温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2024年03月04日

なぜ若者は海辺の床屋を訪れたのか?


 不覚にも涙がこぼれてしまいました。
 小説を読んで泣けたのは、久ふりのことでした。


 小説を読むならば、長編と決めていました。
 なぜならば、むらっけの多い、飽きっぽい性格だからです。
 集中力が途切れると、他のことに興味が行ってしまうのです。

 だから短編集には、苦手意識がありました。


 荻原浩という作家が書く小説が好きでした。
 “でした” というのは、もう何年も読んでいなかったからです。

 1997年、『オロロ畑でつかまえて』 でデビュー。
 この作品で第10回小説すばる新人賞を受賞しました。
 この本を機にファンになり、『コールドゲーム』 『噂』 『あの日にドライブ』 などを立て続けに読んだ記憶があります。

 でも、なぜか、その後は読んでいません。
 だから2016年に 『海の見える理髪店』 で第155回直木賞を受賞したときも、本を手に取ることはありませんでした。
 短編だったからかもしれません。


 先日、時間つぶしに、ぷらりと入った古書店で、『海の見える理髪店』 を手に取りました。
 「読んでないけど、これ短編なんだよな……」
 なんて一人ごちながらも、気が付いたら他の数冊の本とともにレジに向かっていました。


 舞台は海辺の小さな町にある理髪店。
 ここに一人の若い男がやって来ます。
 「髪型はお任せします」

 老店主は、ハサミを動かしながらも問わず語りに、自分の人生を語り出します。
 家業の床屋を10歳で手伝い始めたこと。
 父親の死後、継いだ店は順調だったが、やがて傾き出し、酒におぼれていったこと。
 自暴自棄になり、妻に暴力を振り、離婚されたこと。


 なぜ、老店主は、若者にそんな話をするのか?
 なぜ、若者は遠く離れた海辺の町まで散髪にやって来たのか?

 ミステリアスなストーリー展開に、読み手は知らずのうちに謎解きを始めてしまいます。
 が!
 ラストで思いもよらぬ事実が明かされます。

 それを知った時、涙腺が一気に破壊されてしまいました。


 興味をいだいた方は、一読されたし。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:03Comments(2)読書一昧

2024年03月03日

馬から落馬して骨を骨折したことを後で後悔する


 某新聞社が主催した読者交流会でのこと。

 若い記者が壇上に立つと、スクリーンには今年1月1日に発生した地震被災地の写真が映し出されました。
 そして第一声、こう話し出しました。
 「元旦に発生した能登半島地震では……」


 ん?
 一瞬、聴き間違えかと思いました。
 だって、地震が発生したのは、確か元日の午後4時過ぎです。
 だったら “元旦” は間違えです。

 「元日」 は1月1日のことですが、「元旦」 の 「旦」 は朝、夜明けの意味ですから、元日の朝または午前中を指す言葉です。


 新聞記者が間違えるわけがありません。
 きっと、言い間違えたんだろうと思っていたら、
 「元旦の夜には、取材に向かいました」
 と、くり返しました。

 彼は完全に、元日と元旦を同義語として使っているようです。
 きっと聴いている人の中には、僕以外にも違和感を覚えた人がいたと思います。
 “元旦の夜” は、存在しないのですから……。


 つくづく、日本語は難しいと思います。
 たとえば重複語。
 重ね言葉、二重表現などともいいます。

 前例になぞれば、「元旦の朝」 が重複語です。
 同じ意味の言葉を重ねる表現です。


 有名な表現では、「馬から落馬する」 「骨を骨折する」 「後で後悔する」 などがありますが、さすがに重複していることには気づきます。
 では、この表現は、どうですか?

 「一番最初」 「ダントツ1位」 「まず第一」 「一番ベスト」 ……

 ついつい使ってしまいますが、よくよく考えてみれば、同じ意味の言葉が重複しています。
 僕も知らず知らずのうちに話し言葉では使ってしまっていますが、文章を書く場合は注意するようにしています。


 では、まだまだ寒い日が続きますので、お体をご自愛ください。
 (これも重複語で誤りです)
  


Posted by 小暮 淳 at 12:07Comments(0)つれづれ

2024年03月02日

トリビアなる会議


 “会議とは退屈なもの”

 きっと誰もが、そう感じていると思います。
 僕も昔は、「会議ほど無駄な時間はない」 と思ってました。

 特に僕はライターですからね。
 「物語は会議室では生まれない!」
 という現場主義でした。


 それが9年前から意識が変わりました。
 会議が面白過ぎるのです。

 2015年4月、群馬テレビでスタートした 『ぐんま!トリビア図鑑』。
 群馬県内で起きている出来事や知られざる歴史、慣習、文化などをドキュメントで紹介する番組です。
 僕は番組開始からスーパーバイザー (監修人) を務めています。


 なぜ僕がスーパーバイザーに抜擢されたのか?
 それは県内のタウン誌や情報誌、フリーペーパーの編集人をしていた経験からでした。
 「群馬のことなら詳しい」 と思われたようです。

