮さんって、お金とお金で買えるもの以外は、すべて持っているよね」
 以前、知り合いから、そんなことを言われたことがありました。
 もちろん、称賛の意味を込めて言ってくれた言葉であることは分かっています。
 でも、その時、僕は、

 「なんだよ、それ! ていうことは、人生の9割がた失っているじゃん!」
 自虐を込めて、そう返した記憶があります。

 残り、たった10%のしあわせに、しがみ付いている人生であります。


 昨晩は、酒処 「H」 に3人の弟子たちが集まりました。
 「H」 とは、僕が10年以上前から通っている小さな小さな居酒屋です。
 “弟子たち” とは、僕のことを勝手に 「先生」 とか 「師匠」 と呼ぶ殊勝な人たちのことです。
 僕の講演会やセミナー、講座を通じて出会い、これまた勝手に “弟子の会” なるものを発足させ、2ヶ月に1度、集まるようになりました。

 前半は、いつもの飲み会でした。
 突然、誰かが 「ママ、お願い」 と言った途端、店内が真っ暗になりました。

 「おい、何するんだよ~!」
 と、声をあらげたのも束の間、僕の首には金銀ラメのレイが、顔にはエルトン・ジョン風の四角い伊達メガネがかけられ、頭には角のような形をした意味不明な帽子が、かぶされてしまいました。
 そして、店内に流れる音楽……

 ♪ ハッピーバースディ ツウ ユー ハッピーバースディ ツウ ユー

 目の前に出されたケーキには、6本のロウソクに火が灯されています。

 「さあ、先生、消して消して」
 そして僕が、ひと息に炎を吹き消すと、
 「還暦、おめでとうございま~す!!!!」
 の祝福とともに、パンパンパーンと、店内のあちらこちらでクラッカーが鳴り響きました。


 一瞬の出来事に、最初は何が起こったのか分かりませんでした。
 でも僕の誕生は、8月8日です。
 ひと足先に、弟子たちが僕に内緒で誕生パーティーをサプライズ企画してくれていたのです。
 しかも、ママもグルになって。

 「はい、これ、我々弟子たちからのプレゼントです」
 と手渡された箱は、リボンがけされた立派なものでした。
 「これ、今、開けていいのかな?」
 「はい、ここで開けてください」

 箱の大きさからすると、中身はシャネルかヴィトンの財布だろうか?
 でも、そんな物をもらっても、中に入れる金がないよなぁ~。
 なんて考えながら箱を開けました。

 すると箱の中は上げ底で、たった4枚の紙切れ入っているだけでした。
 紙には、こう書かれています。

 <祝(温泉マーク)還暦>
 <酒処Hご招待券>
 <※このチケットは還暦本人「小暮淳」以外の使用を禁ず。>
 <※他人への譲渡、またオークション出品等を禁ず。>

 そして4枚の紙には、それぞれ1枚ずつ、ママも含め4人のコメントが書かれていました。
 『悩みに喝!この券を使えば、たちどころに悩み解消!』
 『~人生のスパイス・酒~ご利用は計画的に』
 『還暦と思えない若さに乾杯!でも飲み過ぎに注意だワン!』
 『いつまでも麦わら帽子にトンボ取網の似合う少年でいて下さい』


 もう、ダメです。
 あっという間に涙腺が、ぶっ壊れてしまいました。
 「あ・り・が・と・う」
 みんなに、礼をいうのが、やっとです。

 すると、
 「やったー!! 小暮淳を泣かせる会、大成功!」
 の声とともに、またもや拍手に包まれました。


 たった10%のしあわせですが、僕には充分過ぎるようです。

 みんな、ありがとう!
 そして、これからも、よろしくお願いします。
  


Posted by 小暮 淳 at 19:24Comments(0)酔眼日記

2018年07月30日

介護日和


 「この部屋は小さくて、いいですね。私とあなた、ふたりきり。いいですね」

 認知症の老人は、突然、脈絡もなく、意味不明なことを言うものなのです。


 今年94歳になるオヤジは、認知症の症状が出始めてから、かれこれ10年近くになります。
 その症状は、年々重くなる一方で、今では、まったく自分以外の人間は、どこの誰だか分かりません。
 (なぜか、自分のことは名前も生年月日も分かります)