 確かに20年以上も群馬に関わる雑誌の編集をしてきたのですから、一般の人よりは詳しいと思います。
 また、その自負もありました。

 ところが!
 いざ、制作会議が始まってみると、目が点になるようなことばかり。
 聞くも、見るも、初めてのネタが、次々と議場に飛び出してくるのです。

 まるで会議室が資料室になったようで、毎回、ワクワクドキドキの時間を過ごしています。


 おかげさまで今年4月で番組は9周年を迎え、10年目に突入します。
 オンエアも360回を超えます。

 なぜ、こんなにも長く番組が続いているのでしょうか?
 それは、会議でのワクワクドキドキ感が、テレビを通じて視聴者のみなさんにも伝わっているからだと思います。
 「えっ、そんなことがあったの!?」
 そんな驚きを届けたくて、番組スタッフは3カ月に1回集まっています。


 今週、今年最初の番組制作会議が開かれました。
 プロデューサー、ディレクター、放送作家ら10人が、今後のネタを披露しながら、撮影可能か? インパクトはあるか? などを精査しながら意見交換をしました。
 僕も末席にて、ときどき 「あーじゃない、こーじゃない」 と口をはさんできました。

 いや~、今回も出ました!
 ビックリするようなスクープ的ネタから、クスっと笑ってしまう小ネタまで、千差万別。
 バラエティーにとんだ内容の、充実した会議を存分に満喫してきました。


 『ぐんま!トリビア図鑑』 は、毎週火曜日午後9時からの放送です。
 再放送もありますので、ぜひ、チェックしてみてください。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(2)テレビ・ラジオ

2024年03月01日

【緊急】 「ささの湯」 復旧支援金のお願い


 取材やサミット等で、お世話になっている幡谷温泉(片品村) の 「ささの湯」 さんが、支援を呼び掛けています。

 先月、宿の心臓部といえる温泉供給用のメインポンプが突然、故障しました。
 湯が止まり、現在は営業が停止しています。


 修理をするには最低でも300万円程度が必要です。
 そのため復旧に向けた支援募金を開設しています。

 温泉好きのみなさん、ぜひ、ご協力をお願いいたします。


 ● 「ささの湯」 支援募金の返礼
 1,000円以上=入浴券 (1,000円ごとに1枚)
 1万円以上=素泊まり宿泊招待券 (1名)
 3万円以上=食事付き宿泊招待券 (2名)
 10万円以上=全館1日貸切 (繁忙期を除く)
 20万円以上=全館1日貸切+入浴フリーパス (2年間有効)


 ●支援方法
 ご協力していただいた方は 「ささの湯」 までご一報ください。

 ➀振込による協力
 下記口座にお振込みください。

 利根郡信用金庫 片品支店
 普通 0072863  アライショウ


 ②募金箱による協力
 「ささの湯」 店頭にて募金箱を設置しました。
 土日を中心に15~20時はスタッフが在館しています。



 原点回帰の湯 ささの湯 (幡谷温泉)
 群馬県利根郡片品村幡谷535
 TEL.0278-58-3630
   


Posted by 小暮 淳 at 12:16Comments(12)温泉地・旅館

2024年02月29日

なぜ鹿沢温泉が 『雪山讃歌』 の発祥地なのか?


 毎週火曜日放送の群馬テレビ 『ぐんま!トリビア図鑑』。
 観てますか?
 僕がリポーターを務めるシリーズ 「温泉王国ぐんま」 も来週の放送で、第6回を迎えます。

 今回、僕は群馬県最西端の秘湯、鹿沢温泉 (嬬恋村) を訪ねました。
 「しかざわ」 じゃありませんよ!
 鹿の沢と書いて、「かざわ」 と読みます。
 (けっこう、誤って読んでいる人が多いので)


 実はこの温泉、その昔は何軒も旅館が連なり、郵便局や学校もあった賑やかな温泉街でした。
 それが一夜にして消滅。
 現在は、たった一軒が残り、湯元として源泉を守り継いでいます。

 いったい、何が起こったのでしょうか?


 また、この地には、山男たちに愛される 『雪山讃歌』 の歌碑が立っています。
 それは、ここが、歌の発祥地だから。
 では、なぜ、ここで誕生したのか?

 番組では鹿沢温泉にまつわる、いくつものトリビアを紹介します。


 ご期待ください。



          『ぐんま!トリビア図鑑』
          温泉王国ぐんま Vol.6
           「山の湯 鹿沢温泉」

 ●放送局  群馬テレビ (地デジ3ch)
 ●放送日  2024年3月5日(火) 21:00~21:15
 ●再放送  3月9日(土) 10:30~ 11日(月) 12:30~
  


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(0)テレビ・ラジオ

2024年02月28日

昭和願望症候群


 「死にたい」
 「生きていたくない」
 そんな声が、僕の周りで聞こえてきます。

 自殺願望?
 ではありません。
 しいて言うならば、“昭和願望症候群” です。

 昭和生まれの昭和育ちの世代は、急速に進歩した令和の世の中に、ついていけません。
 ついていけないどころか、便利が生み出した生活や環境にさえも馴染めないでいます。


 ある友人は、こんなことを言いました。
 「長野市の公園廃止を聞いたときは、本当、もう死にたくなった。今の世の中、おかしいよ」

 「子どもの声がうるさい」 という、たった一軒の住民の苦情から公園の使用を禁止したというニュースです。


 ついに、ここまで来たか!
 と、僕も耳を疑ったほどでした。
 令和になり、音に関する苦情は、エスカレートするばかりです。

 盆踊り、花火大会、除夜の鐘、風鈴……
 それらの音が 「うるさい」 という現代人。
 昭和の時代には、考えられなかったことです。


 友人は、こんなことも言いました。
 「バスの車内で、ベビーカーが邪魔だと言いがかりをつけられたり、赤ん坊の泣き声がうるさいからと降ろされた母親がいた。なんだよそれ! いちゃもんつけてるそいつだって、生まれたときは赤ん坊だったじゃねぇーか!」
 と、憤懣やるかたない様子。

 さらに彼は続けます。
 「確かにベビーカーは邪魔だよ。赤ん坊の泣き声をうるさいと感じるときだってあるさ。でも、みんなお互い様だったんだよ。盆踊りだって、除夜の鐘だって、たった一日なんだから我慢すりゃいいじゃねぇか! 日本の文化なんだから」


 いつから、この国はこんなにも、住みにくくなってしまったのでしょうか。

 TBS系ドラマ 『不適切にもほどがある』 では、昭和から令和にタイムトリップした男が、現代のコンプライアンスにがんじがらめの世の中で、悪戦苦闘する物語です。
 昭和世代には、その 「あるある」 が受けているようですが、笑い事では済まされない危機感を感じます。
 脚本家の宮藤官九郎も、そこが一番伝えたかったのでしょうね。


 「昭和が良かった」 とは言いません。
 でも、不便でも人と人が手をかけて、協力しながら生きていた時代だったと思います。
 思いやりややさしさが、もっと町の中にあふれていたような気がします。

 さる年配の女性が言いました。
 「長生きしたくなくなってきたね。こんなに生きにくいんじゃ、未来が怖くて見られないもの」


 誰も本気で 「死にたい」 なんて思っていません。
 でも世の中が、これ以上変化するのなら 「生きていたくない」 というのは本音かもしれませんね。

 昭和は遠くなりにけり……
  


Posted by 小暮 淳 at 11:45Comments(4)昭和レトロ

2024年02月27日

占ってよ、カガミさ~ん!


 「カガミさんって、あの占いの?」
 「うん、そう」
 「キャー! 若い頃、読んでたよ~!」
 とは、いつもの店のいつものカウンター席での、ママと僕の会話です。

 すると他の女性客も、
 「読んでた、読んでた」
 と、感心しきり。

 昨年11月、ラジオ高崎の番組 「Air Place(エア・プレイス)」 に出演後のことです。


 “カガミさん” とは、番組のゲストパーソナリティーの鏡リュウジさん。
 お恥ずかしながら僕は、鏡さんが有名な占星術研究家だということを知りませんでした。
 でも、お会いすると聡明で博識で、物腰がやわらかくて、初対面にして大変好感を持ちました。

 その鏡さんからオファーがあり、昨日、ラジオ高崎の番組に再度、出演してきました。
 今回は、温泉ライターとしてではなく、“謎学ライター” という肩書き。
 民話と伝説の話をすることになっていました。


 オンエア30分前。
 スタジオに入ると、メインパーソナリティーの田野内明美さんとともに、鏡さんまでもが出迎えてくださいました。
 さっそく、打ち合わせのテーブルに座ると……

 な、な、なんと!
 鏡さんの手元には、僕の著書が!
 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)

 「その本、差し上げようと思って、持って来たんですよ」
 と僕が言えば、
 「さっき、そこの書店で買ってきました。面白い本ですね」 
 と鏡さん。

 なんて、いい人なんでしょうか!


 あれ?
 田野内さんのテーブルにも、同じ本が置かれています。
 「今ね、鏡さんと、この本の同じページで盛り上がっていたんですよ」
 すると、鏡さんいわく、
 「三途の川です。面白いですね。群馬に三途の川があるんですね」

 あれあれ、オンエア前から3人のトークが始まってしまいましたよ。


 ということでオンエアでは、そのままの流れで、台本無しのぶっつけ本番トークが炸裂!
 あっという間の30分間でした。

 田野内さん、鏡さん、とっても楽しかったですよ。
 またスタジオに呼んでくださいね。


 <お知らせ>
 占星術研究家、鏡リュウジさんの最新刊著書 『タロットの美術史〈1〉 愚者・奇術師』 (創元社アルケミスト双書 1.650円) が発売されました。
 全12巻のシリーズです。
 興味のある方は、ぜひ、お買い求めください。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:07Comments(0)テレビ・ラジオ

2024年02月26日

絶対王者の証し


 「まさに灯台下暗し、でした」
 「群馬と温泉、言葉が入れ替わるだけで、こんなにも意味が変わるんですね」

 2月17日に読売新聞群馬版に掲載されたコラム 「レンゲツツジ」 を読んだ方々から、コメントが寄せられています。
 記事に付いた見出しは、「温泉といえば群馬です」。


 僕は文中で、県内外での群馬に対する評価の違いに触れました。
 群馬の人にとって、「群馬といえば温泉」 だが、他県民から見ると 「温泉といえば群馬」 と、とらえていること。

 A=B
 は、必ずしもB=Aではありません。
 でも、もし、逆も真になったら?