 平日は、デイやショートステイのサービスを利用しながら、実家にてアニキが面倒を看ています。
 週末は、できるだけアニキの負担を軽減するためと、アニキを東京の家族の元へ帰すために、我が家にオヤジを引き取って面倒を看ています。
 (オフクロは重度の老衰のため、現在はリハビリ施設に預けています)


 問題は、この猛暑です。
 昨年までは、難なくこなしていましたが、今年は暑過ぎて、オヤジの熱中症が心配で、介護を苦労しています。
 というのも、オヤジを預かっている我が家の和室(6畳) には、エアコンがありません。
 例年ならば、日中の暑いうちは僕の仕事部屋に居てもらい、寝るときになると和室へ移動していました。

 が、今年のこの暑さです。
 夜中でも30℃を下らない熱帯夜であります。
 ということで、先週までは僕が実家へ行き、オヤジの部屋に泊まっていました。

 でもね、それでは、やっぱりダメなんです。
 いくら僕がオヤジの面倒を看ているといっても、アニキにとっては休養にならないのですよ。
 東京に帰っているときは、それで良いのですが、こちらに居るときは、気が休まらないようです。
 「やっぱり、オヤジを連れてってくれよ」
 と言われれば、弟としては従うしかありません。


 で、この週末を迎えました。
 <最悪、オヤジを俺のベッドに寝かせて、一緒に添い寝をするか……>
 と腹をくくっていたのですが、幸か不幸か、台風が日本を直撃しました。

 台風の進路に当たって被害が出た地域の方々には、大変申し訳ないのですが、関東地方は接近しただけだったため、適度なお湿り雨となり、気温もグッと下がり、久しぶりに涼しい数日間となりました。
 よって、この週末はエアコンいらずで、扇風機の風だけで快適に過ごせました。


 そんな台風が去った日曜日の夕暮れ、セミが一斉に鳴き出した時でした。
 オヤジが、突然、冒頭のセリフを言ったのです。
 目も見えない、耳も聞こえない、耄碌爺さんだとばかり思っていたので、ビックリしました。

 “ふたりきり”
 って、誰と誰のことを言っているのでしょうか?


 オヤジと僕の今年の夏は、まだ始まったばかりです。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:20Comments(0)つれづれ

2018年07月28日

先行販売のお知らせ


 浦島太郎の墓は群馬にあった!
 なぜ分福茶釜にはフタがないのか?
 カタツムリの魂が宿ったダイロ石
 舌切り雀のお宿が群馬にある理由
 運命を分ける二つの森
 なぜ河童は七年に一度現れる?

 などなど、民話と伝説に隠された真実を追った伝奇エッセー 『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) が、いよいよ8月8日に発売されます。
 書店やネットでの販売は、それ以降になりますが、それまで待てない “謎学ファン” のために、イベント会場にて先行販売されることになりました。


 現在、前橋市の 「フリッツ・アートセンター」 にて、絵本作家の野村たかあきさんの原画展 『落語三席』 が開催中(8月26日まで) です。
 会期中、さまざまなイベントが開催されますが、そのうちの1つとして、僕と野村さんのトークショーが行われます。
 ※(当ブログ2018年7月4日「ふたりのトークショー」参照)

 ということで発売にさきがけて、この会場で新刊の先行販売&サイン会を同時開催いたします。
 お時間のある方は、ぜひ、遊びに来てください。
 もちろん、野村さんの絵本も販売されています。


  「落語的対談 野村たかあき対小暮淳 第一回戦」
 ●日時  2018年8月5日(日)  午後3時~
 ●会場  フリッツ・アートセンター 前橋市敷島公園内
 ●観覧  無料 (定員制・要予約)
 ●問合/予約 TEL.027-235-8989

 ※『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』 の問合せは、TEL.027-370-2262 (ちいきしんぶん) まで。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:11Comments(0)著書関連

2018年07月27日

やっぱり温泉といえば群馬なのです


 “群馬といえば温泉、温泉といえば群馬”
 そう、言い続けてきました。

 これって、見栄でも、ハッタリでもありません。
 正真正銘、「日本一の温泉県」 なのであります。
 では、その根拠は?