 これは最強のコンテンツとなり、絶対王者の証しとなるはずです。


 かつて僕は、この現象を体感しています。
 2000年に四万温泉 (中之条町) で開催された 『探四万展(さがしまてん)』 というシンポジウムです。
 パネリストの一人として参加しました。

 この時、議題に上ったのが 「内から見た四万、外から見た四万」 というテーマでした。
 四万温泉で暮らす人たちは、四万温泉をどう見ているのか?
 また、四万温泉を訪れる人たちは四万温泉をどう見たのか?

 もし双方が、ずれているのであれば、修正しようという試みでした。


 ところが、この時、双方の目は見事に合致しました。
 しかし、そこには解釈の違いがありました。

 “何もないところ”

 前者は、自虐的であり、負い目を感じていました。
 「信号機もコンビニもない」 「不便な田舎の温泉」 だと。

 ところが後者の意見は、違いました。
 「このままの自然を大切にしてほしい」 「不便が四万の良さ」 「地元の人とのふれあいがある」
 そしてアンケートで一番多かったのが、「何もない良さ」 でした。

 言い換えれば四万は、大温泉地のような歓楽施設やコンビニなどがなく、自然と環境を邪魔するものがないから、純粋に湯を楽しめる温泉地だということです。
 だから僕は2011年に出版した 『あなたにも教えたい四万温泉』(上毛新聞社) という著書の帯に、直筆の言葉を載せました。

 ≪何もないとは、なんて素敵なことだろう≫


 その後、四万温泉がマスコミやメディアからも注目され出したことは、みなさんもご存知だと思います。
 だから 「群馬といえば温泉」 が 「温泉といえば群馬」 になった時、絶対王者になれると信じています。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:01Comments(0)執筆余談

2024年02月25日

数字じゃないのよ人生は


 また今年も、じっと手を見てしまいました。


 フリーランスおよび個人事業主のみなさん、確定申告は済みましたか?
 僕は昨日、無事に終えました。
 だから、こうして、じっと手を見ているのです。

 啄木の心境であります。


 確定申告は、年に一度手渡される 「大人の通知表」 です。
 しかも、その評価は、自分で行います。

 「去年は、頑張ったよな」
 と毎年思うのですが、電卓を叩いているうちに段々と気が滅入ってしまいました。
 「えっ、もっと収入なかったっけ?」

 帳簿を見ても、通帳を見ても、無い袖からは1円も出てきません。
 結局、例年同様の収入しかありませんでした。


 “働けど働けどなお、我が生活(くらし)楽にならざり。ぢっと手を見る。”


 でもね、とっても楽しい一年でしたよ。
 だから通知表の成績はオール3でも、備考欄には、こう記しまた。

 <同級生は定年退職して悠々自適な生活をしているけど、いじけることなく夢をあきらめずに、よく頑張りましたね>
 って。
 自分へのメッセージを添えて。


 生きてるだけで、丸儲け!
 まだまだ、走り続けるぞ!

 ♪ 数字じゃないのよ人生は ホッホー ♪
  


Posted by 小暮 淳 at 11:16Comments(2)つれづれ

2024年02月24日

なぜかサイゴン


 1999年、春。
 僕は友人の画家と、ベトナムへと旅立ちました。

 2人は互いに、目的を持っていました。
 それは、作品を制作すること。


 帰国後、彼は個展を開き、僕は著書を発表しました。 

 『ヨー! サイゴン』
 これが著書名です。


 あれから25年。
 この本は、今も人知れず我が家の使われていない和室に、梱包されたまま積まれています。
 というのも当時、この本を出版してくれる所などなく、全額自費による出版だったのです。
 販売ルートもなく、彼の個展会場で売ってもらうしかありませんでした。

 よって現在も在庫は、すべて僕の手元にあります。


 僕は3年前から仲間と、街頭紙芝居というイベントを開催しています。
 場所は伊勢崎市の神社境内です。

 会場では、ブースを借りて、著書の販売をしています。
 温泉や民話の本がメインですが、こっそり、この本も置いています。
 でも他の本に比べると、売れません。

 たまに僕のコアな読者が、「これを買いに来ました。これで、小暮さんの著書はすべて揃いました」 と買っていくだけでした。
 ところが!
 ここに来て、異変が起きています。


 昨年の秋頃からでしょうか。
 来場者が、この本を手に取る頻度が多くなったのです。
 そして、買っていく人が増えました。

 なんで?
 最初は分かりませんでした。
 でも先日、理由が分かりました。


 「これベトナムの本なの?」
 「ベトナム人の友人がいるのよ」
 「ベトナムのこと、知りたくて」
 そう言っては、買っていくのです。

 そうでした!
 確か、群馬県内在住の外国人が過去最多になったというニュースがありました。
 しかも、その数が県内で一番多いのが伊勢崎市です。
 国別では、ベトナム人がブラジル人を抜いてトップになったと聞きます。

 ということは、伊勢崎市は “リトル・サイゴン” ?
 ベトナム料理の店も増えているといいます。


 いつ、どこで、何が起こるか分かりませんね。
 そして、どこかで、誰かが見ているということです。

 なぜか今、伊勢崎市で僕の本が売れています。
 ヨ―! (ベトナム語で 「乾杯」 の意)

 ベトナムに興味がある人は、ぜひ、伊勢崎市にいらっしゃ~い!
   


Posted by 小暮 淳 at 10:27Comments(2)著書関連

2024年02月23日

小松姫が導いた 「びっくりひな飾り」


 7,000体余りのひな人形を一堂に展示する老神温泉 (沼田市) の 「びっくりひな飾り」。
 今年で11回目を迎えました。

 みなさんは、見たことがありますか?
 僕は 「老神温泉大使」 として、何度か式典に出席させていただきました。


 では、なぜ、老神温泉で 「びっくりひな飾り」 が開催されるようになったのでしょうか?
 それには、こんないきさつがありました。

 第1回が開催された平成26(2014)年に、埼玉県の鴻巣市から500体のひな人形が寄贈されたことに始まります。
 すでに鴻巣市は、「日本一のピラミッド型ひな壇」 があることで知られていました。
 実は、鴻巣市と沼田市には、意外な共通点があったのです。

 それは、小松姫でした。


 沼田城の初代城主・真田信幸の奥方、小松姫は、元和6(1620)年に鴻巣の地で亡くなりました。
 そして小松姫の遺骸は、鴻巣市と沼田市と上田市 (長野県) の寺に分骨されました。

 いわば、この 「びっくりひな飾り」 は、小松姫が縁で開催されたイベントなのです。


 まだ見たことのない人は、ぜひ一度、その圧巻なひな壇 (幅18m、高さ3.8m) と、ひな飾り (約7,000体) を間近に感じてください。




     第11回 「老神温泉 びっくりひな飾り
 
 ●期間  2024年2月17日(土)~3月24日(日)
 ●会場  沼田市利根観光会館 (メイン会場)
 ●開館  午前9時30分~午後4時 (最終日は正午)
 ●入場  運営協力金 100円
 ●問合  老神温泉観光協会 TEL.0278-56-3013
  


Posted by 小暮 淳 at 10:12Comments(0)大使通信

2024年02月22日

ガラスの左手


 不思議な夢を見ました。


 差出人不明の小包が届きました。
 30センチほどの細長い段ボール箱です。

 開けて、ビックリ!
 大きなガラス細工でした。
 しかも、人間の肘から指先までの手の形をしています。
 左手です。


 これはいったい、何を暗示しているのでしょうか?
 占ってみました。

 まずガラス細工やガラス製品の夢は、“安定した心の状態” を表しているそうです。
 中でも、オブジェ的な芸術性の高い作品は、“良い人間関係” が築けている証拠。

 さらに、ガラス細工やガラス製品を人からもらう夢は、“魅力が高まっている” “興味を持たれている” ことを意味するとのこと。

 悪い夢ではないようです。


 では、手の夢は?

 やはり人間関係を暗示しているようで、仕事やコミュニケーションを意味しています。
 そして左手は、女性を意味します。


 ということで、総評です。
 魅力が高まっていて、女性から興味を持たれているということです。

 あ~、良かった!
 最近、おっさんやじっさんばかりに言い寄られるので、異性からは好かれていないのではないかと思っていましたが、大丈夫なようですね。


 目指せ、老いらくのラブロマンス!
 大恋愛の予感がします。

 でも、差出人は誰なのでしょうか?
   


Posted by 小暮 淳 at 11:04Comments(2)夢占い

2024年02月21日

またラジ高に生出演しま~す!


 昨年11月に出演したラジオ高崎の 『Air Place (エア・プレイス)』 は、聴いていただけましたか?

 前回は、温泉ライターとしての出演でした。
 ところが番組生放送中に、サプライズが起こりました。


 生放送をしていたのは、JR高崎駅構内のサテライトスタジオです。
 ガラス張りのオープンスタジオですから、放送中も目の前を通行人が行き交います。
 その中に突然、女性が立ち止まり、スタジオに向かって本をかかげたのです。

 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』

 そーです!
 僕の著書です。
 女性は、僕の読者様だったのです。


 これにはパーソナリティーの田野内明美さんも、ゲストパーソナリティーの占星術研究家の鏡リュウジさんもビックリ!
 「小暮さんは、温泉の本だけじゃなくて、民話の本も書かれているんですよね!?」
 との田野内さんのアドリブトークに、
 「えっ、そうなんですか? 民話、とっても興味あります。ぜひ、話を聞きたいな~!」
 と、鏡さんが言葉を返しました。

 すると、田野内さんは、
 「だったら、次回も小暮さんに来てもらいましょう! ね、小暮さん、いいでしょう?」
 と独断と偏見で、僕の出演を決めてしまいました。


 ということで来週、またラジオ高崎の番組に、おじゃますることになりました。
 今回の僕の肩書は、「謎学ライター」 です。
 一緒に、群馬県内の民話や伝説の謎を解き明かしましょう!


 当日は、高崎駅サテライトスタジオからの生放送です。
 今回は、どんな話が飛び出すやら?
 みなさん、聴いてくださいね!