 はい、それを説明をするために、僕は講演やセミナーの講師をしているのです。
 でも、そのほとんどは群馬県内で、群馬県民に “日本一の温泉県” の自覚を持ってもらうために行っています。

 でもでもでもでも! 久しぶりに昨日は、他県民に向けて、群馬の温泉の魅力を話すことができました。


 主催者は、某法人団体です。
 そして講演の対象者は、関東・甲信越ブロックの方々です。
 会場は、交通の便の良い高崎駅ビルに併設された 「ホテルメトロポリタン高崎」。

 演壇の上に立つと、聴講者の前には、都県名が書かれたプレートが見えます。
 栃木県、新潟県、長野県、山梨県……
 いずれ劣らぬ、関東・甲信越を代表する温泉県ばかりです。

 メラ、メラメラメラ!
 僕の中から一気に闘志が湧き上がります。
 各県の温泉の素晴らしさをたたえつつも、最終的には、いかに群馬の温泉がズバ抜けて素晴らしいかに話を持っていきました。


 今回は、講演終了後に、著書の販売をさせていただきました。
 嬉しいものですね。
 他県の人が、群馬の温泉に興味を持ってくださり、本まで買ってくださるなんて!


 さあ、全国のみなさん!
 “日本一の温泉県”
 群馬に、いらっしゃ~い!!
   


Posted by 小暮 淳 at 14:29Comments(0)講演・セミナー

2018年07月25日

上の原温泉 「水上高原ホテル200」④


 暑い! あつい!! アツーーーイ!!!!
 こんな体温より暑い街には、いられな~い!

 そうだ、高原へ行こう!!


 ということで、昨日は標高996メートル、白樺林に囲まれた別天の温泉地へ行ってきました。
 上の原温泉(群馬県利根郡みなかみ町藤原) のリゾートホテル 「水上高原ホテル200」。
 “200” と表記して、「トゥーハンドレッド」 と読みます。

 なんで “200” かって?
 敷地面積が、200万坪あるからなんです。
 “200万坪” といわれても、ピンとこないですよね。
 だから以前、取材で訪ねた時に総支配人に訊いたことがありました。

 彼、いわく
 「芦ノ湖と同じ広さです」
 「?」
 「東京ドームだと164個分です」
 「?」
 「う~ん、そうですね、江ノ島10個分というのでは」
 「ああ、なるほど」
 と返事をしたところで、やっぱりイメージは湧いてきません。
 ま、いずれにせよ、ケタ違いの広さであることには間違いありません。
 冬はスキー場、夏はゴルフやテニス、トレッキングをはじめとするアウトドアスポーツが楽しめます。


 今回は、僕が講師を務める野外温泉講座で訪れました。
 「す、涼し~い!」
 「気持ちい~い!」
 バスから降りた受講生たちは、高原の空気を全身に浴びながら、口々に感想を言い出しました。

 でも、ロビー前の寒暖計を見ると、29℃もあるんです。
 たぶん湿度が低いんでしょうね。
 それと、白樺林を抜けて来る高原の風。
 とっても爽やかであります。


 ここ上の原温泉は、リゾート地として有名ですが、実は、温泉マニアには知る人ぞ知る名湯なのであります。
 アルカリ度を示すpH値は、なんと! 9.26。
 アルカリ性の単純温泉と単純硫黄泉の2本の源泉が湧出しています。

 その浴感は、まさにトロトロのヌルヌルであります。
 湯上がりは、肌がツルツルのスベスベになることから別名 「ツルスベの湯」 なんて呼ばれています。
 「美人の湯」 「美肌の湯」 と呼ばれる温泉が多い、みなかみ地区ですが、その中でもダントツに存在感のある温泉です。


 「ああ、帰りたくなーい!」
 受講生らの願いも空しく、バスは白樺林を抜けて、高原を下り、灼熱の下界へ舞い戻ったのでありました。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:45Comments(2)温泉地・旅館

2018年07月22日

四万温泉 「やまの旅館」


 <レトロ温泉街 懐メロに沸く>

 一夜明けた今日、上毛新聞に昨日、四万温泉(群馬県吾妻郡中之条町) で開催された 『レトロ通りの懐かしライブ』 の記事が載りました。

 <KUWAバンは四万温泉がテーマの 「四万のうた」 や県内各地の温泉名が登場する 「温泉パラダイス」 を披露した。> と、僕らのバンドのことも書かれていました。


 午後1時、メンバーと楽器を車に積み込み、出発したときの前橋の気温は38℃!
 渋川~中之条と北に向かうにつれ、外気温は1℃、また1℃と下がります。
 そして、山と清流に囲まれた温泉街の駐車場に着いたときの気温は、30℃!