 ●放送局/ラジオ高崎 (76.2Mhz)
 ●放送日/2024年2月26日(月) 16:00~18:55
 ●番組名/Air Place (エア・プレイス)
 ●パーソナリティー/田野内 明美
 ●ゲストパーソナリティー/鏡リュウジ

 ※小暮の出演は、16:10頃~30分位です。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:49Comments(4)テレビ・ラジオ

2024年02月20日

090 が怖い


 たとえば、昨年の10月。
 僕が出演したフジテレビ 『ホンマでっか!TV』 のオンエア終了直後のこと。
 すぐにケータイ電話が鳴りました。

 テレビを観てくれた親しい友人が、さっそく電話をくれたのだと思いました。
 ところが、表示を見ると……

 090-××××-××××

 登録のない電話番号です。


 恐る恐る電話に出ると……
 「Kです」
 と、男性の声で名字だけを名乗りました。

 “K” という名字は、ありふれた名字で、パッと思いつく知り合いだけでも2~3人はいます。

 でも、その誰とも声が違います。

 「どちらのKさんでしょうか?」
 訊ねると、声の主は、こう言いました。
 「同級生のKです」
 といって、中学校の名を告げました。


 K君、K君……、えーと、K君……
 「あっ、K君ね」
 おほろげながら、やっと思い出しました。
 クラスでも目立たない、おとなしい男子でした。
 ただ運動神経が良くて、スポーツができた子だということだけは覚えています。

 「小暮君、今、テレビ観たよ。すごいね!」

 電話の内容は、それだけだったのですが、なんで僕の電話番号が、とっさに調べられたのでしょうか?
 「ああ、ありがとう。で、なんで、この番号を知ってるの?」
 思わず、訊いてしまいました。
 すると……

 10数年前のクラス会の時に、名刺交換をしたというのです。
 でも、こっちは、そんなことは記憶にありませんから、ただただ驚くばかりでした。



 先日、またしても登録なしの電話がかかってきました。

 090-××××-××××

 電話に出ると、やはり声の主は男性でした。
 「Hです」
 今回は、まったく知り合いの中にはいない名字でした。
 「どちらのHさんでしょうか?」
 「○○中学で一緒だったHです」

 と言われても、記憶の中のクラスメートには、H君という人はいません。
 「H君?」
 「ええ、△組のHです」

 なんだって!
 同じクラスじゃねーのかよ!
 それじゃー、分からんて!
 (僕らの中学校は当時、1学年10クラスもあったのですから)


 それでも僕は、記憶をたどりながらH君という人物を頭の中で追い求めていました。
 「小暮君、読んだよ! 昨日の新聞」

 彼は、読売新聞に連載が始まった僕のコラムを読んでくれたようであります。
 「前から小暮君のことは知ってたけどさ、顔写真付きで、すごいよね!」


 あっ、思い出しました!
 H君のこと。
 中学時代はクラスも違うため、一度も口をきいたことはありませんでしたが、20年ほど前に、さる会合で同席した人です。
 そのとき、たまたま同じ中学校の出で、しかも同学年だということで、名刺交換をした人でした。

 でも、ごめんなさい。
 忘れていました。


 本当は、うれしいんですよ。
 そうやって、昔の同級生や同窓生たちが、僕のことを思い出して電話してくれること。
 でもね、突然、090 で始まる未登録の電話番号が表示されて、知らない人の声が聞こえてくると、ドキッとしてしまうんです。

 できたら最初は、メールか手紙で連絡してくれませんか?
 それから親しくなったら、電話でお話ししましょう。 
   


Posted by 小暮 淳 at 10:30Comments(2)つれづれ

2024年02月19日

じっさんずラブ?


 なんだか最近、人生の “モテ期” に入ったようです。
 ラブコールが止まりません。

 といっても異性からではありません。
 すべて男性からのラブコールです。


 「いつもブログ、読んでます」
 「小暮さんの本は全部持ってます」
 「サインください」
 「一緒に写真を撮ってもらえますか?」

 講演やイベントに来てくださる読者のほとんどは、中年以上の男性です。
 我が人生で、ここまで同性からモテた時期はありませんでした。

 しかも、その年齢は年々、上がっています。
 まあ、僕自身が歳をとるわけですから、読者層も上がっていくのは自然なことなんですけどね。
 それにしても高齢化が進んでいます。


 「小暮さんとは、もっと早く若い頃に知り合いたかったな」
 なんて言う殺し文句を、60代後半の男性から言われたこともあります。

 そして、ついに、ラブレターをもらいました!
 名も知らない70代の男性からです。


 以前、イベント会場に現れ、しつこく僕の誕生日を聞き出した老人です。
 何のために、誕生日なんて聞くんだろう?
 と、その時は思ったのですが、すでに忘れていました。

 1カ月後の昨日、イベント会場へ行くとスタッフから1枚のクリアファイルを手渡されました。
 「ほら、先月来た、あのじいさんからだよ。 『小暮さんに渡してほしい』 って、置いて行ったよ」
 中には、便せんとプリントが入っていました。


 便せんには、手書きで、こう書かれています。
 <8月8日>
 僕の誕生日です。
 <誕生日の花 アオイ科 トロロアオイ>
 <花言葉 知られぬ恋>

 なななななな、なんですとーーーー!!!
 し、し、し、“知られぬ恋” だ~!
 これじゃ、“じっさんずラブ” じゃねえかよ~!


 恐る恐る、便せんをめくり、プリントに目を通しました。

 <8月8日>
 <楽天的で前向き、人に親切な幸せ上手>
 とあります。

 今度は、誕生日占いです。


 <自分に嘘がつけない、堂々と大手を振って歩く存在。>
 <偉大なる意志を貫けば、闇さえも照らす楽園が待っている。>

 かなり、ほめちぎっています。
 さらに、ヨイショは続きます。

 <あなたの人生は、徹底的なポジティブ・シンキングが強み。>
 <ある程度の年齢になると、ますますポジティブ思考に磨きがかかり、物事のよい面を捉えるのが非常に得意となる。>
 <常にぬくもりややさしさを感じ、生活を感動で満たしていくのが、あなたの一生です。>

 ひぇ~、いいこと尽くめじゃないですか!?
 でも、当たっている部分も多くあります。
 「ある程度の年齢になる……」 というのは、ズバリ50代以降の人生を示唆しています。


 まあ、脅迫文をもらったわけではないので、ありがたく頂戴することにしました。
 どこの誰かは知りませんが、熱烈なお気持ちをありがとうございます。

 この先、“じっさんずラブ” に発展しないことを願います。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:12Comments(6)つれづれ

2024年02月17日

今日の読売新聞 連載スタート!


 ≪温泉といえば 群馬です≫

 いい見出しが付きました。


 今日の読売新聞群馬版 「Saturday ぐんま」 のページ。
 「レンゲツツジ」 というコーナーに、僕のコラムが載りました。

 連載の初回ということで、今回は自己紹介です。
 「なぜ温泉ライターになったのですか?」
 そんな書き出しから始まります。

 だって世の中に、そんな職業なんて存在しませんものね。
 “温泉ライター” は、仕事のジャンルであって、職業ではありません。
 では、なぜ、そう名乗るようになったのか?

 コラムでは、20~30年前にさかのぼり、雑誌の編集人をしていた頃のエピソードに触れました。


 「群馬といえば温泉」
 長年、僕は、そう言い続けてきました。

 <群馬には温泉以外にもたくさん誇れる特産品や観光名所があることは承知しています。でも都道府県魅力度ランキングでは、依然下位に低迷しています。ならば、いっそのこと 「群馬には温泉しかない」 と言ってしまった方がインパクトが強いのではないか。そんな意味を込めて 「群馬といえば温泉」 と言い続けてきました。> 


 ところが数年前から異変が起きました。
 「温泉といえば群馬」
 という声が聞かれ出したのです。

 これは、どういうことでしょうか?
 興味のある方は、ぜひコラムをお読みください。


 このコラムは、不定期連載です。
 次回掲載日が決まりましたら、お知らせします。
  


Posted by 小暮 淳 at 09:37Comments(8)執筆余談

2024年02月16日

トイレの怪


 あれは2週間ほど前の寒い夜のこと。
 仕事帰りに、晩酌のつまみを買おうと、家の近くのスーパーマーケットに寄りました。

 店内に入った途端、不覚にも便意をもよおしてしまい、トイレに駆け込みました。


 異変を感じたのは、個室に入った時でした。
 
 シャーシャーシャー………

 “音姫” って言うんでしたっけ?
 便座に座ると、自動的に水が流れるような擬音が聞こえてきました。

 シャーシャーシャー………


 ジッと便座に腰かけ、排泄の準備をしていると、流水音に違和感を覚え出しました。

 シャーシャーシャー………
 ✕✕✕✕✕✕………
 シャーシャーシャー………
 ✕✕✕✕✕✕………

 流水音の合間に、くぐもった男性の声のようなものが聞こえます。

 イ✕ナ✕コ✕………


 耳を凝らして聞いていると、あっ!と驚きました。
 はっきりと聞こえます。
 その男性の声は、こう言っているのです。

 イワナイコト


 「言わないこと」
 いったい何のことでしょうか?
 僕が、何を見たというのでしょうか?

 もし、何かを忠告しているのであるとすれば、この店で起きたことだろうと思います。
 でも僕は、駐車場に車を停め、入口でカゴを手に取り、店内を半周ほど歩いたところで、便意をもよおしています。
 まだカゴに商品は入っていなかったので、いったんカゴは元の場所にもどし、トイレへと向かいました。

 その間に僕は、何か見てはいけないものを見てしまったのですか?


 シャーシャーシャー………
 イワナイコト………
 シャーシャーシャー………
 イワナイコト………

 排泄を完了し、便座から腰を上げると、やがて流水音とともに男性の声も止みました。


 「言わないこと」 とは、いったい何のことだったんでしょう?
 
 あっ、しまった!
 もしかして、この出来事自体ですか?
 言うなと言われていたのに、うっかり、このブログで言ってしまいました!