 「8℃も違う!」
 と喜んだものの、それでも30℃あるわけですから、楽器の搬入やライブ中は、汗だくとなり、常にキーンと冷えた缶ビールが手放せません。


 「お疲れさまでした!」
 「今年もライブ、大成功でしたね」
 「カンパ~イ!!」

 夕方、5時。
 陽が少し西に傾き出した清流沿いの宿に、片づけを終えたメンバーが集まり、“打ち上げ” 前の “仮祝い” が始まりました。
 温泉協会がメンバーのために用意してくださった宿は、温泉街の目抜き通り 「桐の木平商店街」 にある 「やまの旅館」 であります。

 「やまの旅館」 といえば、四万温泉ファンの中でも “四万通” が通うレトロ旅館です。
 「カメラ、フィルム 山野」 の看板が、かつて、ここが温泉街唯一の写真館であったことを伝えています。

 そして、見逃せないのが 「内湯 やまの旅館」 の文字です。
 “内湯” とは、“外湯” に対して使われていた言葉です。
 「うちは共同湯に行かなくても宿の中に風呂があります」 という、古き良き湯治場風情の名残なのであります。


 「さ、ひと風呂浴びて、汗を流してから出かけますか?」

 平均年齢56歳のオジサンたち6人が、一同に浴室へ向かいました。
 「くー、たまらん!」
 「いい湯だ!」
 「四万の病を癒やす湯ですぞ。今日の疲れなんて、一浴しただけで取れちまいますよ」

 そしてオジサンたちは、夜の温泉街へと消えて行ったのであります。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:18Comments(4)温泉地・旅館

2018年07月20日

蚊のいない夏


 昔、といっても僕が子どもの頃のこと。
 夏休みになると、決まって母親に、こう言われました。
 「午前中の涼しいうちに、宿題をしちゃいなさい」
 って。

 ラジオ体操から帰って来て、朝食をとって、マンガを読みながらグダグダとしていると、言われたものです。
 というのも、どこの家にもクーラーがない時代のこと。
 午後になると気温がグングン上がり、30℃を超える日もあったからです。

 そう、当時は “30℃” というのが 「真夏」 を表すキーワードだったのです。
 だから勉強は、気温が上る前の午前中にしてしまえと言ったのです。


 午後になって30℃を超えると、親たちは子どもに、今度は、こんなことを言いました。
 「外へ行くんなら、帽子をかぶりなさいよ。日射病になっちゃうよ」
 って。

 そう、まだ “熱中症” なんて言葉がなかった時代だったんです。
 “30℃超え” にビビッていた昭和の頃は、怖いのは高温ではなく、直射日光だったのです。


 時は流れて、あれから半世紀……。

 なんですか、このクソ暑さは!?!?!?
 「午前中の涼しいうち」 が、どこかへ行ってしまいました。
 朝の7時で、すでに30℃超えですからね。
 今の親は、子どもになんて言うのでしょうか?
 「いつでもいいから冷房の効いた部屋で宿題をやりなさい」 ですかね。

 それにしても、今年の暑さは異常です。
 何が異常かって、だって、蚊がいないんですもの!
 例年ならば、蚊取り線香や殺虫剤が手放せないのに、僕はまだ今年、蚊に刺されていません。

 不思議だな~、不思議だな~と思っていたら、先日、ラジオで識者が、こんなことを言っていました。
 「蚊は、35℃を超えると活動がにぶり、40℃を超えると死んでしまう」 と!
 それを聞いた僕は、つい、ツッコミを入れてしまいました。

 「蚊だけじゃねーよ! 人間もだよ!!」


 みなさん、不要不急の外出は避けましょう。
 これは異常気象などではなく、すでに災害ですぞ!
   