 もしも明日以降、このブログが更新されなかったら、僕に何かが起こったと思ってください。
  


Posted by 小暮 淳 at 09:52Comments(3)つれづれ

2024年02月15日

オール5の名泉


 浴室の入口には、日本温泉協会の査定による 「天然温泉 温泉利用証」 が掲げられています。
 これは温泉と浴槽の成績表で、実際に入る温泉の <自然度> <適正度> が、6項目5段階で評価されています。
 ここの湯は、「源泉」 「泉質」 「引湯」 「給排湯方式」 「加水」 「新湯注入率」 の6項目で、すべてオール5の評価を受けています。

 全国には約3,000ヶ所の温泉地があります。
 その中で、オール5の評価を受けている施設は、20軒とありません。
 そのうちの1軒が、群馬県嬬恋村の鹿沢(かざわ)温泉 「紅葉館」 です。


 源泉名は「雲井の湯」。
 標高約1,500メートルの高地に湧くことから名づけられたといいます。

 僕のみならず、温泉ファンならば誰もが認める県内屈指の名泉です。


 僕がスーパーバイザー (監修人) をつとめる群馬テレビの 『ぐんま!トリビア図鑑』。
 番組内のシリーズ 「温泉王国ぐんま」 だけは、自ら僕がリポーターとして出演しています。

 昨日、テレビ局のスタッフらと、名泉 「雲井の湯」 が湧く、鹿沢温泉 「紅葉館」 を訪ねました。


 さて、問題です。
 鹿沢温泉には、何軒の宿があるでしょうか?

 この問題を解くには、2つの温泉地の関係を知らなければなりません。
 鹿沢温泉と新鹿沢温泉。
 または 「旧鹿沢」 と 「新鹿沢」。

 その呼び方は、どちらが正しいのでしょうか?
 地元では、どう呼び分けられているのか?

 その辺の謎も含め、鹿沢温泉の源泉と温泉地の歴史をリポートします。


 放送日は、3月5日(火) です。
 乞う、ご期待!
  


Posted by 小暮 淳 at 09:35Comments(0)テレビ・ラジオ

2024年02月13日

牧水の声を聞いた


 突然、大きな郵便物が届きました。

 送り主は、「利根沼田若山牧水顕彰会」 とあります。
 中身は、すべて牧水に関する資料でした。


 歌人の若山牧水 (1885~1928) は、利根川水源の山や渓谷に魅せられて、たびたび群馬を訪れています。
 中でも有名なのは、大正11(1922)年に10月14日から28日までの15日間、長野~群馬~栃木を旅した 『みなかみ紀行』 です。
 この旅だけでも牧水は、群馬県内の9つの温泉地に立ち寄っています。

 そして、牧水といえば酒をこよなく愛した歌人としても知れています。
 朝に2合、昼に2合、そして夜には6合。
 毎日、一升の酒を欠かさなかったという酒豪ぶりでした。

 それゆえか、温泉を愛し、酒を愛したこの歌人に、僕はとても親近感を覚え、長年、興味をいだき続けています。


 そして、ついには昨年11月より高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 にて、『<みなかみ紀行 令和版> 牧水が愛した群馬の地酒と温泉』 という紀行エッセイの連載を始めました。
 また昨年9月には、高崎市の倉賀野公民館で 『“みなかみ紀行から見る” 牧水が愛した群馬の地酒と温泉』 という演題にて、2時間にわたる講演を行いました。


 たぶん、そんな僕の “牧水愛” が、風の便りに本家本元の利根川上流の水源の町まで届いたんでしょうね。
 送られてきた資料の束には、こんな一文が添えられていました。

 <牧水の声を聞いた数少ない人と感じました>

 ひぇ~!
 なんという殺し文句なんでしょうか!
 そんなことを言われれば、豚も木に登ってしまいますって!


 若山牧水顕彰会のみなさん、ありがとうございます。
 送っていただいた資料は、今後の取材、執筆の参考にさせていただきます。

 そして、これからも牧水同様、群馬の温泉と地酒を愛し続けていきます。

 いつか、みなさんとお会いできる日を楽しみにしています。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:23Comments(4)執筆余談

2024年02月12日

新聞より愛を込めて


 いよいよ今週末より、新聞連載が始まります。

 としか今は言えません。
 某新聞社との規約により、筆者による事前告知は禁止されています。
 でも、みなさんがよく知っている三大新聞の一紙です。


 過去にも僕は、新聞や雑誌、フリーペーパー、ウェブ等で連載をしてきました。
 そのときどきテーマは違っても、温泉や民話などの得意ジャンルにしぼった連載でした。

 でも今回は、ちょっと違います。
 「テーマは何でも結構です。好きなことを書いてください」
 との条件なし。
 完全なる小暮淳個人のエッセイなんですね。

 こんな日が来るなんて……
 と、ライター冥利に尽きる依頼に、ただただ感謝しています。


 思えば、僕は一時も新聞を手放せないほどの “新聞中毒者” です。

 現在、購読している新聞は2紙ですが、出先で必ずもう1紙購入しますので、毎日最低3紙は読んでいます。
 さらに図書館など公共施設へ行けば、他の新聞にも目を通します。

 当然ですが、電車やバスを利用するときも、移動の友は新聞です。
 それほどまでに新聞は、僕の日常にしみついています。


 そんな大好きな新聞に文章が載ることは、夢でもありました。
 「いつか、新聞に連載を書けるようなライターになる」
 それが35年前に、この業界で仕事をするようになってからの目標となりました。

 その目標は、すでに10数年前に達成しているのですが、今回は “テーマ無し” の “自由執筆” です。
 腕が鳴ります。


 初回の掲載は、今週末。
 当日、発表します。
 乞う、ご期待!
   


Posted by 小暮 淳 at 11:49Comments(0)執筆余談