Posted by 小暮 淳 at 17:46Comments(0)つれづれ

2018年07月18日

特集/足湯鼎談


 中之条町のみなさ~ん、こんにちは!
 あなたの町の観光大使です。

 四万温泉のみなさ~ん、こんにちは!
 あなたの湯の温泉大使です。

 そう、僕は群馬県吾妻郡中之条町の観光大使と、中之条町にある四万温泉の温泉大使をしています。
 その2つの大使のダブル公務ともいえる 「中之条町町勢要覧2018」 が発行されました。


 町民のみなさんは、もう、ご覧になりましたか?
 特集/足湯鼎談(ていだん) 「世のちり洗う四万温泉」を!
 4ページにわたり、3人のおじさんとおばさんが、熱く熱く四万温泉について語っています。

 3人とは、歴史と民俗の博物館 「ミュゼ」 館長の山口通喜さん、一般社団法人 「四万温泉協会」 副会長で 「中沢旅館」 女将の中沢まち子さん、と僕です。

 山口さんは四万温泉の歴史や文化を、中沢さん四万温泉の今昔や慣習など、そして僕は四万温泉の湯の魅力について語っています。
 ちょうど僕らは、同世代。
 取材当日は、あまりに和気あいあい過ぎて、話が止まらなくなり、大いに脱線してしまい、スタッフに大変ご迷惑をかけてしまいました。
 ま、それだけ楽しいエピソードが満載の鼎談記事となっています。
 ※(取材当日の様子は、当ブログの2017年10月18日「四万を語る」を参照)


 中之条町民はもちろん、町外の人でも、これを読めば四万通になり、もっともっと四万温泉を好きになること間違いなし!

 ■発行・編集/中之条町役場 TEL.0279-75-2111
  


Posted by 小暮 淳 at 11:13Comments(0)大使通信

2018年07月17日

マロの独白(40) 最年長だワン!


 こんにちワン! マロっす。
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、12才です。
 お久しぶりでやんした。

 えっ、気づかれました?
 そーなんです!
 オイラ、誕生日が来て、先週、12才になりやした~!!

 あんまり、うれしくはないんですけどね。
 だって犬の12才って、人間様でいえば、完璧に60歳以上ですよね。
 誕生日の日、朝からいイヤ~な予感が、してたんですよ。


 「おい、マロ! おめでとう」
 「あ、ご主人様! ありがとうございます」
 「ほれ、誕生日プレゼントだ」
 そう言って、おやつにオイラの大好物のクッキーとジャーキーをくださいました。

 「で、マロは、いくつになったんだ?」
 「はい、12才になりました」
 「えーーーっ、じゅうにさいだ~!」
 「ご主人様、ちょっと大げさじゃありませんか。11才だったんだから、次は12才でしょ?」
 「まあな、でも、そんなになるのか……。マロがうちに来て……」


 オイラは、埼玉県のブリーダーの家で生まれ、その後、群馬県内のペットショップに引き取られました。
 他の仲間たちは、次から次と買われて行くのに、オイラだけ生後6ヵ月になっても、売れ残っていました。
 そして、ついには、正月初売りの福引き景品になってしまったのです。

 それも、2等です。
 (ちなみに1等は、トイプードルでした) 

 で、ここの家の奥様と次女様が、当ててくださったのであります。


 「あの時は驚いたな~。家に帰ってきたら、犬の鳴き声がするんだもの」
 「そうそう、ご主人様の驚きようったらありませんでしたよ。犬嫌いだったんですものね」
 「しかも、ブサイクな犬だった」
 「ブサイクは、余分です!」

 でも事実、オイラは “ブサイク” だったから売れ残ったんです。
 だって、チワワなのに目は小さいし、鼻は白いし、顔も面長なんです。

 「これ、なんていう犬だ?っていうのが、ご主人様の第一声でしたね」
 「テレビのCMで見るようなチワワには、見えなかったからな」
 「それでも、家族の一員として迎えてくださいました」
 「だって、うちに来ちゃったものは、しょうがないだろう」


 あれから11年半になります。
 気が付いたら、オイラも老犬です。

 「ご主人様、これからも末永く、よろしくお願いいたしやす」
 「いやいや、こちらこそ、先輩!」
 「先輩ですか?」
 「ああ、俺は来月、誕生日が来ても、まだ還暦だもの。マロは、古希だろ?」
 「まだです!」
 「ハハハ、いずれにしても、我が家の最年長であることには違いない」
 「……ええ、まあ……」
 「よっ、長老! これからも長生きしてくれよな」

 なんか、オイラ、とっても幸せだワン!
   


Posted by 小暮 淳 at 10:36Comments(2)マロの独白

2018年07月13日

無事、下山しました!


 “出版は登山に似ている”

 さしずめ著者にとっての 「登頂」 は、脱稿(原稿を書き終えること) です。
 達成感という絶景を味わいます。

 しかし登山とは、山頂に立つことではなく、無事に帰ること。
 下山して、初めて登山が完結します。
 では、出版において下山とは?

 編集者、カメラマン、デザイナーたちとの制作です。
 完成に向けて、チームワークを駆使して、一歩一歩丁寧に仕上げていきます。


 今日、最後の制作会議を終えました。
 「すり合わせ」 という作業です。
 1校、2校と校正を終えたゲラ刷り(校正用に刷った印刷物) の最終チェックを行いました。

 「お疲れさまでした」
 「それでは、これでお願いします」

 表紙、本文、奥付等のチェックを終え、ここから先は、すべてをデザイナーと編集者に託します。
 後は、野となれ山となれ!
 泣いても笑っても、出版日は来るのです。

 そして僕らは、「下山」 を無事に終えました。


 でも、下山口で振り返っても見えるのは、うっ蒼と生い茂った森だけです。
 そう、たった今、スタッフ全員で抜けて来た深い森が見えるだけ。

 あと、もう少し歩かなくてはなりません。
 山のふもとの町のバス停まで……

 そこから振り返った時、僕らが制覇した山の全容が見えるはずです。
 (その間に、印刷~製本と作業が行われます)

 そしてバスに揺られ、電車を乗り継ぎ、我が家に帰る頃、本が書店に並びます。


 ☆ 小暮淳・著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん/定価 1.000円税込) は、8月8日の発売です。
 ●問合・予約/ちいきしんぶん TEL.027-370-2262
   


Posted by 小暮 淳 at 20:07Comments(0)著書関連

2018年07月12日

もっと恍惚の人


 「確か、昔、読んだよな。たぶん、あったような気がしたけど……」

 オヤジの介護をしていて、突然、僕は、ある本が読みたくなって、書庫へ駆け込みました。
 書庫といっても、たたみ2畳ほどの小さな納戸です。
 天井までの書棚が2つあるだけです。

 その棚の奥の奥に、セピア色した文庫本を見つけました。
 有吉佐和子・著 『恍惚(こうこつ) の人』(新潮文庫)

 読んだ記憶はありますが、内容は、まったく覚えていません。
 ただ、老人介護の話だったという以外は……

 「昔は、どうだったんだろうか? 今とは勝手が違ったのだろうか?」
 急に、自分が抱えている介護との比較がしたくて、読み始めました。


 小説が出版されたのは、昭和47年(1972)。
 当時、ベストセラーとなり社会に大きな影響を与えました。

 物語は、ショッキングなシーンから始まります。
 主人公の嫁・昭子は、仕事帰りに、町を徘徊する舅(しゅうと) の茂造と出くわします。
 「腹が減った。何か食べさせてくれ」
 「おかあさんは、どうしたんですか?」
 「婆さんは、いくら言っても起きてくれない」

 あわてて家に帰り、離れをのぞくと、姑(しゅうとめ) が亡くなっています。
 舅、84歳。姑、75歳。
 このとき初めて、息子夫婦は、茂造が認知症であることに気づきます。
 そして、経験したことのない介護生活が始まります。


 でも、これは半世紀近く前に書かれた小説です。
 当時はまだ “認知症” という言葉はなく、「ボケ」 「痴呆(ちほう)」 「耄碌(もうろく)」 という言葉が使われています。
 そして驚いたのは、当時の平均寿命です。
 男性は69歳、女性は74歳なんですね。
 今より10歳も若かったことになります。


 「うんうん、分かる、分かる。そうそう、そうなんだよな」
 と、時代は変われど、介護の実状は変わりません。
 でも時には、
 「甘い、甘い。うちのジイサンは、そんなもんじゃねーぞ!」
 なんて、ツッコミを入れたりしながら読んでます。

 ふと、本から目を離すと、寝息を立てているオヤジがいます。


 息子の信利が妻に言った言葉が、めぐります。
 「俺もうっかり長生きすると、こういうことになってしまうのかねえ」
  


Posted by 小暮 淳 at 11:01Comments(0)つれづれ